夜ふかし閑談

夜更けの無駄話。おもにミステリー中心に小説、漫画、ドラマ、映画などの紹介・感想をお届けします

ライ麦畑で増幅して【森博嗣】 Xシリーズ序章

こんばんは、紫栞です。
森博嗣さんの短編集『レタス・フライ』文庫版に入っているライ麦畑で増幅して」を読みました。

レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫)

こちらの記事でも書きましたが、Xシリーズの主人公・小川玲子が初登場するお話ですね。

 

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文庫版のみ収録のため、講談社ノベルスで読んでいた私は長らく見落としていたので(^_^;)Xシリーズを完結まで読んだ後に、(不本意ながら)Xシリーズ序章のこのお話を最後に読むって事になっちまい「順番が・・・!」と、今まで読み損じしていたことを無念に思ったりしたんですけど、こうやってシリーズ読み終わってから序章を読むってのも面白かったです。今まで疑問だった箇所が埋まっていくのと、シリーズラストの小川さんの心情と序章での心情を頭の中で照らし合わせることが出来て、なんというか・・・より強固に“Xシリーズの完結”を享受できたな~と。

 

 

 

 

お話の概要は小川さんが死んだ“彼”の家に行って、そこにいた椙田さんにスカウトされるXシリーズ始まりの物語。

短編として「ライ麦畑で増幅して」の題名で本に収められていますが、このお話のオチは後のXシリーズ完結編『ダマシ×ダマシ』で示されています。そこまで読まないとこの短編の真価は発揮されませんね。

“彼”の手帳に書かれていた
『午前と午後が背中合わせ。
それが小川君のものだ。』
このなぞなぞの答えも『ダマシ×ダマシ』で明かされます。椙田さんみたいに鋭い人は「ライ麦畑で増幅して」を読んだ時点で解いた人もいるんじゃないかな?聞けば納得の答えですね。

 

読んで思ったのはこの死んだ”彼“怪しいなぁと。社長ってことですが、詳細が大分ぼかされていて頑なに名前が出てこないし・・・そもそも椙田さんの親友って・・・う~ん(-_-)半年後に辞めてしまったっていう女性秘書も怪しい・・・なにか仕掛けが待ち構えているかも。まったく、コレだから森博嗣ミステリィは抜けだせなくなる(笑)

 

小川さんと死んだ“彼”は
『プライベートな関係がまったくなかった。そして、まさにその点が、私の弱みだったのだ。だから私は、それが後ろめたかったのかもしれない。潔白なのが、自分で不満だった、ということだ。』


そうだったのか・・・!


コレを踏まえると『ダマシ×ダマシ』での贈り物は感動すると共に、ホント「信じられない我が儘」ですね。小川さんが「なんてことをしてくれるのぉ!」と叫びたかったのも凄く頷ける。
ライ麦畑で増幅して」を読まないままだったら、このシーンの深みがわからないままでしたね。読めて良かった!

 

私と同様にXシリーズ全部読んだのにこの短編を読み損じていた人はもちろん、短編だけよんでXシリーズは読んでない人は「ライ麦畑で増幅して」とXシリーズ是非合わせてお読み下さい。そうすべき!!

 

レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫)

レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫)

 

 

 

 


ではではまた~

 

 

 

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『濱地健三郎の霊(くしび)なる事件簿』有栖川有栖新シリーズ! 感想・概要

こんばんは、紫栞です。
今回は有栖川有栖さんの新シリーズ『濱地健三郎の霊(くさび)なる事件簿』をご紹介。

濱地健三郎の霊なる事件簿 (幽BOOKS)

装丁からミステリアスで良い。中身の内容にマッチしていますね。30パーセントくらいは装丁につられて買いました(笑)幽BOOKSから刊行の単行本はデザインが凝っていて素敵なのが多いですね。

 

 

概要
新宿に事務所を構える心霊探偵・濱地健三郎が幽霊を視る能力と鋭い推理力を駆使して依頼人が持ち込んでくる奇妙な現象や警察もお手上げの不可思議な事件を解明していく連作短編。
彼には真実も幽霊(ゴースト)も視えている――

 

 

収録作品
●見知らぬ女
●黒々とした孔
●気味の悪い家
●あの日を境に
●分身とアリバイ
●霧氷館の亡霊
●不安な寄り道
の7編。

こちらの濱地健三郎探偵はこの本より先に前回の記事で紹介した『幻坂』に収録の2編「源聖寺坂」「天神坂に登場しております。

 

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元々シリーズ用のキャラクターじゃなく『幻坂』こっきりのつもりが、読者からのお声もあり『濱地は、まだまだ他にも使いようがあるかもしれない』と思い直されたようでシリーズ化。


「有栖川さんが心霊探偵モノのシリーズを書くだって!?見過ごせないわっ!」との思いと先に述べたとおり装丁につられて勢いで購入しました。実は『幻坂』もこの本読むために買ったのですが・・・(^_^;)

 

キャラクター

シリーズ化にあたり、この本から志摩ユリエという若い女性の助手が登場。お話のだいたいはこのユリエちゃんが語り手になっています。やっぱり探偵モノは助手がいた方が楽しいですね。ボスに向かって割と率直な意見をズバズバ言っちゃうところが好感持てます。恐い目に遭ってもボスへの信頼はあついです。


濱地探偵は髪をオールバックにした年齢不詳のダンディな紳士。
ユリエ曰く
『自慢したくなるほど男っぷりのいいボスであったが、まかり間違っても男女の仲になったりはするまい。年齢差が大きいこともあるが、まだ子供っぽい自分のような女は濱地の関心の外だろうし、ユリエにとっての彼も距離がありすぎて、あくまでも〈観賞用の男〉だった』
ですって。
ボスが〈観賞用の男〉かぁ・・・なんとも羨ましい話ですなぁ。
濱地はユリエを「志摩君」と呼んでいるのですが、ダンディな男が女性助手のことを“君”づけで呼ぶの、なんか良いですよね(笑)
“心霊探偵”なんて肩書きは世間一般的にはかなり胡散臭いだろうと思うのですが、見た目や立ち振る舞いが良いせいか、濱地に対して余りあからさまな嫌悪感を態度に出す人物が出てこないです。刑事さんやユリエの彼氏もちょっと物わかりが良すぎるんじゃないかとか思うのですが・・・濱地の資質の賜物なんですかね(^_^;)

 

ミステリーと怪談

本の帯に“端正なミステリーと怪異の融合”と書いてありますが、お話はミステリーってよりは怪談ですね。まぁ怪談専門誌『幽』での連載ですから。と、いっても全然怖くは無いんですけど。がっつりとした推理シーンを期待して読んじゃダメだと思います。そういう本では無いです。霊視+少しの推理と観察力で解決させる感じ。

 

「分身とアリバイ」が一番ミステリーちっくですかね。

「黒々とした孔」はちょうど良いあんばいでミステリーと怪異が融合しているお話だと感じます。

一番ミステリーから離れているのは「不安な寄り道」かな。怪談だな、と。でも個人的には好みのお話です。

「霧氷館の亡霊」みたいな最後に秘められた悪意が見え隠れするお話も好きですね~。

 

探求

あとがきで有栖川さんは

『ミステリの発想を怪談に移植した上で、両者の境界線において新鮮な面白さを探す』

のを目指したとのこと。
ふむふむ。
あとがきを読んで納得しました。確かに、読み終わっての感想としては「探求中なんだな」という印象を受けましたね。有栖川さんは『探求を続けていきたい』と書かれているので、今後シリーズがどのように展開していくのか楽しみです。ユリエちゃんも霊視の力が開花し始めて「境界線」について思い悩んだりしていますからねぇ。このシリーズで長編やっても面白そうだなぁとか思いますが。

 

 

幽霊が出て来る有栖川さんの長編小説と言えば『幽霊刑事』ですかね↓

  

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笑いあり、涙ありでオススメの1冊。

 


『濱地健三郎の霊なる事件簿』読み終わったばっかりですが、私はもうすでに続編が読みたい気分になっています。シリーズ2冊目がでたら即買いですねコリャ(笑)

※出ました!詳しくはこちら↓

 

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怖くない怪談・不思議系話・探偵が好きな人は是非。

 

 

濱地健三郎の霊なる事件簿 (角川文庫)

濱地健三郎の霊なる事件簿 (角川文庫)

 

 

濱地健三郎の霊なる事件簿 (幽BOOKS)

濱地健三郎の霊なる事件簿 (幽BOOKS)

 

『幻坂』もあわせてどうぞ

 

 

幻坂 (角川文庫)

幻坂 (角川文庫)

 

 

 

ではではまた~

 

 

『幻坂』(まぼろしざか) 感想 天王寺七坂が舞台のお話9編

こんばんは、紫栞です。
今回は有栖川有栖さんの『幻坂』(まぼろしざか)をご紹介。

幻坂 (角川文庫)

こちらは大阪の天王寺区にある【天王寺七坂】を舞台にした短編集。有栖川さんは世間一般には本格推理小説のイメージが強いですが、この本は怪談集です。

第5回大阪ほんま本大賞受賞作。なんとも大阪愛に溢れた物語集なので納得の受賞。


目次
清水坂
●愛染坂
●源聖寺坂
●口縄坂
真言
天神坂
●逢坂
●枯野
●夕陽庵
の9編。


後ろの二編は坂にちなんだお話では無く、時代物の短編怪談。でも舞台は大阪です。


私はこの本読むまで【天王寺七坂】ってまったく知らなかったのですが、本の最初の説明によると
『七坂の界隈は寺町を形成して、四天王寺をはじめ多くの神社仏閣が連なる〈最も古い大阪〉であり、古代から現代に至るまでこの都市の記憶を抱く。』
のだそう。地図も載っていて親切(笑)

怪談にはピッタリの舞台ですね。坂の名前がどれも魅力的。狭いエリアに集中しているみたいなので、機会があったら散策してみたいなぁ。読むと凄くそう思わせる短編集なんですよね。大阪観光に一役買っているんじゃ・・・と、思う。各話の題字のページに坂の写真が載っているのも親切で、行きたくなる気持ちに拍車をかけてくれます。どれも素敵な写真ですよ~。表紙絵も内容を的確に表したもので良い。作った人達の思いが詰まった“一冊の作品”ですね。

 

 

 

 

あとがきで有栖川さん自身も書かれていますが、怪談集といってもゾッとするようなお話が入っている訳ではなく(「口縄坂」はちょっとゾッとするかな)全然怖くないです。9編全てに『幽霊』が絡んでいるので怪談なのですが。
七坂や周辺の歴史を織り交ぜつつ、無常観・せつなさ・寂しさが漂うお話が並んでいます。この“せつない”余韻が残る読後感は本格ミステリーのシリーズもふくめた有栖川作品全般にいえる特徴ですね。(私の好きなところです!)

 

私は「愛染坂」「真言坂」「逢坂」が好きです。三つとも男女間の機微に触れるお話。

「口縄坂」は少し官能的なお話ですね。入っているお話の中では一番怪談っぽいです。主人公の女子高生の猫好きっぷりが可笑しい。凄い情熱だ。作者の猫好きを知ってるので笑ってしまう(^o^)
清水坂はノスタルジックで本書の最初を飾るのにふさわしいお話ですね。

 

「源聖寺坂」天神坂の二編には心霊現象専門の探偵・濱地健三郎が出てきます。今年、この探偵を主役にした単行本が発売されました↓

 

濱地健三郎の霊なる事件簿 (幽BOOKS)

濱地健三郎の霊なる事件簿 (幽BOOKS)

 

 文庫も出ました↓

  

濱地健三郎の霊なる事件簿 (角川文庫)

濱地健三郎の霊なる事件簿 (角川文庫)

 

 

 

詳しくはコチラ↓

 

 

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幻坂の二編でお役御免のつもりでいたところ、読者からのお声でシリーズものの主役に昇格!
「源聖寺坂」は探偵が出て来るだけあってミステリー色が強いです。本書の中ではチト浮いてる。

天神坂は幽霊が食事するってのが新鮮でした。

 


私の住んでいる場所は坂とは無縁な所でして「こんなに雰囲気・歴史ある坂がいっぱい。羨ましいなぁ」とか思ってしまいます。実際には上り下りが大変だとかあるんでしょうけど・・・(^_^;)

 

幻想的な気分に浸りたい人にオススメ。今の季節は夜に窓を開けて読んだりすると良いと思います。虫の音を聴きながら~みたいな。外の音がうるさいところはダメですけどね・・・

 

幻坂 (幽BOOKS)

幻坂 (幽BOOKS)

 

 


ではではまた~

S&Mシリーズ【すべてがFになる】 読む順番・ドラマ・アニメ・・・まとめて紹介

こんばんは、紫栞です。
前回の記事で森博嗣さんのXシリーズの完結編『ダマシ×ダマシ』について書きましたが

 

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今回は壮大な森博嗣ワールド始まりのシリーズ【S&Mシリーズ】について紹介したいと思います。

 

すべてがFになる (講談社文庫)

 

S&Mシリーズとは?
森さんのデビュー作『すべてがFになる』から始まる一連のシリーズ。
国立N大学建築学科の助教授である犀川創平とその教え子で恩師の娘でもある西之園萌絵の二人が次々と起こる殺人事件を解明していく。シリーズ名の「S」と「M」は二人のファーストネームのイニシャルから取られています。「&」を抜かして言うと驚かれる・・・(笑)

シリーズの探偵役は犀川創平ですが、この犀川先生、非常に腰が重く事件への積極性はほぼ無い。なので、お話は常に萌絵の側からもたらされます。萌絵がわざわざ事件持ち込んできたり、巻き込まれたり・・・で、最終的に犀川先生がやむを得ず解明させるって感じですね。

 

コンビものだと探偵役じゃない方は凡庸・普遍的な人物として描かれがちですが(読者の側にたってと探偵役との対比とかでそうなる)この西之園萌絵はとんでもなく金持ちで優秀で美人。毎度の推理も八割方真相は見抜くのですが、詰めが甘いのか最後の最後は犀川先生のご厄介に。
超絶金持ちで美人。優秀でファンクラブまであったりする西之園萌絵ですが、犀川先生一筋で全くぶれません。「私と結婚して下さい」とプロポーズしてみたり、直接的すぎるアピールをするのですが、それをノラリクラリと躱し続ける犀川先生。しかし憎からず思っている様子ではある彼の胸中はいかに・・・
と、いった二人のやり取りもこのシリーズの醍醐味。この二人の関係性は【S&Mシリーズ】終了後も短編集や他シリーズで変化し続けます。

 

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ドラマ
【S&Mシリーズ】は2014年に『すべてがFになる』の題名で連ドラ化されました。

   

TVドラマ すべてがFになる DVD-BOX
 

 

キャストは

犀川創平綾野剛

西之園萌絵武井咲

でしたね。


「キャストとキャラクターのイメージが違う!」という意見が多かったですが(原作ありの実写はみんなそうですけどね・・・)

はい。まぁ違いますよ。

私も萌絵はモデル風の派手な美人を想像していた・・・と、いうか原作にそう書いてあります。「髪が長い!」って意見も多かったですが、髪は原作の中でのばしたりしているんだけど・・・。

犀川先生は「かっこよすぎる!」「若すぎる!」って意見がネットでは多かったですが・・・みんなどんだけ犀川先生のことオヤジの醜男認定してるの?と、個人的には疑問。一応シリーズ開始時点では32歳なんだけど。それに作中に“モテそう”って言われている描写もあるし。私の中では犀川先生は『ぼ~としていてカッコイイわけではないが、なんとなく女にモテそうなタイプ』ってイメージなんだけどな~。まぁ原作だと萌絵と犀川の見た目が不釣り合いって設定だからかな。年齢差がね、もっと感じさせた方が良いとは思いました。
個人的に睦子叔母様が出てこなかったのが残念。結構強烈なキャラクターで面白いのですけどね。

 

肝心のお話の方は一つの事件を二週にわけて放送って形でしたね。原作の半分の話数しか出来てない。ドラマとしては割と真面目に作られていたと思うのですが、理系ミステリィの異名を持つ森博嗣作品はキャラクターの熱量が乏しく淡々とした場面や数学的分野のお話、哲学的な部分が多々あるので映像でやると上手く伝わらないのかなぁ~と。エンタメ的じゃないってことですかね。
連ドラじゃなくって『すべてがFになる』だけを映画とかでやった方が良かったのでは?とか思います。

 

刊行順
※ドラマで何話目にやったかも交えてご紹介。


1『すべてがFになる

 

 

 【S&Mシリーズ】どころか森博嗣ワールドはコレを読まないと何にも始まらない!絶対に必読!

 

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ドラマでは5・6話目。最初にやった方が良かったのでは?何で中盤にしたのか謎。

 

2『冷たい密室と博士たち

 

 

 密室モノ。ドラマでは1・2話目。ちょっと密室の構造が複雑で文章で読むと上手く想像できなかったので、映像化されて助かった(笑)

 

3『笑わない数学者

 

 

 比較的王道の本格推理小説。森さん、今はもうこの手のお話書かないだろうなと思う。貴重。本格ファンにオススメ。

 

4『詩的私的ジャック

 

 

 如何にも森博嗣ミステリィっぽいお話。タイトル通り森さんお得意の詩もいっぱい出てきます。

 

5『封印再度

 

 

 このお話に登場する男の子、なんだか破綻していると思う。然るべき機関で診てもらった方が・・・。ドラマでは3・4話目。婚姻届の話やって欲しかったんだけどな(ええ、すごく)時期的に無理か~。混乱して取り乱している犀川先生は必見です。

 

6『幻惑の死と使途

 

 

 私、このお話好きです。お気に入り。ドラマでやって欲しかったな~。Gシリーズのメグミちゃん初登場。この時中学生ですね。

 

7『夏のレプリカ

 

 

 変化球的なお話。前作の『幻惑の死と使途』と平行しての構造で偶数章のみの表記ですね(『幻惑の死と使途』は奇数章のみ)。しかし、だからといって章ごとに交互に読むのは最初止めた方が良いです(笑)再読でお試しあれ。

 

8『今はもうない』

 

 

 ある意味シリーズ最大の衝撃作。「8作目でこうくるかっ!」と。いつもの調子で読んでいると騙されます。

 

9『数奇にして模型

 

 

 ドラマでは7・8話目。コレ、ドラマでやるのか~とちょっと驚き。犯人像がちょっとアレなんでね(^_^;)女優さんにコスプレさせたかったのかな。

 

10『有限と微笑のパン』

 

 

 シリーズ最長の最終巻。まさに最後にふさわしいお話。ドラマでは9話と最終回。最後の真賀田四季犀川先生の会話が凄く好きなのですが、ドラマでは色々と残念な感じに(T_T)これじゃ伝わらん・・・。このシリーズ完結編は是非原作で!

 

以上、全10作。

 

 


アニメ
2015年にアニメ化もされました。こちらは『すべてがFになる』一つの事件を四季シリーズも交えて全11話かけて放送。

 

 率直な意見としては『もの凄く眠くなる作品』(笑)

原作に対して実直にやるとこうなるのね(^_^;)やっぱりエンタメ的じゃないんだなぁと痛感。一つの事件を11話使ってやるってのはどうしても間延びしちゃいますね。作品としては丁寧に描かれていて原作の雰囲気も表現されているし良いと思います。オープニングが好きでした。個人的にはキャラクター造形は実写ドラマ以上にもの申したい。特に萌絵・・・なんでああなる。

 


最後に(ならない)
今にして思うと、【S&Mシリーズ】は一番普通のシリーズ・・・なんて言うと語弊がありますが、個々の事件がしっかりと描かれた、推理小説の形態にそったシリーズでしたね。この後どんどんと一般的な推理小説の枠組みから離れて森さん独自の世界になりますから。その変化していく過程や繋がりが各シリーズを追っていく楽しみなのです。犀川先生や萌絵は他シリーズにもサブキャラクターとして登場しますし、絶対的に重要な真賀田四季も始まりはココですから。

やっぱり森博嗣ミステリィは【S&Mシリーズ】から・・・と、いうかすべてがFになる』からなので!コレ絶対!!

 

 

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壮大な森博嗣ワールド。まずはこのシリーズからご堪能下さい!

 


ではではまた~

 

 

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『ダマシ×ダマシ』ナオミ?そして・・・ 【森博嗣】Xシリーズ完結!

こんばんは、紫栞です。
今回は森博嗣さんの『ダマシ×ダマシ』について少し。

ダマシ×ダマシ (講談社ノベルス)

 

あらすじ
「私は、その、もしかして、ある人に騙されてしまったかもしれないんです」
上村恵子は、銀行員の鳥坂大介と結婚した――はずだった。
言われるままに銀行口座を新設し、預金の全てを振り込んだ後、彼は消えてしまった。預金全てを引き出して。
鳥坂の捜索依頼を受けたSYアート&リサーチの小川玲子は調査していく中で依頼人の上村の他に彼に騙された女性二人をつきとめる。しかし、追っていた鳥坂は遺体となって発見されて――・・・。

 

 

 

 

森博嗣さんのシリーズ作品であるS&MシリーズVシリーズ四季シリーズGシリーズWシリーズ百年シリーズ・・・これらは全て巧妙に関係し合っているシリーズなのですが・・・そのシリーズ群の中の一つ、Xシリーズの完結編がこの『ダマシ×ダマシ』ですね。

XシリーズはGシリーズと平行しての刊行だったんですが、Gシリーズより一足先に完結となりました。Gシリーズは後期三部作に突入していて『χの悲劇』ドえらぁーことに!

 

χの悲劇 (講談社ノベルス)

χの悲劇 (講談社ノベルス)

 

 

森さんの壮大な一連の物語が終焉に向かっていることを感じさせる一冊です。後二冊でGシリーズは完結ですが・・・あぁどうなるんだ!Gシリーズの前にWシリーズを続けざまに刊行するみたいですけど・・・。

 

 

以下、ネタバレ~(森作品は何を書いてもネタバレに繋がるって気がしますな・・・)

 

 

 

 

 

Xシリーズって・・・?
このXシリーズなのですが、他シリーズに比べると全体の中でどのような位置づけにあたるシリーズなのかよくわからないんですよね。他シリーズはすべてがFになる真賀田四季の影が見え隠れするのですが、

 

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)

 

 

Xシリーズだとその気配がほぼ無い(言い切る自信が無い。どっかにあるのかも^_^;)
毎回の殺人事件もVシリーズ以降はあってないようなものというか、重要ではない扱いですよね。今回の『ダマシ×ダマシ』もそうだった。


椙田(保呂草)さん関係のスピンオフ的な雰囲気でお話は進んでいたんです。で、今回完結なので最後に真賀田四季の何かくるか!?と身構えたりもしたんですが、特にありませんでした。


しかし、棚上げにされた謎が・・・

一番気になるのはナオミさんの正体ですかね。あと、このシリーズに割と毎回登場していた鷹知祐一郎もたぶん他シリーズの誰かだと思うんだけど・・・真相は明かされないままでした。
このXシリーズ自体の役割が明かされるのはもうちょっと後でになりそうですね。Gシリーズの最後とかでわかるのかな?本当にただのスピンオフって事もありえますが・・・でも森博嗣だからなぁ・・・

 

 

小川玲子
完結編の『ダマシ×ダマシ』を読んでこのシリーズは小川さんの“大切な人の死を受け入れるまで”のお話だったのだなぁ~とシミジミ。個人的に「新しい人と~・・・」とかってよりもこういう感じに終わる方が好みです。まぁ「信じられない我が儘」ですけどね。


実は、私、この主人公の小川玲子さんね・・・・・・Xシリーズの前に何処に出てきた人なのかずっとわからなかったのですよ・・・!

他シリーズをパラパラ読んでみてもわからずじまいで(^_^;)

自分の中で保留にしたままシリーズ完結まで読んでしまったのですが・・・。改めて調べてみたところ、短編集のレタス・フライ講談社文庫版のみに収録されているライ麦畑で増幅して」に登場しているとのこと。

 

レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫)

レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫)

 

 


・・・私は森作品ずっと講談社ノベルスで読んでいたのでわからんかったとです・・・なんということだっ!私はずっと講談社ノベルスを信じて(?)いたのに!なんでか裏切られた気分ですが・・・これから文庫版買って読んでみようと思います。

 

ライ麦畑で増幅して」読みました~!詳しくはコチラ↓

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小川さん以外の事務所メンバーも将来への展望が開けて良かった。真鍋君、またあっさりと決断を・・・森作品の男どもはどうしてこう、熱量に乏しいのか・・・びっくりしますね。永田ちゃん的には「言ってみるモンだな」って感じだなコレ。


それぞれの巣立ちの時で若干寂しいなぁ~と、思ったら最後にまさかのアノ人物・・・メグミちゃんがっ!!
※メグミちゃんを知らない人はS&Mシリーズの幻惑の死と使途Gシリーズを読みましょう↓

 

幻惑の死と使途 (講談社文庫)

幻惑の死と使途 (講談社文庫)

 

 

 

φは壊れたね PATH CONNECTED φ BROKE Gシリーズ (講談社文庫)

φは壊れたね PATH CONNECTED φ BROKE Gシリーズ (講談社文庫)

 

 

いやぁ、お話の終盤「おや?この上村恵子、怪しいぞ?さては他シリーズの誰か・・・?」と思ったらねぇ・・・

メグミちゃんのその後がこんな形で読めて良かった。
これによって寂しさが軽減されました(笑)小川さんとメグミちゃんの二人で楽しくやっていけそうですね。


気になる謎は残されていますが、登場人物達の物語は綺麗にまとまって終わったので“シリーズ完結”を堪能できて満足でした。他シリーズの今後の展開も楽しみですね。

 

レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫)

レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫)

 

 

 

ダマシ×ダマシ (講談社ノベルス)

ダマシ×ダマシ (講談社ノベルス)

 

 

 

  

ではではまた~

『金田一少年の事件簿R』13巻 感想・あらすじ

こんばんは、紫栞です。

金田一少年の事件簿R』13巻を読み終わったので少し感想をば。

金田一少年の事件簿R(13) (週刊少年マガジンコミックス)

今回の13巻は前回12巻での

「聖恋島殺人事件」

 

 

の続きから最終話までと別事件の金田一二三誘拐殺人事件」が3話入っています。

金田一二三誘拐殺人事件」の方は次巻に持ち越し。

 

 

一応のあらすじ

「聖恋島殺人事件」

剣持警部の趣味の釣りに付き合ってチームとして孤島“聖恋島”での釣り大会に参加することになった金田一と美雪。その孤島は歌うような悲しげなセイレーンの「泣き声」が鳴り響く“墓標の島”だった。 嵐のただ中、釣り大会は参加者が立て続けに三人殺される凄惨な連続殺人と化す。 果たしてこの事件の真相は!?そして海の魔女「セイレーン」の「泣き声」の秘密とは・・・?

 

金田一二三誘拐殺人事件」

新撰組のコスプレがしたいという従妹のフミたっての希望で高幡不動の「新撰組まつり」にやって来た金田一と美雪。ところが「沖田総司」を名乗る人物にフミは拉致されてしまう。「沖田総司」は警察に身代金三千万円を要求。手渡し役として「新撰組まつり」に参加している新撰組隊士と同姓同名の六人を指名してきたのだが――。

 

 

以下ネタバレ(犯人の名前は出してません)~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先に「聖恋島殺人事件」の方から~

“セイレーン”と“特攻”の組み合わせが何だかミスマッチに感じますが、まぁ狙ったモノなのかも知れないですね。

謎の提示

第一の殺人の死体移動

第二の事故死の“みせかけ”

第三の関係者全員が集まった中での銃殺

 

第三の容疑者全員が集まったの中での殺人は糸状のものを使った遠隔操作・自動殺人トリックと相場が決まっているので何も驚きはないですね。オキマリだなぁというか。もはや様式美。安全ピンで固定したってのには驚きましたが。そんなんで大丈夫なんだろうか?

このトリックはボート調べていたときにズバリ糸見つけるシーンがあるので読者がほぼ解るだろうことが想定されているのだと思います。(ぶっちゃけ、ミステリーに糸出てきた段階で私的には考えるの放棄しちゃうんですが・・・「あ~はいはい。糸でどうかすれば何とか出来るんでしょ?」とか思っちゃって^_^;)

第二の事故死の“みせかけ”も捜査の過程で半分以上仕掛けを明かしているのでメインの謎として提示しているものではないですね。

 

と、いうわけで、この事件のメイントリックは第一の殺人の死体移動トリックですね。

で、このメイントリックですけど・・・

うーん・・・こんなに手際よく出来るかなぁと甚だ疑問。

時間的にだいぶ綱渡りですね。鬼島さんが被害者いないことその場で正直に言っていたらダメだし。いくら暗闇の中とはいえ犯人が集団から抜けてたの気づく人いるかもしれないし。そもそも準備のいい誰かが懐中電灯とか持っていたら終わりだし。不確定要素が多すぎる。

このお話はメイントリック以外のトリックも“セイレーンの泣き声”で潮の流れの変化がつかめるという部分にすべて頼っているものですが・・・が・・・色々とタイミングが良すぎるだろうと思う。潮の流れを“よめる”だけで“操れる”訳ではないのだから。

あと、第二の殺人のトリック、間違えて剣持警部の釣り糸引っ張っていたら・・・とか考えると可笑しい(笑)と、いうか、警察がいる前で実行するには危険すぎるトリックなんじゃ・・・。

いずれにせよ今回のトリックは犯人がだいぶ忙しいトリックでしたね。肉体的にも精神的にも体力が必要だわ。それこそ今やっているスピンオフのネタにされそう(^_^;)

 

テープ観ての犯人当て、わかりませんでした。ちょっと細やかすぎて・・・トーンのカスかと(笑)

どうでもいいことですが、手紙の文字ですけど「別に女文字を書く男性はいっぱいいるよ!」って言いたい。

 

鬼島さんの「これが殺人だとするとあの時の事故もひょっとして・・・・」を聞いて金田一 『はっ まさか―・・』な ん で す か?

明かされないまま終わってますけど。モヤモヤする~(>_<)

 

 

 

 

最近は関係者の意味ありげな行動とか言動とか回収してくれないよね。ただ読者困惑させて終わりっていうか。前はちゃんと事件解決後に知られざるエピソードが語られたりしたんだけど・・・。

細部の作り込みはどんどん甘くなってきていると感じてしまいますね。長編ミステリーはこういった部分が大事なんだけどなっ(と、私は思う)。

 

お婆さん、犯人の素性気づくの遅い(笑)お婆さんの記憶を追求してれば簡単に犯人わかったんじゃないかと思う。

 

お話としては孤島もののクローズド・サークルで『金田一少年の事件簿』では王道でしたが、クローズド・サークルにしては緊迫感や重さには欠ける印象でした。太平洋戦争持ち出してくるならもっと暗さや重さがあってもいいと思うんですよね。何だかサラサラと終わった感じ。

「学園七不思議殺人事件」の重苦しくってオドロオドロシイ雰囲気が懐かしいなぁ~。

 

 

 

 

金田一二三誘拐殺人事件」

王道の後に変化球ですね。

フミちゃん久しぶりの登場。と、思った矢先に誘拐されちゃうんですが(^^;)

誘拐か・・・過去の事件ですぐ思い浮かべるのは速水玲香誘拐殺人事件」ですね。

 

 

今回は新撰組がモチーフ。金田一少年の事件簿で扱うネタとしては何だか新鮮(笑)

 

新撰組隊士と同姓同名を集めたってのが“キモ”なんでしょうね。と、なると一人しかいないっていう“新見錦”と“山南敬介”がなんかしら・・・。

 

“その時――俺はふと奇妙な感覚に襲われた ほんの数分間フミと離れるだけなのに ずっとずっと長い別れになってしまうような――”

こんな具合にだいぶ不安を煽っていますが、フミちゃんの命はまぁ大丈夫だろう。

 

事件自体はまだ3話しか載っていないのでなんともいえないですね。どれぐらいの長さの事件になるのかな?

 

 

 

 

愚痴っぽいことばっか書いてしまいましたが、指摘箇所を見つけるのもこの漫画の楽しみ方の一つだと思います(と、開き直ってみる)

次巻は2017年11月17日(金)発売予定のようです。何かと話題になっているスピンオフの漫画はいつ書籍化してくれるのかなぁ。読むの待ち望んでいるのですが。11月に同時販売とかしてくれたら嬉しいのですけど。待ってます・・・!

 

 

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ではではまた~

 

 

 

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『巷説百物語』 ドラマ・アニメ・漫画まとめ 京極亭って?

こんばんは、紫栞です。

前回巷説百物語シリーズ』を紹介しましたが

 

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今回は『巷説百物語シリーズ』のメディアミックスを一挙にご紹介。

 

巷説百物語シリーズ』は一話完結型の連作なので京極夏彦作品の中でも映像化しやすいのかドラマシリーズが二作品、アニメシリーズが一本作られています。漫画化もされていますね。

 

京極夏彦 怪』

京極夏彦 怪 七人みさき [DVD]

2000年にWOWOWで放送されたもの。全四話。

●七人みさき

●隠神だぬき

●赤面ゑびす

●福神ながし

 

主なキャスト

御行の又市―田辺誠一

山猫廻しのおぎん―遠山景織子

山岡百介―佐野史郎

事触れの治平―谷啓

 

 

七人みさきは『続巷説百物語』の「死神 或は七人みさき」

隠神だぬきは『巷説百物語』の「芝右衛門狸」

赤面ゑびすは『後巷説百物語』の「赤えいの魚」

ですね。

四話目の「福神ながし」は完全にドラマのみのお話。

私は小説を読み終わってからこちらのドラマをレンタルで観たんですが、当時概在だったお話は二話目の「芝右衛門狸」のみで、他は京極さんが新たに書き起こした脚本や小説原案を基に制作されたようです。「死神 或は七人みさき」と「赤えいの魚」は脚本の方が先で後に小説だったんですね~。

そんなわけで、二話以外は京極さんが脚本にガッツリ関わっています。ファンとしては原作者が脚本を手掛けたと聞いたら無視できないですよねぇ

時代劇の「必殺シリーズ」の制作元やファンの人(京極さんも「必殺」ファン)が集ってのドラマ制作なので『巷説百物語』の実写化というよりも「巷説~」と「必殺」を混ぜた別作品って感じ。なので、小説とは違う部分が多々あります。各話、ラストの流れが完全に「必殺」ですね。オマージュと言ってもいいくらい。最初観たとき驚いたぞ(笑)

結構あからさまなお色気シーン・・・と、いうかエログロシーンがあるのでチト注意。

水木しげる宮部みゆきなどのゲスト出演が盛りだくさん。個人的には一話目で藤田まことが超チョイ役で出てきたのに驚きました。確かワンカットで非道なセリフを言って終わりだった(うろ覚えですみません・・・)。他に、一話目だと御燈の小右衛門役で夏八木勲が出演していますね。

谷さんも藤田さんも夏八木さんも好きな俳優さんだったので亡くなってしまって寂しいです(-_-)

全編にわたってサービス盛りだくさんですが、京極ファン必見なのはなんといっても四話目の「福神ながし」。

なんと、百鬼夜行シリーズ』中禅寺秋彦のご先祖様、中禅寺洲斎という拝み屋が出てきて又市達と対決するのです。なんというサービス!

中禅寺洲斎の役は近藤正臣さんがやっておられます。声の良い役者さんで個人的には凄く良かったです(あの手の役は声が重要)

中禅寺洲斎は小説の『書楼弔堂―破曉』最終話「未完」にも名前が出てきますよ~。

 

書楼弔堂 破暁

書楼弔堂 破暁

 

 

 

ドラマW 巷説百物語

2005年に第一弾 巷説百物語 狐者異』

 

巷説百物語 狐者異 [DVD]

2006年に第二弾 巷説百物語 飛縁摩』

巷説百物語 飛縁魔 [DVD]

どちらもWOWOWドラマWとして放送されたもの。

主なキャスト

御行の又市―渡部篤郎

山猫廻しのおぎん―小池栄子

山岡百介―吹越満

事触れの治平―大杉漣

 

こちらは監督が堤幸彦。私は「金田一少年の事件簿」から堤監督のファンでして「ケイゾク」「TRICK」は特に一時期ディスクが痛むほど観たもんです。その堤監督が京極作品をやるときいては・・・もう!好きなもの同士のコラボですよ。観るっきゃない!

で、観たわけですが・・・・・・

まぁ結論としては原作への愛と監督への愛、どちらが勝るのかというと・・・原作への愛が勝るのだなぁと実感いたしました(笑)

堤監督だとオリジナル要素が多々入るのでキャラクター造形とかいじられてしまっているんですよね。原作ファンにはそこらへんがどうしても気になってしまう(^_^;)

 

ドラマとしては堤監督らしいコメディ要素も入っていて面白いです。原作知らない人の方が純粋に楽しめるって感じですかね。

 

 

 

 

京極夏彦 巷説百物語

 

京極夏彦 巷説百物語 コンプリート DVD-BOX (全13話, 292分) きょうごくなつひこ こうせつひゃくものがたり アニメ [DVD] [Import] [PAL, 再生環境をご確認ください]

テレビアニメシリーズ。

深夜アニメで放送されたもの。一話完結で原作の『巷説百物語』『続巷説百物語』(「老人火」をのぞく)までのお話をまるまるやっています。全十三話。

主なキャスト

又市―中尾隆聖

おぎん―小林沙苗

長耳―若本規夫

山岡百介―関俊彦

 

声優が豪華ですね。毎回のゲスト声優も豪華でした。 小説の一話をアニメ三十分で出来るのか?無理っ!!ってことで、題名は同じでも内容はかなり脚色されています。特に後半は全くの別物。又市達がもう妖怪として描かれています。ファンタジーですね。

深夜アニメなのでお色気・・・と、いうか、おぎんが平素の格好がほぼ裸です(笑)四話目の「舞首」とか、かなり淫猥な内容に変えられていましたね。なんで?

長耳はアニメのオリジナルキャラクターでしたが、後になって小説『前巷説百物語』で“長耳の仲蔵”というキャラクターが出てきます。もちろん普通の人間として。

 

 

京極亭について

『怪』とアニメ版に登場する同名のオリジナルキャラクター。どちらも原作者の京極夏彦が演じています。しかし、役回りはだいぶ異なります。

 

『怪』の京極亭は売れっ子の読物書きで怪異の噂をしたり、第四話「福神ながし」で遠縁の人物(中禅寺洲斎)を事件に介入させる口利きをした脇役として出てきます。

 

アニメ版の京極亭は表向き江戸で京極亭という甘味処を経営しているが、実は又市達の黒幕で、決して姿は現さず声のみで又市達に指示を出す謎の人物。もう怪しすぎるほど怪しい。案の定、アニメ後半はアレな感じ(笑)になる。

 

京極さんはもう一本のドラマシリーズ『巷説百物語 狐者異』にも八卦見の役で出てきます。こちらはサービス的なチョイ役ですね。

 

 

 

 

漫画

私は漫画版はどちらも未読ですので紹介だけ・・・

漫画版は水木しげる内弟子森野達弥さんが描いたものが角川書店から

 

漫画・巷説百物語 (単行本コミックス―Kwai books)

漫画・巷説百物語 (単行本コミックス―Kwai books)

 

 

「小豆洗い」と「白蔵主」収録。

 

日高健男さんが「コミック乱」で連載していた『巷説百物語』が四冊。『後巷説百物語』が三冊出ているみたいです。

 

巷説百物語 1 (SPコミックス)

巷説百物語 1 (SPコミックス)

 

 

 

後巷説百物語 1 (SPコミックス)

後巷説百物語 1 (SPコミックス)

 

 

 

こうやって映像化したものをまとめてみると、又市の容姿が作品によってバラバラですね。

ちなみに、映画『嗤う伊右衛門の又市は香川照之がやっています。これまた違う・・・。

 

嗤う伊右衛門 [DVD]

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又市は小説の作中でも容姿への説明が余りないので、口調とかから単純に連想すると森野さんの漫画やアニメ版みたいな小男や醜男になるのかな?

でも、小説だと女に言い寄られたりするシーンがちょこちょこあるし、ドラマの田辺さんが見た目は近いのかも。

原作の雰囲気に寄せた“おぎん”も一度実写で見てみたいなぁ~とか思いますが(ドラマはどっちも原作とは何か違う)妖艶な美女といってもアニメはいき過ぎ・・・てか肌見せすぎ。

百介はアニメ版が一番好青年ですね。

 

 

漫画はともかく、ドラマやアニメは原作とは別モノとして楽しむ感じですね。“忠実に再現”ってのからはかけ離れています。これらを観て原作知った気になられては困るなぁ~と。

でも『怪』の第四話「福神ながし」だけは京極ファンなら観て損はないです。オススメ。観て~(^o^)

京極夏彦 怪 福神ながし [DVD]

 

ではではまた~

 

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