夜ふかし閑談

夜更けの無駄話。おもにミステリー中心に小説、漫画、ドラマ、映画などの紹介・感想をお届けします

スパイラル~推理の絆~ 小説版まとめ

こんばんは、紫栞です。
今回は1999年から2005年まで「月刊少年ガンガン」にて連載されていた漫画『スパイラル~推理の絆~』の、小説版の紹介まとめをしようかと思います。

小説スパイラル 推理の絆〈2〉鋼鉄番長の密室 (COMIC NOVELS)

 

小説スパイラル~推理の絆~
漫画の連載と平行して書かれていたもので全4冊。漫画の『スパイラル~推理の絆~』は原作が城平京さん、作画が水野英多さんでの作品で、小説版の方も原作者の城平京さんが書かれています。漫画作品のノベライズというのは、どうしても齟齬を感じる事が多いですが(このキャラクターがこんな事言うかな~?するかな~?といった・・・ね)原作者が同じだとそういった事が無くて良いですよね。

 

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漫画の『スパイラル』は最初(ホントに最初)推理漫画でしたが、中盤からドンドン形態が変わっていって終盤ではもはやファンタジーに・・・“推理の絆”ってなんぞ?って感じだったのですが、小説版の方は比較的きちんとした謎解きミステリです。
漫画本編の「ブレード・チルドレン」とは無関係に、事件の謎を解く。ミステリの典型的な筋立てに倣った作品ですね。


私は先行して漫画本編を読み始め、完読していますが、実は漫画本編よりこの小説版の方が好きだったりします。謎解きミステリ目当てで読み始めた漫画だったので、ファンタジックな展開にちょっと困惑してしまって・・・頭が固いんですね(^^;)


1~3までは漫画スパイラルの主人公でもある鳴海歩が探偵役を務めている長編と、後半に『外伝 名探偵 鳴海清隆~小日向くるみの挑戦』という外伝でのみのキャラクター・小日向くるみを語り手に、漫画スパイラルでの全ての元凶のお騒がせ兄貴・鳴海清隆が探偵役を務める短編が数話収録されています。本編の漫画では鳴海清隆がすでに失踪しているところから始まるので、この外伝は鳴海清隆が失踪する前、まだ普通に刑事さんやっていた時のお話ですね。まどかさんもしっかり登場します。


※漫画本編の単行本9巻巻末に『外伝 名探偵鳴海清隆 小日向くるみの挑戦』というショート漫画が収録されていますね。

 

 


完結編の4で外伝の長編が丸々1冊を締めて、小説版スパイラルは幕引きとなります。

 

 

 

 

では1冊ずつご紹介。


『小説 スパイラル~推理の絆~ ソードマスターの犯罪』

 

 漫画本編の第8話と9話の間にあたるエピソード。
歩とひよのが、一人の少女から兄の仇を討つために力をかしてほしいと懇願されて過去の殺人事件の真相を探ることになり、ついでに歩が剣の達人と対決したりするお話。
剣道がお話に深く関わっています。出だしが剣の達人との対決の場面からで、そこから歩が回想していく構成。過去の殺人事件はもちろんですが、剣の対決にもミステリらしい論理的思考が入ってきます。
外伝の方は「怪奇クラゲ二重奏」「ワンダフル・ハート」の2編が収録されています。「ワンダフル・ハート」が個人的に好みのミステリ。動機面とか・・・。

 

『小説 スパイラル~推理の絆~2 鋼鉄番長の密室』

 

小説スパイラル 推理の絆〈2〉鋼鉄番長の密室 (COMIC NOVELS)
 

 本編漫画の第25話と26話の間にあたるエピソード。
45年前に密室で死んでいた“鋼鉄番長”の死の真相を究明するお話。
“鋼鉄番長”との単語は何かの比喩的なものかと思ったら、もうそのまんま“番長”のことで。【熱き番長の時代】の舞台設定が良い意味で荒唐無稽でハチャメチャで面白いです。ひよのの熱弁と歩の冷めたツッコミがひたすら良いですね(笑)
外伝は「殺人ロボの恐怖」の1編を収録。ふざけたタイトルですが、内容は結構凄絶。本格ミステリ度が強いお話ですね。

 

『小説 スパイラル~推理の絆~3 エリアス・ザウエルの人喰いピアノ』

 

 いわくつきのピアノ、暗い影を持つ古い屋敷、殺されたと言われる一族の当主に、死因を疑問視される一族の妖婆。と、いう、実に怪奇ロマン溢れるミステリ話。
歩が中学生の時に遭遇した事件の顛末が語られます。途中、インタビュー形式の箇所がありますね。
外伝は「青ひげは死んだ」「カニの香りの悪魔」「ハイスクール・デイズ」の3編収録。「ハイスクール・デイズ」は犯人当て小説ではありませんが、鳴海清隆の本質が垣間見える作品で重要度は高いです

 

『小説 スパイラル~推理の絆~4 幸福の終わり、終わりの幸福』

 

 外伝、完結編。
表題作の長編の前に「近状報告」「くだんを殺せ」の2編が収録されていますが、この2編も含めての長編って感じですね。
この完結編には小学生の歩もお話にガッツリと登場します。およそ小学生らしからぬガキですが(笑)
折り紙と競馬による鉄壁のアリバイを崩すってのがお話の筋でして、ちょっと複雑そうに感じますが、真相はシンプルで良い。ちょっと空恐ろしい真相ですね。私はこの手のお話、好みです。
1~3までは特に漫画本編や外伝シリーズを知らなくっても単体で読んで楽しめるように書かれていますが、この完結編はさすがに漫画本編や外伝シリーズを読んでいないと面白味が半減してしまうと思います。

 

 

 

最後に
私がこの小説版が好きな理由には、元々本格ミステリファンだとういのとは別に、歩とひよの、清隆とまどかさんらコンビの会話劇が存分に楽しめるところにあります。

テンポの良い、クスッと笑える会話場面が多くあって、コンビもののボケツッコミが大好きな私としては非常に好みなのです。漫画ではそこまで会話劇入れられないですからね~話の都合上。半分ぐらい(いや、それ以上かも?)は、そこら辺のコミカルな部分目当てで読んでいました。そういった意味では一番のオススメは『鋼鉄番長の密室』かも知れないですね(^^)

 

小説スパイラル 推理の絆〈2〉鋼鉄番長の密室 (COMIC NOVELS)
 

 

 

本編漫画のファン、本格ミステリファン、ボケツッコミ会話劇が好きな方にオススメです。コミカルで読みやすいのでミステリ小説入門にも良いと思いますよ。

 

ではではまた~

 

 

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三浦しをん『光』あらすじ・感想

こんばんは、紫栞です。
三浦しをんさんの『光』が映画化されたと聞いて読んでみました。なので感想を少し。

光 (集英社文庫)

あらすじ
島で暮らす中学生の信之は、同級生の美しい少女・美花と付き合っている。娯楽の無い島で美花とのことばかりを楽しみに過ごす毎日。幼馴染みの輔はそんな信之になにかとまとわりついてくる。信之は卑屈でずうずうしい輔が疎ましくてならなかった。
或る日、大災害が島を襲い、信之と美花と輔、そして数人の大人だけを残して皆死んでしまう。
島での最後の夜、ある現場を目撃した信之は、美花を守るために罪を犯す。
その罪は暴かれぬままに二十年の歳月が過ぎ去り、信之は美花と離れ、妻子とともに平穏に暮らしていた。
そんな信之の前に「あんたがしたことを、俺は知ってる」と輔が現れ――。

 

 


三浦しをんさんの長編小説はコミカルなものが多いですが

 

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この『光』はシリアス全開でクスッと笑えるような箇所は一つもありません。三浦しをんさんの“お仕事小説”を中心に読んでいる人には意外に思われる作品かもしれないですが、短編だと

『天国旅行』

 

天国旅行(新潮文庫)

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『きみはポラリス

 

きみはポラリス (新潮文庫)

きみはポラリス (新潮文庫)

 

 

など、シリアスなお話が多かったりするので別に異色作という訳ではないですかね。「こういう長編も書けますよね。わかっていました」って感じ(笑)

 


映画との違い
映画は11月25日から公開されていて、順次各地を回っていくみたいです(私の住んでいる地区には来ないっぽい・・・)
監督の大森立嗣さんはまほろ駅前~』シリーズを手掛けている監督さんですね。

 

まほろ駅前多田便利軒
 

 

映画『光』のキャストは
信之井浦新
瑛太
美花長谷川京子
南海子橋本マナミ

※南海子というのは信之の奥さんです。


小説を読む前にこのキャスト欄を見たので、頭の中で役者さんのイメージを持って読み進めました。個人的には大きな違和感は無かったです。先に小説の方を読んでいたらまた違っただろうなとは思うんですが。
実際に映画を観た訳ではないですが、ちょろっと調べたところによると、概ね原作の通りに作られているようです。
映画の公式サイトを見る限りで発見できる違いは、20年前が25年前になっているところと、大災害が島を襲うのが信之が罪を犯した後だというところですね。
うーむ。確かにこの方が罪が覆われた感“罪”と災害とは無関係だ感は強まりますかね。

 

光 [DVD]

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暴力
この小説は「日常に潜む暴力」がテーマなんだそうな。
作中で“圧倒的に理不尽な暴力”として描かれているのは島を襲う津波です。津波と言われると、どうしても東日本大震災を連想してしまいますが、この小説が書かれたのは2006年で震災の五年前なので、この小説に影響しているという事は無いです。しかし、津波に襲われた後の島の描写は痛切で容赦ないので、人によっては注意が必要かもしれません。
他に、幼少期から輔が父親に暴力を振るわれている事。信之の娘が“ある暴力”を受けたこと。美花が受けた暴力。そして、美花を守るために信之が暴力に暴力で返した事・・・などなど。様々な“暴力”がお話の中に登場します。
災害で“圧倒的に理不尽な暴力”を目の当たりにした信之、輔、美花の三人は、死も不幸もただの出来事だと嫌と言うほど知っている。その思いが三者三様に生き方に影を落してはいますが、このお話ではあくまで軸として扱われているのは、人々・日常にある暴力の方ですね。誰もが持ち合わせている暴力性が描かれていて、そこには過去の災害は関係ない。

 


語り手
お話は信之、輔、南海子の三人の語り手が代わる代わるして構成されています。普通なら美花の視点が入るだろと思われるのに、美花視点は一切なし。代わりに信之の妻・南海子の視点が入ります。

島にも災害にも関係ない第三者の視点が入るのがこの小説の特徴かなと思います。客観的には、信之や輔はどのように見えているのかと、日常的に南海子に潜んでいる暴力と。
個人的には美花の視点、読みたかったですけどね~。美花の視点が無いので、このお話はミステリアスな部分を残しつつ終わります。まぁ、その方が印象深いお話になるって事なのかな(^^;)

 

 

以下ネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不幸
読んでいて一番やり切れない思いを抱いたのは、信之、輔、美花、南海子の好意が交わらないところですね。やっぱり片思いは辛いなぁ・・・と。

輔は信之に幼少期の思いそのままに、愛憎を抱いている。
信之は輔が嫌いで、美花に対して信仰めいた好意を抱いていて、自分は美花にとって特別な存在だと思っている。
美花は“あの夜”から求められてもなにも感じない、信之も他の大勢の男とおんなじだと思っている。
南海子は夫を愛しているが、夫が自分や娘を“愛そうとしている”だけだと気付いている。

思いが全然交差しませんね!辛い。

美花のために人殺しまでした信之ですが、そのような行為は美花にとってただ迷惑なだけだった。美花はいわゆる魔性の女風に描かれていますが、美花自身は信之を利用した自覚もないんですよね。信之のことは“美花のため”などと言って勝手に余計なことをし、見返りを求めてくる脅迫男にしか思えない。魔性の女の抱える悲劇性だと思うんですけど。
信之は結局“美花のため”にここまでする事が出来ると自己陶酔しているだけで、本当は自身の暴力性を否定したい一心でさらに暴力を重ねる。

終盤で信之は輔を愛せればよかったと思います。しかし、それは無理な相談で、輔を嫌いだという思いはどうしても変わらない。
『不幸というなら、これのこと。
求めたものに求められず、求めてもいないものに求められる。よくある、だけどときとして取り返しのつかない、不幸だ。』

 


最後
実は、私個人としてはこういう終わり方あんまり好きじゃないんですが・・・(^^;)罪を犯したヤツが日常に戻ってきて、でもどこかしら壊れているような気がする~みたいな。


この『光』の登場人物達はろくでなしばっかですが、完全な悪人な訳じゃなく、皆どこかしら共感してしまうところがあります。特に輔はなんだか愛しい。ろくでなしなんですけどね~。

明確な答えはない小説ですが、読んだら色々考えを巡らせて自己解釈してみるといいと思います。

 

光 (集英社文庫)

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光 [Blu-ray]

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『 きみはポラリスに収録されている「私たちがしたこと」も、十代のときに付き合っていた男女が罪を犯してしまうお話で『光』と設定が似通った部分があります。あわせて読むのがオススメです。

 

きみはポラリス (新潮文庫)

きみはポラリス (新潮文庫)

 

 

 

ではではまた~

 

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有栖川有栖『幻想運河』あらすじ・感想

こんばんは、紫栞です。
有栖川有栖さんの『幻想運河』を読んだので、感想を少し。

幻想運河 (実業之日本社文庫)

 

あらすじ
大阪――
警邏中の巡査は一人の不審な男に声をかける。男は三十歳前後、真ん中で分けた長めの髪を風になぶられながら、手中の新聞紙の包みをひどく思いつめた表情で凝視していた。大川、淀川、平野川、安治川・・・大阪を走る運河に、バラバラ死体の各部位を投棄して回っていたのだ。
巡査は強い調子で男に言う。
「一緒にきてもらおか」
男は真顔で訊き返した。
「どこへ?」

アムステルダム――
シナリオライター志望の恭司はアムステルダムの不思議な魅力に引き留められて、ずるずると不法滞在を続けていた。芸術家の正木兄弟、音楽家の水島、ビジネスマンの久能らと共にソフトドラッグを愛好する会に所属しながら甘美な時を過ごす毎日。
しかし或る日、運河から水島のバラバラ死体が発見される。
恭司には事件時に仲間とトリップしていたというアリバイがあるのだが・・・・・・。

 

 


水の都としての大阪とアムステルダムの共通項を軸にした作品。この共通項、若干無理やり感があるってな気が(^_^;)有栖川さんは大阪が大好きである!(笑)


この作品は最初実業之日本社から単行本で出され

 

幻想運河

幻想運河

 

 

講談社ノベルス

 

幻想運河 (講談社ノベルス)

幻想運河 (講談社ノベルス)

 

 

講談社文庫

 

幻想運河 (講談社文庫)

幻想運河 (講談社文庫)

 

 

そして今年2017年に里帰り的に実業之日本社文庫

 

幻想運河 (実業之日本社文庫)

幻想運河 (実業之日本社文庫)

 

 私は実業之日本社文庫版で読みましたが、実は「実業之日本社」からの本読むのって今回が初でした。

 

 

 

異色作
比較的シリーズもので有名な有栖川さんですが

 

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この『幻想運河』はノンシリーズで、どこで称されているのかは定かではないが(笑)、有栖川さんの“裏ミステリベスト1”とか言われていた(らしい)。


確かにこの『幻想運河』が有栖川作品の中では“異色作”であることは間違いないです。


お話の主な舞台はアムステルダムなのですが、アムステルダム―オランダではソフトドラッグが違法ではなく、【コーヒーショップ】という名でソフトドラッグを供給する店が四百軒ほど存在するのだそうな。

なので、お話の中で主人公の恭司も正木兄弟らの「盆栽クラブ」に入会してソフトドラッグを楽しむ訳なんですが、ここら辺のドラッグで得られる幻覚作用の描写に力が入っているというか(文章のレイアウトとかも大分凝っていたり)怪奇小説じみた作中作(この作中作が良い味出してます)が間に挿入されていたりするので、お話は全体的に夢の中で漂っているような浮遊感があります。ボヤボヤっとしているというか。夢か現か。タイトルの通り『幻想運河』って感じですね。

 

 

本格ミステリ
“異色作”とはいえ、読んでいると「やっぱり有栖川さんだなぁ」との思いは端々でちらつきます。
お話にドラッグを絡ませると、どうしても暴力的で下世話な箇所、エログロやバイオレンスに走りがちですが、この『幻想運河』での幻覚シーンは確かに“イカれて”はいるのですが、どこか上品で綺麗です。登場人物達も表面的には皆常識的で健全に描かれています。エログロも無いですね。
水島のバラバラ死体が発見されるまでが結構長いのですが、そこからは「あ、いつもと毛色は違うけど、この本もやはり“本格ミステリ”なのね」と。
話の内容が内容なので、きっちりとしたトリックとか期待して無かったのですが、終盤に用意された謎解きは思いのほか本格ガチガチなトリックでちょっと驚きました。私はこのトリック、なんか好きです(笑)この舞台で、この筋でのものでないと出来ないトリックですね。やはり本格ミステリ書いている人の小説だなぁと。真面目ですね、やっぱり。

 

 

以下ネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動機・真相
よく、『有栖川作品は動機が難解だ』とか『そんなことで殺すか』とか言われたりしますが・・・。私は比較的、どれも納得・理解出来る動機だと思うんですけどね~(^^;)「そういうこともあると思うよ」みたいなね。

『朱色の研究』とかがそうですかね。↓

 

朱色の研究 (角川文庫)

朱色の研究 (角川文庫)

 

 

この『幻想運河』は動機や真相がぼかしてあってハッキリとした答えが提示されないまま終わってしまいます。犯人(と、思われる人物)はこれから起こることを幻視する能力を持っている・すくなくとも、自身はそう信じているのですが、どんな幻視を視て犯行に至ったのかは語らぬまま自殺してしまいます。そして終盤で“ある人物”もまた自殺してしまい真相は永久に闇の中に・・・。
自殺する前に“ある人物”が語る犯行動機の憶測はわかりやすく直ぐに頷けるものではないですが、まぁ・・・「そういうこともあると思うよ」ですね。個人的には納得出来ます。
こういう様々な箇所を宙ぶらりんにしたまま終わるのが、この『幻想運河』という作品には合っているのだと思います。夢か現か。

 

※このお話、少し『モロッコ水晶の謎』に通じているところもあるかも↓

 

モロッコ水晶の謎 (講談社文庫)

モロッコ水晶の謎 (講談社文庫)

 

 

 

最後
この作品は冒頭の大阪での導入部分とお話の大半をしめるアムステルダム、そして最後にまた大阪に戻って冒頭部分に繋がるようになっています。
最初の大阪パートとアムステルダムパートがどう繋がるのか最後までわからなくって疑問だらけだったのですが、読み切った後「ああ、そういう事だったのか」とストンと落ち着きました。

読後感はなんとも形容しがたい気持ちにさせるものですが、もの凄く綺麗なラストだとも感じます。


幻想的な気分に浸りたい方は是非。

 

幻想運河 (実業之日本社文庫)

幻想運河 (実業之日本社文庫)

 

 

 

幻想運河 (講談社文庫)

幻想運河 (講談社文庫)

 

 


ではではまた~

 

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『ソロモンの犬』 あらすじ・感想 ※ネタバレなし

こんばんは、紫栞です。
今回は道尾秀介さんの『ソロモンの犬』を紹介したいと思います。

ソロモンの犬 (文春文庫)

得体が知れない表紙絵でインパクトありますね(笑)

 

あらすじ
「一度、ちゃんと話し合うべきなのかもしれない」
「この中に、人殺しがいるのかいないのか」
2週間前。秋内、京也、ひろ子、智佳たち大学生4人は平凡な夏を過ごしていた。彼らが通う大学の助教授・椎崎鏡子の10歳になる一人息子で幼い友人・陽介が目の前でトラックにはねられ命を落すまでは。
飼い犬・オービーに引きずられての事故死。
しかし、現場での友人の不可解な行動に疑問を感じた秋内は、動物生態学に詳しい間宮助教授に相談に向かう。
オービーが突如暴走した原因はどこにあるのか?陽介の死は、本当に事故だったのか?議論を重ねる彼らには、予想だにしない結末が待ち構えていた――。

 

 

 

 

道尾さんの作品は十数冊ぐらい読んでいますが、この『ソロモンの犬』は今まで読んだ道尾秀介作品の中では一番ライトというか、ポップな印象を受けました。私がたまたま暗めの作品ばっかし読んでいただけかもしれないですが。

※暗い作品の筆頭はこちら↓

 

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「あ、こんなコミカルな雰囲気のお話も書くんだ~」と意外でしたね。途中、道尾作品じゃないみたいとか何度も思ってしまいました。

 

コミカル

“青春の謳歌をテーマに書かれているとのことで、ウブで淡い恋模様が描かれています。お話の語り手は秋内ですが、この秋内が智佳に恋心を抱いておりまして。親しくなるための「話しかける言葉メモ」を作成したり、智佳に投げかけられた言葉を胸中でしつこく反芻したり、変な妄想に耽ったりだので、忙しい大学生男子なのですが。まぁ、こういった様子が滑稽に、コミカルに描かれております。

対照的に、冷めていてどこか達観したところがある京也との会話も軽快で楽しいです。


他に、このお話をコミカルにしている要因は、なんと言っても動物生態学に詳しい間宮助教ですね。

この助教授が相当な変人でして。色々な動物が入ったゲージだらけの部屋に住み、客に計量ビーカーに注いだお茶を出すなどの奇行ぷりっで“イロモノ”なんですよね。こんな“イロモノ”キャラクターが道尾作品に登場するのにもまた驚いてしまったんですが、なんとこの間宮助教授、主人公に動物生態学の知識を教えるだけのポジションかと思いきや、最終的にお話の探偵役になっていますのでさらに驚き。

この一作のみで終わらせるには惜しいほど濃いキャラクターなので、この間宮助教授を探偵役に別作品書いたら良いのでは?とか思いますが、“動物生態学助教授”ってのはお話に制限が出来ちゃいますから難しいですかね(^^;)

 

やはり落ち着かない
この『ソロモンの犬』は冒頭部分で雨宿りの為に秋内ら4人が偶然喫茶店に集合し、秋内が「この中に、人殺しがいるのかいないのか」話し合おうと言い出すところから時間を遡り、これまでの出来事を振り返りつつ、合間合間に喫茶店のシーンが挿入されている作りになっています。


この喫茶店のシーンがなんだか不穏で謎めいた雰囲気(通常の道尾作品雰囲気)で描かれており、上記のようなコミカルな回想シーンとのミスマッチ感があって、何だかザワザワして読んでいて落ち着かなくさせます。こういった読書感はやっぱり道尾作品だなぁ~と思いますね。

 

 

 

トリック

道尾秀介さんの小説は大抵“叙述系”トリックが仕掛けられているのが常で、この『ソロモンの犬』にもそういったトリックが仕込まれているのですが・・・う~ん・・・この“読者騙しトリック”はちょっとどうなのだろう?と思ってしまいましたね。突飛すぎというか、お話への必然性を感じないというか・・・。確かに驚いたし、騙されたけれども。「必要なのかコレ」と疑問。何だか、ただ“読者を驚かしてやろう”ってことで入れたんじゃという印象を持ってしまうんですよね。
個人的に、今まで読んだ道尾作品の中では一番、お話とトリックの相互が“しっくり”しませんでした。


しかし、喫茶店の店名やコーヒーの値段などの伏線はやっぱり見事だなぁと思いますけどね。

 

最後

人物描写や事柄の背景ももっと深く掘り下げてもらいたかったな~と思います。京也や椎崎先生とか特に。あと、陽介君の死に対して主人公が結構淡泊な気が・・・。たまに会う幼い友人ぐらいだとこんなモノだろうか・・・う~む。最後のエピローグもサッサと纏めた感が漂っているってな気が。

飼い犬のオービーはひたすら健気で胸が熱くなります。だからこそ起きたしまった悲劇にやるせなさが込み上げますね。

 

色々思うところはありますが(^_^;)コミカルな道尾秀介作品を読んでみたい方は是非。

 

ソロモンの犬 (文春文庫)

ソロモンの犬 (文春文庫)

 

 


ではではまた~

 

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『最遊記RELOAD BLAST』3巻 感想

こんばんは、紫栞です。
先日、11月29日は“いい肉の日”。そして、B’zのニューアルバム『DINOSAUR』の発売日で、峰倉かずやさんの漫画作品『最遊記』の登場人物「三蔵」の誕生日であります。
そこで今回は先月出された最新刊『最遊記RELOAD BLAST』3巻の感想を少し。

最遊記RELOAD BLAST 3巻 特装版 (ZERO-SUMコミックス)

B’zのアルバム発売日と誕生日がかぶったのが何だか嬉しいので(笑)

 

DINOSAUR (初回限定盤)(Blu-ray付)

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ノリで感想を書こうという次第です。ちなみに、八戒の誕生日9月21日はB’zの誕生日(デビュー日)でもあります。

 

 

さて、この3巻ですが。最初に4月に出るとかって発表があって、のびにのびて10月に・・・。アニメも途中でお話越しちゃったしね・・・。2巻以降の内容は録画してずっと観ずじまいにしていました。「漫画を先に読みたいのっ!」つって(^^;)
二三ヶ月延びるのはいつものことなので(まぁね・・・)最初のうちは余裕をかましていたのですが、五ヶ月目とかはさすがに心が折れてきました。「今年中はもう無理なのかも知れない・・・」と少し絶望的な気分になっていたのですが、まぁ10月終わりに無事(?)出ました。

峰倉さんのお体が第一なので、ファンとしては心が折れたって待ちますが。まぁ、アレよね、発表が早すぎたのよね。もうちょっと、こう、確実な目処が立ってからで・・・お願いします。

 

通常版と小冊子付き(特装版ってなってる方)とある。

 

最遊記RELOAD BLAST 3巻 特装版 (ZERO-SUMコミックス)

最遊記RELOAD BLAST 3巻 特装版 (ZERO-SUMコミックス)

 

 

 

最遊記RELOAD BLAST 3巻 (ZERO-SUMコミックス)

最遊記RELOAD BLAST 3巻 (ZERO-SUMコミックス)

 

 

私は小冊子付きを買いました。小冊子は美麗イラストが並んでおります。「音速で死ね」が個人的にツボにはまった(笑)漫画本体にはショートショートとキャラクター設定集も収録されています。

 

 

 

 


以下ネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前巻までの、あらすじは
悟浄に妖怪の紋様が出る→三蔵が半分焦げる→ナタクが出て来る→独角兕(悟浄のお兄さん)が死んだ(?)

 

簡単すぎる説明ですが(ホントに)、こんな感じ。


さしあたって心配だったのは焦げた三蔵様ですが。(2巻の戦闘シーン凄かったですよね・・・)大丈夫なんですか!顔とか、顔とか、顔とか!!って、感じだったんですが(笑)


京極夏彦の『嗤う伊右衛門』で

 

嗤う伊右衛門 (中公文庫)

嗤う伊右衛門 (中公文庫)

 

 「元来お前様は人並み外れた器量良し。片目に星があるぐれえ却って御愛敬ですぜ。痘痕も笑窪の何とやらだ」
というセリフがありますが(すんごいセリフ・・・)せっかくの綺麗な面、治せるならそれに越したことはないのです。


で、まぁ普通に大丈夫だった(顔は)。長年読んでるけど、いまだに八戒の気功の限界がわからない。右腕が時間かかるって話しですが、今後関係してくるのでしょうか?アニメ最終回だと普通に右手使ってたけど(^^;)

 

 

さすがに最終章なので色々起こる。解雇されたわ。

 

 

 

ここら辺は割とコミカルに描かれていましたね。「クレジットカードなんですよ」「おめーさっきから金の話しかしてねぇだろ」の部分笑った。真顔可笑しい。八戒さんは混乱していらっしゃる(笑)
『先見』のタルチエはやっぱり幻灰の血縁者(双子?)なのね~。似てるし紋様も同じなんでそうなんじゃないかとは思っていたけど。この子カワイイ(ほんとはカワイイって年じゃないが)。
烏哭さんの話ちょろと出て来る。死なないと『三蔵』を継承出来ない、と。・・・ここら辺のこと考えると光明様ってぜってーろくな事してないんだろうなぁ~と思う。酷な事実が待っていそうですね(-_-)

 

さて、3巻の山場はケンカシーンですね。


三蔵はいつ紋様出てるの気付いたんでしょう?後部座席で寝っ転がってたときか?でももっと前からなんじゃって気もしますな。実は皆の事ちゃんと見てるってヤツ。
八戒の発言の雰囲気というか態度が、“面倒くさい怒り方する女子”みたいでちょっとウケる。「怒ってないですよ」って不満全開な態度で言う人みたいな。いやいや、怒ってますよね?っていう(笑)
言ってる内容もあまり論理的じゃないというか変なとこあるし、やっぱり混乱していらっしゃるのだなぁ感がヒシヒシと。


殴り合いになっちまう訳ですが・・・これ、まぁ三蔵の口から「ついてきてくれ」とは言えないよね。普通に、状況的に考えて(いや、キャラクター的にも言えないんだけど)。経文の事は完全に三蔵の個人的な事ですからね。今までは三仏神の命令って建前があったんでアレだったんだけども。本来なら三蔵の前でするような話じゃないよね。まぁ寝てると思って八戒も言い始めたんだろうけど・・・。
よくよく考えてみると、『二人ともそんなについて行きたいのか?』って気が若干しますが。そう思ってみると、もの凄く恥ずかしいケンカをしているのではって気も・・・。
まぁ、ここまで来て引き返せって言われるのも酷ですけどね。


ジープのおかげで事が収まる。悟空がとばっちりだなぁ。あぁ、あんたらが一番「大人」だよ・・・と、思う(笑)

 

 

ここで少し脱線するかもなんですが。
このケンカシーン、間違いなく名場面なんですが、私は読んでて結構ツライなぁとも思ってしまいました。
他作品を読んだり観たりして個人的に最近感じることなんですが、「殺してくれ」って、頼む側より頼まれる側の方が圧倒的にツライはずなんですよね。頼む側はそりゃ良いですよ、それっきりこの世とオサラバなんだから。でも頼まれた側はその後も生きていかなきゃいけないんでね。
いよいよ駄目な時が迫ってきたり、尊厳を失いそうな状況下がきたら、自分が選んだ人に最後の幕を引いてもらいたいというのは誰もが夢想することですが、相手のことを想えば 到底口には出来ないことで、親しければ親しいほど言えないことなんですよ。リロード1巻でも、

 

最遊記RELOAD: 1 (ZERO-SUMコミックス)

最遊記RELOAD: 1 (ZERO-SUMコミックス)

 

 

だから言いかけるけど言わない。その想いを汲み取って三蔵の方から言ってあげるからあそこのシーンは感動を呼ぶ訳です。
三蔵は他者の“後始末”を頼まれてばかりの人物です。頼みたくなる人物として描かれていて、物語の中でそういう『役割』を担っているのですが、全てに対して精悍し、冷徹で何も思わないような人物では決して無く、人並み以上の情を持ち合わせ、普通に傷つき、苦しんで痛みを感じている。けれど、そんな顔は見せずに気丈な態度をとり続け、己が己がと言いながら相手を尊重して不本意ながらも『役割』を引き受け続ける。(あああああ~愛しいぃぃ~!)
ですからね、こんな痩せ我慢してる人に対して「頼めばやってくれるだろう」とか当然のように決めつけたり、ましてや「あなたは出来るだろうけど、僕は出来ませんよ」みたいな、そんな、言い、か、たぁぁ~うああああ~!!

なんですよ。

もうね、仮定でもツライから仲間の口からこんなこと言わないであげて欲しい。お経読んでくれぐらいでとどめて欲しいのっ!

・・・・・・・って、感じに読んでて辛かったのでした。長々すみません(笑)

 

 

 


精神的な動揺が最も暴走の引き金になる――ってヤツですが・・・精神的、、どう、、よう、、、ぐあぁぁ~~お兄さんか!?これにお兄さんの死が絡んでくるのか!?
ガタブルですな。
そういや、気になっていた牛魔王サイドが今回の巻ありませんでしたね。でもまぁ独角兕はやっぱり死んでるよね・・・2巻の最後の演出的に。あれは涙腺に“くる”シーンだったな・・・。

 

悟浄と八戒「すげーカッコ悪いですね、僕」「俺がカッコイーだけだから気にすんな」やっているのが、『はぁぁ~サービス!外伝2巻!!』

 

最遊記外伝: 2 (ZERO-SUMコミックス)

最遊記外伝: 2 (ZERO-SUMコミックス)

 

 で、感無量でした。親友(戦友)コンビだな~。この二人だとわかりやすく(?)気持ち言ってくれるから良いね。他二人が規格外だからなぁ・・・。読者おいてきぼりに通じ合うのやめろとか思う・・・。
「覚えていてくれるなら・・・」もやって欲しいところですが、コレはやると死んじゃいそうなんでちょっとアレですね(^_^;)

 

 

後半ですが、三蔵が元気になりすぎだな!?どういうこと?膝枕で寝てたら一気に回復したのかしら?この膝枕ですけど、他の人の膝じゃゼッテー寝ないだろうなと思う。

なんか、ブラストに入ってから悟空が三蔵に対して過保護になってるような気が・・・前からこうだったっけ?
2巻のTwitter企画のときの、くしゃみしたの聞いて「風邪引くのかも!」って布団でぐるぐる巻きにしてオニギリみたいにする話がかわいくって好きです。黙ってされるがままになってるのも可笑しい。他のエピソードとか見てても思うけど、三蔵って100%善意からの言動だと強気に出られないんだな、きっと。
なんというか、甘やかしたい心境なんですかね。確かにここ最近の三蔵は『頑張ってる頑張ってる』って感じですが。

三蔵も態度が軟化してきましたね。素直に頼るようになってきたというか。やっぱり『烏哭編』で心境の変化があったのでしょうか。寄っかかったりとか、遠回しに「気を付けろ」的なこと言ったりとか、膝枕とか。無印のときなら考えられないですよね。今巻の最後に名前叫んでましたけど(焦り気味に!)、私、だいぶ前に友達と『三蔵って戦闘中に仲間の名前あんま叫んでくんないよね』と議論したことがありまして。なのでこのシーンは感慨深かったですね~。ああ、ここまで来たな・・・!!と。(なにが)

 

4人の仲間意識の強まりも感慨深い限りです。無印の頃はチームプレーまったくしていなかったのにね・・・!今巻は峰倉さんの4人への愛に溢れた巻でしたね。待った甲斐がありました。


紗烙達ですけど、いつまで登場してくれるんだろうと思う。アニメだとお別れしてたけど・・・個人的には寂しいのでもうちょっと出続けて欲しい。
ナタクも結局どうなるんだって感じですが。

私、悟空に関してはもう何も心配してないんですよね。ナタクとなんかあろうが、記憶が戻ろうが大丈夫って気がする。何かしら、この、安心感!(笑)
あと、観音様だけど・・・う~ん、大丈夫だと思う!観音様いないとシリーズ締める人がいなくなるし(^^;)

 

 

この記事の文章読むとお気付きになるかと思いますが、私は生粋の三蔵ファンです。もちろん4人とも好きですけどね。誕生日おめでとうございます!(本当は当日にアップしたかったんですけど間に合わなかった・・・)私も昔は三蔵より若かったんだけどなぁ・・・(笑)

これからもずっと好きです!もう御礼も言いたい。ありがと~!!

 

 

この記事書いている最中ずっとB’zのニューアルバム聴いてたんですが、良いアルバムだなぁ。オススメです。B’zのアルバムも出るの2年以上ぶりですね・・・↓

 

DINOSAUR (初回限定盤)(DVD付)

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ではではまた~

 

最遊記RELOAD BLAST 3巻 特装版 (ZERO-SUMコミックス)

最遊記RELOAD BLAST 3巻 特装版 (ZERO-SUMコミックス)

 

 

『犯人たちの事件簿』1巻 金田一少年の事件簿外伝 感想・紹介

こんばんは、紫栞です。
今回は『金田一少年の事件簿R』14巻

 

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と同時発売されたスピンオフ作品金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』のご紹介。やっぱり同時発売されましたね。私の読みは正しかった・・・!

金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(1) (週刊少年マガジンコミックス)

この表紙と装丁だけで笑えますね。つーか、懐かしい。もの凄く。90年代に出されたシリーズ第1巻のパロディですね。↓

金田一少年の事件簿 (1) (講談社コミックス (1874巻))

表紙絵だけでもう本編『金田一少年の事件簿』犯人バレしていますが・・・。まぁ、20年以上前の事件なので時効(?)なんですかね。

 

こちらのスピンオフ、概要
“これは――・・偶然居合わせた名探偵の孫に謎(トリック)を暴かれてしまった犯人たちの綿密な計画と実行の記録である”

ですね。“犯人視点”のスピンオフ。お話が展開されている裏側で犯人達はこんな苦労や苦悩、恐怖を味わっていたよ~っていうギャグ漫画。
この1巻で扱われている本編の事件は

オペラ座館殺人事件』

 

 

『学園七不思議殺人事件』

 

 

『蠟人形城殺人事件』

 

金田一少年の事件簿File(12) (講談社漫画文庫)

金田一少年の事件簿File(12) (講談社漫画文庫)

 

 

の三つ。それぞれ4話ずつ描かれていて、最後に

『秘宝島殺人事件』

 

 が1話(秘宝島~は1話で終了)と作者ページの“外伝煩悩シアター”が収録されています。煩悩シアター懐かし~い!初期からのファンを絶妙に刺激するとこ突いてきますね(^^)


以下ネタバレ~

 

 

 

 

 

ファイル1『オペラ座館殺人事件』
犯人・有森祐二
初っぱなはやっぱりオペラ座ですね。本編の第1エピソードですし。怪しいカッコで皆が来る前に先にホテルにチェックインするってのは金田一少年の事件簿シリーズではよくあるネタですが・・・そうだよね、こんな怪しい客すんなりインさせてくれるかどうかが第一関門だよね(笑)
「トリックって金がかかる・・・・!!」「いるのかよ!!刑事いるのかよ!!」「SASUKE出れるわ・・ッ!!」などなどの心の叫びが笑えます。

 

ファイル2『学園七不思議殺人事件』
犯人・的場勇一郎
本編の順番通りにいくのかと思ったら、順不同で2番目は学園七不思議。まぁ本編通りなら『異人館村殺人事件』ですからね・・・色々と事情がおありなのかな↓

 

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そういや学園七不思議は最初から最後まで行き当たりばったりで、即興でトリックこしらえる事件でしたね・・・。大ボラ吹いたりとか。改めて考えてみると凄まじいアドリブ力!!
この事件はなんと言っても“ポスターはがそうとしたんで殺した”って部分が印象的。なんで、そこをいじりますよね、やっぱ。真壁が嫌われすぎ(笑)
最後の「私は何十歳も年下の生徒に“的場”と呼び捨てにされながら過去を暴かれ たっぷりと叱られ」

うん、そう。この事件は一ちゃんのお説教のシーンがど迫力だったよね・・・わかる。

 

ファイル3『蠟人形城殺人事件』
犯人・多岐川かほる
本編の数ある事件の中でも20年以上前から計画が始まっているという壮大な(?)犯罪計画。最初の蠟人形手作りする場面が凄く可笑しかった(笑)私は小道具の蠟人形はこう、専門の業者的なところに頼んだのかな?と思っていたのですが・・・(^^;)
手作りしたぶん蠟人形に愛着が湧いてしまう“かほる”さん。

「ごめんね・・・・ごめんね金田一・・・・!!」「ごめんね明智・・・・」とか言っているのが笑える。
何故か“かほる”さんの裸が多い。あと、本編のメイデンは確かにエグかったよね・・・わかる。

 

ファイルEX『秘宝島殺人事件』
犯人・佐伯航一郞
このお話は1話のみ。おまけ的な感じですね。実際おまけなんでしょうけど。秘宝島といえば女装。そして便座

「トイ・・え!?」だよねやっぱり。しかし、こうやって思い返してみると航一郎の女装演技って調子のりまくりだったな・・・。

 


犯人達皆演技派でしたね。皆自分で自分を褒めてる(笑)


私、初期のこの頃の事件は腐るほど読んでてコマのカットとかも覚えてるんで、懐かしいわ笑えるわで大変楽しく読ませて頂きました(^^)

この漫画を描かれているのは船津紳平さんですが、絵柄をだいぶ本編のさとうさんの絵柄(初期の頃)に似せていますね~。

この『外伝』、1巻で終わりの予定だったらしいのですが、好評につき続くようです。2巻は『悲恋湖伝説殺人事件』『タロット山荘殺人事件』『雪夜叉伝説殺人事件』を扱うらしいです。楽しみですね(^^)

シーズン2はスマホの漫画アプリ『マガジンポッケト』にて連載中です。

 

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この本は誰でも楽しめるってものではなく、100%本編の『金田一少年の事件簿』を読んでいないと楽しめない作りになっているので本編の漫画読んだことないって人はまず先に本編をお読み下さい!こっち先に読むと犯人バレしちゃうしね・・・『本編』と『外伝』合わせてどうぞ!


ではではまた~

 

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『金田一少年の事件簿R』新刊14巻 感想・あらすじ シリーズ完結!

こんばんは、紫栞です。
金田一少年の事件簿R』14巻読みました。なので感想を少し・・・・・・

金田一少年の事件簿R(14) (講談社コミックス)

と、その前に。
金田一少年の事件簿R』この14巻でシリーズ完結です。
!?


さらにオビには
緊急特報!!金田一一、大人になります!!
2018年1月23日(火)発売「イブニング」4号にて新連載スタート!!!
金田一一(高校2年生)が、ついに成長する時が来た!『金田一少年の事件簿』シリーズが新展開!!大人版金田一一が登場する!!
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
!?

 

新刊の表紙絵、金田一がバイバ~イみたいに手を振っている絵で不審に思ったら、オビにこの情報ですよ。職場の先輩と一緒に本屋にいるときに買ったので、その場で大袈裟な挙動はしなかったんですが、心中穏やかじゃなかった(笑)

私自身、意外に動揺している。結構衝撃を受けている。

永遠の高校2年生が・・・。私が小学校の頃から読み始めたときからずっと高校2年生だった一ちゃんが・・・。金田一“少年”じゃなくなるのね・・・・・・!

10月の時点でこの発表はされてたみたいなんですが、完璧なコミックス派の私はこの本のオビ見るまでまったく知らなかったので驚いちゃいました。

 

そんなわけで、ぶっちゃけ新刊の事件内容とかあんまり頭に入ってこない状態で読みましたが(^^;)最終巻だし、思いつく限りの感想はまとめとこうかと思います。

 

14巻は前巻・13巻終盤からの金田一二三誘拐殺人事件」で1冊しめられていますね。

 

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一応のあらすじ
新撰組まつり」の最中、いとこのフミが「沖田総司」を名乗る何者かに誘拐されてしまった。「沖田総司」は身代金三千万を警察に要求。身代金の引き渡し役として「新撰組隊士・同姓同名コンテスト」の参加者六人を指名し、電車に乗らして巧妙なメール指示によって尾行の刑事達を振り切っていく。最後まで追跡を続ける一だったが、渋谷駅でとうとう犯人に気付かれてしまう。さらに六人の「隊士達」のうちの一人が殺されてしまい――。

 

 

 

 

以下ネタバレ~(犯人の名前は出していません)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌なヤツ感全開で「コイツ殺されるわ~」臭がプンプンしていた山南さんですが、期待を裏切らず殺されましたね(^_^;)まぁそうなるわな・・・。今回の事件、被害者はこの山南さん一人でしたね。何となく、『金田一少年の事件簿』(長編)だと連続殺人を期待してしまうところではありますが。


尾行相手が六人いて、電車の乗り降りや身代金の入った鞄を入れ替えたりだので混乱しますね。ただでさえ頭があまり働いてない状態なので、もう考えるのは放棄して読んでました(笑)

しかし、都内在住の人にとっては馴染みのある駅構内や電車が出て来るのは楽しいかも知れないですね。私は田舎者なのでアレですが・・・。

 

“誘拐劇”を隠れ蓑にした“殺害計画”
はいはい。わかっていましたよ(笑)

しかし、フミちゃんの誘拐されている間の至れり尽くせり状態はうらやましいものがありましたね。気遣い犯人。メモ書きの雰囲気といい、女性の新見さんが怪しいと思わせるミスリードなのかな。新見さんは電車間違えたりもしていましたし。

 

謎の提示は
●犯人は「隊士達」の中にいるのだが、刑事や一達の尾行・監視をうけている中でどうやって被害者を殺害したのか


と、いうアリバイ崩しですね。

電車の乗り継ぎ、駅構内の構造を利用してのトリックってことで、ややっこしいトリックなのかなぁ~と思いましたが、意外とわかりやすいトリックで良かったですね。でもやっぱり相当綱渡りな犯行手順ですけど。何回も予行練習しないと駄目だな・・・。

裾まで隠れるレインコートにシューズカバーまでつけている人ってかなり目立ってしまうような気がするんですが・・・え?都内の電車では普通なのか?田舎者なのでわからん・・・(^^;)雨降ってないと駄目ってのも不確定要素すぎてどうかなと思います。

 

被害者の山南さんですが、解決編での金田一談↓
『あんたが執念深く命を狙うだけあって山南敬助って男 結構性格悪そうな奴だったよな あのタイプの男はフツーの状態なら絶対進んで「人助け」なんてしないだろう』
一ちゃん、辛辣(笑)

「小さな子供の命を助ける」という「武勇伝」と、新撰組の「義侠心」が相まって引き受けざるを得ない心境にした。「服装」が心理的変化をあたえたってことですが・・・
いや、ちょっとそれどうだろう?って思ってしまいましたね(^^;)そ~か~?無理があるのでは・・・。

新撰組”をモチーフに使っての事件でしたが、あまり事件内容にいかすことが出来てなかったかなぁと思います。犯行動機の面でも“新撰組”は特に関係なかったし、犯人が「沖田総司」を名乗ったのも何の意味もないみたいですし。なんかこう、新撰組の逸話との繋がりとかあんのかなぁ~と思っていたのでチトがっかり。


犯人の真相の告白部分で
『あの男を新撰組祭に誘い出すのは大変だったよ カンナのスマホから知った奴のメアドにもメルマガを装ってその案内を送ったり 参加すると特典がすごいとか色々煽ってさ・・・・』
いや、誘い出すだけでそんなに大変なら別の計画にしろよ!

と、思ってしまいますが。
実はこの殺害計画、高遠さんによるものだったんだそうな。あ~指示に従ってやっていたのならしょうが無いの、か、な~?
いやいやいや・・・(^^;)


高遠さんの登場のさせかたですけど、ちょっと唐突すぎですね。急遽追加した感がハンパない。そもそも13巻の刊行時点ではシリーズ完結なんて全然匂わせてなかったし、“完結”は唐突に決まったんですよね、たぶん。

 

しかし、20年以上続けてきた“高校2年生”がこの事件で終わりで良いのでしょうか?ホントに?こんなに終わり感もなくアッサリと?さよなら“少年”なの!?

 

 

・・・・・・まぁ大人になるというならばしょうがない(?)本が出たら心して読みますよ。

 

 

 


新シリーズの詳細はまだまったく明かされていませんが、とにかく皆何歳になっているのかがまず気になるところですね。題名も“少年”は使えないわけだから変更になるんだろうしなぁ。高遠さんの『自身のルーツ探し』の伏線はちゃんと新シリーズに持ち越されるのか不安なところ。なかったことにされませんように!と、切に願う(笑)
一ちゃんが高校生じゃなくなるなら実写ドラマはやりやすくなるかもしれないですね~。個人的には堂本剛にまたやってもらいたいところですけど(初期ドラマファンなんで)、それはちょっと年齢上がりすぎかな(^^;)

 

『イブニング』での連載ってことで『マガジン』からは離れるんですね~。『イブニング』って個人的には全然馴染みのない雑誌なんですが・・・『マガジン』より年齢が高めのターゲット層向けの雑誌なので作品雰囲気がガラッと変わるかも。

 

色々と思うところはありますが、とりあえず続報を待ちながら待機します。

 

※新シリーズ1巻出ました~。詳細はこちら↓

 

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次回はこの14巻と同時発売されたスピンオフ作品金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(1)

 

 について記事書きますね~(^_^)

 

 

ではではまた~

 

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