夜ふかし閑談

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有栖川有栖『作家小説』 解説・感想

こんばんは、紫栞です。

小説を読んでいるとまずはその物語に魅了されるのは勿論ですが、ふとそのお話を書いている作者本人の事が気になりだし、さらには“作家”という職業の実態や日常がどんなものなのか知りたい!のぞき見してみたい!という思いが込み上げてくることは誰しもが経験あることと思います。

そこで今回紹介するのはこんな作家だらけの短編小説

作家小説

 

有栖川有栖著、幻冬舎から出ているその名もズバリ『作家小説』です。

この本、八つの短編が入っているのですがこれが全部作家が主人公、もしくは作家がモチーフのお話ばかりが並んでいる本なのです。

有栖川さんは私の大好きな作家さんの内の一人です。“新本格ミステリ”の代表的な作家さんでして、普段はバリバリの本格推理物を書くお人なのですが、この本はミステリーではありません。「じゃあ何だ?」と聞かれると返答に窮するのですが、例としてあげるならフジテレビの『世にも奇妙な物語』風味の作品集っていうと一番雰囲気が伝わるかなぁと思います。

「着想」の面白い、ちょっとホラーちっくだったり不思議な感じがする小話が並んでいる本なのですね。

 

入っているお話は

『書く機械』『殺しにくるもの』『締め切り二日前』『奇骨先生』『サイン会の憂鬱』『作家漫才』『書かないでくれます?』『夢物語』

 

私は有栖川さんのさりげないユーモアとギャグセンスあふれる文体が個人的にツボで(笑)大好きなんです。だから『締め切り二日前』や『サイン会の憂鬱』『作家漫才』は読んでいて非常に楽しめました。『締め切り二日前』は声出して笑っちゃいました(^^)『サイン会の憂鬱』は中盤までコメディテイストで油断していたら終盤でアレレな展開で不意を突かれましたけどね(コレ、有栖川作品では多々ある現象でして。ギャグで油断していたところにいきなりズドンと何かしらくるのですよ・・・!)

『書く機械』は作家の“缶詰め状態”を極端化した話。『殺しにくるもの』や『書かないでくれます?』は都市伝説的要素が強くて怪談ちっくですね。

『奇骨先生』は出版業界が抱える問題がお話の中でドンドン指摘されていくんですが・・・このての問題を作家さん自身が取り上げて短編の題材にするのって珍しいなぁと。何だか色々興味深い。

そして最後の『夢物語』ですね。この本の最後を飾るのに相応しいお話です。終わりのセリフがまた良いですね。短編集の締めの言葉として綺麗にまとまっています。

 

有栖川さんは作者と同名の“有栖川有栖なる推理作家”が語り手のシリーズを長年書かれていまして(ちなみに、私は火村シリーズ激らぶです)本格推理のお話の中にも作家あるあるネタや作家の生活実態などがぶっ込まれて描かれていて、そういった部分がまた読者を楽しませてくれるのですが(キャラクターを通して作者の本音を垣間見る気分になるの絶妙にウケる笑)それが高じてこのような作家まみれの短編集を出してしまうとは・・・いやはや小説家ってのは因果な職業のようですね。

 

作家という職業のおかしさが存分に詰まったブラックユーモア色の強い短編集。“作家”に少しでも興味のある方は読んでみては如何でしょうか?

 

ではではまた~

 

作家小説

作家小説