夜ふかし閑談

夜更けの無駄話。おもにミステリー中心に小説、漫画、ドラマ、映画などの紹介・感想をお届けします

叙述トリックとは 例・パターンのまとめ

こんばんは、紫栞です。

今回は“叙述トリック”を用いたミステリーについてのアレコレ。

 

叙述トリックとは

簡単に言うと“読者騙す系トリック”のことなんですけど。全ての事柄が文章でのみ表現される小説の特性を利用してトリックを仕掛け、読者に誤認させるんですね。一目見ればわかるし、全然謎として成立しないトリックなので、実写化などが難しいものが大半です(実写化されているものもありますが)

 

 

 

 

多いパターンとしては・・・

性別誤認。女だと(男だと)思っていたら実は男(女)だった。

このパターンの場合はポイントになるのは“名前”ですね。あきら・ひろみ・かおる・・・などの性別が特定しにくい名前が出てきたら要注意よ!特に『ひろみ』率が高い(^_^;)叙述トリックものじゃなくても『ひろみ』はミステリーでよく出てくる名前ですね。人気があるのか?

 

人物誤認。語り手だと思っていた人物が違う人物だった。

この場合は語り手が、周りの人達が“フルネームを”直接言うシーンが実は無いってのが大体ですかね。名字やあだ名で誤魔化してる的な・・・。

 

時間軸の誤認。現代(過去)だと思っていたら過去(現代)だった。

昔との制度の違いとか、流行った単語とか、電化製品とか・・・の描写に注意しましょう(笑)現代だと携帯電話・スマホが全く出てこないお話はかなり怪しいですよね。とはいえ、ほんの二、三年前の違いとかだと差を見つけ出すのは難しいですけど。

 

年齢誤認。成人していると思っていたら実は未成年だった~などなど。

思っていた年齢とかなり開きが無いと読者を驚かすことは難しいんですが・・・。実は小学生だとか、もの凄いじーさんだとか。身長・体重、言葉づかい、周りの人達の態度などがポイントですかね。

 

語り手が多重人格。

・・・これ、かなり上手くやらないと批判されちゃうんですが(^^;)各人格の間で情報共有されていないものが多いですかね。他に犯人がいると思っていたら自分が犯人だった!とか。

 

 

 

 

と、まぁ色々あるんですが。

近年は叙述トリックものかなり多くなっていまして、ちょっとした流行だと思うんですけど。“小説じゃないと出来ないトリック”というのが良いのかな。物理的なトリックってもう出尽くしてるし、時代の進化で出来なくなっちゃったトリックもあるし。別の部分で読者驚かしてやろうみたいな。

人気がある理由は私が思うに“一行・一言で読者に驚愕の事実を伝える事が容易だ”って部分にあるのかと。

一発でわかると気分が良いですからね、読んでて。

あと、作品全体に仕掛けが施されているのでそれを発見していく楽しさとかですかね。再読すると面白いってヤツ。

 

とはいえ、私も何冊か叙述トリックもの読んでるんですがやっぱりねぇ・・・「こんなん、納得出来るかっ!」ってモノありますよ。

「こんなヘンテコな名前のヤツがいるか!」とか「こんなマセガキがいるか!」とか「女だからってそういう行動とると思ったら大間違いだぞ!」とか「多重人格ですかい・・・」とかね(笑)

作者は相当上手く書かないといけないんで技量が問われますね。

 

あとは“そう書くことの意義”ですよね。「驚いたけど・・・で?」というものです。

叙述トリックものだと読者は驚くが、お話の登場人物達にとっては驚きでも何でも無かったりしますからね。そこら辺の兼ね合いが大事かなぁ~と思います。

 

有栖川有栖さんの『高原のフーダニット』の中の「オノコロ島ラプソディ」で叙述トリックものについて語られるシーンがあるんですが、そこの部分が面白いです。推理物作家としての率直な意見が読める(?)かも。もちろん全体的にも面白いです。ギャグ多め。念のため言っておきますが、この本は本格推理小説なので叙述トリックものでは無いです。

おすすめですよ~

 

高原のフーダニット (徳間文庫)

高原のフーダニット (徳間文庫)

 

 

 

次回は叙述トリックものの有名作を紹介しようと思います。今回はこのへんで。

 

ではではまた~