夜ふかし閑談

夜更けの無駄話。おもにミステリー中心に小説、漫画、ドラマ、映画などの紹介・感想をお届けします

映画『ユリゴコロ』原作小説 あらすじ・感想 "ユリゴコロ”とは?

こんばんは、紫栞です。

沼田まほかる”さんの小説『ユリゴコロ』が実写映画化されるらしいですね。9月23日公開だとか。せっかくなので、公開前に原作小説の紹介をしようかと思います。

ユリゴコロ (双葉文庫)

あらすじ

亮介はカフェを営んでいる。カフェの従業員の千絵との結婚をひかえ、順風満帆の日々を送っていた。しかし、そんな亮介に次々と不幸が襲う。婚約者の千絵が失踪し、父親が末期のすい臓がんと診断され、追い打ちをかけるように母親が交通事故で命を落してしまったのだ。悲しみに暮れる中、亮介は実家の押し入れで4冊のノートを見つける。「ユリゴコロ」とタイトルが書かれたそのノートはある殺人者の手記だった――。

 

 

 

お話の大筋は亮介が手記を読み進めていく合間に亮介の日常の場面が入るといった構成。

「なんなのだ、これは!なぜ家にこんなものがある」と、読みながらも途中で何回かストップして(ノートに書かれている事が衝撃的すぎたりとか、時間に追われたりだとかで)文章から推理を巡らせたり、父や弟に探りを入れてみたりだのします。

ここが読者としては「おまえ、さっさと全部読めよ」とか思ってしまうんですね。 それというのも手記の部分が凄く面白いんです。「あぁ、早く、早く続き~」とこちらは気がはやっているのに亮太が途中何度も読むのストップするもんだから「なんでそこで読むの止めるの?いいとこなのに!」と。

もう何この焦らしテクニック(笑)父や弟に探り入れたりとかも全部読んでからにすればいいじゃんね。

しかし、このヤキモキする構成のおかげで気になって一気読みしちゃいます。そういう作者のたくらみなのでしょうね。

 

 

 

以下若干のネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画との違い

映画の公式サイトを見てみましたが、両親がそろっていたという設定から“父親に男手ひとつで育てられた”というふうに変更されているようですね。

原作ですと、亮介は幼少の頃に“母親が入れ替わったのではないか”と漠然とした思いを抱えており、手記を読むと美紗子という母と同じ名前が出てきて『これは入れ替わる前の、自分の本当の母の手記なのではないか?』と考え出すんですが・・・。

確かに原作でもこの母親入れ替えは無理があるし、当人達の心情もちょっと不自然かなぁ~といった部分だったんで映画だとこの設定はカットの方が良いのかも知れません。

あとノートが4冊から1冊になっていますね。ここの変更はまぁ別にいっか(^^;)

 

 

ユリゴコロ

ユリゴコロ

 

 

お話の概要・“ユリゴコロ”とは

手記の中で語られているのは“ユリゴコロ”を探し求めて殺人を繰り返していた女がある男性に出会って“愛”に触れウンダラカンタラ・・・といったもの。

ユリゴコロ”は手記の中の女性が幼少の頃医師が母に向かって話していた“拠り所”を聞き間違えてのものと思われます。

医師がユリゴコロがないというのはたいへんなことだ」「この子なりの何かのユリゴコロを見つけ出せればいいのだが」などと言うのを聞いて「みんなが持っているらしいものが、なぜ私にだけないのか」「なんとかして私もユリゴコロを手に入れたい」とぼんやりといつも思うようになる。そして殺人行為にユリゴコロを見いだして・・・。

ユリゴコロ”とは何か?というのは読み手の感じ方次第でいかように解釈しても良いのだと思います。私は“空白を埋めてくれる何か”“満たしてくれるもの”だと感じました。“愛”に出逢って“ユリゴコロ”もおのずと変わっていっていますからね。

 

 

ラストについて

実は私、この小説ラストが生理的に受け付けないんですよね(^_^;)

亮介と千絵にとっての邪魔者をお助けマンが亮介より先に手を下して抹殺するとか、解決のさせかたが即物的すぎると思うし。そもそも、何でやり手の殺し屋みたいになってんだって感じだし。しかもその後、愛を誓い合った物同士で爽やかに最後のランデブーだと。まったくふざけているのか。

 

ファンタジーやアクション物ならいざ知らず、現実社会が舞台のお話だと私はどうしても殺人者は裁かれて罪を償うべきだって思っちゃうんですよね。被害者のこととか考えると・・・“愛だとかなんだとかいう前に罪と向き合えよ”とね。

まぁ私個人の見解ですけど。人それぞれで、感動する人は感動するんだと思いますし。私は頭が固いのかな(^^;)

映画はラストどうするのか気になるところですが。同じかなぁ~。

 

 

 

 

 

色々言いましたが、家族の謎が明らかになっていく話運びは圧巻です。その先にさらに驚きの真相も待ち構えています。

 

映画が気になったなら原作読んでみるのもどうでしょう。 

 

ユリゴコロ (双葉文庫)

ユリゴコロ (双葉文庫)

 

 漫画も出てるらしい

 

コミック版 ユリゴコロ(上)

コミック版 ユリゴコロ(上)

 

 

 

コミック版 ユリゴコロ(下)

コミック版 ユリゴコロ(下)

 

 

 ではではまた~