夜ふかし閑談

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『巷説百物語シリーズ』刊行順・事件年表・他シリーズとの繋がりまとめ 幻の事件とは?

こんばんは、紫栞です。

今回は京極夏彦さんの二大妖怪シリーズの内の一つ『巷説百物語シリーズ』をご紹介。

巷説百物語 (角川文庫)

二大の内もう一つは『百鬼夜行シリーズ』ですね。

 

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巷説百物語シリーズとは

江戸時代から幕末、明治が舞台。昭和を舞台とする『百鬼夜行シリーズ』に繋がる構造になっています。

道を通せば角が立つ。

道を外せば深みに嵌まる。

彼誰誰彼丑三刻に、そっと通るは裏の径。

所詮浮き世は夢幻と、見切る憂き世の狂言芝居。

見過ぎ世過ぎで片をばつけて、残るは巷の怪しい噂――。

現実ではどうにも処理できない困った問題、八方塞がりの状態を“妖怪”という人知を越えたものを持ち出すことで丸く収める“妖物遣い”の又市と仲間達の仕掛けが描かれる一話完結型の連作小説。

仕掛けの仕上げに又市が「りん」と鈴を鳴らして「御行奉為(おんぎょうしたてまつる)」と唱えて締めるのがオキマリ。

私的なことですが、上の文句の“道を通せば角が立つ。道を外せば深みに嵌まる”っての、歳を経る毎にもの凄く実感する(笑)

 

怪異・謎を妖怪と名付けて論理的・科学的に祓い落す陰陽師中禅寺秋彦が登場する『百鬼夜行シリーズ』とは真逆の事をして又一は事を丸く収める。完全な裏返し、『百鬼夜行シリーズ』の対極にあるシリーズです。

 

あと、又市達はコレとは別シリーズの『江戸怪談シリーズ』・「嗤う伊右衛門」「覘き小平治」「数えずの井戸」にも出て来ます。

 

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特に「嗤う伊右衛門」は又市がガッツリと重要な役どころで出て来るので必読。

 

嗤う伊右衛門 (角川文庫)

嗤う伊右衛門 (角川文庫)

 

 

読む順番はどっちのシリーズが先でもいいと思います。

 

最初の2冊巷説百物語』『続巷説百物語は“御行の又市”達の仕掛けに偶然巻き込まれた後、彼ら“向こう側”の人間と関わっていく“こっち側”の人間・戯作者志望の山岡百介を中心に描かれています。てっきりこの流れのまま第三弾にいくのかと思いきや、『後巷説百物語』でシリーズは大きく変動します。

 

私は後巷説百物語『前巷説百物語がお気に入り。ちなみに好きキャラは“山猫廻しのおぎん”。あのしゃべり方が良いんですよね~。色っぽい。又市の口調も好きですけどね。

 

 

 

刊行順

シリーズは全5冊出ています。とりあえず順番にご紹介。

巷説百物語

 

巷説百物語 (角川文庫)

巷説百物語 (角川文庫)

 

 

百介と又市が出会うシリーズ第一弾。色々な語り手でお話が成り立っているスタイル。

 

『続巷説百物語

 

続巷説百物語 (角川文庫)

続巷説百物語 (角川文庫)

 

 

一作目と同じように又市達の仕掛けが描かれますが、語りの視点が百介中心なので、こちらはより主要キャラクターの掘り下げがされています。

 

後巷説百物語

 

後巷説百物語 (角川文庫)

後巷説百物語 (角川文庫)

 

 

第130回直木賞受賞作。時代は前作からだいぶ進んでの40年後。明治になったばかり。元幕府の若者4人が「一白翁」こと山岡百介に不思議・奇妙な事件を相談しにやって来て、老いた百介の昔語りを4人に聞かせる設定。『巷説百物語シリーズ』ではこの本の最終話「風の神」が時系列では『巷説百物語シリーズ』の最後になります。泣ける。感動のラストです。百介にとっての“百物語”はここで完結ですね。

 

『前巷説百物語

 

前巷説百物語 (角川文庫)

前巷説百物語 (角川文庫)

 

 

又市が百介と出会う前のお話。“御行”の又市が出来上がるまでの“百物語”はじまりの物語。若き日の又市ということで、又市がかなり青臭い(笑)終盤はかなり辛い展開ですね~。これだけの経験をしたからこそ“御行の又市”は出来上がったのだなぁ、と。「旧鼠」での林蔵との会話と、又市が啖呵切るところが凄く好きです。

 

『西巷説百物語

 

 

第24回柴田錬三郎賞受賞作。続・後・前ときたから次は何だと思ったらまさかの方角。上方(西)を舞台に“靄船の林蔵”が主役のスピンオフ的1冊。「これで終いの金比羅さんや」が締めゼリフ。上方の妖怪達が使われています。前作に比べると林蔵がだいぶ格好良く感じる。モテ男ですね。

 

 

 

事件年表

巷説百物語 ●続巷説百物語 後巷説百物語 ●前巷説百物語 ●西巷説百物語

 

182~年 

 ●寝肥 1年後

 ●周防大

 ●二口女

 ●かみなり

2年後

 ●山地乳

 ●旧鼠

4年後

嗤う伊右衛門』(江戸怪談シリーズ)又市登場

7年後

『覘き小平治』(江戸怪談シリーズ)治平・徳次郎登場

?年後

『数えずの井戸』(江戸怪談シリーズ)又市・徳次郎登場

12年後

 ●小豆洗

 ●野鉄砲

 ●白蔵主

 ●狐者異

13年後

 ●舞首

 ●飛縁摩

 ●芝右衛門狸

 ●船幽霊

14年後

 ●塩の長司

 死に神

 ●柳女

 ●桂男

 ●赤えいの魚

 ●遺言幽霊水乞幽霊

 ●鍛冶が嬶

 ●夜楽屋

 ●溝出

15年後

 ●帷子辻

 ●豆狸

 ●天火

 ●野狐

 ●山男

 ●手負蛇

18年後

 ●五位の光

20年後

 ●老人火

1877年

 ●風の神

 

 

 

又市の幻の事件

『西巷説百物語』が出たときに京極さんはこれでシリーズは終了と言っていたのですが、『続巷説百物語』の最終話「老人火」で又市達が江戸と大坂を股にかけて活躍した大事件の存在が匂わされています。

なんでもその事件の結果“事触れの治平”が命を落したと、又市達と浅からぬ縁があったさる高名な陰陽師が言っており、十文字屋以蔵も時を同じくして落命したとのこと。(色々と「なんだって!」って感じで読者としては気になりすぎるんですけど・・・もう!何!?)

インタビューで京極さんは「又市の幻の事件」は長編だと仰っているのですが・・・。いつかこの事件について何らかの小説で触れられたりするのかな?(それこそ『百鬼夜行シリーズ』で・・・とか)いや、出来れば宣言通り又市達の長編書いて欲しいですけど。でもシリーズ終了って言っているしなぁ・・・う~ん(^_^;)

 

 

他シリーズとの繋がり

後巷説百物語』にて、

百鬼夜行シリーズ』

 

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 陰摩羅鬼の瑕由良行房・由良昂允

 

文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)

文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)

 

 

鉄鼠の檻和田知念

 

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

 

 

狂骨の夢南方衆

 

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

 

 

が、それぞれ登場・交点しています。

しっかりとした言及はありませんが、榎木津が主役の『百器徒然袋―風』最終話「面霊気」では又市達の仕掛けを匂わせる箇所があります。

 

文庫版 百器徒然袋 風 (講談社文庫)

文庫版 百器徒然袋 風 (講談社文庫)

 

 

あと、集英社でのシリーズ『書楼弔堂―破曉』

 

書楼弔堂 破暁

書楼弔堂 破暁

 

三話目「方便」に『後巷説百物語』の4人の若者のうちの1人、矢作剣之進が出てきます。『後巷説百物語』最終話「風の神」でおこなった百物語怪談会についても作中で触れられています。あの怪談会から15年経っているとのことです。

そして、 最終話「未完」で百介の開版するにあたっての筆名「菅丘李山」の名前が出てきます。

 

両シリーズの繋がりを発見するのもまた一興ですね。 実はドラマ版でまた驚きの繋がりが明かされているんですが・・・

ドラマの話はこちら↓

 

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・・・・・・全五冊だから簡単にまとめられるだろうと思ったら大間違いでした。もう朝だし!(笑)

京極ワールドが深すぎて恐れおののく(笑)全然まとめきれてないんじゃ・・・・・・また後日っ!!

 

 

とりあえず、今回はこのへんで。

 

 

ではではまた~