こんばんは、紫栞です。
今回は京極夏彦さんの『百鬼夜行シリーズ』の概要・読む順番などについてのご紹介。
『百鬼夜行シリーズ』とは
京極堂シリーズ・妖怪シリーズなどとも言われています。
舞台は第二次世界大戦後の昭和20年代。古本屋「京極堂」の店主であり、武蔵野晴明神社の神主であり、陰陽師の中禅寺秋彦が世にも奇怪な事件を関係者に対する“憑き物落とし”を通して真相を解明していくシリーズ。「この世には、不思議なことなど何もない」がお馴染みのセリフ。
“奇怪な事件”と言っても事件は勿論全て人間の仕業。各長編のタイトルに妖怪名が入っているのでマジモンの妖怪や化け物が出てくる古めかしい日本ホラーだとか勘違いされたりしますが違いますよ。
では何故“憑き物落とし”の行為が出てくるのかと言うと、事件のあり方そのものを妖怪にたとえて、登場人物達に取り憑いた妖怪(事件)を落すから。あくまで登場人物達から憑き物を落すのが中禅寺の目的であって、事件の犯人当てなどの為の行為では無いのですが“憑き物落とし”の過程の中でおのずと真相が明らかになっていく訳です。
そんなわけで、ミステリで言うなら解決編にあたる“憑き物落とし”の場面なんですが、もうここが凄く良い!喋ってるだけなのにまるでアクションシーンを観ているかのような緊迫感が。読んでると「ぐぁぁ~」って感じ。何だ「ぐぁぁ~」ってと思われるかもしれないですがもう「ぐぁぁ~」としか表現出来ない。ぐぁぁ~!
中禅寺の最強っぷりが素敵すぎます。
ちなみに私は中禅寺が着替えたら(憑き物落としのときは晴明桔梗が染め抜かれた真っ黒い着流しに羽織、手に手甲。黒足袋に黒下駄。鼻緒だけが赤いといった格好をします)そこからはもう一気読みと決めてます。一番良いシーンなんで。
他にシリーズの特徴としては妖怪などに関する民俗学、心理学、宗教、科学、医学等々・・・のうんちくがばぁーと語られる展開、作家の関口(鬱病)や探偵の榎木津(神)などの大変個性的な登場人物達が出てくるところなどですかねぇ。
陰気な作品だと思われがちですが(タイトルや表紙のせいですかね)ギャグもあって楽しいです。あのぶ厚い本の中にそれらが詰まっているのさ。
長編
『姑獲鳥の夏』(うぶめのなつ)
『魍魎の匣』(もうりょうのはこ)
『狂骨の夢』(きょうこつのゆめ)
『鉄鼠の檻』(てっそのおり)
『絡新婦の理』(じょろうぐものことわり)
『塗仏の宴』(ぬりぼとけのうたげ)
※シリーズ最長で「宴の支度」「宴の始末」の二冊に別れています。上下巻の位置づけですね。
『陰摩羅鬼の瑕』(おんもらきのきず)
『邪魅の雫』(じゃみのしずく)
長編で現在出ているのはここまで。
この後『鵼の碑』ってタイトルの本が予定されているらしいんですが・・・・・・これがもう何年も出ない!タイトルだけはわかっているのにね!どういうことなの!? 待ちすぎて気が遠くなってきた・・・。もうあまりにも待ち望みすぎてて、いざ発売!ってなったときにもはや自分がどうなっているのかわからない。もうそれくらいの心境(錯乱気味)ですよ。も~う!読まして下さいホント。お願いしますよ(>_<)
※2023年9月14日、ついに、ついに、発売されました!
『鵼の碑』(ぬえのいしぶみ)
※『鵼の碑』発売記念で(?)9冊合併本も出ました↓
短編集
『百鬼夜行―陰』
『百鬼夜行―陽』
“陰”が百鬼夜行シリーズの『姑獲鳥の夏』~『塗仏の宴』までの作品に出てくる人達を主役としたサイドストーリーズ。それぞれの事件関係者による過去の出来事や心情が語られている短編集で、“陽”の方が『陰摩羅鬼の瑕』以降の登場人物達のお話。『鵼の碑』に繋がるお話も入っています・・・・・・肝心の『鵼の碑』が発売されてないから如何ともしがたいですが(^_^;)
この本単体で読んでも十分面白いと思いますが、京極作品全体を知っている人が読むと驚きの仕掛けが潜んでいます(京極作品はそんなことばっかりで油断も隙も無いですがね・・・)。
スピンオフ
『百器徒然袋―雨』
『百器徒然袋―風』
探偵(神)の榎木津礼二郎がさまざまな事件を完全粉砕していくお話。
時系列的には『塗仏の宴』~『邪魅の雫』頃。一冊につき中編が三本。
これはもう京極夏彦本人が書いた百鬼夜行シリーズの同人誌って感じ(笑)「こんなにやっちゃって良いんですか!?本家で!?あ、ありがとうございます!」とね。
オールキャスト登場でかなり豪華なスピンオフ。全編ギャグだらけで、公共の場で読むには注意が必要です。笑っちゃうから(^_-)
榎木津が快刀乱麻の大暴れをしてくれるので、読むとスカッとしますぞい。
『今昔続百鬼―雲』
多々良とその相棒、沼上の“妖怪馬鹿コンビ”二人による妖怪珍道中。冒険小説です。四本のお話が入っています。多々良と沼上のモデルは作家の多田克乙さんと村上健司さんだそうな(二人とも京極さんと親交が深いのだそうな)。
スペシャルゲストで「黒衣の男」が出てきます。何か全てかっさらっていかれます。やっぱ最強ですねアナタ。読んでてニマニマしちゃいます(笑)
その他、中禅寺はギャグ小説『南極(人)』に入っている、とある話にもスペシャルゲストで登場しています。ファン必見のお話ですね。
他シリーズとの繋がりも随所にあります。
※2019年4月追記
新たなスピンオフ『今昔百鬼拾遺』が刊行されました!詳しくはこちら↓
かなり簡単にですが、シリーズ概要としてはこんなものですかね。タイトル部分、漢字変換に苦労したぞ(笑)例によって言い足りないことはまだまだありますが、それはまた別記事で。いつか『鵼の碑』の感想を書ける日を夢見てね・・・・・・!
ではではまた~