こんばんは、紫栞です。
前の記事で古典部シリーズについて紹介しましたが
今回はシリーズの第一作目『氷菓』を掘り下げて紹介したいと思います。
この『氷菓』なんですけど、タイトルだけ見るとどんな内容の本なのか全く想像出来ないですよね。実生活で氷菓って単語普段使いませんし。まぁアイスの事なんですけど。
で、この“氷菓”はお話の何で出てくるのか?と、いいますと古典部の過去の文集の題名として登場する訳です。「何故文集にこんな題名…?」と、なりますよね?その謎がこのお話の最大の要なんです。読み終わった後でこのタイトルの本当の意味を読者は知る事になります。そこに待ち受けている真相は読者を、そして登場人物達をなんともほろ苦い気分にさせるものなのです。
この「古典部シリーズ」は日常の謎“ものミステリーです。第一作目の『氷菓』で解かれていく謎は
●いつの間にか密室になった教室。
●毎週必ず借り出される本。
●あるはずの文集を無いと言い張る少年。
●33年前の文集に秘められた謎。
の、主に4つ。
主人公の奉太郎は高校入学早々、異国にいる姉からの手紙で「古典部」という何をするのかもよく分からない部活に部員ゼロで廃部寸前だから阻止するために入部しろと謎の指示をされ(姉怖さで)入部し、部活動をする中でこれらの謎に挑んでいきます。
見ての通りどれも細やかな、取るに足らないような謎。劇的な展開が起こる訳でもなく、まぁ穏やかなもんです。この言ってしまえば“地味な謎”の解明を「面白い!」「知りたい!」と読者に十分思わせる事が出来るお話の作り方・文章の書き方に作者の力量が試されるんですね。
キャラクター達の軽快なやり取りも面白いです。ところどころクスッとさせられます。奉太郎の地の文がなんとも楽しい。
上記の部分が面白いのは勿論なんですが、この「古典部シリーズ」は“青春”部分がより魅力的に描かれています。と、言ってもこのシリーズでの“青春”は爽やかな、キラキラした、キャキャうふふ的な(笑)ものでは無く、青春時代のやるせなさ、ほろ苦さ、せつなさ等の部分が全面に描かれているんですね。
青春時代がとうに過ぎ去った私としては(ちなみに、私の青春はキャキャうふふ的なものではなかった^_^;)「まったく、これだから“青春”ってヤツは!」と読むといつも思うわけです。なんとも悩ましいものよなぁ~。うんうん(-_-)
アニメはシリーズ4作目の『遠まわりする雛』ぐらいまでのお話をやっていたわけで、アニメのタイトルそのものが第一作目の『氷菓』になっているのはちょっと混乱の元になるかなとか思うんですが(一作目のお話しかやらないのかとか思っちゃうよね)、このシリーズ全体に漂う“青春のせつなさ”が『氷菓』という漢字になんともマッチしているからこのタイトルにしたのかな~と思います。アニメは最初観たときは「あらあら、こんな可愛らしい絵柄なのかい」と、ちょっと意表を突かれた感じでしたね。
で、今年公開予定の実写映画なんですが・・・この映画も『氷菓』のタイトルのままやるみたいですね。まぁ映画だから一作目の本の内容を二時間にまとめてって感じなんですかね?
『氷菓』と言いつつ、別の本の内容入れてくるかもしれないですよね。アニメでの前例があるし。
最初実写映画化されるって聞いたときは「あのお話を映画でってちょっと地味なんじゃ・・・」と思ってしまいましたが(もし実写化するなら深夜ドラマとかがちょうどいいかなぁ~とか勝手に思ってた。テレ東とかで:笑)。う~ん、二時間間延びせずに楽しませる事が出来るんでしょうか?
う~ん・・・映画・・・どうなることやら・・・
ではではまた~

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