夜ふかし閑談

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『秘密ートップ・シークレット』1巻 貝沼事件 あらすじ・感想

こんばんは、紫栞です。

前回の記事に続きまして

 

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『秘密―トップ・シークレット』

 

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1巻に収録されているお話、「少年9人自殺事件/28人連続殺人事件」(貝沼事件)についてご紹介。

 

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あらすじ

2060年1月17日。皇室の結婚パレードをテレビで一日中放送していたこの日、9人の少年が相次いで自殺した。自殺した少年達は全員同じ少年院にいたことが確認され、異常事態として「MRI捜査」が行われることに。自殺した少年達の脳映像を見たところ、全員が自殺する直前に自身が潜在的におそれている物に追いかけられる“追跡妄想”を見ていた。さらに捜査を続けていく中、少年達の脳映像に2059年に起こった28人連続殺人事件の犯人・貝沼清孝の姿が現れる。貝沼は2060年時点では既に留置場内で死亡しているのだが――。

はたして少年9人自殺事件と貝沼とはどのような関係があるのか?そして貝沼が起こした28人連続殺人事件の思いがけない真相とは?

 

 

 

1巻はこのお話の事件がメインです。この話の前の大統領暗殺事件はいわばシリーズの前振り・デモンストレーションのようなものですが、この“貝沼事件”はシリーズを語る上では絶対に抜かせない話。つまり、読まなきゃダメなヤツです。ここで描かれていることは終盤まで引っ張りますからね・・・(特に鈴木さん関係)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『秘密―トップ・シークレット』シリーズは最初のころ(3巻ぐらいまで)はセンセーショナルで猟奇性が高い事件のお話が多いんですよ。簡単に言うと、海ドラのクリミナル・マインド的雰囲気ですね。シリアルキラーが出てきて~~・・・みたいな。だんだんシリーズ独自のストーリー展開になっていくのですけど。

その中でもこのお話に出てくる「28人連続殺人事件」は群を抜いて猟奇的ですね。犯人の貝沼のMRI映像は“見た者の精神を狂わせ死に至らしめる”ほどのものなので。それはそれは酷い犯行内容なんだよと。漫画の中にも死体の解体シーンや贓物がドーンと(もうホント、ドーンと)見開き一ページで書かれていますからね。ここら辺の内容や絵がショッキングなせいか、人によっては“猟奇殺人を扱ったホラー漫画”だと思い込んでいたりするのですが・・・

本を貸した友達も「お話は面白いけどグロい絵とかあって怖いよ~」と言うので「大丈夫!グロい絵が出てきたりするのは最初の方だけだから!」となだめすかしたりしました(笑)

私もアレは実写でやられたら絶対に直視出来ないし、作家さんによってはこの手のグロ絵は「気持ち悪くって無理!」とかありますが、清水先生の絵だと綺麗すぎて(なんか変な言い方ですが)平気なんですが・・・まぁ個人差があるんですかね(^_^;)

 

この28人連続殺人事件の犯人・貝沼清孝は欧米のシリアルキラー『ジョン・ゲイシー』がモデルらしいです(2巻の「秘密の秘密」参照)

ちょっと調べたんですけど、かなり陰惨極まる事件内容ですね“観覧注意”というヤツですな。アメリカではかなり有名なシリアルキラーで、他にも映画や小説のモデルに使われているみたいです。クリミナル・マインドのオープニングにも顔写真出てきますね。

 

幻覚見る“スイッチ”に皇室の結婚パレードが使われてるの、面白い着眼点だなぁと思います“滅多にない特別なもので、一日中テレビで放送されるって”ってのがね。皇室の結婚式か~懐かしいわぁ。確かに一日中中継してたよね、雅子様のとき・・・・・・って、こんな事言うと歳がばれるんですが(^^;)

 

終盤のヘリのシーン好きです。可笑しくって。青木が“ラリっちゃう”ところがね。お前、勇ましくヘリの操縦変わっといていったい何なんだと。逆に室長を危険にさらしているじゃあないか(笑)「死ぬなら家で一人で死ね!バカ 迷惑だ」って薪さんのセリフが何だか凄く爽快でした。まったくそのとおりだよね!と(笑)さんざん振り回した後で一人だけ“はればれ”してるのも可笑しいですね。青木、こういうところが『非常識にポジティブ』なんだな・・・。まぁ人を救うバカだと、いうことにしておこう(笑)

 

このお話の時点で既に薪さんの『特別』感は遺憾なく発揮されている訳ですが。私はこの話最初に読んだときちょっと驚きましたね。「あ、こんなにこの人自身に関係してくる事件なのね~」と。展開の予想が出来なくって面白いですね(特にヘリのとことか)

2つの事件の繋がり方とかキャラクターの心情の揺れ動きも良いですね。

貝沼の犯行動機は薪さんにとってはかなり辛い・・・鏡に向かって喋ってるシーンは印象が強烈です。読み返して改めて思いますけど、貝沼の容姿はやっぱり格好良くしちゃダメだと思う(実写映画だと吉川晃司がやっていました)

 

2016年公開の実写映画にもこのお話半分使われていた訳ですが(“半分”使うとこがダメダメなのよね)是非映画観た人も・・・と、いうか観た人で原作知らない人は特に!あんな映画でわかった気にならず、原作を読んで欲しいです。誤解されたままなのは悔しいんですよ!こんなに面白い話なのに!!

 

 

と、原作ファンとしては切実に訴えたいのでした・・・。

 

もちろん、映画観てない人にもオススメです。読んで下さい~!

 

 

 

ではではまた~