夜ふかし閑談

夜更けの無駄話。おもにミステリー中心に小説、漫画、ドラマ、映画などの紹介・感想をお届けします

有栖川有栖『国名シリーズ』まとめ 順番・概要 

こんばんは、紫栞です。

今回は有栖川有栖さんの『国名シリーズ』についてのアレコレをご紹介。

 

 

有栖川有栖【国名シリーズ】とは

主に小説家のアリスを語り手に臨床犯罪学者(アリスの作った造語)の火村英生を探偵役とする『作家アリスシリーズ』(火村英生シリーズ)

 

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内において、本の題名に国名が冠されているもの。 エラリー・クイーンの『国名シリーズ』のひそみに倣ってのシリーズですが、クイーンの国名シリーズは全て長編小説ですけど此方の有栖川版国名シリーズは短編集が大半です。短編集の中の1つに国名が入っているといった具合ですね。クイーンが使わなかった国を書いています。

有栖川さんはクイーンの大ファン。作中のアリスも大ファンでお話の中でよくクイーンの作品について言及していますね。 

だいぶバラエティにとんだ作品集で共通のテーマなども無いので感覚的には講談社で書かれた作家アリスシリーズ』と思っとけば大丈夫だと思います。(作家アリスシリーズは他に角川、光文社、徳間書店幻冬舎文藝春秋などで書かれており、散在しています)

ちなみに講談社で一番最初に書かれた作家アリスシリーズは『46番目の密室』

 

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 記念すべきシリーズ第一作目でもあります。

 

 

 

 

 

順番

上記の理由から、別にどこから読んでも楽しめるのですが、一応順番に紹介していきます。

 

ロシア紅茶の謎

 

 

短編集。

●動物園の暗号

●屋根裏の散歩者

●赤い稲妻

●ルーンの導き

●ロシア紅茶の謎

八角形の罠

の6編収録。

ちょっとした隙間時間に読むのにちょうどよい一冊。「読者への挑戦状」が入っているガチガチの本格ミステリーもあれば、ユニークで遊び心に溢れたお話も入っていて色々と楽しめます。『屋根裏の散歩者』は乱歩へのオマージュ作品ですが、謎の解明読むとアリス同様「それ・・・・・・本気か?」と絶句したくなりますね(笑)

 

 

スウェーデン館の謎

 

 

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長編。

足跡トリックものですね。アリスが色々と危うい。電話一本で京都から福島に速攻来てくれる火村先生はアリスの事甘やかしすぎだと思う(笑)途中参加なのでお話の前半は火村先生出てきません。凄く有栖川作品の特色が出ている長編だと思います。読後感が寂しいというかセツナイというか苦いというか・・・。アリスと火村のやり取りは凄く楽しいですけどね。

宮部みゆきの解説が面白いです。宮部さんヒムラーなのね・・・。

 

 

ブラジル蝶の謎

 

 

短編集。

●ブラジル蝶の謎

●妄想日記

●彼女か彼か

●鍵

●人喰いの滝

●蝶々がはばたく

の6編収録。

表題作の『ブラジル蝶の謎』は作家アリスシリーズとしては読まなければならない1編だと思われる・・・と、勝手に思う(笑)実は『人喰いの滝』はシリーズ初の短編で『46番目の密室』の次に書かれた作品。作中に『46番目の密室』での殺人事件に言及している箇所があります。『蝶々がはばたく』好きです。あと、『彼女か彼か』に出てくる蘭ちゃんが良い味出していますね。また登場させて欲しいなぁ~(ダメかなぁ~)。

 

 

英国庭園の謎

 

 

短編集。

●雨天決行

●竜胆紅一の疑惑

●三つの日付

●完璧な遺書

●ジャバウォッキー

●英国庭園の謎

の6編収録。

『三つの日付』は『海のある奈良に死す』に登場した赤星楽が(少し)関係している事件ですね。アリスの日記がおもろい(笑)『完璧な遺書』は倒叙ものでアリスが登場しませんが、ちゃんと真相究明には役立っている。「何やってんのアリス!」と、呆れましたが。『ジャバウォッキー』は今までに無いお話で新鮮ですね。

 

 

ペルシャ猫の謎

 

 

短編集。

切り裂きジャックを待ちながら

●わらう月

●暗号を捲く男

●赤い帽子

●悲劇的

ペルシャ猫の謎

●猫と雨と助教授と

の7編収録。

変化球的作品が多いですね。シリーズ愛読者は凄く楽しめますけど、知らない人はこの本から読むべきではないと忠告しとくべきかと思います。『悲劇的』と『猫と雨と助教授と』はミステリーじゃないですし(火村を知る上では欠かせないエピソードですがね!)、『赤い帽子』は森下刑事が主役のスピンオフ的お話で、『わらう月』は倒叙もの。表題作の『ペルシャ猫の謎』は賛否が分かれる作品かと。『暗号を捲く男』は朝井小夜子さんが出てきますね(朝井先生の初登場も『海のある奈良に死す』ですね)この三人で話してる感じ好きだ~。『切り裂きジャックを待ちながら』はもうちょっとページ数あれば良いのになぁとか思いました。(動機のとことかね・・・)

 

 

マレー鉄道の謎

 

長編。第56回日本推理作家協会賞受賞作。

アリスと火村がマレーシア旅行に行った先で起こる事件。シリーズ中、アリスと火村は二人で何度も旅行していますが(仲良し。こんなに軽率に、気軽に旅行出来ていいなぁ~といつも思う)このお話では海外旅行!ってことで読者のテンションが特に上がりますが、作中の二人も“海外ハイ”になっているのか何時も以上に軽快なやり取りが多いです。有栖川さんの長編には珍しく、ライトな雰囲気で終わっていますね。アリスは英語がそこまで得意じゃないとのことで、聞き取れなかった部分に『×××××(聞き取り不能)』と出てくる書き方がなんとも新鮮(笑)

 

 

スイス時計の謎

 

 

短編集。

●あるYの悲劇

●女彫刻家の首

シャイロックの密室

●スイス時計の謎

の4編収録。

表題作の『スイス時計の謎』はシリーズを楽しむ上で必読な1編ですね~。アリスのトラウマ関連のお話なので、作家アリスシリーズ二作目の長編『ダリの繭』を読んでからお読み下さいませ。此方の本は変化球な作品は無く、4編とも“いかにも”な本格ミステリーですね。本格ものファンにはオススメな一冊。

 

 

ロッコ水晶の謎

 

 

短編集。

助教授の身代金

●ABCキラー

●推理合戦

●モロッコ水晶の謎

の4編収録。

助教授の身代金』がタイトル詐欺!読む前、なんか変な期待した(そう思ったのは私だけじゃ無いはず・・・)ちなみに、2007年以降助教授”が廃止されて“准教授”たる地位が生まれたので、2007年以前は“火村助教授”以降は“火村准教授”で書かれています。長期間のシリーズだとこういうことあるんですよね~。私も当時は“助教授”無くなったのビックリしました。個人的には“助教授”の方が響きが好きなんですが・・・まぁ致し方ない(^_^;)このお話はドラマでもやりましたが、ドラマだとタイトルが『准教授の身代金』になってましたね。

『推理合戦』は7ページの小話ですね。また朝井先生が出てきます。有栖川作品のこういう小話、私好きなんですよね~(^_^)『ABCキラー』は新聞記者の因幡丈一郎が初登場する話ですね。表題作の『モロッコ水晶の謎』は占いが大いに関係しているお話で真相部分は有栖川作品ならではの驚きがあります。

 

 

 

 

 

『スイス時計の謎』のように作家アリスシリーズは各出版社の垣根を越えて展開されているシリーズですので、国名シリーズとか気にせず、あくまで刊行順に読みたい方はコチラをご参照下さい。

 

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以上、国名シリーズに的を絞ってご紹介した訳ですが、楽しみなのは新作ですね。有栖川さんは2016年の発言で国名シリーズの長編を書くとおっしゃっていますが・・・次はどこの国なのかなぁ~・・・いずれにせよ海外旅行希望!

 

※出ました!2018年9月7日に国名シリーズの新刊!

インド倶楽部の謎

 

 

 長編。

詳しくはこちら↓

 

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2019年9月に国名シリーズの中短編集も出ました!

カナダ金貨の謎

 

 

 中短編集。

●船長が死んだ夜
●エア・キャット
●カナダ金貨の謎
●あるトリックの蹉跌
●トロッコの行方

詳しくはこちら↓

 

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ではではまた~