こんばんは、紫栞です。
今回は森博嗣さんの『ダマシ×ダマシ』について少し。
あらすじ
「私は、その、もしかして、ある人に騙されてしまったかもしれないんです」
上村恵子は、銀行員の鳥坂大介と結婚した――はずだった。
言われるままに銀行口座を新設し、預金の全てを振り込んだ後、彼は消えてしまった。預金全てを引き出して。
鳥坂の捜索依頼を受けたSYアート&リサーチの小川玲子は調査していく中で依頼人の上村の他に彼に騙された女性二人をつきとめる。しかし、追っていた鳥坂は遺体となって発見されて――・・・。
森博嗣さんのシリーズ作品であるS&Mシリーズ、Vシリーズ、四季シリーズ、Gシリーズ、Wシリーズ、百年シリーズ・・・これらは全て巧妙に関係し合っているシリーズなのですが・・・そのシリーズ群の中の一つ、Xシリーズの完結編がこの『ダマシ×ダマシ』ですね。
XシリーズはGシリーズと平行しての刊行だったんですが、Gシリーズより一足先に完結となりました。Gシリーズは後期三部作に突入していて『χの悲劇』でドえらぁーことに!
森さんの壮大な一連の物語が終焉に向かっていることを感じさせる一冊です。後二冊でGシリーズは完結ですが・・・あぁどうなるんだ!Gシリーズの前にWシリーズを続けざまに刊行するみたいですけど・・・。
以下、ネタバレ~(森作品は何を書いてもネタバレに繋がるって気がしますな・・・)
Xシリーズって・・・?
このXシリーズなのですが、他シリーズに比べると全体の中でどのような位置づけにあたるシリーズなのかよくわからないんですよね。他シリーズは『すべてがFになる』の真賀田四季の影が見え隠れするのですが、
Xシリーズだとその気配がほぼ無い(言い切る自信が無い。どっかにあるのかも^_^;)
毎回の殺人事件もVシリーズ以降はあってないようなものというか、重要ではない扱いですよね。今回の『ダマシ×ダマシ』もそうだった。
椙田(保呂草)さん関係のスピンオフ的な雰囲気でお話は進んでいたんです。で、今回完結なので最後に真賀田四季の何かくるか!?と身構えたりもしたんですが、特にありませんでした。
しかし、棚上げにされた謎が・・・
一番気になるのはナオミさんの正体ですかね。あと、このシリーズに割と毎回登場していた鷹知祐一郎もたぶん他シリーズの誰かだと思うんだけど・・・真相は明かされないままでした。
このXシリーズ自体の役割が明かされるのはもうちょっと後でになりそうですね。Gシリーズの最後とかでわかるのかな?本当にただのスピンオフって事もありえますが・・・でも森博嗣だからなぁ・・・。
小川玲子
完結編の『ダマシ×ダマシ』を読んでこのシリーズは小川さんの“大切な人の死を受け入れるまで”のお話だったのだなぁ~とシミジミ。個人的に「新しい人と~・・・」とかってよりもこういう感じに終わる方が好みです。まぁ「信じられない我が儘」ですけどね。
実は、私、この主人公の小川玲子さんね・・・・・・Xシリーズの前に何処に出てきた人なのかずっとわからなかったのですよ・・・!
他シリーズをパラパラ読んでみてもわからずじまいで(^_^;)
自分の中で保留にしたままシリーズ完結まで読んでしまったのですが・・・。改めて調べてみたところ、短編集の『レタス・フライ』講談社文庫版のみに収録されている「ライ麦畑で増幅して」に登場しているとのこと。
・・・私は森作品ずっと講談社ノベルスで読んでいたのでわからんかったとです・・・なんということだっ!私はずっと講談社ノベルスを信じて(?)いたのに!なんでか裏切られた気分ですが・・・これから文庫版買って読んでみようと思います。
※「ライ麦畑で増幅して」読みました~!詳しくはコチラ↓
小川さん以外の事務所メンバーも将来への展望が開けて良かった。真鍋君、またあっさりと決断を・・・森作品の男どもはどうしてこう、熱量に乏しいのか・・・びっくりしますね。永田ちゃん的には「言ってみるモンだな」って感じだなコレ。
それぞれの巣立ちの時で若干寂しいなぁ~と、思ったら最後にまさかのアノ人物・・・メグミちゃんがっ!!
※メグミちゃんを知らない人はS&Mシリーズの『幻惑の死と使途』とGシリーズを読みましょう↓
φは壊れたね PATH CONNECTED φ BROKE Gシリーズ (講談社文庫)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/28
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いやぁ、お話の終盤「おや?この上村恵子、怪しいぞ?さては他シリーズの誰か・・・?」と思ったらねぇ・・・
メグミちゃんのその後がこんな形で読めて良かった。
これによって寂しさが軽減されました(笑)小川さんとメグミちゃんの二人で楽しくやっていけそうですね。
気になる謎は残されていますが、登場人物達の物語は綺麗にまとまって終わったので“シリーズ完結”を堪能できて満足でした。他シリーズの今後の展開も楽しみですね。
ではではまた~