こんばんは、紫栞です。
森博嗣さんの短編集『レタス・フライ』文庫版に入っている「ライ麦畑で増幅して」を読みました。
こちらの記事でも書きましたが、Xシリーズの主人公・小川玲子が初登場するお話ですね。
文庫版のみ収録のため、講談社ノベルスで読んでいた私は長らく見落としていたので(^_^;)Xシリーズを完結まで読んだ後に、(不本意ながら)Xシリーズ序章のこのお話を最後に読むって事になっちまい「順番が・・・!」と、今まで読み損じしていたことを無念に思ったりしたんですけど、こうやってシリーズ読み終わってから序章を読むってのも面白かったです。今まで疑問だった箇所が埋まっていくのと、シリーズラストの小川さんの心情と序章での心情を頭の中で照らし合わせることが出来て、なんというか・・・より強固に“Xシリーズの完結”を享受できたな~と。
お話の概要は小川さんが死んだ“彼”の家に行って、そこにいた椙田さんにスカウトされるXシリーズ始まりの物語。
短編として「ライ麦畑で増幅して」の題名で本に収められていますが、このお話のオチは後のXシリーズ完結編『ダマシ×ダマシ』で示されています。そこまで読まないとこの短編の真価は発揮されませんね。
“彼”の手帳に書かれていた
『午前と午後が背中合わせ。
それが小川君のものだ。』
このなぞなぞの答えも『ダマシ×ダマシ』で明かされます。椙田さんみたいに鋭い人は「ライ麦畑で増幅して」を読んだ時点で解いた人もいるんじゃないかな?聞けば納得の答えですね。
読んで思ったのはこの死んだ”彼“怪しいなぁと。社長ってことですが、詳細が大分ぼかされていて頑なに名前が出てこないし・・・そもそも椙田さんの親友って・・・う~ん(-_-)半年後に辞めてしまったっていう女性秘書も怪しい・・・なにか仕掛けが待ち構えているかも。まったく、コレだから森博嗣ミステリィは抜けだせなくなる(笑)
小川さんと死んだ“彼”は
『プライベートな関係がまったくなかった。そして、まさにその点が、私の弱みだったのだ。だから私は、それが後ろめたかったのかもしれない。潔白なのが、自分で不満だった、ということだ。』
そうだったのか・・・!
コレを踏まえると『ダマシ×ダマシ』での贈り物は感動すると共に、ホント「信じられない我が儘」ですね。小川さんが「なんてことをしてくれるのぉ!」と叫びたかったのも凄く頷ける。
「ライ麦畑で増幅して」を読まないままだったら、このシーンの深みがわからないままでしたね。読めて良かった!
私と同様にXシリーズ全部読んだのにこの短編を読み損じていた人はもちろん、短編だけよんでXシリーズは読んでない人は「ライ麦畑で増幅して」とXシリーズ是非合わせてお読み下さい。そうすべき!!
イナイ×イナイ PEEKABOO Xシリーズ (講談社文庫)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
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ではではまた~