こんばんは、紫栞です。
現在放送中の連続ドラマ『今からあなたを脅迫します』の原作小説最新刊「今からあなたを脅迫します 白と黒の交差点」を読み終わったので紹介を少し。
“脅迫屋シリーズ”3作目ですね。
ちなみに、真ん中の二人が千川さんと澪、他の二人が栃乙女と目黒さんです。
前2作の紹介はこちら↓
1巻は終盤でお話が繋がる連作短編、2巻は長編でしたが、今回出た3巻は短編集ですね~。番外編っぽいお話も入っていてバラエティに富んでいます。今回も五章入っていますね。
以下“脅迫屋シリーズ”の『今からあなたを脅迫します』と『今からあなたを脅迫します 透明な殺人者』のネタバレを含みます。ご注意下さい。
お話は前巻の『今からあなたを脅迫します 透明な殺人者』での事件の後。〈雨垂れの会〉の幹部を追い詰めたものの、会自体はそのまま存続し続けている状態で、千川を庇って撃たれたナンパ師のスナオが入院中。アニマルシャツを着た男(千川)が殺人容疑者としていまだ手配中で、澪は千川に付きまとうと決心して付きまとい中。千川も澪の前から消えることはなく、仕事に澪を連れ出したりと試すような事をしている。
・・・てな感じで、色々と膠着状態ですね。
では一章ごとにご紹介。
一章「橙色の顛末」
“脅迫屋シリーズ”は前2作ともほぼ澪が語り手でしたが、このお話は千川に脅迫をうけた益子孝行が語り手になっています。四年前に亡くなった結婚詐欺師の母親への恨みで脅迫されるんですが、孝行君自体は結婚詐欺には無関係で健全に生活しているので、“家族だから”って理由で脅迫されるのは理不尽な話なんですけど。
今まで澪視点だったので、第三者から見た脅迫屋と澪の不自然な関係が新鮮で面白いです。やっぱり澪って相当奇妙に見えるよね・・・。
二章「どうせ揺らぐなら」
こちらは澪が語り手。“ある男をこらしめてほしい”というのが脅迫の依頼内容。ギャルハッカー・栃乙女の過去が少し明らかになります。タイトルの通り、澪も千川も互いの関わり方に対して揺らいでいます。栃乙女の過去がお話に絡まって“仲間感”が強まってきたかな~と感じさせるお話。
三章「ソウルメイト」
脅迫の依頼主である紀田春子がお話の語り手。学生時代からの友達を脅迫してほしいとの依頼なのですが・・・。退院したナンパ師のスナオと依頼主の春子さんとの会話でお話が構成されています。千川さんは後から登場。澪はこのお話では不在です。
“ソウルメイト”ってそういうものかな?というのと、友達を勝手に偶像視するのって、相手は窮屈だろうなぁと。ただの同い年の人間なんだから。なので、この春子さんには「ちょっとどうなの?」とか個人的には思っちゃいますね。
四章「答案用紙は燃え残る」
澪が語り手で、澪の中学時代に起きた未解決の学校内でのボヤ騒ぎについて、大学を見学に来た千川と栃乙女に聞かせるお話。
このお話は“脅迫”はまったく関係なく、いわゆる“日常の謎”ものミステリで、なんだか違う小説を読んでいるみたいな気分になる(笑)しかし、私はこの巻に入っているお話の中では一番好きかもしれないです。
五章「部屋の中の像」
澪が語り手。平成のフィクサーである澪の祖父が登場したり、千川が追っている〈雨垂れの会〉に関連した事柄や殺人事件も絡んだりで、この巻のメインのお話ですね。
集団心理の危うさ・恐ろしさ・愚かさなどがテーマになっています。
澪が栃乙女の家でお泊まり会をしたりで、いよいよ本格的な友達に(笑)澪は祖父と完全に仲直り・・・と、いうか仲良しになっていますね。澪の祖父と千川さんは今後協力関係が強くなりそうです。あと、泥棒の目黒さんの以外な“別の仕事”が明らかになります。必見。
まとめ
このシリーズ第3弾ですが、読み終わっても上記のとおりの膠着状態のままです。
前巻『今からあなたを脅迫します 透明な殺人者』で出てきた〈雨垂れの会〉や、千川さんが〈雨垂れの会〉を追うきっかけとなった、四年前に死んだ女性・来栖稚菜との過去なども語られずじまいなので、シリーズとして大きな進展は無いですが、メンバー皆の結束力や仲良し度が強まってきているのが描かれている巻です。
澪は脅迫屋や平成のフィクサーである祖父など、裏社会とどっぷりと関わりながら“正しく”あることが出来るのか?
〈雨垂れの会〉への進展も含めて今後に期待ですね。
ドラマでは〈雨垂れの会〉についてやるのかどうかさえ疑問ですが・・・。
でも、この巻に入っているお話をやる可能性はなきにしもあらず。だと、思う・・・。

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ではではまた~