夜ふかし閑談

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スパイラル~推理の絆~ 小説版まとめ

こんばんは、紫栞です。
今回は1999年から2005年まで「月刊少年ガンガン」にて連載されていた漫画『スパイラル~推理の絆~』の、小説版の紹介まとめをしようかと思います。

小説スパイラル 推理の絆〈2〉鋼鉄番長の密室 (COMIC NOVELS)

 

小説スパイラル~推理の絆~
漫画の連載と平行して書かれていたもので全4冊。漫画の『スパイラル~推理の絆~』は原作が城平京さん、作画が水野英多さんでの作品で、小説版の方も原作者の城平京さんが書かれています。漫画作品のノベライズというのは、どうしても齟齬を感じる事が多いですが(このキャラクターがこんな事言うかな~?するかな~?といった・・・ね)原作者が同じだとそういった事が無くて良いですよね。

 

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漫画の『スパイラル』は最初(ホントに最初)推理漫画でしたが、中盤からドンドン形態が変わっていって終盤ではもはやファンタジーに・・・“推理の絆”ってなんぞ?って感じだったのですが、小説版の方は比較的きちんとした謎解きミステリです。
漫画本編の「ブレード・チルドレン」とは無関係に、事件の謎を解く。ミステリの典型的な筋立てに倣った作品ですね。


私は先行して漫画本編を読み始め、完読していますが、実は漫画本編よりこの小説版の方が好きだったりします。謎解きミステリ目当てで読み始めた漫画だったので、ファンタジックな展開にちょっと困惑してしまって・・・頭が固いんですね(^^;)


1~3までは漫画スパイラルの主人公でもある鳴海歩が探偵役を務めている長編と、後半に『外伝 名探偵 鳴海清隆~小日向くるみの挑戦』という外伝でのみのキャラクター・小日向くるみを語り手に、漫画スパイラルでの全ての元凶のお騒がせ兄貴・鳴海清隆が探偵役を務める短編が数話収録されています。本編の漫画では鳴海清隆がすでに失踪しているところから始まるので、この外伝は鳴海清隆が失踪する前、まだ普通に刑事さんやっていた時のお話ですね。まどかさんもしっかり登場します。


※漫画本編の単行本9巻巻末に『外伝 名探偵鳴海清隆 小日向くるみの挑戦』というショート漫画が収録されていますね。

 

 


完結編の4で外伝の長編が丸々1冊を締めて、小説版スパイラルは幕引きとなります。

 

 

 

 

では1冊ずつご紹介。


『小説 スパイラル~推理の絆~ ソードマスターの犯罪』

 

 漫画本編の第8話と9話の間にあたるエピソード。
歩とひよのが、一人の少女から兄の仇を討つために力をかしてほしいと懇願されて過去の殺人事件の真相を探ることになり、ついでに歩が剣の達人と対決したりするお話。
剣道がお話に深く関わっています。出だしが剣の達人との対決の場面からで、そこから歩が回想していく構成。過去の殺人事件はもちろんですが、剣の対決にもミステリらしい論理的思考が入ってきます。
外伝の方は「怪奇クラゲ二重奏」「ワンダフル・ハート」の2編が収録されています。「ワンダフル・ハート」が個人的に好みのミステリ。動機面とか・・・。

 

『小説 スパイラル~推理の絆~2 鋼鉄番長の密室』

 

小説スパイラル 推理の絆〈2〉鋼鉄番長の密室 (COMIC NOVELS)
 

 本編漫画の第25話と26話の間にあたるエピソード。
45年前に密室で死んでいた“鋼鉄番長”の死の真相を究明するお話。
“鋼鉄番長”との単語は何かの比喩的なものかと思ったら、もうそのまんま“番長”のことで。【熱き番長の時代】の舞台設定が良い意味で荒唐無稽でハチャメチャで面白いです。ひよのの熱弁と歩の冷めたツッコミがひたすら良いですね(笑)
外伝は「殺人ロボの恐怖」の1編を収録。ふざけたタイトルですが、内容は結構凄絶。本格ミステリ度が強いお話ですね。

 

『小説 スパイラル~推理の絆~3 エリアス・ザウエルの人喰いピアノ』

 

 いわくつきのピアノ、暗い影を持つ古い屋敷、殺されたと言われる一族の当主に、死因を疑問視される一族の妖婆。と、いう、実に怪奇ロマン溢れるミステリ話。
歩が中学生の時に遭遇した事件の顛末が語られます。途中、インタビュー形式の箇所がありますね。
外伝は「青ひげは死んだ」「カニの香りの悪魔」「ハイスクール・デイズ」の3編収録。「ハイスクール・デイズ」は犯人当て小説ではありませんが、鳴海清隆の本質が垣間見える作品で重要度は高いです

 

『小説 スパイラル~推理の絆~4 幸福の終わり、終わりの幸福』

 

 外伝、完結編。
表題作の長編の前に「近状報告」「くだんを殺せ」の2編が収録されていますが、この2編も含めての長編って感じですね。
この完結編には小学生の歩もお話にガッツリと登場します。およそ小学生らしからぬガキですが(笑)
折り紙と競馬による鉄壁のアリバイを崩すってのがお話の筋でして、ちょっと複雑そうに感じますが、真相はシンプルで良い。ちょっと空恐ろしい真相ですね。私はこの手のお話、好みです。
1~3までは特に漫画本編や外伝シリーズを知らなくっても単体で読んで楽しめるように書かれていますが、この完結編はさすがに漫画本編や外伝シリーズを読んでいないと面白味が半減してしまうと思います。

 

 

 

最後に
私がこの小説版が好きな理由には、元々本格ミステリファンだとういのとは別に、歩とひよの、清隆とまどかさんらコンビの会話劇が存分に楽しめるところにあります。

テンポの良い、クスッと笑える会話場面が多くあって、コンビもののボケツッコミが大好きな私としては非常に好みなのです。漫画ではそこまで会話劇入れられないですからね~話の都合上。半分ぐらい(いや、それ以上かも?)は、そこら辺のコミカルな部分目当てで読んでいました。そういった意味では一番のオススメは『鋼鉄番長の密室』かも知れないですね(^^)

 

小説スパイラル 推理の絆〈2〉鋼鉄番長の密室 (COMIC NOVELS)
 

 

 

本編漫画のファン、本格ミステリファン、ボケツッコミ会話劇が好きな方にオススメです。コミカルで読みやすいのでミステリ小説入門にも良いと思いますよ。

 

ではではまた~

 

 

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