夜ふかし閑談

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リピート 最終回 ドラマと原作との違いをネタバレ~

こんばんは、紫栞です。
ドラマ『リピート』、最終回を迎えましたね。

リピート (文春文庫)

 

このドラマの原作本についての記事は前にこのブログで書きましたが、

 

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今回はドラマを最終回まで観て、改めてわかった原作とドラマとのラストの違いについて纏めたいと思います。

 

 

 

 

※以下、原作・ドラマ共に多大なネタバレがあるのでご注意下さい。特にドラマに感銘を受けた人はこの先の原作のラスト内容は知らない方が良いかも(^_^;)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前の記事でも書きましたが、元々『リピート』の原作とドラマは【リピート】(時間旅行)の基本設定以外は主役や登場人物の設定、細かなストーリー展開もだいぶ異なるので、原作と同じところの方が少ないくらいです。

しかし、圭介(本郷奏多)の元カノ・由子(島崎遥香)が死んでからお話が大きく動き出すのは原作・ドラマとも共通の点ですかね。ですが、この由子、ドラマでは鮎美(貫地谷しほり)とのもみ合いの末にお腹に包丁が刺さって死ぬ。といった事故のような形でしたが、原作では【リピート】の事実に気付いた由子にたいし、発作的な怒りに駆られた圭介が首を絞めて殺害する――と、いう完全に恣意的なものです。


原作では圭介が主役なので、事件が起きるのも圭介の部屋ですね。由子が見付けた【リピート】について記録していたノートも、圭介が書いていたものです。
原作では、鮎美はこの由子殺害の事実は知らないままお話は進んでいきます。※天童さん(ゴリ)に屍体処理を頼むのは同じ。

 

で、由子殺害後、原作ではどのようにお話が進んでいくのか要約すると・・・・・・

 

 

鮎美は圭介の子を妊娠したことで、圭介にこのままこの世界にとどまって自分と結婚することを望むが、圭介は由子を殺害してしまったことにより、どうしても【リピート】して由子殺害をリセットしたいという思いが強くなる。元々結婚にたいして乗り気ではなかった圭介は、鮎美を騙してこの世界に置き去りにし、自分は天童らと共に【リピート】する道を決断する。
その後、風間(ドラマでは六角精児)と池田(原作のみの人物)から【リピート】のゲスト達は皆、“本来の世界では死んでいるはずの人達だった”との真相を告げられ、
“鮎美はこのまま放っておけば数分後に篠崎家(原作では鮎美は実家暮らし)にヘリが墜落して死ぬ運命だ。彼女を助けて一緒にこの世界に残るか、彼女を見殺しにしてひとり【リピート】するか”
の、二択を迫られる。
その場を飛び出し、篠崎家に電話をかける圭介だったが、電話口に出た鮎美の母親は、「鮎美は今家にいない」と言う。本来の歴史では自宅で過ごしているはずの鮎美だったが、この世界では妊娠した事によって体調不良で仕事を休んだぶん、休日出勤をしていたのだ。
そこで、圭介は愚かしい策を弄してしまう。
このままヘリが墜落し、鮎美の両親が死ねば、鮎美は妊娠した子を諦め、両親を助ける為に自分と一緒に【リピート】することを決断してくれるのではないか。そうなれば、すべては自分の当初の願いどおりになる――。
圭介は彼女の両親を見殺しにすることに決めた。
しかし、数時間後に報道番組を観てみると、死亡者として表示されたものの中に鮎美の名前も入っていた。
鮎美は休日出勤したものの、悪阻による体調不良で早めに帰宅、結局事故に巻き込まれて死んでしまったのだった。
運命の頑固さを思い知り、重い罪悪感に苛まれる圭介だったが、他に選択肢もなく、風間達の仲間となって改めて【リピート】する意思を固める。
だがその後、風間の事を怪しみ始めた大森(ドラマでは安達祐実)によって風間は殺され、混乱の中、池田は大森を殺害。これで【リピーター】は圭介、天童、池田の三人のみとなる。
圭介は天童に「池田を出し抜いて二人だけで【リピート】しよう」と持ち掛けられる。どうやら大森が風間を殺すように画策したのは天童らしい。池田のことも最終的に拳銃で撃つつもりなのだ。疑心暗鬼になるも、もはや天童を信じるしかない圭介はその話に乗ることに。
そして、運命の【リピート】当日。
天童の企みに気付いた池田は拳銃を持ち出し応戦。銃撃での騒動の中で天童と池田は死に、圭介だけが【リピート】に成功するも、戻った矢先に車道に踏み出し、車に轢かれて命を落してしまうのでした。(了)

 

 


どうです、なかなかのゲスい内容でしょう(笑)

 

 

 

原作ではこのように、人間の愚かしく、打算的で欲深い部分が全面に出されています。愛も希望も夢も無いみたいな。ダークサイドを描くのが狙いの小説なのかと。終盤はかなりドタバタしているので“収拾がつかなくなったのかな感”は漂ってしまっていますが。

 

ドラマの方ですと、主要人物三人は基本的に善良な人間として直されていましたね。
ドラマの圭介も天童さんも、原作のような行動はしないだろう思想の持ち主でした。原作とは違い、主役が鮎美なので、特に彼女はだいぶ掘り下げて描かれていましたね、善良に。(原作では圭介以外の人達はホント表面的にしか描かれていない)原作だと鮎美って「お前、絶対計画的に妊娠したろ」感がアリアリだったんですよ~。
原作での風間さんの仲間・池田さんは、ドラマでは大森さんに役割がふられていましたね。ちなみに、原作の池田さんにはドラマの大森さんのような深い人物背景は皆無です。


ドラマでは鮎美・圭介・天童の三人で「俺たちでリピートを終わらせよう」というのが最終的な目標になっていた訳で、鮎美だけが【リピート】に成功して(風間さんもしていましたが)二人の思いは彼女に引き継がれるのでした~・・・って、ところで終わっていましたね。あえて濁す感じにされてしました。

原作では風間、池田ら【リピート】の《常連》、ゲスト達も皆死んでしまうので、図らずも【リピート】は綺麗に終わっている状態ですね。原作の登場人物達は、誰も「リピートを終わらせよう」とは思っていなかったのですけども。

 


原作のとおりにやっていたら視聴者の同調は得られなかったでしょうし、人物設定・展開の変更は当然かなぁと思います。
原作とは別物として楽しむドラマでしたね。連ドラとして上手く作り替えられていたと思います。まぁ少なくとも、主要三人はドラマの方が私は好感が持てました(笑)
最後の終わり方は賛否がわかれるかな。どうなんだろう・・・(^^;)

 

 

原作とドラマで違う箇所はまだまだいっぱいあります。ドラマ観て気になった方は是非原作を読んで細かく確かめてみて下さい。

 

リピート (文春文庫)

リピート (文春文庫)

 

 

 


ではではまた~

 

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