こんばんは、紫栞です。
今回は【金田一少年の事件簿】シリーズのスピンオフ漫画『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(4)』をご紹介。
こちらの表紙絵はKC20巻のパロディ。
何だかいつも以上に金田一の顔の再現度が高いような・・・。もう4作目ですし、作者の船津さんも模写がどんどん上手くなってきていますね。
今回もいつも通り、不運にも金田一に出くわしてしまった犯人達の物語が展開される訳ですが、今作はついに「犯人総選挙」で1位に輝いた“地獄の傀儡師”が登場する「魔術列車殺人事件」が登場。
※「犯人総選挙」の詳細に関してはこちら↓
他、『魔神遺跡殺人事件』『首吊り学園殺人事件』の2編も収録された【金田一少年の事件簿】ファンには必見の1冊になっております。
では以下ネタバレ~
ファイル9「魔術列車殺人事件」(本家ではファイル15)
犯人:高遠遙一
作者の船津さんはやるつもりは無く、担当編集者にもそのように伝えていたにもかかわらず、犯人総選挙の企画のせいで描かざる終えなくなった地獄の傀儡師・高遠遙一。
・・・犯人総選挙なんてやったら1位はこうなるだろうことは目に見えて明らかな事なので、船津さんの言うとおり「これがマガジンのやり方か・・」ですね(^^;)
船津さんのやりたくなかった理由というのが「この漫画のコンセプトに反しているから」らしいのですが・・・そうですね、読んで納得しました。確かに高遠はこの漫画の醍醐味である“犯人の人知れぬ苦労”を描くことに反していますね。だって苦労しないんですもの。
なので、必然的に内容は事件状況へのツッコミが主になっています。
「魔術列車殺人事件」は私自身【金田一少年の事件簿】の数ある事件の中でも特にお気に入りで、幼少期には何度も繰り返し読んでおり、皆でお菓子食べる場面は何となく好きな箇所だったのですが、この漫画読んで「そういや殺人現場だったな、これ」と・・・(^^;)
金田一がリス使って助かろうとするのは私も当時子供ながらに疑問でしたね。助かった最終的な過程が省かれているのも可笑しいと思っていました。「結局どうやって助かったのさ」とね・・・。
あと、金田一が橋のレバー壊していたけど、これってその後どうしたのかな・・・とかも当時思っていました。結果オーライで犯人を絞り込むことに成功したけど、設備を壊しておいて直後にホテル側に報告しないの結構問題だと思うんだけど・・・(^^;)壊しといて「何をいけしゃあしゃあと・・・・!!」ですよね。
ファイル10「魔神遺跡殺人事件」(本家ではファイル18)
犯人:西村弥生
金田一も皆も犯人をあえて見逃したので有名な「魔神遺跡殺人事件」。横溝色全開で淫靡な雰囲気が漂い(さとうさんの絵もこの頃はキレキレで独特の色気があったのでエロティックでしたね~・・・)、ご都合主義すぎる超常現象が色々起こるのである意味でシリーズ史上もっともファンタジックな事件でもある。
最後の“忌まわしい記憶だけが上手いこと無くなる”というのもそうですが、港屋さんが呪いにおののいている最中に釣り鐘落ちてきて死んじゃうのは衝撃でした。もうここのシーンが強烈すぎて、この事件はここの印象ばっかり強いですね。しかもこれ本当にただの偶然だというのがまた・・・。弥生さんの「なんか死んだ」っていう感想は読者皆が思ったことだと思いますよ(笑)
本家だと“私は何も考える必要なかった「凶鳥様」の言いつけ通りに動いただけだから”と、弥生さんは言っていたのですが(病気で死にかけなのにあんなパワフルな犯行が出来たのも「凶鳥様」のおかげなんだよきっと)、『犯人たちの事件簿』ではここら辺のことは無視でしたね。まぁやるとオカルトちっくになって世界観が崩れるからアレなのかな・・・(^_^;)
「思う存分ジャットコースター・ロマンスして頂戴!」「リアルフェイスがラブソースウィートな真夜中のシャドーボーイね!!」に笑いました。出しちゃうのね、役者ネタも。
ファイル11「首吊り学園殺人事件」(本家ではファイル8)
犯人:浅野遙子
中盤まで金田一がまんまと犯人の思惑通りに動いてしまったことで有名な「首吊り学園殺人事件」。【金田一少年の事件簿】の手にかかると予備校や試験まで陰惨な殺人事件の舞台装置になるのかって感じ。本家では8作目の事件で、色々なパターンやってみようみたいな、そんな意気込みを感じる作品ですが。
終盤の謎解きで事件関係者にテスト受けさせるのも変化球な展開。浅野さんも恐怖しているように、自作のテストまで作ってとんだエンターテイナーな金田一少年。犯人としてはかなり嫌な追い詰めかたですね、ほんと。
浅野さんが言う「この漫画・・鳥の死体出がち・・・・」と、いうのは度々地味に指摘されているような気が・・・。確かに今思いつくだけでも「異人館村殺人事件」「蝋人形城殺人事件」「魔神遺跡殺人事件」・・・等ありますねぇ。気軽に雰囲気出せてトリックにも利用できる便利な小道具とでも思っているんでしょうか。普通に考えてかなりエグいですよね。犯人もモラルが悲鳴をあげますよねそりゃ。
運の良さの前には努力も無駄になるのが無情。
今作は高遠さんが登場するってことで注目の巻だったのですが、思っていたよりスンナリと、引き延ばすこともなく四話使って終わりでしたね。もっと特別感出すかと思っていたのですが・・・。やっぱり高遠さんを他の犯人と同列に扱うのは無理があるってことなのですね。
仰るとおり単体のスピンオフがあるくらいだし↓
前巻で「金田一少年の殺人」、今巻では「魔術列車殺人事件」やってしまったので、なんだか終わりが分からなくなって来ましたね、この漫画も。
こうなったら第Ⅰ期・FILEシリーズの事件は全部やるのでしょうか?ファンとしては読んでいると事件を一つ一つ懐かしむことが出来て楽しいから全部やってもらっても良いくらいですが。
次巻は「黒死蝶殺人事件」「飛騨からくり屋敷殺人事件」「怪盗紳士の殺人」を収録予定で2019年春頃発売予定とのことです。次巻も必ず読みます!
ではではまた~