夜ふかし閑談

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『メゾン・ド・ポリス』3巻 ドラマの原作小説の続編 あらすじ・感想

こんばんは、紫栞です。
今回は加藤実秋さんの『メゾン・ド・ポリス3 退職刑事とテロリスト』を読んだので感想を少し。

メゾン・ド・ポリス3 退職刑事とテロリスト (角川文庫)

あらすじ
若手刑事のための研修会に参加した帰り、柳町北署に戻るために車を走らせていた牧野ひよりと先輩刑事の原田は、れんげ町の都立えがお公園での爆弾発見の現場に遭遇する。
現場では原田の先輩刑事で定年間近の警備課係長・梅崎が捜査にあたっていた。さらには〈メゾン・ド・ポリス〉の一員、迫田の姿も。
公園での爆弾は粗末な偽物だった。都内では二週間前から同様の偽爆弾事件が起きており、迫田は事件が気になって現場を訪れていたのだ。「このヤマは、ヤバい。俺たちが解決するぞ」といつものようにデカ魂を再熱させる〈メゾン・ド・ポリス〉のおじさん達。元副総監の伊達の差し金で、ひよりは女嫌いの梅崎とコンビを組まされ、おじさん軍団と捜査をすることに。
捜査の最中、またも偽爆弾事件が発生。現場での“臭い”の手がかりから建設中の水族館に行着くが、そこには迫田の息子・保仁がいて――。

 

 

 

 


シリーズ第3弾!
こちらは2019年2月23日に発売された【メゾン・ド・ポリス】シリーズの3冊目。
※前二作に関して、詳しくはこちら↓

 

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2巻発売からわずか4ヶ月での刊行でビックリ。私自身、気がつかないうちに発売されていて何だか不覚です(^^;)それだけシリーズの勢いがのっているってことですかね。

この間最終回を迎えたTBSのドラマは、脇の設定や各事件内容自体もドラマらしく(?)盛り上がるようにかなり作り替えられていたので、内容は原作とはかなり乖離していました。

ひよりの父親の事件が解決するというのは原作の2巻までの内容と同じですが、ひよりが捜査一課に異動になったり、夏目さんが傷害で逮捕されたり、草介さんが実は潜入捜査官で云々といった愉快なことには原作はなっていません。


原作では、ひよりは相変わらず柳町北署の刑事だし、夏目さんをはじめ〈メゾン・ド・ポリス〉の面々は通常運転だし、草介さんはバーのマスターです。なので、続編とはいってもドラマの最終回からそのまま繋がる感じではないですね。

ドラマは原作というより“原案”レベルでしたね。個人的にはドラマはドラマで面白かったです。原作を読んでいても楽しめる別作品になっていたように思います。恋愛要素はもうちょっとみたかったなぁと思いますが・・・(^^;)

 

 

初の長編
今作は前二作より本の厚さが薄いです。本屋に買いに行ったら薄くって驚いたんですが、それというのも、今回はシリーズ初の長編なんですね。短編集だった全二作を読んでいたときから長編を読んでみたいと思っていたのでこれは嬉しかったです。と、いっても、ページ数は250もないので長編というより中編って感じですが。

あらすじにもある通り、今回は梅崎さんという新たな女嫌いのおじさんが仲間入り。今のままでも十分おじさんの相手をしているというのに、ここにまた女嫌いのおじさんかい。勘弁してあげろって感じですが(^^;)
女性刑事が主人公だと女嫌いの中年男性捜査官が出て来るのって定番ですよね。梅崎さんの女嫌いの理由はやむにやまれぬものがあるのですが、でもこれも王道というか、よくある理由です。ひたすらベタを走って行くってことで、ベタを楽しもうって心意気で読むのが良いかと。

 

最初は偽爆弾事件が多発して~といった流れなのでタイトルに“テロリスト”と穏やかじゃない単語が付いているものの、短編と同じようなノリで殺人とかは起こらずに終了かなと思ったのですが、中盤から長編ならではの劇的な展開になってちょっと驚きました。今回は先輩刑事の原田さんが結構クローズアップされていましたね。

 

テロリストの思想部分とかはシリーズ自体の雰囲気が元々ライトだからかもしれないですが、ちょっとお粗末でサッラとしすぎだなと思ってしまいました(私の普段の読書傾向がちょっとアレなだけかもしれないですが)。まぁあんまり深く描いてもシリーズらしさが無くなるので良いのかとも感じます。

終盤の盛り上がりもそうですが、ドラマを観ていた影響からか、読み終わっての率直な感想としては“ドラマっぽい”お話だなと思いました。映像化しやすそうというか。ドラマスペシャルとかでやりやすそう。なので、ドラマの続編に期待が高まる気分になりますね(^o^)

 

今作は迫田さん家族がピックアップされて“家族”に触れられた内容にもなっていました。息子だけじゃなく“あの人”も登場で、実はそこが一番楽しかったりします(^^;)迫田家の離婚理由もハッキリと判明しますね。


夏目さんは“家族”について思うところがあるらしいので、次作以降の展開に期待です。今作は夏目の存在感がちょっと薄めなので、次作は夏目さん主体のお話や伏線が出てきて欲しいなと個人的願望。気になる恋愛要素もあるようなないような~で保留気味なので、そこら辺も次作に期待ですね。

今作ではナナちゃんとのやり取りが少なめだったのが寂しかったのでそこも。草介さんはコンテストの為に店閉めていたってことですが・・・何となく胡散臭さを感じてしまう(笑)ドラマのように何か裏があるのかないのか微妙なところですね。

 


次作
著者の加藤実秋さんはすでにシリーズ4作目の構想を練っているとのことなので、4作目もまた半年と開けずに刊行されるかもしれないですね。このままの勢いでテンポ良く突っ走って刊行されると読者は嬉しい限りです。個人的にはまた長編が読みたいですが・・・どうでしょう。次作待っています!

 

 

メゾン・ド・ポリス3 退職刑事とテロリスト (角川文庫)

メゾン・ド・ポリス3 退職刑事とテロリスト (角川文庫)

 

 


ではではまた~

 

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