夜ふかし閑談

夜更けの無駄話。おもにミステリー中心に小説、漫画、ドラマ、映画などの紹介・感想をお届けします

『犯人たちの事件簿』9巻 感想 本当の完結まで、あと1冊!!

こんばんは、紫栞です。
今回は金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』9巻をご紹介。

金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(9) (週刊少年マガジンコミックス)

 

今巻はKCコミック『金田一少年の事件簿 吸血鬼伝説殺人事件』のパロディ表紙。

金田一少年の事件簿 吸血鬼伝説殺人事件 (講談社コミックス)

本家のこの頃のはじめちゃんは顔が幼い。これは『探偵学園Q』の連載を経ての絵柄の影響であると思われる。因みに、「吸血鬼伝説殺人事件」は当時『探偵学園Q』との連動企画連載だった。

 

 

前巻でFILEシリーズとCaseシリーズの事件をやりつくし(「異人館村殺人事件」だけは大人の事情でやっていませんが)

 

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グランドフィナーレするかと思わせてしなかったこのスピンオフ漫画。

 

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最終章に突入という訳で、不定期連載期の事件に突入。※事件の順番や連載の変動にについて、詳しくはこちら↓

 

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今巻は「吸血鬼伝説殺人事件」「オペラ座館・第三の殺人」「雪霊伝説殺人事件」の3つの事件と巻末に「お正月だよ犯人集合」と作者・船津紳平さんの実録四コマ漫画2本を収録。

 

 

 

 

 

●「吸血鬼伝説殺人事件」

金田一少年の事件簿 File(27) (講談社漫画文庫)

金田一少年の事件簿 File(27) (講談社漫画文庫)

 

 犯人湊青子
Caseシリーズ完結から期間が空いての久しぶりの作品だった「吸血鬼伝説殺人事件」。非常に珍しい血液型のはずのボンベイタイプが事件関係者のなかにいすぎなので有名な事件なのですが、このスピンオフではこの部分には触れていなくってちょっと意外。

そのぶんと言うかなんと言うか、血を抜いて体重を軽くするメイントリックについてだいぶ触れられていましたね。体重がグラム単位で要になるトリックなんて無理がありすぎるのよ。体重なんて食べたものとかで変化するじゃんね。あと、ロングヘアでも5センチ髪切られたら気づくって。初対面で血を大量に抜かれて髪切られてって、美雪ホント災難(^^;)。


剣持警部と美雪に気をとられていて前半では金田一無視状態でさほど恐怖を感じないまま終わっているのが新鮮。「ジッチャンジッチャン・・・・うるせーんだよ!!」と、言っていますが、青子さんの前でそんなにジッチャン発言はしていない。
バスタオル云々は私たちもそこツッコんじゃうんだと本家読んだとき思った。二時間ドラマ暗黙の了解ルールが通報しない世界なのね・・・。シビア。

 

 


●「オペラ座館・第三の殺人」

金田一少年の事件簿 File(28) (講談社漫画文庫)

金田一少年の事件簿 File(28) (講談社漫画文庫)

 

 犯人湖月レオナ
オペラ座ふたたび(※ノベルス版の事件があいだにあるのでホントはみたびですけど)

 

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 ということで、地縛霊みたいになった有森が友情(?)出演。数々の演技派犯人たちが登場してきたこの『犯人たちの事件簿』。レオナさんはモノホンの女優さんということで犯人の役作りが徹底されている。臨機応変さも役作りの賜物ですかね。しかし、演じることに夢中で金田一にさほど注意を払っていなかったら足をすくわれる結果に。やはりアドリブには限界がある…。
「仮面をつける必要があるのか」は確かに本家で解決編を読んでいたときに違和感があった記憶が。誰も見ていないのに何故かぶる。役作りでやっているということでカバーされていてなんだか感心した(笑)。


有森の亡霊とシンクロして「いるのかよ!!刑事いるのかよ!!」「やることが・・やることが多い・・・・」「やったあポンコツだぁ~っ!」などの懐かしのフレーズがまたみられてうれしかったです。本家を読んだときもチラッと思いましたが、この事件の犯人は本当にやることも多いし、計画も常に皆の行動をみて決めてと頭も使い続けなくっちゃいけなくって忙しそう・・・。

 

 

 

 

●「雪霊伝説殺人事件」

金田一少年の事件簿 File(30) (講談社漫画文庫)

金田一少年の事件簿 File(30) (講談社漫画文庫)

 

 犯人黒沼繁樹
スケキヨのような仮面をかぶっている人物が犯人の「雪夜叉伝説殺人事件」。

資産家の氷垣氏が「金はいくらでもだすから復讐したまえ」と言うのも驚きだが(どう考えても止めるべきところ)、激しい憎悪を隠すために薄笑いの仮面をつけて弁護士をしていた黒沼さんにはもっと驚き。「仮面を付けたまま平然とファミレスにも入れる・・これが心が死んでいるってことなのか・・?今の私なら・・殺れる!!」といったように、心が凍っていないと到底出来ないようなグロいメイントリックが印象深いこの事件。「はっきり言って放送事故・・!モザイクかけなきゃやっていられないレベル・・!」ということでモザイクかかっています。


他、特徴は「一人二役」と「二人一役」が絡み合っている複雑構造ですね。黒沼さんのターゲットである堂崎一志がドアの前で一生懸命二人に見せかけるためにお芝居しているのが可笑しい。絶対練習しなきゃ出来ない。黒沼さんも金のためにここまでやるかと関心していましたね。
殺人現場名物「〇〇の仕業だおじさん」は確かに『金田一少年の事件簿』でよく見るヤツ。横溝正史作品だと老婆が多いイメージですが、金田一少年だとおじさんがこの役割をやらされている率が高いな言われてみれば。

 

 

 

 

 

 

最後に収録されている「お正月だよ犯人集合」ですが、二ページ漫画で集合しているのは有森とかほるさんと的場先生。このスピンオフ漫画1巻で出て来た犯人たちですね。

 

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 最初の頃だからというのもありますが、何だかんだでこの三人が『犯人たちの事件簿』の代表(?)犯人っぽい。
一ページ余ったからという四コマ漫画ですが、マガジン編集長のお話が興味深かったです。周マガで「金田一少年の殺人」をやった時は人気のある事件だからかな~と思っていたのですが、編集長の希望だったんですねぇ。編集長は本家の「煩悩シアター」にも登場しているとのことで探してしまった・・・(^_^;)。

 

 

 

次!
さて、このスピンオフ漫画も次の10巻で本当の完結。2020年7月17日発売予定で、収録事件は「黒魔術殺人事件」「血溜之間殺人事件」「不動高校学園祭殺人事件」「獄門塾殺人事件」の四つ。「最終刊は内容盛り沢山の予定です!」と作者の船津さんも予告されているので、楽しみに待ちたいと思います!

 

※出ました!完結編10巻の感想・詳細はこちら↓

 

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ではではまた~