夜ふかし閑談

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コナン 映画『緋色の弾丸』ネタバレ・感想

こんばんは、紫栞です。

今月初めに名探偵コナン 緋色の弾丸』を観てきたので、今回はこの映画の感想を少し。

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名探偵コナン 緋色の弾丸』は劇場版『名探偵コナン』シリーズの24作目。

こちらの映画、本来は2020年4月公開予定だったものが感染症拡大の影響で延期となり、2021年4月公開となりました。丸々1年の公開延期という発表には当時なかなかに驚かされたものですが、内容がオリンピックを連想させるようなものだったのと、万全の体制で公開してシリーズ最高興行収入を狙いたいってことなのかなぁ~と、制作者サイドの意気込みを感じる決定でしたね。

が、満を持しての公開もゴールデンウィーク前に緊急事態宣言が出されちゃって何とも不運なことになってしまった。万全を期しての丸々1年延期だったろうに、一番の稼ぎ時であるゴールデンウィークに映画館閉鎖。本当にタイミングが悪いなぁと。それでも現時点で70億以上の興収いっているので、やっぱり凄いんですけど。

 

近年のコナン映画は特定のキャラクターにスポットを当ててストーリーを作る戦略(?)でずっときている訳ですが、今回は赤井家総出演を謳い文句にしたストーリーで、主題歌は東京事変

赤井家推しで林檎ファンである私は、「まさに私のためのような映画!」と、発表された時から「私が観に行かなくてどうする!」みたいな妙な使命感に燃えていた訳ですけども、なんやかんやで観に行くタイミングを逃し続け、今月になってやっと観に行った次第です。

 

 

 

 

以下ネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

お話は数年前のアメリカで起こった事件映像からスタート。このオープニング、何やらお洒落でしたね。日本でのスポーツの世界大会開催とリニア開通で盛り上がるなか、オープニングで出て来た数年前のアメリカでの連続要人誘拐事件を模倣したかのような出来事が起こり、日本にいるFBIの面々が密かに捜査を開始する――と、いったストーリー。

 

脚本は『相棒』シリーズや『科捜研の女』シリーズなど刑事ドラマもので有名な櫻井武晴さん。コナンの劇場版はこれまでに「絶海の探偵」「業火の向日葵」純黒の悪夢「ゼロの執行人」と書かれていて、近年ではコナン映画の常連の脚本家さんですね。

 

スケボーで道路交通法違反したり、建物にリニアがぶっ刺さったり、人間を辞めた技術を披露したりで「ウソだろ!?」というシーンの連続でツッコミどころ満載なのですが、もはやそれでこそコナン映画。観ている側としてもコナン映画にはそういった“とんでもなさ”を期待してしまうところがあるので、真面なシーンのみだったら逆にガッカリしてしまうかも知れない。

とはいえ、アメリカの証人保護プログラムが云々で犯人が私見を述べるのとかはいかにも櫻井脚本ちっく。『ゼロの執行人』でも公安のSが~と、組織の在り方やシステムへの批判やらが盛込まれていましたが、

 

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個人的には『純黒の悪夢』ぐらいエンタメよりでファンサービスに溢れた物語の方がコナン映画には向いているのではないかと思う。

 

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原作は本格推理漫画なので、クローズド・サークルで密室殺人とか、推理劇に的を絞ったものを映画でやっても良いんじゃないかって気はするし、個人的にはそういった話好みなので大歓迎なのですが、劇場版名探偵コナンでは本格推理路線は採用されないのかな。

 

 

映画は面白かったですが、観ての率直な印象は「灰原映画だったな」というもの。

今回はずっと灰原と連絡を取り合って事件解決に尽力する流れになっていて、いつもなら居合わせる少年探偵団の面子も「事件に巻き込まれるかもしれなくて危ない」と、博士と園子共々ヤイバ-ショーに追いやっちゃっているので(子供は危ないだとか言っといて、コナンは灰原引き連れてちゃっかりオッちゃんと蘭についてくるんですけども。しかもコナン、「灰原がどうしても来たいって」と、人のせいにしているし)、本当に二人だけで連絡を取り合い、協力しているので、今までになくコナンと灰原の相棒感が存分に楽しめる映画となっています。

お互いの能力への信頼感ですとかが垣間見えて、コナン(新一)にとって、蘭は守る対象で(物理的には守る必要皆無だけど)、灰原は一緒に戦える相手なんだなぁと。息の合った相棒っぷりは見ていて面白いのですが、この関係性には最終的には終わりが待っているんだよなぁ・・・と、なにやら切なくなった。

 

 

さて、では肝心の赤井さんはというと、想像していたよりも活躍が少ない。

コナンと相棒してるのは灰原だし、コナンと一緒に行動しているのは真純ちゃんだし、逃げた犯人を追い詰めたのは秀吉さんだし、最後の最後にすべてをかっさらっていったのはメアリーさんと由美さん。

実質、赤井さんは弾一発撃って車運転していただけなんじゃ・・・?って感じ。前半はずっと沖屋さんの扮装してたし、これなら『純黒の悪夢』のときの方がよっぽど活躍してんじゃないかって思う。顔はいつも以上に格好良くって、「気合い入れてセル画描いてんな」って感じでしたけども。

 

登場人物が多いせいか、赤井家がヤバすぎるせいか、活躍が分散されてしまったためですかね。正直言って、お話的にはFBIの面々がいれば事足りるだろうってなものですので、赤井家全員を話に絡ませるのは割と無理があったんじゃないかな。そもそも、赤井家はメアリーさんが縮んだのを隠していたり、赤井さんが絶賛死んだふり中だったりで、非常にややこしいことになっているので、家族全員で協力して~なんてことは今現在の設定上出来ないんですよね。

観る前は家族全員でのやり取りとか妄想してたんだけど、自分、願望が高まって設定の細かな部分を失念していたな・・・と、観ながら思った(^_^;)。

 

個人的に、赤井家メインにするのは時期尚早だったんではないかと。今の段階では、赤井さん一人に的を絞った話のほうが良かったのでは。原作がもっと進んで、家族間で状況の共有が出来てからのほうが、規格外な一家のスパイ大作戦みたいな楽しい映画が出来たんじゃ。ちょっとまだ願望引きずってますけど(^^;)。

 

CMや触れ込みから、この映画を観に行く人は赤井さんとコナンとの共闘を期待して観に行くはずなので、この内容では肩透かしを食うだろうなぁと。私自身もそうでしたし。

でも、コナンと灰原の映画として観るなら十分に面白い仕上がりになっているので、アピールポイントのズレというか、宣伝の仕方が何か間違っていたんじゃないか?と、思う。

 

せっかくの赤井さんなのに勿体ないなって。今回やったから後2・3年はメイン回やらないだろうしねぇ・・・赤井家も。登場人物の多い漫画も困りものですね。

 

 

とはいえ、秀吉さんやメアリーさんを劇場版で観られたのは嬉しかった。メアリーさんは出番少ないし、ぶっちゃけ話的には居なくてもいいだろって感じが特に強いんですけど、あの姿で長男に蹴り入れたり、背後を易々ととったりと、母親の貫禄を見せつけていましたね。声が田中敦子さんというのもあって、最強感が凄い。カッコイイ。『攻殻機動隊』ファンの私としてはどうしても素子を連想しちゃって、「攻殻観てぇ」ってなった。メアリーさん、口調もやってることもほぼ素子だし。

 

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今回の映画で分かった新事実は、メアリーさんがあの姿でもSISの仕事続けてるってところですかね。この事からして、イギリス側は完全に組織の幼児化の薬について把握しているという訳か。あの姿で日本に入国出来たのも、SISの協力があってなんですね。

 

エンディング後のシーンが必見なのですが、このシーン、原作ちゃんと読み込んでいる人じゃないと真意を知るのが難しいですかね。母からのメッセージは回りくどい。

 

エンディングはもう一つ、由美さんの“やらかし”が強く印象に残る。せっかくの登場なのに、由美さんがやったことといったら、デート中に酒飲んで酔っぱらって、プロポーズ忘れて、交際相手のお兄さんのあの高そうな車で吐くという、失態しかしていないというありさま(^_^;)。あの後兄弟で掃除したのかなぁとか妄想すると可笑しいですね。

 

後、ゲスト声優で出演している浜辺美波さんが凄く上手くって、“そういった”部分でのストレスなく鑑賞出来て良かったですね。またゲストで出て欲しい。

 

 

次の25作品目は警察学校組らしいです。25作品目で節目なので、黒の組織関連やるかなぁと思っていたのですが。20作目の『純黒の悪夢』のときのような黒の組織関連のオールスター揃い踏みのものは30作目まで持ち越しなんでしょうかね。原作あと何年やるんだっていうのもありますが。でも余裕であと5・6年は続けそうな予感はする・・・。

 

 

今後の赤井家のさらなる活躍に期待しつつ、原作も映画も追っていこうと思います。

 

 

 

ではではまた~