こんばんは、紫栞です。
今回は『金田一37歳の事件簿』11巻の感想を少し。
一瞬「え?オペラ座?」ってなる表紙ですが・・・ま、違います。怪人出しまくっている漫画なので、デザインもかぶっちゃいますよね(^_^;)。
11巻も通常版のみ。収録内容は9巻から続いている『綾瀬連続殺人事件』が完結。新章である『殺人二十面相』が1話収録です。表紙絵はこの『殺人二十面相』を受けてのものですね。
前巻の10巻で「作中ではスーツ姿なのに何で表紙絵がパーカー姿なんだ」と思っていましたが、
この11巻で金田一がパーカー姿で犯人と対峙しているのを見て「ああ、それでか」と。今回もそうですが、表紙が次の巻の内容を“先取り”しているってことなのか。表紙は本の内容に合わせた方が良いと個人的には思うのですが・・・。
以下、ガッツリとネタバレ。犯人も明かしていますので注意~
●「綾瀬連続殺人事件」
9巻から続いていたこの事件ですが、
今巻で7話中6話というほぼ1冊使ってやっとこさの完結。表紙絵は怪人がでばっていますが、この巻は完全に『綾瀬連続殺人事件』が主の本ですね。
続いてきた『綾瀬連続殺人事件』ですが、この巻に入ってから趣が大きく異なっています。
まず、序盤でもう犯人は小美野悠人であることが金田一の口から確信を持って告げられる。警察の調べで小美野が15年前に起きたリンチ殺人事件の被害者・如月晃一の弟であることも明らかとなり、トリックの解明と証拠集めの為に小美野の恋人でアリバイの証言者であるフミに協力してもらい“オトしに”かかる――と。
そんな訳で、犯人である小美野の視点も入っての探偵と犯人との攻防戦というか、頭脳バトルが描かれるといった倒叙モノな展開に。
はい、あ~・・・前の記事で予想したように、やっぱり小美野さんが犯人でしたね。
お酒が出るパーティーに自家用車で来たり、スタンガン持つようにすすめてきたり、一々フミちゃんと一緒に行動しようとしたり等々・・・色々怪しすぎましたからねぇ。ま、後半にこのような展開を用意していたのなら、犯人当てには元々重きを置いていなかったということなのかもですが。
メインであるアリバイトリックもやっぱり車のトランクを利用したものでしたね。シリーズファンとしては「ラベンダー荘でのトリックの応用だなぁ~」となるトリック。
今の車はトランクスルーが主流だから、トリックの為にクラシックカーを用意するってところが時代を感じた・・・。小美野さんはベストセラー作家なので、国産の中古車を乗っていたら不自然だから、ベンツのクラシックカーを態々買ったってことらしいです。著名人ともなると、アリバイトリックを行なうにも常人とは違った苦労が伴うようで(^^;)。
トランク開けた時に被害者が大きな音出したりしたらどうするんだとか、トランクで練炭たいたまま運転したら危ないんじゃないかとか、色々リスキーなんじゃ?って感じですが、それはこのシリーズではいつもの事ですかね。
受賞作の小説「綾瀬連続殺人事件」も小美野さんが書いたとのこと。ベストセラー作家なんで、新人賞で大賞を取ることなんて簡単って言っていますが、言うほど簡単じゃないというか、別名で発表されてもファンは作家の書き癖で気がついたりするし、選考委員の先生達も小美野さんの作品は当然読んでいるんだろうから、悟られないで書くのは結構難しいのではないかと。あまり読者なめない方が良いよ。
あと、スタンガンが大型ホームセンターに売っているのかとずっと疑問だったのですが、少なくともこの作中では普通に売っているようです。マジで?さすが都会は違うなぁ(^o^;)。
11巻に入って以降、犯人との1対1の攻防戦となるため、小美野、フミ、金田一の三人でのやり取りが殆どとなり、解決編も今回はこの三人での少人数制。
三人の他には時たま刑事の真壁先輩が出て来るぐらいで、作家の間宮先生も冬樹アガサも、編集者の箕田も、レギュラーメンバーであるはずのまりんちゃんも一切出て来なくなちゃうので、いきなり登場人物が大幅に減ったみたいで妙・・・と、いうか、いきなり別作品が始まってしまったような唐突感は否めませんね。途中でガラッと趣を変えていることにより、物語が間延びしてやたら長く感じてしまうような。そのくせ、動機面の描写は雑にサラッと流しているのも、頭脳バトルしてたのに最終的に金田一が仕込んだひっつき虫でオチてしまうのも何やら残念。今までにない展開で、コレはコレで面白いとは思うのですが。
いきなり退場してしまった訳ですが、冬樹アガサなどは今後別の事件で出て来るかもな~って気もしますかねぇ・・・どうなのでしょう。ま、別にそんなに出て欲しい訳でもないのですけど・・・(^_^;)。
ヘルメスの告白
話の初っ端に高遠さんが思わせぶりに出て来ていたので予想は出来たことですが、この事件も“高遠さん案件”だったらしく、小美野悠人はあの高遠さん率いる(?)十二神のうちの一人で計略の神である「ヘルメス」の名を拝命している人物だったことが明らかに。
最初が全身整形の結婚詐欺師だったのでアレでしたが、売れっ子俳優に続いてベストセラー作家とは。割と社会的地位が高い人材もそろえているのですかね。
さて、「ヘルメス」であったものの、高遠さんに言われて利用するために近づいたフミちゃんと付き合ううちに絆されて本当に好きになってしまった小美野さん。最後に「僕を――魔界から連れ戻してくれて ありがとう・・・!」と告げ、フミちゃんに「十二神ヘルメスの告白」というファイルが入ったスマホを秘密裏に託す。
おそらく高遠さんが今後企んでいることが記されているのだろうこのファイル。「気になる!早く内容教えて!」と、なるところですが・・・そう素直にこの漫画のストーリーは進んでくれないようで、フミちゃんは玲香ちゃんの“あの事件”以来(この事件がどんなものだったのかもまだ明かされていませんが・・・)、本当は事件に関わりたくないという金田一の心情を慮って、小美野さんから託されたファイルのことはとりあえず黙っておいて、自分一人で出来るだけ調べてみようと決意しています。
37歳になってから何だかんだでもう10冊以上も殺人事件と向き合い続けておいて「本当は事件に関わりたくない~」とか、今更金田一が言っても説得力がない感じですが。結局、高遠さんの事も気になってしょうがない様子ですし・・・読者的には「サッサと言っちゃえよ!」なんですけど。ま、多少もったいぶられても致し方ないか。
内容が気になるのは勿論ですが、一人で調べてみるとかフミちゃんの身が心配ですね。フミちゃんは今回の事件でもう十分辛い目に遭ったので、これ以上不幸なことは起きないで欲しいものですが・・・。
次は乱歩
新章の『殺人二十面相』はこの巻には1話しか収録されていないのでまだ何とも言えないのですが、この安直なタイトルから察せられるように、江戸川乱歩が絡む事件になるようです。
ハロウィンと江戸川乱歩展のコラボイベントを金田一とまりんちゃんが担当することになって~という流れですね。
性質上、少年時代から横溝正史風味を推してきた(のだと思う)このシリーズ。・・・乱歩・・・メインに持って来ちゃって良いんだ・・・。横溝正史と江戸川乱歩って、小説やミステリにまったく興味ないと混同しちゃっている人もいるのですが(現に私の友達もそうだった・・・)、昭和が舞台の日本ミステリというところが共通しているだけで全くの別物です。当たり前だけど。
ん~でも、『巌窟王』とかもやりましたしね。
単に題材として取り上げるってだけで、そう気にすることでもないのかな。
次の第12巻は2022年3月発売予定。また楽しみに待ちたいと思います。
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ではではまた~
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