夜ふかし閑談

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『金田一37歳の事件簿』13巻 ネタバレ・感想 まさかの犯人は〇!?「殺人二十面相」完結

こんばんは、紫栞です。

今回は金田一37歳の事件簿』13巻の感想を少し。

金田一37歳の事件簿(13) (イブニングコミックス)

 

連続ドラマに、金田一少年の事件簿30th』で本編漫画復活、

 

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スピンオフ漫画の『犯人たちの事件簿』も復活と、

 

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ただいま少年の金田一が忙しく動き回っておりますが、37歳の方も働いていますよ。

 

 

 

 

13巻は11巻から続いていた「殺人二十面相」の続きで完結までが収録されています。事件のあらすじなど、詳しくはこちら↓

 

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以下ネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

亜良木豪

「ジッチャンの名にかけて・・・!」からスタート。つまり、事件現場調べ直しからスタート(ジッチャンの名にかけて!と、言った後は大抵現場検証してシンキングタイムに入るのが毎度のパターン)の今巻。

 

開始からもう天才アーティストで空間プロデューサーの亜良木豪が「殺人二十面相」の正体で、今生き残っている関係者の中にいるんだと断言するはじめちゃん。乱歩展自体がこの殺人のために設計されたものだろうことは間違いないってことでその結論に。

 

殺人のために建物をおっ建てる(ま、これは展示ですけど)とは島田荘司作品ばりの大掛かりさですが・・・

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ま、今更か。

お金出すのは会社側ですしね。しかも客入り前の内覧会で事件起されるなんて、企画会社のドワンゴにしてみたらとても迷惑な話だなぁ。

 

人形の仕掛けであわや殺されかけるはじめちゃん。描写に割とドキッとしますが、ファンは皆ご存じのように、はじめちゃんはしぶといので大丈夫。

で、そこから唐突に十数年前に起きた「カルト教団“パノラマ王国”集団殺人事件」の教祖の息子・御堂力也という人物の名が赤峰さんの口から出て来て、亜良木豪は御堂力也の可能性が高いということに。最初、「パノラマ王国って何その名称」って思ったのですけど、乱歩の『パノラマ島綺譚』からとっているのですね。

 

 

 

そしてそのままの流れで「謎がすべて解けちまいましたよ!」で、スピーディーに解決編に突入。

 

遺体出現の謎密室の謎の二つですが、前回の記事で概ね予想していた通りのトリックでしたね。特に密室トリックは前回予想した忍者そのままのトリックだった。ま、あそこまでヒントを出されていたら一目瞭然か。

一件目の事件のトリックも布張っていたってことで、応用したトリックですね。シワが出ないように布張るの、たいへんそー。

 

犯人は億野さんか魚森さんだろうと予想していたんですけど、億野さんの方でした。

やはり誘導している感じが怪しかったものなぁ。魚森さんの「5人一緒だった」発言は億野さんが蔵に入っていく姿を見ていなかったのはおかしいってことだったんですね。単純なんですが、声の方に気をとられて気が付かなかった。悔しい。

 

トリックも犯人も予想していたのが半分当たった感じですが、しかして、まさか億野さんが男だとは思いませんでしたよ。あらためて見直してみると背が高いし、体型を誤魔化すような服着ているのですけども。

女装している犯人っていうと、『秘宝島殺人事件』思い出す。

 

 

今回の最初の被害者である葉狩京士朗には“トイレで便座をうっかり上げたままにした”ところを見られたために男だとバレたってのは完全にネタですね。

 

 

 

 

 

 

御堂力也

カリスマ美容師、パーソナルトレーナーインテリアデザイナー、アーティストと、有り余る才能で成功しかけては素性がバレて名前と顔、性別も自在に使い分けて逃げ回っていたという、乱歩作品そのままな設定の億野さん(御堂力也)。作中で「そんな昔の探偵小説と一緒にしないでよ!」と、言っていますが。まさにって感じ。

 

変装する人物というのは少年時代のシリーズから怪盗紳士(そういや、37歳の方には出てくれないのかな~)、高遠さんと描かれてきた訳ですが、御堂力也はその都度整形して顔変えてるってことで、より微妙なファンタジックさ加減。

現実には、整形で元の顔を完全に消し去るのは相当大変だし、他人の顔そっくりにするのも無理なので、充分ファンタジーではあるんですけど。この漫画シリーズは整形が偉大な世界軸なのよ。

 

美容師だった頃撮りためた顧客の髪型写真の中から地味で目立たない女性の顔(億野冴月の顔)を選んで海外で整形。正体を隠し、天才アーティスト・亜良木豪として成功した矢先、1億3千万分の1の偶然(どんな不運だ)億野冴月と出会ってしまい、取り込んで事務所を手伝わせていたものの、結局バレて弾みで殺害。

こうなったら何人殺すも一緒だってことで、恨んでいる人たちを一挙にまとめて始末しようと今回の計画を実行したとのこと。

 

御堂力也は逃げ回りながらも母や兄弟たちのような殺人者、同類にはなるまいと生い立ちに抗ってきたのだが、結局は弾みで人殺しとなってしまった。今回の計画は半ばやけくその心理状態でのものだったことが窺える。やけくそにしては、手が掛かりまくっていますけどね。

 

怪盗紳士や高遠さんのように余裕のある人物ではなく、周りの嫉妬や悪意に振り回されて犯罪者になってしまった少し気の毒な人物として描かれています。金田一「最後はその人本人の考え方だ」と言っていて、私も同意見ですけど。

その都度その都度の選択が間違っていたのだと思いますよ。一番のしくじりは実在する人物の顔そっくりに整形したことでしょうか。顔のモデルを設定せず、地味顔の男性にした方が楽だし良かったんでは。

 

 

御堂力也ですが、捕まりません。怪人二十面相さながらの大立ち回りでトンズラしちまいました。

最後は殺し損ねていた赤峰さんをハロウィーンの雑踏の中で刺殺して終わり。手の込んだ計画をした挙げ句のこの殺し方は、雑で本格ミステリファンとしてはいただけませんが。だったら皆そういう風に殺害すればよかったじゃんね。

 

37歳の事件簿の方も高遠さんのように“逃走する犯人”をやりたいのですかね。十二神だの玲香ちゃんの事件などでもう割とお腹いっぱいなんですけど・・・。

 

 

少年だけでなく、37歳の方も忘れずに注目していきたいと思います!

 

 

ではではまた~

 

 

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