こんばんは、紫栞です。
今回は『金田一少年の事件簿30th』2巻の感想を少し。
30周年記念継続中
連載30周年を記念して復活した“少年期”『金田一少年の事件簿30th』2巻目です。
1巻目が出たのは5月だったので結構期間が空いての刊行ですね。1巻は限定版がありましたが、2巻は通常版のみの販売です。
連ドラも終わってしばらく経つので30周年気分も薄まってきてしまっていましたが、
まだまだ特別企画は継続中のようで、コミックスの帯には11月13日に配信されるトークイベント第2弾、ミクサライブ東京9階で開催されているCafé「オペラ座館」、Amazonで購入出来る「金田一少年の事件簿30周年記念Tシャツ」発売中!
等々のご案内が書かれています。
地方在住なので行けないのですが、Café「オペラ座館」が気になる・・・。オペラ座のみに的を絞っているのがなんか良いですね。
あと、金田一耕助の名前の元となった言語学者・金田一京助先生の曾孫で劇作家である金田一央紀さんと金田一一との特別対談がYouTubeで公開されています。
(横溝正史作品の金田一耕助の名前の元になった人・・・って、ぶっちゃけ、この作品との繋がり殆どないのではって気しますが・・・)
以下、ガッツリとネタバレ~
「八咫烏村殺人事件」完
今巻は前巻からの「八咫烏村殺人事件」完結までが収録されています。長くなりそうな事件だと思っていましたが、きっかり2冊使っての事件でしたね。※前巻のあらすじなどについて、詳しくはこちら↓
前巻は元村会議員の黒羽が殺害されたところで終わっていました。今巻は黒羽が密室状態の茶室で前の二人同様に生首となって発見されるところからスタート。
第1の事件が社の奥での五重密室、第2の事件は関係者全員アリバイがある状態、第3の事件がシンプルな密室殺人と、いつもながら本格推理的トリック目白押しですね。
しかしながら、今回は数日後にダムの底に沈む村が舞台ということで“とりあえずこの場を乗り切れば良い”といった犯行内容になっています。
どうせダムの底に沈むから、容疑者不在の状況にすれば事件を迷宮入りに出来るだろうという算段で、証拠の隠滅など仕掛けの細部は大雑把。
たしかに通常なら警察も深く現場の捜査出来なくってうやむやになってしまうだろうところですが、名探偵はそんな状況でも見落としたりはしてくれませんよと。
特に第3の事件での密室トリックはあまりにもお粗末。どうせダムの底に沈むとはいえ、警察も鍵穴や釘の後には気が付くだろうと思う・・・と、いうか、犯行後すぐに回収しなくちゃダメだろう。何やってんだ犯人。
第1の事件の五重密室ですが、やはり首だけならなんとかなるもんだといったトリックでしたね。色々とリスキーですけども。ま、いつものことか。
密室が五重になっているというのもさほど問題にはなっていない。上は隙間だらけでしたから、実質密室じゃなかったですしね。
傾斜がある建物でのトリックって、島田潔さんの『斜め屋敷の犯罪』を思い出す。(あれはもっとトンデモトリックですけど・・・)
金田一少年の事件簿では毎度のことですが、ワイヤー張るの大変そー。一度張っているとこ丁寧に見せてくれ。
この手の“列で移動して云々”といった状況下のものは大抵行列の最後の人物が犯人(やっぱり最後尾じゃないと細工するのは難しいですからね・・・)ってことで、花鳥知不美が犯人。
三鴨さんが踏み外したり、鷲見さんが車の鍵を落したりはひっかけだったんですね~。惑わされずにストレートに考えれば良いと。
第2の事件で八咫烏荘に戻ろうと言い出したことや、車の窓を開けてから火薬の匂いがすると言うなど、不自然な点が多かったと金田一に指摘されていましたね。
まだ事件全部発生し終わってないから~って思って前巻を読み終わった段階では犯人当てを放棄していましたが、前巻の時点でちゃんとヒント出ていたのだなと。読者としてもっと推理するべきだったかと反省。しかし、いずれにせよ今巻の足跡の件は見抜けなかっただろうなぁ。
アリバイトリックに関してはゴミ袋が実は軽いとかなんだろうなとは予想がついた。紐で引っ張って空気の入った袋を割る、生首を持ち歩いて行動するなど、所々「魔術列車殺人事件」が連想されるトリックですね。
6年前に失踪した弁護士さんの行方が実は一番の驚きポイントかもしれない。消息を絶った屋根裏部屋にずっと“いた”という。
しかし、警察!失踪者の携帯電話発見したならちゃんと調べなさいよ!滝さん、なに普通に第三者に渡してんだ。え?行方不明での捜査ってそういうものなの?
八咫烏様からのお告げ(?)で犯行に及んだといったふうに描かれていましたが、結局自分で全部やらなくちゃいけないなら八咫烏様に「殺してくれ」って頼んだ意味ないよなぁ・・・。
首を捧げて何してくれるってんだ。報酬を示して欲しい。お告げ(?)から6年間経っての犯行というのも疑問でしかない。八咫烏様はなんとも気長ですね。
せっかくのベタなおどろおどろしい序盤の雰囲気も後半では殆ど感じられなくなっていて残念。
三人の被害者の首から下の身体について言及がないし、決定的な証拠も「警察が詳しく調べれば分かるだろう」で済ませてしまっているし、犯行内容だけでなく、ストーリー諸々ちょっと雑さが目立つ仕上がりだったかなぁと。
続くようだ
連載30周年を記念し、『金田一37歳の事件簿』をお休みして始まった『金田一少年の事件簿30th』ですが、この事件で終わらずにまだ続くようです。37歳の方があるからこの事件だけで終わりかなぁと思っていたのですが・・・。どれくらい続ける気なんでしょうかね?
次の第3巻は2023年1月発売予定。
“金田一史上初の事件が起こる”らしい。いつでも史上初なんではって気もしますが。次の事件は東北の村が舞台で佐木も出て来るようで嬉しい。37歳になってからはチラッと出て来ただけでご無沙汰状態ですからね~。
なんにせよ、また楽しみに待ちたいと思います。
※出ました!詳しくはこちら↓
ではではまた~