夜ふかし閑談

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『オメガ城の惨劇』感想 犀川創平 最後の事件とは!?

こんばんは、紫栞です。

今回は、森博嗣さんの『オメガ城の惨劇 SAIKAWA Sohei’s Last Case』を読んだので感想を少し。

オメガ城の惨劇 SAIKAWA Sohei’s Last Case (講談社ノベルス)

 

あらすじ

招待状に導かれて孤島に聳えるオメガ城にやってきた訪問者たち。物理学者、数学者、心理学者、医者、画家、記者、そして研究者であるサイカワ・ソウヘイ。

まったく繋がりも関係もない招待客七人は、オメガ城での集いがどんな種類のものかも知らずに招待に応じた。

招待主として記されていた「マガタ・シキ」の名前に興味と期待を抱いて。

 

城の執事までも主催者の顔を知らず、目的も分らないままだったが、“ある出来事”のお陰で皆高揚し、晩餐会は大いに盛り上がった。しかし、深夜になってオメガ城は惨劇に見舞われることに。

連絡手段が断たれた絶海の孤島で、生存者たちは必死に頭を巡らせるが――。

 

 

 

 

 

 

犀川創平 最後の事件!!

昨年刊行された『夏の終わりは海』の巻末に掲載されていた連載予告から既に心躍っていました『オメガ城の惨劇 SAIKAWA Sohei’s Last Case』

 

雑誌から読書クラブの会員に届ける会報誌へとリニューアルした『メフィスト』の目玉作品の一つとして連載されたこちら。なんといってもタイトルが森博嗣作品ファンにとっては「なんだって!」と興奮してしまう。

副題が「SAIKAWA Sohei’s Last Case」

 

イカワソウヘイズ ラストケース

 

犀川創平 最後の事件!!

 

犀川創平は森博嗣ワールドのすべての始まりである【S&Mシリーズ】の主人公で他シリーズにも深い関わりがある森博嗣作品での代表的人物。しかしながら、サブでちょこちょこと登場していた【Gシリーズ】も途中から時間が大幅にぶっ飛んだことで近年はご無沙汰状態でした。

 

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同じ世界線で描かれている一連のシリーズはいずれも時代が進んでの近未来ものとなり、本格ミステリからSF作品へと描かれ方が変わっているので、「もう犀川先生や萌絵は“モロに”作品に登場はしてくれないのかも・・・」と思い始めて数年経過してのこのタイトル。犀川先生が主のお話が読めるのか!?しかも最後って!?」と、ファンは大興奮な訳です。

 

本の帯には“「F」の衝撃、再び。”の文字。

「F」とは森博嗣さんのデビュー作で【S&Mシリーズ】第一作で衝撃の名作であるすべてがFになるのこと。

 

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たしかに舞台設定が「すべてがFになる」を連想させるものとなっていますので、始まりの物語である「すべてがFになる」を連想させる事件で“ラストケース”って事ですかぁ~?とね。非常に煽ってきている帯ですね。

 

それだけでなく、“オメガ城の惨劇”という部分もファンの引っ掛かりポイント。【Gシリーズ】の最終作として告知されているタイトルが『ω(オメガ)の悲劇』ですからね。

 

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「“オメガ”って付いているけど、カタカナ表記だし城だし悲劇じゃなくって惨劇だし・・・う~ん?」てな具合に困惑ですね。

 

ノベルス版と単行本版で同時販売ですので、買うときは注意が必要です。白地の方がノベルス版、

 

 

青い方が単行本ですね。

 

 

私はずっとノベルス版で買っているし講談社ノベルスが大好きなのでノベルス版で買いましたが、最初検索したときに出て来たのが青い方で、単行本と気づかずに「たっか!何事!?」ってなった(^_^;)。買う前にちゃんと確認しましょうね。

 

 

 

 

 

 

以下、若干のネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スペシャルな番外編

 

タイトルでファンの期待値が上がってしまう今作、読後の率直な感想は「欺された!」「嘘つき!」です。

 

この“やられた感”を肯定的に受け入れるファンと否定するファンとで意見が分かれるものになっていると思います。

だって、だって、タイトルが・・・詐欺じゃん・・・!こういった驚きは森ミステリィでは何度も味わっているので慣れてはいますし醍醐味的に面白いのですけども。でも如何せん今回はタイトルが、ね・・・!

 

孤島に聳え立つ城での殺人事件というのは本格推理小説的な感じでミステリ好きはワクワクする設定ではありますが、解決への展開の仕方は本格推理小説でありふれているものとは異なる。いわゆるクローズド・サークルものでのベタ展開はしてくれない。

 

やはり初期の本格ミステリ的な「森ミステリィ」ではなく、近年の「森ミステリィ」だなぁと。(個人的にはベタベタのミステリ設定大好きなので、初期の頃を思い出させるような作品も読みたかったなぁという気がしますが)

近未来設定ではありませんけどね。時代設定についてちゃんとした描写はないのですが、現代設定だと思います。たぶん。

 

終盤で明らかにされる真相だけでなく、一晩で一気に四人殺されるという展開はなかなか驚きでした。

一人ずつ殺すよりも一気にやった方が相手に警戒されないぶん成功率が高いという作中意見には頷くしかないですけど。ミステリでお決まりの閉鎖空間で一人ずつ殺すって、確かに回りくどくってかなり変なんでしょうね。

 

近年の作品はミステリとしてあやふやなまま終わるものも多かったのですが、今作はちゃんとミステリとして確り描かれています。日本と外国との行き来など無理があるのではないかという部分もありますが、犯行も犯人も規格外で面白かったですね。

 

とはいえ、やはりメインは事件の真相ではなくエピローグで明らかになる真相の方。長年森博嗣作品を読んできたファンだけが分るように書かれた真相ですね。

 

ま、人物名が全員カタカナ表記な時点で警戒はしていたし、途中何回も違和感はあったんですけど。終盤のブティック出て来るあたりが決定的におかしい。

 

 

今作の語り手は記者の女性なのですが、彼奴はいくつになっても罪な男ですな。「大勢が泣かされました」ですねぇ・・・。

 

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タイトルが匂わせまくっているものの、今作は【S&Mシリーズ】とも【Gシリーズ】とも違う、シリーズ外作品です。

しかしながら、真賀田四季と【Vシリーズ】のお二方が直接登場、「すべてがFになる」での舞台だった研究所が再び出て来るなど、ファンサービス満載のスペシャルな番外編となっていてタイトルに引っ掛かりつつも個人的には大満足な作品でした。

 

各シリーズを追ってきたならやはり絶対に読むべき本だと思いますので、「森ミステリィ」ファンは是非。

 

 

 

ではではまた~