夜ふかし閑談

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「ホットサマー・マーサ」あらすじ・感想 “岸辺露伴は動かない”らしからぬ、仰天エピソード!

こんばんは、紫栞です。

今回は荒木飛呂彦さんの岸辺露伴は動かない エピソード#10 ホットサマー・マーサ』の感想を少し。

 

JOJO magazine 2022 SPRING (集英社ムック)

 

あらすじ

7月7日水曜日。漫画家の岸辺露伴は、担当編集者の泉京香とのリモート打ち合わせで新キャラクターのデザインに問題があるので止めた方が良いと指摘されていた。コロナ禍でろくに取材も行けずにイライラしていた露伴は指摘を突っぱね、愛犬のバキンを連れて散歩に出かける。

いつのまにか近所にある神社の境内に迷い込んだ露伴は、御神木の幹に石垣で隠された空洞があるのを見つけ、石垣をどかして覗く。内部は拝殿になっており、鏡が置いてあった。

 

好奇心が湧いてきつつも仕事のため家に戻ると、机の上にはキャラクターのデザインが変更された完成原稿が。他にも様々な異変を感じ、スマホの画面を見てみると10月7日と表示されていた。

三ヶ月時間が飛んだというのか?原因は御神木の拝殿に違いないと思った露伴は再び神社に。すると、宮司からそれは「藪箱法師」の仕業だと説明されるが――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちら、2022年3月に発売された集英社ムックJOJO magazine 2022 SPRING」という、

 

 

一冊丸々『ジョジョの奇妙な冒険』に関するものが掲載されているジョジョ専門雑誌”のために描き下ろされた読み切り漫画。ジョジョのスピンオフ漫画シリーズ『岸辺露伴は動かない』の新作です。※『岸辺露伴は動かない』がどんな作品か、詳しくはこちら↓

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ムック本に限らず、作者自身の書き下ろし漫画で“釣る”商品ってのは巷に溢れておりまして、釣っておいてほんの数ページしかなくってガッカリなんてことが多々ある訳ですが(それでもファンは“描き下ろし”と言われると買ってしまうものさ・・・)、この読み切りは71ページで大ボリューム。

カラーもありで、こんな言い方をするとアレですが、“釣り”にありがちなお茶を濁すような内容ではなく、ちゃんと、確り、面白いので、この漫画だけを目当てに購入しても満足できると思います。

 

この「ホットサマー・マーサ」のエピソードを2022年12月26日に放送の実写ドラマでやるということで、ドラマの前に原作読みたいなと思って買った次第です。

 

1650円はちょっとお高いですが、コミックス収録いつになるかわからんし・・・収録されるかもわからんし・・・。このムック本に収録されているのを知らないで、乙一さんの『野良犬イギ-』の単行本を買うという苦い経験もしているんですがね・・・。

 

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「ホットサマー・マーサ」というタイトルで「何のことだろう?スタンド名?」とか思ったのですが、「ホットサマー・マーサ」は露伴先生が漫画に登場させようとしているキャラクターの名前。

このキャラクターについて、泉くんに「著作権が色々面倒くさいことになるだろうからデザインを変えた方が良い」と言われる。

 

円三つのデザインがまずいって最初ピンとこなかったのですが、ミッ〇ーのことですね。ディ〇ニー関連はヤバイっていう都市伝説、確かに聞いたことあるなぁ。

 

上記したあらすじの通り、知らない間に原稿が完成していて、見てみたらホットサマー・マーサが円三つのデザインから円四つのデザインに変更されていたもんだから、どうにかしようと露伴先生が躍起になると。「そーゆーのは許せないんだよッ!」ってことです。ま、確かに作家としては許せないってなるのかな。まして露伴先生だし。

 

初っ端から子犬を飼っていたり、コロナ禍で参っていたり、マスク姿だったり、半泣きになったりと、岸辺露伴らしからぬ”事柄が目白押しでファンとしては「え?」の連続。ストーカーじみた女性ファンも絡んで、読み進めると岸辺露伴の行動としてはもっと信じがたい事も起こる。

これで岸辺露伴はこんなんじゃないッ!」とならずに「私の露伴先生への理解はまだまだ足りなかったッ!」ってなるのが荒木飛呂彦漫画の凄味だなと思う。そこにシビれるあこがれるぅ。

 

 

荒木先生が「キャラとしては大好きで傑作の出来」とまで言っていたものの、漫画では「富豪村」でしか登場していなかった編集者の泉京香が再登場。ドラマ同様の露伴先生とのやり取りが楽しめるので、ドラマから知った人も馴染みやすい物語になっているかと。

泉くんはドラマで更に魅力が向上したキャラクターですよねぇ。ドラマ版はもう泉くんがいないと嫌ですもん。

ドラマでは一貫して「泉くん」って露伴先生呼んでいますけど、この漫画では最初「泉くん」って言って、その後のシーンではずっと「京香くん」って言ってる。その時の気分で呼び方変えているのですかね。細かいことではありますが、気になってしまう・・・。

 

 

今作は荒木先生自身もドラマ版をだいぶ意識して描いたのではないかと思いますね。今年の3月に発表された新作を12月に放送という最速での映像化も読むと納得です。

 

 

初登場の愛犬・バキンが凄くかわいい。途中「ギャー!」ってことになりますけど。さすが犬に容赦ない荒木先生だなといった感じ。バキンという名前は曲亭馬琴からとっているのですかね。泉鏡花→泉京香もですが、小説家から名前をとるのをオキマリにしているのでしょうか。岸辺露伴幸田露伴からとってのものだと最近やっと気が付いた私・・・(^_^;)。

 

 

コロナ禍や過激なファンといった現実世界と地続きな事柄が描かれているのが今作の特色。

色々な奇譚が描かれてきたこのシリーズですが、今までは「私達のいる世界とは少し違う別の世界での出来事」って感じだったので、何やら新鮮。露伴先生も私達と同じようにコロナ禍に参ったりするのだなぁと感慨深い。思うように取材出来ないのが堪えるのですね。露伴先生はリアリティ第一主義ですから。

 

「イライラして失言しそうだ」という発言にはちょっと笑ってしまった。露伴先生的にはどっからが失言になるのだろうか。暴言はいつも言ってるけど。

 

 

しかしながら、いつもの独特な雰囲気と奇妙で先が予想出来ないストーリー展開は変わらずで、ちゃんと「岸辺露伴は動かない」を愉しませてくれる。ヘブンズ・ドアを使っての解決もお見事。

最後ですが、あくまで「戻す」のではなく「正す」なのですね。半年分ぶっ飛んでしまったのと、結局“アレ”がそのままだったのが気の毒だなぁと。半泣きするほど悔しがっていたのに・・・。

 

ミッ〇ー諸々、どのようにドラマ化してくれるのか楽しみです。私はもう、『岸辺露伴は動かない』のドラマに関しては全幅の信頼を寄せていますので。不安はまったくありませんね~。

 

JOJO magazine 2022 SPRING」には他にもアニメ制作についての特集、声優、役者のインタビュー、小説作品も収録されていますので、気になった方はドラマ鑑賞と一緒に是非。

 

 

 

ではではまた~

 

 

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