夜ふかし閑談

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ドラマ『ブラック・ジャック』2024年版について、これだけは言いたい

こんばんは、紫栞です。

今回は、2024年6月30日にテレビ朝日で放送されたドラマ『ブラック・ジャックについて、これだけは言っときたいなということを書き殴りたいと思います。

www.tv-asahi.co.jp

 

こちらのドラマ、放送前から色々と言われておりましたね。ま、『ブラック・ジャック』ですからね・・・なんですけども。

私は『ブラック・ジャック』のファンでして、テレビドラマで放送されるとなればそれは観ますよ。観ましたとも。と、言っても、原作を超えられない・満足は出来ないだろうことは最初っから承知の上での視聴ですが。

 

 

 

無理

短編漫画である『ブラック・ジャック』は一つのエピソードが20ページほどで、そもそも2時間ドラマには向いていない。そして尚且つ、”20ページの漫画”という、この状態が完成形なので、他の手が入るだけで唯々完成度が損なわれるだけなのですよ。

 

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手塚治虫は省略がバツグンに上手い作家。『ブラック・ジャック』はその”上手さ”が存分に発揮されている作品で、原作から何かをカットすれば話として成り立たなくなるし、補完するような描写はかえって無粋で野暮天。

 

たとえ完璧・忠実な再現を映像でされたとしても、原作漫画を読んだ時ほどの衝撃や感動は得られない。

 

「いくら何でも持上げすぎだ」「そんなのはファンの思い込みだ」と言われればそれまでなんですけど、読者にそう思わせるほどの名作なんですよね。

 

なので、いっそ原案レベルであるOVA版ぐらいオリジナルストーリーの方が個人的には楽しんで観られる。

 

ストーリーは同じなのにラストだけ変えてしまっていたテレビアニメシリーズの方が受け入れがたかった。 

 

 

そんな訳で、失礼ですが端から過度な期待はしないでの視聴。原作ファンとして気に入らないところを上げるとキリがなくなるし、ドラマの感想を当ブログで書く気は無かったのですが、いざ観たら「どうしても、どうしてもこれだけは言っときたい!」と、なったので、書いておきます。

 

 

 

 

 

 

やっぱり、キリコ

このドラマ化にあたって論争を巻き起こしたのは、原作で安楽死を専門としているキャラクターのドクター・キリコですね。私も「言っときたい!」ってのはやはりこのキリコについてですよ。

キリコは原作では男性ですが、ドラマでは女性という設定に変更されました。放送前の事前情報で知らされた時からファンの間で非難囂々でして、朝日新聞に掲載された番組プロデューサーのインタビューで語られた、苦しむ人を死へと導く『優しい女神』として描きたいという一文でさらに燃えた。

 

私も、最初にこのインタビューを知ったときは「優しい女神ぃぃぃ!?はぁぁぁぁ!?」って、なりましたよ。

キリコというキャラクターの解釈違いに関しては既に散々に指摘されているのでここでは書きませんが。(解釈が違いすぎて、もはや私は指摘する気も起きない・・・・・・ほんと、何でそうなる)

 

私が言いたいのは、「このドラマに安楽死専門の医師であるキリコを出す必要があったのか?」ということです。

 

今回のドラマ、原作のエピソードを数話つぎはぎしての構成で、「顔」「美醜」でまとめられていました。テーマを定めてまとめるのは良かったし、2時間ドラマとしてストーリーは上々の出来だったと思いますが、「顔」「美醜」がテーマなのなら本来キリコが話に入り込む余地は無いはずです。

 

じゃあ何で登場させるのかと思いきや、「この顔で生きていたくない」って言う患者の自殺に協力してあげるという役回り。

「女性だからこの患者の苦しみに寄り添えている、キリコを女性にした意義はあった」との意見もあるようですが、私は全然そんな風には思えません。

 

女性に変更した意義云々の前に、”キリコを登場させた意義”がこのドラマにはない。

 

劇的な容姿の変化によって生きているのが辛いという気持ちは理解出来ますが、それで死ぬ手伝いをして下さいというのは、自殺幇助。終末期患者に対して行われる医療処置である安楽死とは全くの別物で、同列にするものではないでしょう。

 

これなら、単純に親身になってくれる女性カウンセラーとかで充分だったはず。どうせ原作のキリコと共通している部分は何一つないのだから、あの研修医や弁護士と同様にドラマのオリジナルキャラクターにすれば良かったのに。

キリコは原作でだって数回登場するだけだし、「キリコがいなきゃ『ブラック・ジャック』にならない!」なんてことはない。無理に登場させる必要なんてどこにもないのに。

 

おそらく最後に原作でのブラック・ジャックとのやり取りを入れたかったからなのでしょうが、あの会話も今回のドラマのテーマにはそぐわなくって唐突感が否めなかった。

 

 

 

 

 

 

 

原作を読もう!

他にも原作の名台詞入れていましたが、原作とは場面も状況もキャラクターの心境も違うので、ともすれば原作を冒瀆された気分になる。

スターシステムとか小道具とか、凝っているところは凝っているのですけどねぇ。どうも本当に汲み取って欲しいところを汲み取っていない感じ。リスペクトが表面的といいますか。

「神になりたいのかもしれない」というブラック・ジャックの台詞についても、真意をたどりにたどっていけば原作と近しいものになり得るのかも知れないですが、やっぱり誤解を招くので言わせるべきじゃなかったと思う。

 

 

ドラマのキリコは扮装も酷いもんでしたが、他のキャラクターに関しても、原作の『ブラック・ジャック』は少年誌での連載だったから分かりやすいキャラ付けとして漫画的扮装をさせているだけなので、実写化するなら扮装も現実世界にマッチするように変えて良いのにと個人的にずっと思っています。それにしても、馬がいっぱい出て来たのは何だったのか・・・特にあのかぶり物。

 

今回と比較する形で2011年版のドラマが話題に上っていたりしますが、

 

2011年版は2011年版で、ピノコが二人いたりキリコがまるで老人のように描かれていたりと内容は大概だった。

 

歴代役者一覧やアニメ一覧でヤング ブラック・ジャックが出ていたりもしますが、

 

 

 

 

ヤング ブラック・ジャック』は他者による二次創作的な作品なので、手塚治虫の『ブラック・ジャック』と並べて語るのはやめて欲しいと、声を大にして言いたい。

 

 

今回の2024年版は、ドラマとしての出来は悪くなかったと思うのですが、どうしても、ううん、どうしても・・・です。

ええ、とにかく言いたいのはですね、みんな、原作読もうぜ!

 

 

秋田書店文庫版を再現したドラマメインビジュアルが公開されていましたが、

anime.eiga.com

秋田書店文庫版は買う際には注意が必要です。詳しくはこちら↓

 

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ではではまた~