夜ふかし閑談

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『岸辺露伴は動かない』ドラマ第9話「密漁海岸」あらすじ・解説

こんばんは、紫栞です。

今回は、ドラマ『岸辺露伴は動かない』の「密漁海岸」について少し。

 

岸辺露伴は動かない

 

2024年5月にNHKで放送された1時間のスペシャルドラマ。このドラマシリーズは2020年から不定期放送が続いているのですが、※詳しくはこちら↓

 

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「密漁海岸」は4期、最初から数えると第9話目となります。(間に映画があったので、それも含めると10個目のエピソード)

 

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約一年前に放送されたものなので感想や解説を書くのは今更ではありますが、映画第2弾の『懺悔室』も上映開始されましたし(もちろん今回も観に行く予定!)、今一度ドラマの最新話を振り返っておこうかと思います。

 

「密漁海岸」の原作はコミックス『岸辺露伴は動かない』第1巻に収録されている短編。

 

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ジョジョの奇妙な冒険』第4部にも登場する(とはいっても、この話の舞台はジョジョ本4部とは別のようで、人物の設定は少し異なる。ややこしいね・・・)イタリア料理のシェフであるトニオ・トラサルディー露伴先生が、貴重なアワビが欲しくって密漁をしようとする物語。

 

原作は本当に二人で密漁しようとするだけのお話なので、どうやって1時間ドラマにするのかなと思いましたが(ま、「ジャンケン小僧」も出来たくらいなのでいらん心配だって気もしますけど・・・)、『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』コミックスでは33巻収録、アニメだと第10話で描かれた短編「イタリア料理を食べに行こう」とのドッキング構成となっておりました。

 

 

「イタリア料理を食べに行こう」はトニオ・トラサルディーの初登場回で、新しく出来たイタリア料理店に仗助と億泰の二人で食べに行くお話。

このドラマでは原作の仗助と億泰がした役割が、露伴先生(高橋一生)と泉君(飯豊まりえ)の二人に変更され、そのまま割り振られている訳です。

 

ドラマ前半は「イタリア料理を食べに行こう」、後半が「密漁海岸」で上手く繋げられています。「密漁海岸」というタイトルではありますが、実質、短編二つを実写化したものとなっていますね。

 

 

 

 

 

 

 

ジョジョ4部のエピソードをやるというのはこれまでにも「ジャンケン小僧」などがありましたが、「イタリア料理を食べに行こう」は原作ですと箸休め回というか、スタンドバトルなしのギャグ回でして、まさか実写で映像化してくれるとは思っていなかったので嬉しかったです。

原作では料理に感激した億泰が言う語彙がふんだんな食レポがチグハグでジョジョ特有の勢いとダイナミックさがあって可笑しく、ギャグ的面白さを醸し出しているのですが、ドラマの方では億泰のこの食レポ露伴先生と泉君でそれぞれに分担されている。

 

食レポ部分のセリフは原作ほぼそのままなのですが、編集者の泉君と作家の露伴先生が言うとピッタリとハマっていて、完全なヤンキーである億泰が醸し出すチグハグ感とはまた違う面白さがあって良い。

原作だとギャグ回なのに、ちゃんとこのドラマシリーズ独自の雰囲気を保った奇談になっているのが凄いところですね。

 

ジョジョ4部では料理で体調不良をたちどころに治癒するスタンド能力者のトニオ・トラサルディー(Alfredo Chiarenza)が、ドラマでは医食同源スペシャリストで毒の持つ薬効を最大に引き出せるというふうに変更されていたのも自然で良いですね。でも一応”ギフト”の持ち主ではあるのかな?

 

しかし、ま、ああはならんだろって感じですけど。あんなに滝のような(比喩ではなく本当に滝のような!)涙が出て来たらメイク直し大変だなと思う・・・服も汚れるし。

泉君役の飯豊まりえさんのパスタにがっつく演技が凄く上手くて感心しました。

 

衣装も「原作の”それ”再現しますか!?」と、驚くぐらいに割とそのまま再現されてましたね。奇抜なのに浮いていないのが絶妙。これはデザインだけでなく、着こなす役者さんと画面演出によるところも大きいのでしょうが。服装もこのドラマシリーズの楽しみの一つですね。

 

最後に明かされる「罠」も、和製ホラー感が強調されていて良いですね。

このお話を象徴する「オイオイオイオイオイ」「ナアナアナアナア」「だから気に入った」の一連の流れは自然な言い回しになっていましたが、原作通りの強い言い切りスタイルのが見たかったので正直なところ少し残念。

 

AmazonPrimeですと限定で、「密漁海岸」裏側のミニドラマが観られます。長さは15分くらいで、内容は泉君とトニオさんの婚約者である初音さん(蓮佛美沙子)がお喋りしているもの。ぶっちゃけ、観なくても大丈夫なお話ではありますが・・・。

 

 

今回再度視聴してみて、やはりこのドラマは短編のアレンジが巧みだと再認識。映画の『懺悔室』はどのようになっているのか非常に愉しみです。

映画観たらまた感想を書きたいと思います。

 

 

ではではまた~