こんばんは、紫栞です。
今回は、中山七里さんの【嗤う淑女シリーズ】をまとめてご紹介したいと思います。
悪女ミステリ
【嗤う淑女シリーズ】は長編ミステリ小説のシリーズ。一人の女性によって破滅へと導かれていく人々を描く”悪女もの”で、中山七里作品らしいどんでん返しミステリも堪能出来るシリーズとなっております。
一作目は2024年に連ドラ化もされていますね。
2015年に第一弾の『嗤う淑女』が刊行され、その後『ふたたび嗤う淑女』、『嗤う淑女 二人』と、三作品刊行されています。
正直、全然読む気はないシリーズだったんですけど、中山七里さんの『連続殺人鬼カエル男』のシリーズの方を元々読んでいまして、
2024年末に『連続殺人鬼カエル男 完結編』
が刊行されたと半年ぐらいしてから知り、「読まなきゃ!読まなきゃ!」って慌てて買ったのですけども、調べてみたら【嗤う淑女シリーズ】を読んでからじゃないとダメだみたいなことが書いてあり。
「ええ~!別シリーズ三冊読まないとダメなの?」で、買ったものの一旦また読むの保留していたのですが、最近になってKindleUnitedで【嗤う淑女シリーズ】が三冊とも無料対象になって、渡りに船!とばかりに飛びついて読んだ訳です。
以下ガッツリとネタバレ~(※『連続殺人鬼カエル男』の方のネタバレも含みますのでご注意下さい)
では三冊まとめてご紹介。
●『嗤う淑女』
中学一年の秋、野々宮恭子のクラスに従姉妹の蒲生美智留が転校してくるところから物語は始まる。いじめと難病から救ってくれた美智留の恩に報いるべく、恭子はとある犯罪に手を貸し、二人は重大な秘密を共有することに。
時が経ち、27歳になった美智留は恭子を助手に生活プランナーとして経済的不安を抱える顧客へのコンサルタント業を行っていた―・・・。
んですけども、ま、「生活プランナー」ってのは名ばかりでして、美智留が顧客を陥れて金をふんだくったり死に至らしめたりする訳ですね。
各章で主人公が異なり、タイトルがその人物の名前になっています。各章で各人物が美智留に翻弄される様がその人物視点で描かれる訳です。
悪女ものに間違いはないのですが、陥れられる人たちが利己的であまり感情移入出来ない人ばかりなもんで、美智留に対して嫌悪感はあまり抱かない。むしろ爽快感があるくらいですね。
1作目はいじめや性的な部分など、醜悪な描写が結構あります。美智留も身体を張った罠を仕掛けていて「目的の為とはいえ、そこまで醜態をさらさんでも・・・」ってなる。
【御子柴シリーズ】
の宝来兼人が終盤で働いてくれています。上手い具合に使われちゃってますけど・・・。
【犬養隼人シリーズ】の麻生さんも出て来ます。
麻生さんは後の二作でも捜査している刑事として出て来ます。ま、警視庁捜査一課だから・・・。
美智留はこの本の最後で恭子と入れ替わって刑務所行きを免れています。以後、蒲生美智留は死んだことにして野々村恭子として生きていくことに。
●『ふたたび嗤う淑女』
前作から三年後が舞台。野々村恭子と名乗って、今度は投資アドバイザーとして人々を陥れている。この本では一人の政治家に的を絞って罠を仕掛けています。
各章の主人公の名前がタイトルになっているのは前作と同じ。途中で出て来る奥さんの意見が凄いズバズバした正論で読んでいてやたら気分が良くなりました。ま、結末はあんなことになってしまいましたけど・・・。
美智留がこの政治家を狙っている理由が謎で、それに引っ張られて読んだのですが、単純に面白そうってだけでちょっかい出していたと最後に判明してずっこけました。
今作でもどんでん返しの仕掛けはありますが、これはもう途中で予想がついてしまう感じですね。
今作ではもう蒲生美智留が悪女として完成している感じで、前作のように自らの身体を使っての罠は仕掛けず、影で人を操るプロになっています。
●『嗤う淑女 二人』
高級ホテルでの同窓会で17名が毒殺、ツアーの大型バスの爆破、中学校校舎の放火、スポーツジムの爆破・・・・・・大量の死者が出る事件が連続して発生。いずれの事件でも被害者のうちの一人が番号の振られた紙切れやプレートを持たされていたことから、警察は同一犯による犯行として捜査を開始した。すると、捜査線上に「有働さゆり」の存在が浮上して―・・・。
第三弾は前二作とは趣が異なりまして、テロなのかなんなのか目的不明の大量の死者が出る事件が起きて、事件に巻き込まれた被害者や捜査している刑事、有働さゆりの視点などが入り乱れて描かれる構成になっています。
この「有働さゆり」、『連続殺人鬼カエル男』での犯人でして、『連続殺人鬼カエル男 ふたたび』の最後で医療刑務所から脱走して指名手配中の女性。
運命の悪戯で蒲生美智留と出会っちまったようで。また最悪な取り合わせなのですが。蒲生美智留による指示の元、有働さゆりが犯行を実行しているという訳です。
読むと必然的に『連続殺人鬼カエル男』のネタバレをくらうので、本の注意書きに書いといて欲しいもんですね。
【嗤う淑女シリーズ】の三作目でありながら、同時に【連続殺人鬼カエル男シリーズ】の三作目でもあるという、シリーズがクロスした本になっております。
二人の悪女の共闘と対決がメインって感じでミステリ的な仕掛けもなく、オチも半端。ま、続きは『連続殺人鬼カエル男 完結編』でってことなのでしょうが。
蒲生美智留の特徴である美貌と言葉巧みに人を操る能力が発揮されていないので【嗤う淑女シリーズ】としてどうなんだと思いますね。
有働さゆりが手錠使って裏をかこうとするのが読者的にも「いやいや、それ後々困ったことになるっしょ」って思ってたら案の定な展開になったので、有働さゆりは頭脳派犯人ではないんだな~と痛感。肉体労働派なんですね。
有働さゆり関連で、古手川と御子柴が登場しています。御子柴はともかく、古手川は本当にチョロッとの登場ですけど。『連続殺人鬼カエル男 完結編』の方でガッツリ出て来るから控え目なんですかね。
いざ、完結編へ
三作品一気に読んだのですが、作品としてはやっぱり第一弾の『嗤う淑女』が一番悪女ものとしてもどんでん返しミステリとしても読み応えがあると思います。二作目は一作目の応用作で、三作目は完全に他シリーズとの繋ぎのための作品といった印象。
あと、人が都合良く死にすぎなのも気になりますね。破産したからって人間そんな簡単に死のうとか殺そうとかならないと思う。
同じ”ふたたび”をタイトルに使っている点からも、このシリーズは【連続殺人鬼カエル男シリーズ】とセットで愉しむシリーズなのですかね。
『嗤う淑女 二人』の最後では蒲生美智留も有働さゆりも逮捕されぬまま野放し状態ですが、『連続殺人鬼カエル男 完結編』で綺麗に片を付けてくれているのでしょう。多分。
期待に胸躍らせて『連続殺人鬼カエル男 完結編』読みたいと思います!
ではではまた~
