夜ふかし閑談

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『ソロモンの犬』 あらすじ・感想 ※ネタバレなし

こんばんは、紫栞です。
今回は道尾秀介さんの『ソロモンの犬』を紹介したいと思います。

ソロモンの犬 (文春文庫)

得体が知れない表紙絵でインパクトありますね(笑)

 

あらすじ
「一度、ちゃんと話し合うべきなのかもしれない」
「この中に、人殺しがいるのかいないのか」
2週間前。秋内、京也、ひろ子、智佳たち大学生4人は平凡な夏を過ごしていた。彼らが通う大学の助教授・椎崎鏡子の10歳になる一人息子で幼い友人・陽介が目の前でトラックにはねられ命を落すまでは。
飼い犬・オービーに引きずられての事故死。
しかし、現場での友人の不可解な行動に疑問を感じた秋内は、動物生態学に詳しい間宮助教授に相談に向かう。
オービーが突如暴走した原因はどこにあるのか?陽介の死は、本当に事故だったのか?議論を重ねる彼らには、予想だにしない結末が待ち構えていた――。

 

 

 

道尾さんの作品は十数冊ぐらい読んでいますが、この『ソロモンの犬』は今まで読んだ道尾秀介作品の中では一番ライトというか、ポップな印象を受けました。私がたまたま暗めの作品ばっかし読んでいただけかもしれないですが。

※暗い作品の筆頭はこちら↓

 

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「あ、こんなコミカルな雰囲気のお話も書くんだ~」と意外でしたね。途中、道尾作品じゃないみたいとか何度も思ってしまいました。

 

コミカル

“青春の謳歌”をテーマに書かれているとのことで、ウブで淡い恋模様が描かれています。お話の語り手は秋内ですが、この秋内が智佳に恋心を抱いておりまして。親しくなるための「話しかける言葉メモ」を作成したり、智佳に投げかけられた言葉を胸中でしつこく反芻したり、変な妄想に耽ったりだので、忙しい大学生男子なのですが。まぁ、こういった様子が滑稽に、コミカルに描かれております。

対照的に、冷めていてどこか達観したところがある京也との会話も軽快で楽しいです。


他に、このお話をコミカルにしている要因は、なんと言っても動物生態学に詳しい間宮助教ですね。

この助教授が相当な変人でして。色々な動物が入ったゲージだらけの部屋に住み、客に計量ビーカーに注いだお茶を出すなどの奇行ぷりっで“イロモノ”なんですよね。こんな“イロモノ”キャラクターが道尾作品に登場するのにもまた驚いてしまったんですが、なんとこの間宮助教授、主人公に動物生態学の知識を教えるだけのポジションかと思いきや、最終的にお話の探偵役になっていますのでさらに驚き。

この一作のみで終わらせるには惜しいほど濃いキャラクターなので、この間宮助教授を探偵役に別作品書いたら良いのでは?とか思いますが、“動物生態学助教授”ってのはお話に制限が出来ちゃいますから難しいですかね(^^;)

 

やはり落ち着かない
この『ソロモンの犬』は冒頭部分で雨宿りの為に秋内ら4人が偶然喫茶店に集合し、秋内が「この中に、人殺しがいるのかいないのか」話し合おうと言い出すところから時間を遡り、これまでの出来事を振り返りつつ、合間合間に喫茶店のシーンが挿入されている作りになっています。


この喫茶店のシーンがなんだか不穏で謎めいた雰囲気(通常の道尾作品雰囲気)で描かれており、上記のようなコミカルな回想シーンとのミスマッチ感があって、何だかザワザワして読んでいて落ち着かなくさせます。こういった読書感はやっぱり道尾作品だなぁ~と思いますね。

 

トリック

道尾秀介さんの小説は大抵“叙述系”トリックが仕掛けられているのが常で、この『ソロモンの犬』にもそういったトリックが仕込まれているのですが・・・う~ん・・・この“読者騙しトリック”はちょっとどうなのだろう?と思ってしまいましたね。突飛すぎというか、お話への必然性を感じないというか・・・。確かに驚いたし、騙されたけれども。「必要なのかコレ」と疑問。何だか、ただ“読者を驚かしてやろう”ってことで入れたんじゃという印象を持ってしまうんですよね。
個人的に、今まで読んだ道尾作品の中では一番、お話とトリックの相互が“しっくり”しませんでした。


しかし、喫茶店の店名やコーヒーの値段などの伏線はやっぱり見事だなぁと思いますけどね。

 

最後

人物描写や事柄の背景ももっと深く掘り下げてもらいたかったな~と思います。京也や椎崎先生とか特に。あと、陽介君の死に対して主人公が結構淡泊な気が・・・。たまに会う幼い友人ぐらいだとこんなモノだろうか・・・う~む。最後のエピローグもサッサと纏めた感が漂っているってな気が。

飼い犬のオービーはひたすら健気で胸が熱くなります。だからこそ起きたしまった悲劇にやるせなさが込み上げますね。

 

色々思うところはありますが(^_^;)コミカルな道尾秀介作品を読んでみたい方は是非。

 

ソロモンの犬 (文春文庫)

ソロモンの犬 (文春文庫)

 

 


ではではまた~

 

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