こんばんは、紫栞です。
今回は綾辻行人さんの代表的シリーズ、『館シリーズ』についてのまとめです。
『館シリーズ』とは
すでに故人である建築家・中村青司が成り立ちに関与した館では「死に神に魅入られた」ように必ず尋常ならぬ殺人事件が発生する。その“青司の館”に魅せられ、訪ねていく寺の三男坊で(後に)推理作家の島田潔を主たる探偵役として展開されているシリーズ。
“青司の館”には必ずカラクリが潜んでおり、本来本格ミステリでは禁じ手の「秘密の通路」「隠し部屋」などがあるのがシリーズの前提条件になっています。なので密室殺人が起きてもお話上はさほどの意味をなさず、読んでて「へいへい」って感じで重要度がありません。
このような過酷な(?)舞台設定の中で読者の度肝を抜かすトリックが仕込まれています。終盤のどんでん返しや叙述トリックが多数駆使されているのがシリーズの特徴ですね。物理トリックよりも叙述系トリックに重きが置かれているので「解いてやる!」というよりは「騙されないぞ!」と意気込んで読むようなシリーズです。
一応、探偵役を担うキャラクターとして島田潔(この名前は作家の島田荘司から取られています)が出てきますが、シリーズの主役はあくまで“青司の館”です。特定の人物が作った“作品”に惹きつけられるように事件が発生する――“いわくつき”、なんだか怪談めいたこの設定がまさに画期的なんですね。
まぁ、行く先々で事件に遭遇する様々なシリーズの探偵達も十分怪談的ではあるんですがね・・・(^_^;)
日本のミステリ界で中村青司はもはや“たとえ”のように扱われたりしています。『探偵学園Q』の九頭龍匠や『名探偵コナン』の三水吉右衛門、『金田一少年の事件簿』の高遠・父(名前はまだ明かされてない)も中村青司の属性からのキャラクター(だと思われる)ですね。
何にせよ、日本のミステリファンの間では必読と言われるシリーズです。
順番
『館シリーズ』はすべて長編でお話は個々に独立したものですが、順番通りに読むのがオススメ・・・と、いうか順番通りじゃなきゃダメ。バラバラに読むと思わぬネタバレに遭遇してしまうことがあるのでね。お気をつけ下さい(^_-)
名作も名作。日本ミステリ史上の傑作の1つとされ「とにかく読まなきゃダメ!」とか言われる必読書。あまりに前評判が凄いので「なんぼのもんじゃい」と思って読みましたが・・・凄い。確かに。言われているだけのことはある。読まなきゃダメ!
シリーズの中では一番普通っぽい。・・・って言い方は変かも知れませんが(^_^;)。比較的王道の推理小説ですね。綾辻さんはアウトローな作品ばっか書くので逆に新鮮。とはいえ、随所に綾辻さんらしい仕掛けがやっぱりありますけども。私は好みの話です。
ラストのどんでん返しもさることながら、シリーズ的にも重要な位置を占める作品。くれぐれも読み飛ばしせぬように。この迷路館は文字通り館の中が迷路になっていまして「なんちゅー面倒くさい館建ててんだ!絶対に住みたくない!」とか思う(笑)
よくシリーズ異色作といわれ、賛否もわかれる作品。私的には「館シリーズもとうとうこのネタ出してきたか~!」って感じでした。なんか、いつかやるだろうと予想していたんですよね(^^;)ある意味シリーズ一番の衝撃作ではある。
第45回日本推理作家協会賞受賞作。館の“内”と“外”の二方向から話しが展開されます。メイントリックはぼんやりとわかってしまう感じではありますが(個人差はあるとして)、やはりこの作り込み方は凄い。シリーズの中でも人気の高い作品ですね。
真相部分は「ふぁ。そうきますか」といったものですね。『館シリーズ』だからもう驚かんぞ!と、斜に構えた態度をとりたくなる(笑)ミステリー界では「手記」ってなんとも“くわせもの”ですよね~。
ながーい!私は講談社ノベルス版で読みましたが段組で上下二冊にわかれていました。文庫版だと全四巻。
別に長い作品は読み慣れているのですが、この本は特に長く感じます。何故かというと待ち望んでいる人物がいっこうに出てきてくれないから。長々読ませておいて驚きの結末!一方でファンサービスに溢れた作品ですね。ミステリというよりは怪奇小説って感じ。よくBLくさいとか巷で囁かれていますが・・・そうかな?
ここにきてまさかの児童書!びっくりじゃよ(笑)子供向けに書かれているのでトリックはとてもシンプルです。文章もわかりやすく、すぐに読み終わります。メイントリックが状況を想像するとシュールというか不気味というか・・・人によっては笑いそうになるかも。
奇面館の殺人
変化球な作品が続いたので久しぶりの直球勝負の作品。
探偵役が最初っから最後までちゃんと居て皆の前で推理披露する定番の流れが綾辻作品だと新鮮に感じる不思議(笑)この作品、映像化したらかなりシュールな事になりそう。招待客の皆ずっと仮面つけていますからね。メイントリックは「そうだったのか!」よりは「は?」って感想を抱いてしまいます。
現在ここまでの9冊が刊行されています。
※スピンオフもあります↓
『館シリーズ』はエラリー・クイーンの『国名シリーズ』のひそみに倣って次の10作目でシリーズを完結させるんだそうです(みんなクイーンが好きなのさ・・・)。
はたして最終作はどんなお話なのか・・・まったく予想が出来ませんね!楽しみです(何時のことになるやら・・・ですが)
『館シリーズ』はミステリファン、特に叙述トリック大好きな人は必ず読むべきシリーズです。「騙されないぞ!」と意気込んで読みましょう。見事に騙されたときがまた爽快ですよ~(^o^)
ではではまた~