こんばんは、紫栞です。
今回は加藤実秋さんの『メゾン・ド・ポリス』のシリーズ2作をまとめてご紹介。
2019年1月11日からTBS系で放送予定の連続ドラマの原作本ですね。
第1作目
『メゾン・ド・ポリス 退職刑事のシェアハウス』
あらすじ
牧野ひよりは警視庁柳町北署の刑事課に配属されて三ヶ月の新米刑事。努力を重ねて晴れて憧れの刑事になり意気込むものの、任される仕事はお茶汲み、コピー取り、資料作りなどの雑用ばかり。
そんなある日、動画配信サイトに人が焼かれる様子を映した映像が投稿されるという事件が発生。事件は四年前に発生した『デスダンス事件』の模倣犯によるものと思われた。ひよりは課長に四年前に『デスダンス事件』を担当していた元刑事の夏目惣一郎に話しを訊いて来いと指示される。渡された住所の場所に行ってみると、そこは退職した警察官専用のシェアハウス「メゾン・ド・ポリス」だった。夏目はこのシェアハウスで雑用係をしていたのだ。
夏目に四年前の事件を訊きに来たものの、警察を辞めた自分にはもう関係ないと協力を拒む夏目。すると、事件の話を訊かせろとシェアハウスのおじさん四人に迫られて――。
老眼、腰痛、高血圧。しかし、捜査の腕は超一流のおじさん達に導かれ、首を突っ込まれて事件を追っていくひより。やがて、夏目が刑事を辞めたきっかけとなった事件と、失踪したひよりの父の謎の繋がりが明らかになり――。
異色で“今どき”な連作ミステリ
作者の加藤実秋さんは一般的にドラマ・舞台化もされた『インディゴの夜』などが有名だと思います。
私は原作を読んでいないものの、『インディゴの夜』のドラマは当時観ていたので、今回『メゾン・ド・ポリス』がドラマ化されると知り、興味があって読んでみました。
こちらのお話、退職した元警察官のおじさん達にご教授されながら、新米女性刑事が事件を解決していき、刑事としても人としても成長していくハートフルでコメディな連作短編ミステリ。
第1作『メゾン・ド・ポリス 退職刑事のシェアハウス』が2018年1月に発売、第2作『メゾン・ド・ポリス2 退職刑事とエリート警視』は2018年10月に発売。そして2019年1月には連続ドラマ化・・・と、続編が出るのもドラマ化が決定するのも早いシリーズ作品ですね。
小説はどちらも最初から文庫での刊行で、1作目は5話、2作目は4話収録。1話の長さはどれも70~90ページほどでコミカルなやり取りも多く、読みやすい作品なので普段小説を読まない人にもオススメです。
近年はメディア展開されるものの作品内容が対象年齢の高いものが格段に増えていますよね。数年前まではドラマ・映画の主役といったら十代か二十代、俳優も女優も二十代が終われば「旬は過ぎた」「主演をする年齢じゃない」などと言われていたものですが、今やテレビドラマの主演は四十代五十代の俳優女優務めているものが半数を占めています。
国民の平均年齢が上がっていることや、現役バリバリで元気な高齢者が増えたこと、ライフスタイルの多様化などが要因なのかなぁと思いますが、『メゾン・ド・ポリス』は退職した平均年齢六十代のおじさん達が活躍する新米刑事視点のお話。昨今の流れの最たるもので、ある意味、これ以上ないほど“今どき”なミステリシリーズなのです。
登場人物
この小説はシェアハウスの住人達の個性や役割分担が確りしているところが何とも魅力的な作品。シェアハウスに居るのは五人のおじさん達で以下の通り。
●夏目惣一郎
元警視庁捜査一課の刑事。取り調べをしていた事件関係者が自殺してしまった事をきっかけに警察を辞めるも、いまだにその事件の謎を追う。今は『メゾン・ド・ポリス』で高平の補佐として使用人をしている。52歳。ぶっきらぼうだが渋めのイケメン。
●高平厚彦
元警務課事務員。『メゾン・ド・ポリス』の管理人を務めていて家事全般を担当している。住み込みではなく家からの通い。家では女性に囲まれて生活しているので挙動がおばちゃん臭い。いつもバラエティ豊かなアームカバーを着けている。60過ぎ。
●迫田保
元所轄の刑事。現場主義で行動派の熱血漢で、捜査への意気込みはシェアハウスのメンバーの中でも強い。仕事に打ち込みすぎたせいか、退職と同時に奥さんに離婚を切り出されて『メゾン・ド・ポリス』に。いつも扇子を持っていて如何にも「たたき上げのデカ」風味。60代半ば。
●藤堂雅人
元科学捜査研究所勤務の研究者。結婚離婚を三回繰り返して今は独り身。どんな状況でもいつも白衣を着るのがポリシー。女性が大好きでキザな言動が目立ち、毎回ひよりに胸中でドン引かれている。60過ぎ。
●伊達有嗣
元警察庁のお偉いさん。『メゾン・ド・ポリス』の管理人兼オーナーで大変な資産家で大地主。白髪頭でいつも凝ったニットを着ており、好々爺な雰囲気を醸し出しているが、今でも警察にはそれなりの力があり、伊達が電話するだけで事件捜査への参加が許可される。最年長。
このような愉快で優秀なおじさん達に新米刑事・牧野ひよりが振り回されつつ、いつしか奇妙な絆が芽生えていく~・・・と、いったストーリー展開になっております。
ドラマ
上記を踏まえてドラマのキャストをみてみると・・・
キャスト
牧野ひより-高畑充希
夏目惣一郎-西島秀俊
高平厚彦-小日向文世
迫田保-角野卓造
藤堂雅人-野口五郎
伊達有嗣-近藤正臣
はい。ピッタリなキャスティングですね~(^_^)。
原作があるものがドラマ化される際はどうしても原作のイメージと違うキャストになってしまったりするものですが、今作は非常に原作を尊重した配役になっていると思います。ドラマへの期待が高まりますね。
他にひよりが通っているバー「ISE MOON」の店主・瀬川草介(竜星涼)や先輩刑事の原田(木村了)、新木(戸田晶宏)などの名前は公式サイトにありますが、バーの常連客でひより恋のライバルであるナナの名前がありませんね。
ナナちゃんは女子力が高い見た目なのに酔っぱらうと方言になるという楽しい人物。ドラマに登場しないとなるとちょっと残念なんですが・・・どうなのでしょう?
第2作
『メゾン・ド・ポリス2 退職刑事とエリート警視』
登場人物達もストーリーもそのまま引き継ぎの続編。今作の最初のお話で藤堂さんの二番目の元奥さん・杉岡沙耶が登場します。杉岡さんは四十過ぎのはずだが、まったくそうは見えないモデル体型の美魔女風(?)美人の鑑識課員。ひよりのいる柳町北署に赴任してきて、以後、何かと捜査に協力してくれることに。ドラマでは西田尚美さんが演じられるそうな。
ひょっとしたらドラマではナナちゃんの役割は杉岡さんに振られるのかもしれないですね。ひよりの相談役ではっぱをかける役割。
サブタイトルにあるエリート警視とは間宮朝人のこと。夏目さんの現役時代の後輩で今は警視。前作にも地味に登場していますが、今作では適役としてひよりにプレッシャーをかけてきます。
第1作のラストでは夏目さんが追っていた事件の大部分や事件関係者の自殺の真相が明らかになるものの、この事件を理由に失踪したと思われるひよりの父は依然出て来ずじまい。そして、事件の大元に警察組織が関わっていた可能性が浮上して・・・・・・と、いったところで終了していました。
第2作では事件を掘り返されたくない警察組織が間宮を使ってひよりに夏目さんをスパイするよう命じ、さらに父かららしき謎の地図が載ったメールが送られてきたり云々。はたしてひよりはどう行動する!?ってなストーリーが展開されます。
以下ネタバレ~
続編
2作目ラストで晴れて夏目さんが追っていた事件は完全に解明され、ひよりの父も無事帰還します。見方によってはこの2作目で綺麗に終わっている状態。
なので、今後シリーズの続編が刊行されるのかどうか気になるところ。別にシェアハウスやひよりの現状は変わらずに終わっているので、いくらでも続けられるとは思うのですが・・・。
続編があるとしたら、個人的に最も気になるのは恋愛部分です。
誰と誰のかというと、ひよりと夏目さん。
ひよりは店主の草介さん目当てにバーに通っているのですが、同じく草介さんを狙っているナナちゃんは会ったこともないのに夏目さんをひよりに薦めてくるんですね。
ライバルを減らすための作戦なのは明らかなのだが、焚きつけられるとついシミュレーションしてしまう。これまで一緒に解決した事件で優秀な刑事だったことはわかっているし、見た目もおじさんにしてはカッコいい方だと思う。でも、惣一郎の歳はひよりの二倍。その事実を確認する度に、膨らみかけた胸がしゅんとしぼむのだ。
そう、ひよりは26歳。夏目さんは52歳。二人の歳は倍違うのです。
ひよりはなんやかんや夏目さんのことを意識しているのは明らかなのですが(夏目さんの心情はあんまり出て来ない)、この年齢差のせいでいつも思いとどまってしまうんですよねぇ。
うーん・・・どうなのでしょう?確かに、簡単に恋愛対象となる年齢差ではないのでしょうが・・・(^^;)でも決してあり得ないといったものでもない。
2作目の最後では夏目さんに頭ポンポンされて胸がときめいていたひより。小説の続編を望むのはもちろんですが、ドラマでは必ず、絶対に、この頭ポンポンを原作同様に再現して欲しいものです。
とりあえず、ドラマも続編も楽しみに待ちたいと思います(^o^)
ドラマで原作が気になった方は是非。
※続編出ました!詳しくはこちら↓
ではではまた~