夜ふかし閑談

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『巷説百物語』 ドラマ・アニメ・漫画まとめ 京極亭って?

こんばんは、紫栞です。

前回巷説百物語シリーズ』を紹介しましたが

 

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今回は『巷説百物語シリーズ』のメディアミックスを一挙にご紹介。

 

巷説百物語シリーズ』は一話完結型の連作なので京極夏彦作品の中でも映像化しやすいのかドラマシリーズが二作品、アニメシリーズが一本作られています。漫画化もされていますね。

 

京極夏彦 怪』

京極夏彦 怪 七人みさき [DVD]

2000年にWOWOWで放送されたもの。全四話。

●七人みさき

●隠神だぬき

●赤面ゑびす

●福神ながし

 

主なキャスト

御行の又市―田辺誠一

山猫廻しのおぎん―遠山景織子

山岡百介―佐野史郎

事触れの治平―谷啓

 

 

七人みさきは『続巷説百物語』の「死神 或は七人みさき」

隠神だぬきは『巷説百物語』の「芝右衛門狸」

赤面ゑびすは『後巷説百物語』の「赤えいの魚」

ですね。

四話目の「福神ながし」は完全にドラマのみのお話。

私は小説を読み終わってからこちらのドラマをレンタルで観たんですが、当時概在だったお話は二話目の「芝右衛門狸」のみで、他は京極さんが新たに書き起こした脚本や小説原案を基に制作されたようです。「死神 或は七人みさき」と「赤えいの魚」は脚本の方が先で後に小説だったんですね~。

そんなわけで、二話以外は京極さんが脚本にガッツリ関わっています。ファンとしては原作者が脚本を手掛けたと聞いたら無視できないですよねぇ

時代劇の「必殺シリーズ」の制作元やファンの人(京極さんも「必殺」ファン)が集ってのドラマ制作なので『巷説百物語』の実写化というよりも「巷説~」と「必殺」を混ぜた別作品って感じ。なので、小説とは違う部分が多々あります。各話、ラストの流れが完全に「必殺」ですね。オマージュと言ってもいいくらい。最初観たとき驚いたぞ(笑)

結構あからさまなお色気シーン・・・と、いうかエログロシーンがあるのでチト注意。

水木しげる宮部みゆきなどのゲスト出演が盛りだくさん。個人的には一話目で藤田まことが超チョイ役で出てきたのに驚きました。確かワンカットで非道なセリフを言って終わりだった(うろ覚えですみません・・・)。他に、一話目だと御燈の小右衛門役で夏八木勲が出演していますね。

谷さんも藤田さんも夏八木さんも好きな俳優さんだったので亡くなってしまって寂しいです(-_-)

全編にわたってサービス盛りだくさんですが、京極ファン必見なのはなんといっても四話目の「福神ながし」。

なんと、百鬼夜行シリーズ』中禅寺秋彦のご先祖様、中禅寺洲斎という拝み屋が出てきて又市達と対決するのです。なんというサービス!

中禅寺洲斎の役は近藤正臣さんがやっておられます。声の良い役者さんで個人的には凄く良かったです(あの手の役は声が重要)

中禅寺洲斎は小説の『書楼弔堂―破曉』最終話「未完」にも名前が出てきますよ~。

 

書楼弔堂 破暁

書楼弔堂 破暁

 

 

 

ドラマW 巷説百物語

2005年に第一弾 巷説百物語 狐者異』

 

巷説百物語 狐者異 [DVD]

2006年に第二弾 巷説百物語 飛縁摩』

巷説百物語 飛縁魔 [DVD]

どちらもWOWOWドラマWとして放送されたもの。

主なキャスト

御行の又市―渡部篤郎

山猫廻しのおぎん―小池栄子

山岡百介―吹越満

事触れの治平―大杉漣

 

こちらは監督が堤幸彦。私は「金田一少年の事件簿」から堤監督のファンでして「ケイゾク」「TRICK」は特に一時期ディスクが痛むほど観たもんです。その堤監督が京極作品をやるときいては・・・もう!好きなもの同士のコラボですよ。観るっきゃない!

で、観たわけですが・・・・・・

まぁ結論としては原作への愛と監督への愛、どちらが勝るのかというと・・・原作への愛が勝るのだなぁと実感いたしました(笑)

堤監督だとオリジナル要素が多々入るのでキャラクター造形とかいじられてしまっているんですよね。原作ファンにはそこらへんがどうしても気になってしまう(^_^;)

 

ドラマとしては堤監督らしいコメディ要素も入っていて面白いです。原作知らない人の方が純粋に楽しめるって感じですかね。

 

 

 

 

京極夏彦 巷説百物語

 

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テレビアニメシリーズ。

深夜アニメで放送されたもの。一話完結で原作の『巷説百物語』『続巷説百物語』(「老人火」をのぞく)までのお話をまるまるやっています。全十三話。

主なキャスト

又市―中尾隆聖

おぎん―小林沙苗

長耳―若本規夫

山岡百介―関俊彦

 

声優が豪華ですね。毎回のゲスト声優も豪華でした。 小説の一話をアニメ三十分で出来るのか?無理っ!!ってことで、題名は同じでも内容はかなり脚色されています。特に後半は全くの別物。又市達がもう妖怪として描かれています。ファンタジーですね。

深夜アニメなのでお色気・・・と、いうか、おぎんが平素の格好がほぼ裸です(笑)四話目の「舞首」とか、かなり淫猥な内容に変えられていましたね。なんで?

長耳はアニメのオリジナルキャラクターでしたが、後になって小説『前巷説百物語』で“長耳の仲蔵”というキャラクターが出てきます。もちろん普通の人間として。

 

 

京極亭について

『怪』とアニメ版に登場する同名のオリジナルキャラクター。どちらも原作者の京極夏彦が演じています。しかし、役回りはだいぶ異なります。

 

『怪』の京極亭は売れっ子の読物書きで怪異の噂をしたり、第四話「福神ながし」で遠縁の人物(中禅寺洲斎)を事件に介入させる口利きをした脇役として出てきます。

 

アニメ版の京極亭は表向き江戸で京極亭という甘味処を経営しているが、実は又市達の黒幕で、決して姿は現さず声のみで又市達に指示を出す謎の人物。もう怪しすぎるほど怪しい。案の定、アニメ後半はアレな感じ(笑)になる。

 

京極さんはもう一本のドラマシリーズ『巷説百物語 狐者異』にも八卦見の役で出てきます。こちらはサービス的なチョイ役ですね。

 

 

 

 

漫画

私は漫画版はどちらも未読ですので紹介だけ・・・

漫画版は水木しげる内弟子森野達弥さんが描いたものが角川書店から

 

漫画・巷説百物語 (単行本コミックス―Kwai books)

漫画・巷説百物語 (単行本コミックス―Kwai books)

 

 

「小豆洗い」と「白蔵主」収録。

 

日高健男さんが「コミック乱」で連載していた『巷説百物語』が四冊。『後巷説百物語』が三冊出ているみたいです。

 

巷説百物語 1 (SPコミックス)

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後巷説百物語 1 (SPコミックス)

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こうやって映像化したものをまとめてみると、又市の容姿が作品によってバラバラですね。

ちなみに、映画『嗤う伊右衛門の又市は香川照之がやっています。これまた違う・・・。

 

嗤う伊右衛門 [DVD]

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又市は小説の作中でも容姿への説明が余りないので、口調とかから単純に連想すると森野さんの漫画やアニメ版みたいな小男や醜男になるのかな?

でも、小説だと女に言い寄られたりするシーンがちょこちょこあるし、ドラマの田辺さんが見た目は近いのかも。

原作の雰囲気に寄せた“おぎん”も一度実写で見てみたいなぁ~とか思いますが(ドラマはどっちも原作とは何か違う)妖艶な美女といってもアニメはいき過ぎ・・・てか肌見せすぎ。

百介はアニメ版が一番好青年ですね。

 

 

漫画はともかく、ドラマやアニメは原作とは別モノとして楽しむ感じですね。“忠実に再現”ってのからはかけ離れています。これらを観て原作知った気になられては困るなぁ~と。

でも『怪』の第四話「福神ながし」だけは京極ファンなら観て損はないです。オススメ。観て~(^o^)

京極夏彦 怪 福神ながし [DVD]

 

ではではまた~

 

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