夜ふかし閑談

夜更けの無駄話。おもにミステリー中心に小説、漫画、ドラマ、映画などの紹介・感想をお届けします

ドラマMOZU原作本『百舌の叫ぶ夜』『幻の翼』 感想・原作とドラマとの違い

こんばんは、紫栞です。

逢坂剛さんの百舌シリーズ『百舌の叫ぶ夜』『幻の翼』を読みました。

百舌の叫ぶ夜 (百舌シリーズ) (集英社文庫)

幻の翼(百舌シリーズ) (集英社文庫)

 

『MOZU』の題名でドラマ化されたシリーズですね。

 

なんで今さら読んだのかというと今期ドラマの『クライシス』観て連想したからですね(安易)私はTBSで放送された分の『MOZU』は当時チョロチョロ観てましたから(クライシス観てMOZUを連想した人はいっぱいいると思われる・・・)。

 

 

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「はて、ドラマとどれだけ違うのじゃろ~」と読み始めましたが・・・ぜんぜん違いますね。ビックリ。

最初の『百舌の叫ぶ夜』は大まかな話の流れはまぁ同じかなぁといった感じですが(でも場面展開や登場人物の数も名前も違うので“面影がある”程度)。続編の『幻の翼』にいたっては完全に別物と言っていいでしょう。

 

 

 

 

お話は公安警察モノで主に倉木、美希、大杉の3人の捜査官に殺し屋の“百舌”が絡みつつ、事件に隠された陰謀が暴かれていくストーリー。

ドラマでは倉木西島秀俊美希真木よう子大杉香川照之、殺し屋の“百舌”池松壮亮がそれぞれ演じていました。 ドラマでは舞台設定が現代ですが、この原作の『百舌の叫ぶ夜』『幻の翼』も30年ほど前に書かれた作品でまぁ古いです。パソコンとか携帯電話とか出てこないし。不良学生はスケバンだし。当然犯罪形態も今と違うので、現代版でやるとなったら大幅な改変が必要だとは思います。

 

『幻の翼』の方は北朝鮮拉致問題が出てくるんですが・・・なるほど、30年前はこの事実はあまり一般には知れ渡ってなかったんだなぁ~と。小泉総理のときに一気に広まったって感じですかね?拉致被害者が多い新潟県ではそれよりずっと以前から県民みんなが知っている行為だったんですけども。私は新潟県民ですが、前に他県の子が「小泉総理が色々言い出すまで拉致問題って全然知らなかった」とか言ってるの聞いて驚きました。大抵の日本人は知ってるもんだと思っていたので。他県ではそうなのね・・・。 

あとロボトミーが出てくるのは凄い時代感じる。今じゃ絶対やらない手術ですからね。精神病院が牢獄のように描写されているのも時代のせいかしら(今だって実際のところはどうだかわかりませんが・・・)

 

ドラマを観たものからすると、一番の驚きは倉木と美希のラブストーリーがガッツリ展開されるところですねやっぱり。

一作目の『百舌の叫ぶ夜』読んだときも「あら、思ったよりラブが展開するのね~」と思ったものですが、『幻の翼』なんてもう・・・作中で“男に惚れた女にはきをつけろ”と出てきますが、もう、ホントにね(笑)美希の行動力は皆の想定外だった・・・。脱帽じゃよ。

 

本の説明文見るとサスペンスと書いてありますが、“百舌シリーズ”はハードボイルド小説だと思われます。倉木の人物設定がいかにもハードボイルド的ソレなので。クールでアウトローで屈強な精神を持ち、周りに「コイツはただもんじゃねぇ・・・!」みたいに思わせる威圧感があって、そのくせ優しいところがある――みたいな。

こうした男性が主役のハードボイルド小説だと女性はほんの添え物的に描かれてしまうのが多いですが、この明星美希は良い意味で大暴れしてくれます(恋のパワーでね)そうした部分のおかげで女性も読みやすい小説だと思いますよ。

 

 

 

 

ハラハラさせられるストーリー展開はもちろんですが、ミステリーとしての作り込みも精密なので、要素がいっぱいあってジャンル分けが難しいですね。それで“サスペンス”なのかしら。

 

『百舌の叫ぶ夜』に比べ、『幻の翼』の方は倉木の出番というか、活躍が少ないです。倉木と美希の二人が窮地に追い込まれるので、読者は「大杉警部補~!アンタだけが頼りや~!」となります。結果、大杉警部補を好きになる(笑)

 

ドラマで長谷川博己が演じていたチャオ東(笑)や伊藤淳史が演じていた鳴宮がいないのは残念ですが(ナイスキャラクターでしたよね)

 

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小説は小説で別の面白さがあります。シリーズ三作目も本を手に入れたら是非読みたいです(^_^)

 

 

 

ではではまた~

 

百舌の叫ぶ夜 (百舌シリーズ) (集英社文庫)
 

 

 

 

ドラマ『貴族探偵』『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』 最終回・感想

こんばんは、紫栞です。

今期クールのドラマ、全て終了しましたね~。

このブログでは『リバース』と『クライシス』の記事書きましたけど、『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』と『貴族探偵』も観ていました。最終回の感想を二つまとめてチョロッと書きます。

ちなみに、どちらも原作の小説がありますが私は未読です。

 

以下ネタバレふくみます~

 

 

櫻子さんの足下には死体が埋まっている

原作小説は読んでないですが、アニメは何話か観たことがあり・・・うん、まぁドラマなので設定を大幅に変更ってことで別物で楽しめば良いのか(こんな寛大なこと言えるのは私が原作読んでないからでしょうけどね・・・^_^;)。

原作だと黒幕はまだちゃんと出てきてないってことなんで最終回はドラマオリジナル脚本なのでしょうが・・・ちょっと黒幕がね、言っちゃ悪いですけど“しょぼい”ですよね。色々な意味でね。

あの人が初回からチョロチョロ出てきてた人で~っていう「え!?あの脇役が!?」みたいな驚きの真相とかならともかく、最終回前にいきなりポッと出てきて「この人です」と提示するのならもっと意外性があって存在感のある俳優さんにしたほうが・・・(別に林泰文さんが嫌いな訳ではないですよ)人物設定もなんだか薄いように感じますし(まぁポッと出だからな)。あの人が何人もの人を意のままに操って殺人させましたよ~と言われても説得力に欠けるんですよね。てっきりコレはフェイクで別の黒幕がいるんだと思っちゃいましたよ。穿ちすぎたー!

会話の録音を証拠にして追い詰める結末もミステリー的には弱いと感じてしまいますね。

途中のばぁや(鷲尾真知子)の「そんなことで悩んでいいのは10代までです!」には凄い同意(笑)。私も櫻子さん(観月ありさ)がうだうだ言い始めたときは「いい年こいて、なに思春期みたいなこと言ってんだ」とか思いましたから。ばぁやが代弁してくれてスカッとしましたネ!

 

 

貴族探偵

初回観たときはコミカルでテンポがあって良いなぁと思いましたが、中盤があまりにもワンパターン続きでなんだかグッタリ。ギャグもなんだか笑えなくなってきてしまうし・・・。トリックや真相もご都合主義的なモノがあって首をかしげたくなりましたね。まさか愛香(武井咲)が最終回前まで犯人間違い続けるとは思いませんでした。いいかげん推理披露すんの辞めたらどうだと言いたくなる。

秘書の鈴木(仲間由紀恵)が出てきてやっとお話が動き始めた感じですね。一気に真相かと思ったら結構長引かせましたけど。仲間さんがスマホの音声のみで最終回迎えたらとんでもなく無駄に豪華なドラマだなと思っていました。出てきて良かった(^_^;)。

師匠(井川遥)が生きてるってのは「綺麗な遺体だった」「葬儀のことをあまり覚えていない」などのセリフが出た時点でそうだろうなと思っていました。ミステリー的、死んだふりするときの“おきまり”ですね。 壁、毎回ドンドン叩いてたのは師匠だったのね。ちょっと愛香、幻覚と本物の見分けつかなかった事と言い・・・お前の目は節穴なのか?

最終回で使用人4人が並んでるところが見られて良かったです。どうでもいいことですが、使用人のお三方、途中で衣替えしましたよね。6月入ったから?私は最初の衣装の方が好きだったなぁ~(ホントにどうでもいい)。

そして最後の最後でアバンチュール・・・・・・いりますかコレ?

なんなのでしょう?月9的恋愛ドラマ枠の意地?よくわからない。

 

あと、個人的にはこのドラマの一番の貢献者は鼻さん(生瀬勝久)だと思います。

 

 

 

今期は何だかんだで結構な本数の連ドラ観ていましたが(全く観ないときもある)夏からのドラマはどうかな~。なんだかミステリーは少なめかも?

また気になるドラマあったら書きます。

 

 

ではではまた~

 

貴族探偵 (集英社文庫)

貴族探偵 (集英社文庫)

 

 

 

貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)

貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)

 

 

 

 

三浦しをん『星間商事株式会社社史編纂室』 あらすじ・感想

こんばんは、紫栞です。 今回は三浦しをんさんの『星間商事株式会社社史編纂室』(ほしましょうじかぶしきがいしゃしゃしへんさんしつ)をご紹介。

星間商事株式会社社史編纂室

 

題名だけではどんな話か見当もつかないと思いますが・・・。この表紙からもね・・・。

 

あらすじ

川田幸代。29歳。独身。彼氏はいる(一応)。腐女子(自称したことはない)。社史編纂室勤務。

もちろん自身が腐女子であることは会社では公にしていなかった幸代だが、ある日会社のコピー機コミケ用の小説原稿をコピーしていたところ(おい)、社史編纂室課長の本間に原稿を見られてしまう。本間課長の勘違いでその場は上手くしのぐことが出来たと思った幸代だったが、翌朝社史編纂室に出社した本間課長は皆の前で

「川田くん。きみ、腐女子というやつだな」

と、身も蓋もない問いかけをぶちかます。慌てふためき、ついにはヤケをおこす幸代だったが、本間課長は続けてさらに驚きの発言をする

「社史編纂室でも、同人誌を作ろう!」

はたしてその真意とは?混乱の中、幸代達社史編纂室のメンバーは社の秘められた過去に挑むことに!?さらにはサークル仲間との危機、彼氏との関係など色々と難題が!? 恋は?友情は?社史は?そしてコミケは?どうなる?どうする?川田幸代――!

 

 

 

 

 

って、ことで。あらすじを見て分かるかと思いますが、この本はかなりのコメディですね~。出だしから大分ぶっ飛んでいるんですが・・・。電話でサークル仲間の実咲に「ばれたけど、昔ながらの文芸同人誌だと思われたらしくて、ことなきを得た」って言った翌朝に課長のこのセリフですからね。ことなきを得てねーよ、ぜんぜん(笑)っていう。 職場でこんな暴露されたら私なら出社拒否しますね。幸代はメンタルが強いなぁ。後半なんて自分が書いたBL小説、職場の同僚に目の前で読まれて笑われてるし。

 

“社史編纂室の皆”といっても、メンバーは遅刻常習犯の本間課長、いつも無駄にやる気と元気にあふれている“みっこちゃん”、ヤリ〇ンで日々セクハラ発言を連発する矢田、誰も見たことが無く名前すらよくわからない「幽霊部長」と呼ばれる室長・・・と、いった4人(幽霊部長はほぼ出てこないので実質3人ですが)。この個性豊かな登場人物達のやり取りが読者を楽しませてくれます。特に本間課長はかなり笑わせてくれますね。

 

三浦しをんは“お仕事小説”が有名ですが、この『星間商事株式会社社史編纂室』は通常の“お仕事小説”とは違っていまして、描かれているのは“趣味との両立”ですね。趣味と仕事。趣味と友情。趣味と恋愛。

趣味を持つことは人生を豊かにしてくれる~~なんて、生易しいモノではなく!もはや幸代にとっては同人誌作りは趣味ではなく人生そのものなのです。なので、あくまで同人誌作りを中心にお話が展開されます。

 

この小説では何でもないことのように腐女子文化・BL文化が扱われていますが(作中、幸代の趣味を全否定するような人も出てきません)、この本が出された2008年頃は「腐女子」「BL」などの単語は人によっては嫌悪感を抱くので、あまり表だっては言わない風潮だったように思います。少し前に『でも、結婚したいっ!~BL漫画家のこじらせ婚活記~』たるドラマやってましたが、

 

 

題名に“BL”が入ってるドラマを民法で夜の10時から主演栗山千明で放送なんて、一昔前は考えられなかったことですからねぇ~なんだか時代を感じました。ドラマは面白かったですけどね。

これらの用語や実態が一般化していくことの善し悪しは簡単には判断しかねますよね。差別意識の薄らぎだともとれますけど、お話の中で幸代も言っていますが「そっとしておいてほしい」という意見の人もいるでしょうし。

『星間商事株式会社社史編纂室』には作中作で幸代の書いた小説が出てくるんですが、これが割と本格(?)BL小説なので(過激なシーンは無いよ!)まぁ注意が必要だと思われます。組み合わせが若者と定年間際のおじさんでコアというかなんというかだし・・・(笑)

 

 

 

 

私はオタク系の友人が多くて、なかには同人誌作ってる友達もいるのでサークル活動の実態とか、即売会の雰囲気とか聞いて知ってて、行ったことも無いくせに何故か馴染みがある気になっているような人種でして(知識だけ増えてくってヤツや・・・)。なのでこの小説で出てくるコミケの雰囲気やサークル内でのもめ事は「あぁ、知ってる知ってる」って感じで読んでて楽しかったです。特にサークル内でのもめ事はよく友達に愚痴られたり、相談されたりしていた内容と似た箇所などもあって凄いリアリティあるなぁとか思いました(あくまで勝手になんですけどね^_^;)

女性、29歳、サークル活動だとねぇ。続けるには色々問題出てくるんだろうなとは思います。幸代と実咲間のクッション役で英里子(オタク活動と主婦業を両立させている女子)がいてくれて良いなぁと。やっぱりこういう集まりには冷静な人が必要ですよね。

あとは幸代と彼氏の洋平との関係ですね。この彼氏、旅人なんです。旅人の彼氏ってのはオタク活動をするには適度な距離が保てて良いが、結婚とか将来のことを考えると・・・・・・なんですよ(^_^;)「これでいいのか?」ですね。“29歳女”は悩みのつきない生き物だ・・・。

 

“社の秘められた過去に挑む!”というミステリー要素もあり、色々楽しめる小説なんですが、人によっては「もっとマニアックな部分を掘り下げて欲しかった」とか、「ミステリー部分が物足りない」とか、「オタク世界が未知の領域で話しに入っていけない」とかあるかなぁ~と思います。

なので、この本読んで一番楽しめるのは私のような、ある程度のオタク知識は持ち合わせているが、実際にはホントの体験はしていないようなハンパな人間なのかも。

 

当てはまるようならあなたも是非。

 

 

ではではまた~

 

 

高橋留美子〈人魚シリーズ〉とは? 順番・概要~ 完結してる?

こんばんは、紫栞です。

今回は高橋留美子さんの漫画作品【人魚シリーズ】をご紹介。

 

人魚の森 (るーみっくわーるどスペシャル)

 

かなり古い作品でして、私もリアルタイムで読んでいた訳ではなく、新装版を古本屋でチラ読みして(笑)おもしろそうだったので買って全話読みました。かなり良質の連作短編漫画だと思います。

 

 

あらすじ

不老不死の妙薬といわれる人魚の肉。今から500年前、その肉を面白半分に食べて不老不死となってしまった湧太は長すぎる生の中、普通の人間に戻りたいと思うようになる。「人魚に会えば何とかしてくれる」その言葉を頼りに人魚を探す旅を続け、そして遂に人魚の里を見つけた湧太。そこで出会ったのは人魚達の手によって囚われ、不老不死になった少女・真魚だった。「普通の人間に戻る方法なぞありはしない」と告げられた湧太は助け出した真魚と二人、あてのない旅に出る。長い旅の道中、二人は人魚の肉によってもたらされる数々の悲劇・悲しみに出会っていく――。

 

湧太と真魚の二人の旅が物語の主ですが、お話によっては真魚と出会う前、湧太が一人で人魚を探す旅をしている最中での出来事が描かれているものもあります。

 

 

 

作品の順番

 

●人魚は笑わない

●闘魚の里

人魚の森

 

 

 

 収録作

●夢の終わり

●約束の明日

人魚の傷

 

 

 

収録作

●舎利姫

●夜叉の瞳

●最後の顔

 

 

と、現在ここまで。本は三冊出ています。一冊毎に三話入っていますね。

一応このシリーズ、不定期連載扱いで現在でも連載中ってことになるらしいんですが「最後の顔」が発表されてから20年以上経っているので・・・で・・・~って感じ(^_^;)

お話の内容的に幾らでも続けられる設定なんで(主役二人が不老不死で時の流れ関係ないからね)ある日ポンっと発表される可能性は十分にある(と、思いたい)。個人的には熱望しております。頼みます先生!頼みますサンデー!

 

 

 

 

 

 

 

この〈人魚シリーズ〉で出てくる人魚ですが、いわゆるアンデルセン的イメージの綺麗で哀愁漂うものを想像して読むと痛い目を見ます(忠告)。

このシリーズに登場する人魚は極めて日本的な“ソレ”ですね。醜悪でグロテクスな得体の知れない化け物。第一話で湧太も言っていますが「夢も希望もねえ・・・」ってなモノです。

「人魚の肉は不老不死の妙薬だ」というのは日本中にお話が残されている八百比丘尼伝説などからとられているのだと思われます。この漫画ではそのような日本的伝承の雰囲気を発展させて人魚の概要が味付けされているんですが・・・その人魚界でのシステム(?)が空恐ろしくって怪奇きわまるものに設定されています。第一話の『人魚は笑わない』の内容は結構ショッキングなものですのでボケ~と読んでるとビビらされますぞい。

 

この漫画内での“人魚の肉”は普通の人間にとっては猛毒で、死ぬか、“なりそこない”という化け物になるか(この“なりそこない”がかなり衝撃的なビジュアルしてます)が大半で、不老不死になれるのは何十年何百年に一人という代物という設定でして。まさに究極の二者択一なんですが、人はなかなか暗い欲望を捨てられない。「ひょっとして」「もしかしたら」と翻弄されてしまう人達の物語が描かれるわけです。

なので、人魚自体が生きた姿で出てくるのは『人魚は笑わない』と『闘魚の里』の最初の二話だけで、それ以降は人魚の肉(=不老不死をもたらすモノ)の役割として機能するのみ。人魚のお話ではなく、あくまで“不老不死”がテーマのお話なんですね。

 

 

上記などの理由から、高橋留美子作品の中では〈人魚シリーズ〉はかなりダークでグロい作品だと言われがちで読むのに二の足を踏む人も多いみたいですが、私はこの作品を読むより先に『犬夜叉』読んでいたんで割合平気でした。まぁリアルタイムで読んでたら『うる星やつら』『らんま1/2』の流れでいきなりコレがきたらビックリするよなとは思いますが(^_^;)

なので犬夜叉』読んで平気な人なら大丈夫だと思いますよ。そんなに怖がることないさ~と、言いたい。

 

作品のテーマがテーマなので、悲しい・後味が悪い結末がほとんどなのですが、湧太と真魚の二人に高橋留美子的なラブコメ要素があり、ほのぼのしたやり取りや“単純な愛情”が表される場面に救われるのでハードな話でも堪えることが出来ます。

ヒロインの真魚ですが、15歳まで隔離的環境で育てられたため世間知らず。しかも不老不死になっちまったので生死感がぼやぼや(少しずつ成長していってるんですけどね)。無知故に残酷な部分などがあったり、御転婆で自分に正直に行動する非常に気持ちの良い一面があったりと非常に魅力的なキャラクターです。

 

あと面白いところは主人公の湧太は500年生き続けているので、戦国・江戸・明治・大正・昭和と様々な時代の出来事が一個人の思い出として語られるところですね。現代が舞台の話のときに「あれは日露戦争の少し前・・・」とか言い出す。

湧太は不老不死だというところを抜かせば別に特殊な能力があるわけでもない通常の人間なので、そういう風に回想されるとなんだか妙な感じを受けて面白いです。設定の上手さを感じますね。

 

1991年~1993年の間にOVA化。その後、2003年にテレビアニメ化されましたが、

 

何か色々と規制がかかってしまったみたいです。私はアニメ観てましたが・・・ぶっちゃけ、そんなに規制するほどの内容か?と疑問でした。

人魚の傷』が残酷すぎてテレビ放送が見送られたってことですが(DVDには収録されています)正直「・・・・・・そうなの?」って感じ。

私個人の考えとしては悪戯に残虐性を煽るようなものでなく、お話を伝える上で必要な展開・場面ならばはぶくべきじゃないと思うんですけどねぇ・・・。『人魚の傷』はシリーズ内では特に印象深いお話なので放送されなかったのは残念です。

あと『夜叉の瞳』はアニメ化されていません。こちらは話数の関係でみたいですが・・・か~!残念です(T_T)好きな話なので。サイコキラーの弟が姉に抱いている複雑な心境の描写部分が良いんですけどねぇ。

 

 

何はともあれ、大御所作家は短編漫画でも力量を発揮するなぁ~と示してくれるシリーズです。オススメですよ~(^_^)

 

 

 

 

ではではまた~

 

ドラマ『リバース』最終回 原作との違い・感想

こんばんは、紫栞です。

ドラマ『リバース』最終回しましたね~。良いドラマだったなぁ~(^_^)

と、いうことで原作との違いや感想を少し。

リバース

 

9話のラストで広沢(小池徹平)の死の原因を作ったのが自分だったと知った深瀬(藤原竜也)。

原作だと深瀬が〈クローバー・コーヒー〉で蕎麦の蜂蜜見て気が付くとこで終わってますので、ドラマの最終話は丸々オリジナルな訳でして、原作の終わり方が終わり方なだけにドラマはどんな結末を迎えるのかなと少しハラハラしていたんですが、わりと王道な感じの話運びでしたね。

美穂子(戸田恵梨香)や他三人に蕎麦アレルギーの事やコーヒーの事を告白して、広沢のご両親に4人で謝りにいって・・・ていう。

原作読み終わってから始めに読者が思うのって“深瀬は真相を美穂子に言うのか、それとも口をつぐむのか”だと思うんですが(黙ってりゃ彼女とすんなり復縁出来るような状況下で終わってるんでね)ドラマの深瀬はアレは気付いてすぐに美穂子に言ったって事みたいですね。

うん、ドラマの深瀬なら正直に言うんだろうなとは第一話から観ていく中で確信してました。視聴者に素直にそう思わせる性格してましたよね、ドラマの深瀬は。

 

連絡が取れなくなった深瀬に浅見(玉森裕太)、谷原(市原隼人)、村井(三浦貴大)がおくってきたLINEを見る場面や美穂子がノートを見せながら言う「深瀬和久は広沢由樹の特別な友達だった」からの回想シーンなど、ああ!友情!って感じで感動しました。

原作では深瀬と広沢の友情に絞られた話でしたが、ドラマはゼミ仲間皆との友情が描かれていましたね。ほんとうに打ちのめされたときに立ち上がらせてくれるのは周りの人達の思いなんですねぇ。

小笠原さん(武田鉄矢)も第一話からは予想も出来ないほどのいい人に(笑)深瀬と小笠原さんとの会話シーンも良かった。「広沢に生きてて欲しかった」「償いたくっても償いきれない罪ってある」のセリフは深瀬の心情を思うと胸が締め付けられるセリフですね。

 

原作ではまったくなかった真相ですが、広沢はそもそも車の運転してなかったんですね~。三人組の強盗団・・・はいはい、一話目の回想シーンでちょっと出てきてたぞ~(忘れてたけど)。原作だと谷底で炎上した車が発見されて、その中に広沢の遺体があって・・・でしたからね。強盗団が救急車呼んでれば・・・か。しかし、ドラマ内でも言ってましたけど、それで4人の罪が軽減される訳ではないですからねぇ。

広沢の性格も困ったもんですね。強盗団見たとき警察に通報しろよ~。蕎麦アレルギーの事、周りに言っとけよ~。楽しい旅行を台無しにしたくなかったとはいえ・・・。優しいばかりが良いこととはかぎらないのよ?

広沢の容姿は原作とは大分異なるんですけど、回想の中に出てくる印象的な人物として小池徹平はすごく良かったと思います。穏やかな雰囲気の中に少しミステリアスな感じが漂っているというか。そういやぁ大学生の役なんですけど、違和感なかったですね。すごい(?)

 

広沢の両親に罪の告白をする4人。お母さん(片平なぎさ)に「今さらそんな事を聞かせてどういうつもりだ!」と責められるんですが・・・そうよね、私が同じ立場でもそう思うと思うわ。

そっちは謝ってスッキリするかもしんないけど聞かされたこっちは・・・ですよね。

謝罪することが正しいことかどうかはわからない。何年か後、言って良かったと思えるときが来るかどうかもわからない。答えは今すぐ出ることではない。それでも人生は進む。再生(リバース)する――

ってなまとめ方でしたね。

原作を踏まえた上での良いラストだったと思います。原作読者としても安心したし、感動しました(^_^)

 

カメオ出演で『夜行観覧車』から遠藤彩花役の杉咲花、『Nのために』から成瀬慎司役の窪田正孝が登場してましたね。私はどっちのドラマも観てませんが(原作はどっちも読んでるんですがね)驚きました。『リバース』観終わった今となっては『夜行観覧車』も『Nのために』も観とけば良かったと後悔中。

 

またこの制作陣のドラマが放送されるような事があったら迷わず鑑賞したいと思います。

 

リバース

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ではではまた~

 

 

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桜庭一樹『少女七竈(ななかまど)と七人の可哀想な大人』 解説・感想

こんばんは、紫栞です。

今回は桜庭一樹さんの『少女七竈(ななかまど)と七人の可哀想な大人』をご紹介。

少女七竈と七人の可愛そうな大人

 

 

桜庭一樹さんも私はとても好きな作家さんでして、小説として出されている書籍は全て買って読んでいます(エッセイなどは読んでない)。新刊が出るとすぐに飛びついて買う作家さんの一人ですね。

桜庭さんの代表作というと直木賞受賞作品で映画化もされた『私の男』や、アニメ化されたGOSICKシリーズ』などが挙げることが多いと思うんですが、桜庭一樹入門書としては『私の男』は初心者には濃厚すぎるし、『GOSICKシリーズ』はファンとして伝えたい桜庭さん“らしさ”とは違う・・・!(面白いんだけれども) で、一発目に読むのに良いのが『少女七竈と七人の可哀想な大人』かなぁ~と。

サクサクッと読めるし、桜庭文学を率直に味わうことが出来る(と、思う・・・)。かくいう私がこの本をきっかけに桜庭さんにハマったのでね・・・。友達に貰った本でした。ありがとう友よ。

 

あらすじ

とくにとがった部分のない平凡な女、川村優奈は二十五歳のときのある朝とつぜんに“辻斬りのように”男遊びをしたいと思い立つ。狂乱のように一ヶ月ほどの間に七人の男性と関係をもつ優奈。そして誰の子かもわからぬ子供を出産する。その子は七竈と名付けられ、異形のごとき美しい娘に成長するのだが―――。

 

 

『わたし、川村七竈十七歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった』

小説の第一話はこの一節から始まります。凡人にとっては「キレイならいいじゃねーか」と言いたくなりますが、この主人公にとっては“美しいこと”は忌むべきことであり、憤りを感じる事なのです。それは“いんらん”な母のせいであり、思い知らされたくない“あること”の証明になってしまっているからなんですが・・・。

『わたしは母のいんらんのせいで非常に肩身のせまい少女時代を余儀なくされている』

これも一話冒頭の文章の一部。この小説の舞台は北海道の田舎町です。田舎の閉鎖空間では異常に美しいこと、“いんらん”な母がいることは苦行を強いられる要因となる。主人公の七竈はじろじろ眺めまわしてくる男達などに怒りを感じ、“男たちなど滅びてしまえ”と思いながら日々を過ごしている訳なんですね。

とはいえ、やはり七竈が一番に憎んでいるのはいんらんな母なんですが(そりゃそうよね・・・)。

この小説は幼馴染みの雪風とのせつない恋物語であることは勿論なんですが、母と娘の“ゆるす”ゆるさない“のお話でもあります。

作中のいんらんな母・優奈なんですが、出産してから何をして過ごしているのかというと旅人をしているんですね。

ほぼ家に帰らず、行きずりに男を引っかけたりして放浪している。そう旅人。ふざけてんのかっ!て感じですが。まぁ実際ふざけているんでしょうが。七竈は祖父と二人、古びた一軒家でいつ帰ってくるとも知れない母を待っているのです。

 

ここで六話での会話一部抜粋。

“「おかあさん、わたしを愛してますか」

「おかしなことを聞くね。こどもを愛してない親なんて、いないさ」

ただ、いまそれどころじゃないだけよ、と続けて、つぶやく。

「わたしのことをいちばんに考えてください。わたしが大人になるまでは。ずぅっと、おかあさんを待っていたのです」

「知っているわ。待たれているから、旅ができたのよ。遠くにいても安心したわ。わたしを愛して、待っているものがいることに」

「それは、母の心持ちでは」”

ない。

んですよね。この母親は娘を愛し、心のよりどころにはしているんですが“いちばん”にすることは出来ないんです。いつまでも“女”のままで、母親という生き物になろうとしない。そして娘の方は、憎いと思いながらも“おかあさん”を求めている。

しかし、優奈はこの後「おかあさん、なんて夢幻さ」と七竈に言い放ちます。

七竈はいつか母をゆるせる日が来るんだろうかと思い悩みます。そして七話の終盤、芸能プロダクション部長の梅木に、大人になっても母親のことが気になるかと聞きます。梅木の返答は

『女の人生ってのはね、母をゆるす、ゆるさないの長い旅なのさ。ある瞬間は、ゆるせる気がする。ある瞬間は、まだまだゆるせない気がする。おとなの女たちは、だいたい、そうさ』

これを聞いた七竈は

『あぁ、なんてこと』

と、返すのです。

けっきょく答えのでることでは無く、“母親”ってのは良くも悪くも一生つきまとうモノだという・・・。まさに“あぁ、なんてこと”ですね。呪いのような。

 

上記の抜粋部分からもわかると思うんですが、桜庭作品の魅力は印象的な言葉選びにあります。頭にこびりついて離れないセリフの数々。

ちなみに、私はこの作中に出てくる“ゆるしたいと思ったときに、ゆるしているのでは”ってのが何か自分の中の視界が開けた(?)一文で忘れられません。犬視点の語り部分なんですが。

 

 

お話の内容からするとドロドロした話かと思われそうですが、主人公の七竈がなんとも風変わりな娘で、会話の雰囲気が独特なのでちゃんと大人の“少女”小説として読ましてくれます。個人的には後輩の緒方みすずと七竈の会話が好きです。「後輩」と呼び掛けるのがなんとも妙。

この小説は各話、語り手が変わって進んでいきます(犬視点の話、良いぞ!)。語り手が変わっていく中で“七人の可哀想な大人”たちがチラホラと。主に“いんらん”に振り回された人達なんですがね。ま、優奈がいんらんになったのにも“とある思い”がきっかけなんですが。

主人公の七竈って普通つけない名前にもちゃんと意味があります(桜庭作品は主人公の名前が変なのがデフォですけどね)。

あとはもちろん、七竈と雪風との残酷でせつない関係が見所。ここら辺は読んでみてのお楽しみで(^_-)

 

桜庭さんの本は結構人によって好き嫌いハッキリ分かれるかなぁ~と思うので、桜庭作品未読の人は手始めにこの本読んで自分に合ってるかどうか試してみるのはどうでしょうか?

 

 

ではではまた~

 

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)

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