夜ふかし閑談

夜更けの無駄話。おもにミステリー中心に小説、漫画、ドラマ、映画などの紹介・感想をお届けします

西遊記 どの翻訳本を読む?

こんばんは、紫栞です。
今回は有名すぎるほど有名な西遊記原作の翻訳本まとめをしたいと思います。

 

西遊記〈1〉 (岩波文庫)

 

西遊記は《中国四大奇書》(三国志演義水滸伝西遊記金瓶梅)の内の一つで、日本でも題材にした小説・ドラマ・漫画と派生作品が多数存在する作品です。


或る日「『西遊記』関連作品を読みあさろう!」と、思い立ち「まずはとにかく原作からね!」と、いきり立って原作を読もうとしたのはいいものの、超有名作品だけあって翻訳本が溢れていて当時調べるのに苦労したので、これから読まれる方に少しでも参考になるように、自分なりにまとめてみようと思います。


近年集めやすくて全巻出ているものですと下記の通り(注:私自身が読んだのは岩波文庫版と平凡社版です。他はネット等で調べてみたまとめですので悪しからず)


岩波文庫 西遊記 全十巻 訳・中野美代子

 

 

岩波文庫 西遊記 一~三巻 訳・小野忍

 

西遊記〈1〉 (1977年) (岩波文庫)

西遊記〈1〉 (1977年) (岩波文庫)

 

 

完訳で読めるといったらまずはこの岩波文庫版ですが、こちらの完訳・岩波文庫版は注意が必要でして、最初に岩波文庫で訳者をされていたのは小野忍さんなのですが、文庫(三)が刊行された後にご逝去されてしまい、後任訳者で中野美代子さんが文庫(四)~(十)まで(話数でいうと『西遊記』第三十一回~第百回まで)翻訳されています。

その後、文庫(一)~(三)も中村美代子さん訳で出し直しされていますので、訳者を統一させて全巻読みたい方は中村美代子さん訳のものを選んで読んで下さい。(私は一~三は小野忍訳、四以降は中野美代子訳で読みました)

 

訳の違いとしては
小野忍さんの方は古風で格調高い。
中野美代子さんの方は現代的で簡潔。
中野さんの方がサクサクと読める文体ですが、普通に「ボディー・ガード」などの横文字が出てきたりするのでちょっとビックリします(^^;)原作の時代雰囲気を楽しみたい人は小野さん訳の方がオススメですね。三巻までしか読めませんけど。

 

 

平凡社 西遊記(奇書シリーズ4)上・下巻 訳・太田辰夫/鳥居久靖

 

西遊記 上 (奇書シリーズ 4)

西遊記 上 (奇書シリーズ 4)

 

 

完訳です。 こちらは手に入れるなら古本でになりますね~。岩波文庫版の方だと玄奘三蔵法師の出生話が抜けているので、完訳もので出生話が読みたければこの平凡社版を読むしかない。

上巻の

「第九回 陳光蕋 任に赴いて災いに会い 江流の僧 讐を復して本に報ず」

が三蔵の出生話にあたります。

同じ“完訳”なのに何故このようなことが生じるのかというと、『西遊記』にはテキストが多数存在するので、どれを翻訳するかで違うとのこと。
上・下2冊で完訳が読めるのは良いのですが、いかんせん本がデカイ。縦およそ22㎝、横15㎝あって通常の本棚には縦に入れられない。2冊で第百回までの話を入れているため段組してあり、字も小さいので・・・まぁ辞書読んでいる感覚ですかね。
本の最初に主要人名表があるのが助かる。

 

コンパクト版もあります。全七巻

 

 

文章自体は時代雰囲気を壊すことなく、それでいて読みやすいという印象。個人的には中野美代子さんの訳より好みです。

古本での扱いしかない状態なので、コンパクト版だと全巻集めるのに結構苦労しますかね・・・。

 

 

 

 

 

 

 

●現代教養文庫 完訳西遊記 上・中・下 訳・村上知行

 

西遊記 上―完訳 (現代教養文庫 921)

西遊記 上―完訳 (現代教養文庫 921)

 

 表紙に完訳と書いてあるが完訳じゃない。なんという紛らわしさ!ご注意下さい(^^;)
原作の量が膨大なので、かなり飛ばして上・中・下の3冊にまとめられているとのこと。「成人向けの訳で読みたいけど、10冊も読んでらんないよ~!」てな人には3冊でいいとこ取りで読めるので良いのでは。訳も読みやすいみたいです。

とはいえ、こちらも古本のみになりますので、手に入れるのが難しいですかね。

 

 

 

児童向け書籍


岩波少年文庫 西遊記 上・中・下 編訳・伊藤貴麿

 

 

 児童書とはいえ成人でも持ち歩きやすい装丁で良いのでは。文庫だし。中学生以上対象で3冊にまとめられている。岩波文庫中野美代子訳・全10冊をいきなり読むのはちょっと・・・と、いう人にまずコレを読んでみて段階を踏むと良いかも。

 


学研教育出版 西遊記(10歳までに読みたい世界名作) 編訳・芝田勝茂

 

 

読みやすそうですね(笑)
“10歳までに~”と書いてあるのでかなり幼少向けに作られているみたいです。なんとこの1冊で始まりから終わりまでをまとめている。全31章で短く、50点以上ものカラーイラスト掲載。

 

 

●副音館文庫 古典童話 西遊記 上・中・下 訳・君島久子

 

 

 単行本。瀬川康夫さんによる表紙や挿絵が素晴らしく、本の作りも丁寧。小学校高学年から対象。

 

 

 


取りあえずはこんな感じですかね。児童書などはまだまだいっぱいありますが、“訳”“編訳”の境目が微妙なところですね。
正当に、完璧に完訳で読みたい人は岩波文庫平凡社になりますね。

 

 

 

平凡社版はオススメなんですが、古本でしか手に入れられないのがイタいところ。読みやすいし、買いやすいし、まずは岩波文庫版からって気もします。しかし、私も全10冊読むのは骨が折れましたがね・・・。
完璧に読めなくっても大まかにつかめれば良いって人は他のもので・・・。

 

派生作品が多い『西遊記』ですが、どの派生作品よりも大元の原作が一番とんでもないお話だという気がします。読んでみると驚きの連続で愉快ですよ(^_-)ドラマや漫画などで興味持った方は是非一度“本物の西遊記を読んでみて下さい。


ではではまた~