こんばんは、紫栞です。
今回は京極夏彦さんの『今昔百鬼拾遺-月』(こんじゃくひゃっきしゅういーつき)について少し。
『今昔百鬼拾遺-月』は2019年4月から6月にかけて「講談社」「角川」「新潮社」の3社横断3ヶ月連続刊行された『今昔百鬼拾遺 鬼』『今昔百鬼拾遺 河童』『今昔百鬼拾遺 天狗』の三冊が一冊に纏められて改めて講談社からノベルスと文庫で刊行されたもの。
※ 文庫はこちら↓
のスピンオフ連作中編もので、京極堂こと中禅寺秋彦の妹で雑誌編集者の中禅寺敦子と、【百鬼夜行シリーズ】の五作目『絡新婦の理』
に登場した女学生・呉美由紀の二人を主役にそれぞれ「鬼」「河童」「天狗」に因んだ殺人事件が描かれています。
※それぞれの物語りの内容・詳細についてはこちらの記事を御参照下さい↓
【百鬼夜行シリーズ】は講談社から刊行されているシリーズで、講談社ノベルスでのぶ厚い本が「レンガ本」「鈍器」などと言われて印象強く、特徴的なものになっていたのですが、シリーズ九作目の『邪魅の雫』以降になんだか大人の事情で出版社とゴタゴタがあったらしく、シリーズのアナザーストーリーズである『百鬼夜行-陽』が最初別の出版社から刊行されたりなどしました。
しかし、この『百鬼夜行-陽』は結局その後に講談社ノベルス版、講談社文庫版も刊行されたりして、ファンとしては“大人の事情”がどんなことになっているのかいまいち判らない状態でした。去年のこの『今昔百鬼拾遺』の3社横断刊行企画でまたもや判らないことになっていたのですが・・・これまた講談社からまとめて本が刊行されると相成ったわけですね。
ホントどうなっている事やら・・・。今後も【百鬼夜行シリーズ】関連は講談社ノベルス・講談社文庫で統一して出しますよ~で、良いということなのでしょうかね?ファンとしては【百鬼夜行シリーズ】は講談社からというイメージが強いし、愛着もあるのでそれならそれで良いのですが。う~ん、わからん・・・・(^_^;)。なんにせよ、作者の京極さんの好きなように書いて欲しいとは思います。
私は『今昔百鬼拾遺』は既に3社横断刊行のときに文庫で購入・完読済みなのですが、本屋で講談社ノベルスのぶ厚い本を見たらばやはり嬉しくなってしまい、さらに本の最後にある注釈「※本書収録にあたり、大幅な加筆修正がなされております」という一文がダメ押しとなって購入してしまいました。
気になる加筆修正部分ですが、お話の内容が大きく変わるようなことや情報や展開の付け足しがある訳ではなく、京極ファンの間ではお馴染みの、文がページを跨がないように細かい書き直しや改行などがされているって感じなので、3社横断刊行の文庫を購入した人は態々買い直す必要は特にないかなと思います。
ですが、個人的にはやっぱり講談社ノベルスで京極さんの新刊が読めるのはテンションが上がりましたね。講談社ノベルスの段組とぶ厚さが「これぞ京極作品!」感があって良い。持ち運びが不便だろうが、重くて読んでいて手首を痛めようが、段組で文字数に圧倒されようが、そこが良いのさ!
帯に!
三冊がまとまった『今昔百鬼拾遺-月』はノベルス版の刊行の一月後に文庫版が刊行されました。私はノベルス版を購入したのですが、その本の帯には百鬼夜行シリーズの長編一覧の最後に未だ刊行されない長編『鵼の碑』の題名が並び、小さくカッコで“近日刊行予定”の文字が!
やっと刊行なのか!?近日?近日ってどれくらいのこと!?え?
って感じですが・・・どうなのでしょう?
あまりにも待たされ続けているせいで過度な期待は禁物だという考えが先に来てしまうのが正直なところですが、帯に態々こんな風に書くということは『鵼の碑』も講談社から出すよ!という宣言のようにも受け取れますね。講談社の「他の出版社には渡さないぜ!」という気合いが滲み出ているような気がしないでもない。
『今昔百鬼拾遺』の作中にて、どうやら栃木の方で起こる事件である『鵼の碑』の次に、“東北の方の事件”というさらなる長編を匂わしている描写がありますので、案外『鵼の碑』自体はすでに書き終わっているのではないかという気もしますね。ひょっとしたら数年前とかに。だったら、いつまでも発表されないのは“大人の事情”、及び出版社のゴタゴタのせいだったりして・・・(^^;)。
何はともあれ、近日刊行されることを夢見てまた日々を過していきたいと思います。
ではではまた~