夜ふかし閑談

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『スイート・マイホーム』映画 感想 ホラー?原作との違いは?

こんばんは、紫栞です。

今回は、映画『スイート・マイホーム』を観たので感想を少し。

 

スイート・マイホーム

 

こちらの映画、神津凛子さんの小説を映画化したものでして、前にこの原作本について当ブログで感想を書きました。↓

 

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映画が公開されたのは2023年9月。で、今は2023年12月。

アマプラで早くも見放題対象になっていてビックリしてしまいました。だって、劇場公開からまだ3ヶ月ほどしか経ってないですよ?ページで見つけた思わず瞬間「早っ!!」って言ってしまいましたよ(^_^;)。

ちょっと思うところはありつつもやはり有り難いことですので、ビックリついでに鑑賞いたしました。

 

 

 

 

 

※以下、ネタバレありの感想となりますので注意~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この映画、監督は斎藤工さんで、主演は窪田正孝さん。ドラマ『臨床犯罪学 火村英生の推理』コンビですね~。

 

俳優で有名な斎藤工さんが監督だというところが注目されるポイントかと思いますが、斎藤工さんは俳優業の傍ら、20代から映像制作も積極的に行なっているそうで、2018年以降は映画監督として色々受賞していらっしゃるのだとか。けっして素人監督作ってことではないってことですね。

 

原作を読んだのでどうしても観ていて比較してしまうのですが、概ね原作通りのストーリーとなっていました。後味が悪くって映画では果たしてやるのかなぁと危惧していた、あの、“問題のラスト”もそのまま。

 

静かで、画も暗め。終始不気味な雰囲気漂う映画となっています。

 

原作も同様なのですが、この物語、中盤まではホラーなのかミステリなのか、マジものの怪異ものなのか、人が起しているものなのか、判然としないように描かれている。

ま、原作の発売時に大々的にオゾミス(おぞましいミステリ)と触れ込まれていたので、人間の仕業だというのは読む前から丸わかりではあったのですけど(霊的なものの仕業なら“ミステリ”とは謳いませんものね。特殊設定ものとか、例外はありますが・・・)。

 

映画の方も、どこぞの邦画ホラー作品のように撮られているものの、人間の仕業なんだろうな~というのは最初の段階で察しがつく。と、いうか、犯人が丸わかりなんですよね。これは原作もそうなのですけど。

あまりに“分りやすく怪しい”ので、捻りやどんでん返しがあるのだろうと思う人も多いかと思いますが、どっこい、そのままです。一応ミスリード要因の人物はいるのですが、すぐに退場してしまいますしね。

 

それでも原作では人物の生い立ちや心情が描写されているので納得出来るし、「おぞましい」という感想も持てるのですが、映画ですと色々と説明不足で、映像や役者の演技は良くてもストーリーが陳腐だと感じてしまう。

特に、犯人の妄想世界に入り浸った経緯がかなり省略されているので、単純に「なんかおかしい人」くらいにしか感じられない。イカレ具合が足りないのですよね。なので、最後の主人公との対峙も迫力に欠ける。

 

“あのラスト”も、説明や人物の描写が少ないぶん、原作以上に取って付けた感があります。

 

主人公の過去、家族に関しても同様で、なんだかフワッとした説明しかない。最初にキャストを知ったときにお兄さん役で窪塚洋介さんを使うのは何か勿体ないのではないかと思ったものですが、観てみたら思っていた以上に勿体なかった。

お父さん役で竹中直人さんがワンカットだけ使われているのはもっと驚いた。「贅沢」ってよりも「勿体ない」という感想を持ってしまいますね。

 

 

上記したように、画面が暗めで特に効果音もなく、ストーリーにも起伏がなくって終始淡々としている。

いや、人が死んでいるのだし、起伏はあるはずなのですが、襲われるシーンなどがなくただ「死にました」って結果だけ伝えられるので、起伏がないように感じてしまうのですよね。

 

画面が本当に真っ暗で、全然分らない箇所もあります。怖がらせるシーンなのでしょうが、何も見えないもんだから怖くない。部屋の電気消して見直して、やっと少し見えて「あ~ぁ?あ、はいはい」ってなった。

見えてもよくわかんなかったんですけど。怖いも何もないですね(^_^;)。

個人的に、どんな演出意図があろうとも見えないのと台詞が聞き取れないのはダメだと思う。

 

ジワジワとした不気味さでザワザワした恐怖を観る者に与えたくって静かに、暗く、淡々と描いているのだというのは解るし、ちゃんと出来ているのですけど、物足りなさはあります。

もっと怖くすることも、スリリングにすることも、ビックリさせることも、おぞましく感じさせることも、出来たのでは?と。

 

原作が“オゾミス”と謳われているくらいですからね、もっとエンタメよりに撮った方がこのお話には合っていたんじゃないかって。でも、そういう風には撮りたくなかったんだろうなぁ・・・監督の好みで・・・。

 

 

この映画に対して、私の率直な感想は「もの凄く悪い訳ではないが、もの凄く良いという訳でもない」ですね。

 

しかし、怖すぎないジワジワ系邦画ホラーが観たい人には良いのではないかと思います。怖くないって何回も書いてしまいましたが、マイホームをこれから建てようって人には別格の怖さがあるでしょう。家買って失敗するのって最大級の恐怖ですからね。

 

説明不足に感じた人は是非原作を。主人公や犯人の凄絶な過去を知ることが出来ます。映画はここら辺本当にサラッとなので・・・。

 

 

漫画化もされているみたいです。

 

 

 

諸々、気になった方は是非。

 

 

 

 

 

ではではまた~

 

 

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