夜ふかし閑談

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『金田一37歳の事件簿』15巻 ネタバレ・感想 ロジカルな推理!リアル人狼との”読み合い”対決!

こんばんは、紫栞です。

今回は、金田一37歳の事件簿』15巻の感想を少し。

 

金田一37歳の事件簿(15) (イブニングコミックス)

 

今巻は1冊丸々、前巻からの人狼ゲーム殺人事件』が収録されています。

 

 

※前巻のあらすじ・詳細について、詳しくはこちら↓

 

www.yofukasikanndann.pink

 

 

 

以下ガッツリとネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前巻ではファンお待ちかねだった美雪がやっとこさ登場して湧きましたが、今巻はそんなことなどなかったかのように通常運転です。

ま、前巻で『人狼ゲーム殺人事件』が始まった瞬間からもうそうだったので、そこら辺は期待していなかったんですけども。でも、「一方、その頃・・・・・・」とかで美雪登場してくれるかなぁ~とかはちょっと期待していた・・・(^_^;)。

 

 

 

 

先読み対決

今巻は咲間みおりが二人目の被害者として発見されるところからスタート。

 

一人目の被害者・冬城楽人が殺害される事件は落雪で通路がふさがれたことによるアリバイトリックものでしたが、二つ目の事件は積雪量から目算したアリバイトリック。

 

発見時、死体の上にはかなりの雪が積もっていた。二時間半前に見に行ったときは何もなかったため、最初に見に行った後の三十分間ほどで犯行が行なわれたはずだけど・・・っていうアリバイものですね。

 

咲間みおりの遺体発見と同時に竜門峻平が行方知れずとなり、他メンバーは検証の結果、アリバイがないのは池上凛のみだということに。

 

とりあえず池上さんの行動制限をしつつ、失踪した竜門さんが犯人か、それとも何処かで殺されているのか、判らないままに皆で捜索開始。

 

黒シルエット犯人(リアル人狼)は竜門さんを犯人に仕立てて殺害し、自殺を偽装することで幕引きするベタすぎる目論見だった訳ですが、金田一の推理によってまだ息のある状態で竜門さんを雪の中から発見することが出来、第三の殺人を阻止することに成功。

犯人のベタベタな企みは打ち砕かれ、竜門さんを何としてでも殺害したい犯人と、阻止して犯人を突き止めたい金田一との“先の読み合い”対決となる。

 

読者としては、竜門さんが罪を着せられて死んでから「いや!犯人は別にいる!」って推理を披露するいつもの流れだろうと予想してしまうので、第三の殺人を阻止出来て後のこの対決は少し意表を突かれました。長年読んでいると、読者は“パターンの先読み”をしてしまうのですよねぇ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

シンプル

今作は派手な機械トリックを好むこの漫画シリーズにしては珍しく、論理的な筋道によって犯人を特定するロジックものとなっています。

 

ゲームマスターのヘンリーが入れ替わっていたというのはやはり予想通り。

犯人当てに関しては、被害者の冬城楽人だけがメンバーの中で唯一左利きだったということを見抜ければロジックで当てられるようになっている。名刺交換の場面をやたらわざとらしく画で見せていたのはそのせいですね。でも名刺って、基本両手で渡すものなんですけどね・・・。

前巻で「まだ物語の半分だから」と思い、犯人は男性だろう(入れ替わりの都合上)ぐらいで留めて真面目に推察もしていなかったんですけど、前巻の段階で犯人当てに必要な要素は既に出揃っていたのですね。毎度のことですが、もっとちゃんと読者として推理するべきだったなと反省。

 

殺人が起こる前のゲーム時に人狼のカードを持っていた人がそのまま「リアル人狼」だというのはシンプルで良いですね。

 

今回の事件はロジックものということで、トリックもいつもよりひねっていないというか、至ってシンプル。そのぶん、まとまりが良くなっていたと思います。ハデさはないですが、私は今回の事件結構好みです。

 

しかし途中、ウィーチューバ-の峰雪虹太金田一たちとで人工降雪機の話をしているのですが、種明かしの時に「死体の上に人工降雪機で大量の雪を降り積もらせた」と語り出されたのには「あ、そんなに“そのまま”なの・・・」と、逆に驚いた。もっとさりげないヒントに出来なかったものか。

 

寒波で降雪100%の予報が出ているなか長野の山奥に行くなんて「閉じ込められに行くようなもの」で、雪国の人間としては信じがたい危険行為だと前巻での感想ブログにも書きましたが、今巻での峰雪さんが動画のためにわざと屋根の落雪を受けたというエピソードは更にバカバカしい危険行為で怒りが湧きました。

 

あのね、雪国では屋根からの落雪で毎年何人も命を落しているんですよ!動画のウケ狙い目的でこんなことするのは超ド級のバカ者ですからね。雪国の人間に侮蔑の目を向けられて罵倒されますよ。私もしますよ。ダメ、絶対!

 

 

ロジックで事件を解き明かしていくのは良いものの、犯人との最後の“読み合い対決”で皆のペットボトルに睡眠薬を入れて・・・という方法を阻止しての決着はよろしくなかったですね。

別の事件で似たようなことしているものがあったし、謎解きの最中なのに皆で一斉にペットボトル飲料を飲み始めるのは唐突すぎて違和感アリアリでした。ここまできて犯人の姿をまたシルエットに戻すのも意味不明でしたし。

 

 

そんなこんなで、犯人はIT起業家の鬼屋敷剣だと判明するのですが、動機面は次巻に持ち越しとなっています。個人的には一つの事件であまり巻を跨がずに二冊でバシッと終わらせて欲しいところですが、尺の都合上どうしてもこうなってしまうのですかね。

 

四年前に鬼屋敷さんの娘さんが死んでしまって、それが今回の被害者三人の身勝手さのせいであるとのことのようですが。

次巻予告から察するに、雪道の中、娘さんを連れてどこかへ向かう途中に三人に妨害されて身動き取れなくなって、最終的には娘さんが死ぬ結果に・・・・・・って、ところでしょうか。

ま、読者的“パターンの先読み”は程々にしておきましょう。

 

 

次の16巻は、2024年初夏発売予定。

 

【首なしスキーヤー】編開幕と書かれているので、初夏発売ですが今作から引き続き冬事件もののようです。(しかし、“首なしスキーヤー”って・・・色々とアレですね^_^;)

次巻はちょっとでもいいので、美雪がまた出てくれると嬉しいですね。

 

また楽しみに待ちたいと思います。

 

 

ではではまた~