夜ふかし閑談

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『金田一少年の事件簿30th』3巻 “ベタベタ”な「鬼戸・墓獅子伝説殺人事件」開幕!

こんばんは、紫栞です。

今回は金田一少年の事件簿 30th』3巻の感想を少し。

金田一少年の事件簿30th(3) (イブニングコミックス)

 

30周年記念3巻

連載開始30周年を記念して、37歳からふたたび17歳の高校生である金田一一の活躍が描かれる『金田一少年の事件簿30th』の3巻。丸々二冊使っての事件だった八咫烏村殺人事件」

 

www.yofukasikanndann.pink

 

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に続いて、今巻は「鬼戸・墓獅子舞殺人事件」という長編が収録されています。

 

 

 

鬼戸・墓獅子伝説殺人事件

あらすじ

金田一一七瀬美雪は、夏休みの課題「日本の伝統文化風習の研究」の取材のため、小学校時代の同級生・星宮つむぎが住む東北の「鬼戸村(おにのへむら)」に記録係として佐木竜二も連れて三人で訪れた。

「鬼戸村」には漆黒の獅子が舞う「墓獅子舞」という何百年も前から伝わる祭事があり、今年は星宮つむぎが墓獅子の役を務めるのだという。

ところが、舞の最中に村の若者が殺害される事件が発生して――。

 

 

※以下、若干のネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“ベタ”第2弾

「夏祭り、しきたり、呪い、惨殺・・・。ジャパニーズホラーに溢れた新章が堂々スタート!」と、コミックスの帯に書いてあるように、“金田一少年といえば”な横溝正史風ミステリが展開されております。

前回の「八咫烏村殺人事件」に続き、今回もベッタベタなこの感じ。この30周年記念シリーズは原点回帰で“ジャパニーズホラー”を押し出していくスタイルなのですかね。

 

高校の夏休みの課題研究で東北の村まで行くとはやけに熱心な・・・と、なるところですが、美雪が小学校時代に仲良しだった星宮つむぎに会いに行きがてらってことで。刑事さんもですが、各地方に友人がいる金田一と美雪である。

 

今回は記録係として連れてきた佐木2号もいてのトリオで事件に挑む。記録係を連れての課題研究とはまた豪勢なことですが、佐木2号が一緒にの事件は久しぶりで嬉しい。

 

メタなこというと、佐木2号がいるときは映像記録が重要な証拠になる事件のとき。今回は短時間の間に二つの殺人事件が起きるアリバイトリックと、高い櫓に大男をどうやって吊したのかが謎の提示なので、アリバイトリックの方で客席全体を撮ったビデオ映像が重要になるのだと思われ。

 

第一の事件と第二の事件は墓獅子舞の最中に起こる。椅子に毒針が仕掛けられての殺人と、堂内の音響室で盆の窪にノミを突き刺されての殺人。

 

容疑者たちは五分程度かそれ以下のほんの短い時間しか席を外していないのにどうやったんだ!って話ですが、一つは毒針を椅子に仕込んでのものだし、音響室いって殺すだけなら本格推理の世界では“出来る”認定される気がしますけども。(本格推理の世界においては、犯人は凄腕の殺し屋レベルの早業能力がある)今回は普通に殺して帰ってくるのは不可能な時間ですよという認定で事が進むらしい。

 

地方での事件では毎回恒例の、剣持警部に電話させて地方警察を黙らせる場面あり。途中から金田一の能力を認めて青森県警の桑原さんが協力的になる。

今更ですが、この流れって浅見光彦シリーズの定番のくだりそのままですね。オマージュしてるつもりなのかも知れない。

 

 

客席に座っていた容疑者たちは、五年前に起きた吊り橋が落ちた事故絡みで皆そろいもそろって身内を亡くしていて動機がある。偶然にも事故が起こった瞬間をとらえた写真をGUILTY(有罪)と題したものに入れている記者の宇治木政宗など、気になる人だらけではありますが・・・。

ミステリでは“かぶり物”が出て来るときはそこに仕掛けがあるのがオキマリ。「犯人に襲われた!」と言って平気だった人物が犯人というのもオキマリなので、ミステリのオキマリ的に考えれば星宮つむぎが怪しいということになる・・・被害者である白神流星に協力させて~・・・とかですかね。

 

黒シルエット犯人(?)の描写で、純金の獅子を見て「あの獅子があればなんでも手に入る・・・・・・!!そのためならどんなことでも・・・・・・」と思っている部分があるのですが、容疑者たちは皆身内を亡くしての私怨絡みなので、お金目的の犯行はしそうにないんですよね。それだと、欲しがりそうなのは被害者のうちの誰かだけかなと。金の獅子一回盗んだものの、第三の事件であっさり手放してますし。

 

あとこれは絵柄の問題だとは思いますが、親しかったであろう白神の死体に駆け寄るときのつむぎちゃんの顔がまるっきりこんな→(>_<)で、緊迫感がない。

 

 

第三の事件である、高いところに吊り上げての“空中密室”に関しては、まだどんな方法でやったかは見当もつかないですね。これ、“密室”と命名するのはなんだか違うだろって個人的には思うのですけど・・・。

 

今巻はジッチャンの名にかけて!宣言をしたところで終わっています。この事件もあと丸々一冊使いそうですので、まだまだこれから手掛かりが出て来るのかなと。

 

 

次巻、『金田一少年の事件簿30th』4巻は2023年4月発売予定。37歳の方のシリーズもあるので30周年記念シリーズは何冊までやるのか気になるところですが・・・でもこの事件で終わるってのもなんだか妙ですしねぇ・・・。6巻くらいまではやるのかな?

 

なにはともあれ、次巻も楽しみに待ちたいと思います。

 

 

 

ではではまた~