こんばんは、紫栞です。
今回は私が今までに観た、結末で物語が驚きの逆転をする仕掛けもの映画、“どんでん返し映画”を5つ、まとめて紹介したいと思います。
以下、仕掛けのネタバレはしていませんが「どんでん返しもの」だと知ってしまうだけでネタバレはネタバレですので(本当は宣伝文句なども知らず、先入観なしに観るのがこの手の映画は1番楽しめる)、ご注意下さい。
アザ-ズ
2001年製作のアメリカ・スペイン・フランスの映画。
第二次世界大戦終結直後の1945年が舞台で、出征した主人の帰還を待ちながら大邸宅で暮らす夫人と子供、三人の使用人が、様々な怪奇現象に見舞われていくホラーサスペンスストーリー。
二人の子供は重度の日光アレルギーで、館の中は常に暗闇に包まれている。そんな中で妙な物音・話し声が聞こえたり、物の位置が勝手に変わったりといった不気味な現象が起こるという、お化け屋敷的ホラー映画。とはいえ、グロい描写などはないのでホラーが苦手な人でも平気だと思います。
物語は三人の使用人を雇うところからスタートするのですが、この時点で既に怪しい会話がチラホラリ。もちろん伏線です。
主演はニコール・キッドマン。製作された2001年当時に夫だったトム・クルーズが製作総指揮で参加しているとかで「ほぉーん」って感じ。暗闇とシックな装いでニコール・キッドマンの美しさが際立っています。
シャッター・アイランド
2010年のアメリカ映画。
舞台は1954年。精神を病んでいる犯罪者ばかりを収容している島に、失踪女性の捜索のため相棒と共に訪れた連邦保安官のテディ。女性は「4の法則。67は誰?」という謎のメッセージを残して姿を消していた。精神疾患を患っている収容者たちに取り調べをしていくテディだったが、そのうちこの島で異様なことが行なわれているのではないかと疑問を持ち始める・・・・・・。
と、いったストーリー。
島という閉鎖空間で周りは精神疾患者ばかり、管理している者たちも明らかに何かを隠している様子でとても信用出来ない。得体の知れない島の中で心身ともに追い詰められていくサスペンス・ホラー風味の映画。謎のメッセージや島での企み事など、ミステリ要素でも惹きつけられる作品。
どんでん返しの仕掛けがあるものの、劇中で頻繁に心象風景や過去の出来事などが描写されているので気がつく人も多いかも。真相を知った後だと、ある意味とても怖い物語だと感じる。余韻が深く残る終わり方で、鑑賞後は複雑な心境にさせられます。
監督のマーティン・スコセッシと主演のレオナルド・ディカプリオがタッグを組んでいる映画は今作が4作品目。2023年に公開された『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』でもディカプリオを主演に起用しています。6作品目のタッグ。よっぽど監督のお気に入り俳優のようです。
1995年のアメリカ映画。
マフィアの麻薬密輸に使われていたと思われる船が爆発・炎上し、焼き後から多数の遺体が発見された。事件はマフィアたちの抗争によるものだと推察され、関税局捜査官・クイヤンは事件で生き残った詐欺師・キントに尋問をする。
キントは事の発端、6週間前にニューヨークの警察署で銃器強奪事件の容疑者としてさせられた“面通し”で偶々知り合ったメンバー5人で犯罪計画を立案し、実行していったところから船爆破事件へと発展した経緯をクイヤンに語っていく・・・。
こんな感じに、キントの回想話によって全体が構成されている犯罪映画。話が進むにつれ、すべての黒幕であるとされる人物「カイザー・ソゼ」とは何者なのかという謎が主題になっていきます。
タイトルの「ユージュアル・サスペクツ」は“いつもの容疑者”という意味。ことある毎に警察の厄介になっている5人の犯罪常連者たちが、「カイザー・ソゼ」によってあれよあれよと深みに嵌まってしまう様が描かれる。
回想話には注意するべき点があり、この映画はその王道を真っ正面から描いています。王道だからこそ、物語と人物が様変わりする最後の瞬間がシビレる。気持ちよく「やられたよ!」となる映画ですね。
この映画、どんでん返し系ではかなりの有名作でして、お笑いのネタにもなっていたりしているそうな。「カイザー・ソゼ」で検索するだけで肝心要部分のネタバレをくらってしまうので、観る前に検索するのは絶対におやめ下さい。(ま、ここで紹介している映画は全部事前検索は要注意ですが・・・)
2015年公開の日本映画。
舞台は1980年代後半。大学生で恋愛経験のない鈴木は、代打で呼ばれた合コンで繭子と出逢い、恋に落ちる・・・・・・と、いう、タイトル通りのラブストーリー。
前半はウブな恋模様で交際に至るまでが、後半は鈴木の就職が決まって遠距離恋愛することとなる様子が描かれる、大きく二つに分けられた構成となっています。
乾くるみさんの原作小説が発売当時、「最後から二行目は絶対に先に読まないで!」「必ず二回読みたくなる本」とデカデカと広告に書かれ、著名人絶賛コメントの帯が付いたことも手伝ってか、どんでん返しものの話題作としてバカ売れしました。
映像化不可能作品だと思われていたので、映画化すると聞いて「ええ!アレはどうするんだ!?」と読者は皆驚いたことでしょう。私もそうでした。
映画は独自設定を一つ追加することで仕掛けを成立させていましたね。「ほうほう、そう来るか」ってなりました。
この映画の良いところは、かなり丁寧に“答え合わせ”をしてくれるところ。コレ系の映画は伏線回収をあえて詳細にはせずに、符合点や考察を観た側に委ねるものが多いのですが、この映画ではラストの5分間で映像によるとても分りやすい答え合わせをしてくれる親切設定となっています。原作読んでよく解らなかったという人にこそオススメの映画。
80年代後半のファッションや音楽も見所。どんでん返しものでありながら、人死にや事件が起きないラブストーリーなのも特色ですね。
2007年公開の日本映画。
大学新入生の椎名は、引っ越してきたばかりのアパートで隣人の青年・河崎から初対面でいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけられる。夜の本屋から広辞苑一冊を盗み、失恋で落ち込んでいる外国人留学生にプレゼントするという、聞けば聞くほど意味の解らない誘いだったが、椎名は妙な具合にのせられて計画に協力することに。
本屋襲撃終了後、椎名は河崎の知り合いだというペットショップ店長の麗子から、二年前に起こった出来事を聞かされて――・・・。
と、一風変わったストーリー。
原作は伊坂幸太郎さんの傑作小説。叙述トリックもので有名な伊坂幸太郎作品のなかでも特に名作とされる初期の代表作です。
伊坂作品の魅力がつまりにつまった傑作小説。さて、どんな風に映像化されているものかと原作ファンは不安にもなったことでしょうが、見事に伊坂ワールドを再現してくれている映画となっていまして、原作小説同様にこの映画も評価が高い作品です。
これまた原作を読んだ身としては「あの仕掛けはどうするんだ!?」と、なるところですが、この映画では変に凝らずに割と直球の表現方法がとられています。普通に考えると「アンフェア!」となりそうなところですが、演出と演技の良さで気にならない。むしろ感動する。
二時間でおさめるために原作から所々変更はありますが、いずれも映画ならこの方が良いと思える上手い変更です。
ラストシーンも場面は忠実に再現しているものの、原作とは“ある点”が大きく違うのですが、これはこれで非常に感慨深いものとなっていて良い。
小説と映画、両方愉しんで欲しい名作ですね。
以上、5選。
私は叙述系のどんでん返し仕掛けがある小説が好きなので、読んだ小説が映像化されるとなると気になって観てみるということが度々あります。小説の叙述トリックものは文章だからこそ出来る仕掛けですので、映像で原作での驚きをどう表現するのか、物語を知っているからこそ興味深いのですよね。
最近ですと、絶対に映像化不可能と謳われ続けてきた新本格ミステリの超名作『十角館の殺人』がドラマ化される
との一報で、思わず「えっ!?」って声が出ました。Hulu独占なので、今の状況のままじゃ私は観られないんですけど・・・(^_^;)。
実写のどんでん返しは“視覚でとらえていたものに騙される快感”があり、通常とは違う創意工夫をしなくてはいけないので、脚本・演出・演技、それぞれの力量が一般的な映画より試されるものだと思います。ただ驚かせられれば成功というものではなく、物語としての魅力も大前提として必要ですしね。
一度観終わった後また最初から観て、鑑賞者が“答え合わせ”をし、別目線で観直すという独自の楽しみがあるのがどんでん返し映画。
何回も観て、観る度に“考える楽しさ”を味わって欲しいです。
ではではまた~