夜ふかし閑談

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『きのう何食べた?』映画 ネタバレ・感想 多くの人に観てもらいたい映画!

こんばんは、紫栞です。

今回はきのう何食べた?の劇場版を観てきたので感想を少し。

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弁護士の「シロさん」こと筧史郎(西島秀俊)と、美容師の「ケンジ」こと矢吹賢二(内野聖陽)。同棲しているゲイカップルの日常を、食を通じて描く漫画の実写化作品であるこちら。

 

2019年にテレビ東京系列で連続ドラマ化、

 

 

2020年にお正月スペシャルドラマ

 

 

の放送を経ての劇場版です。

私はよしながふみさんによる原作漫画は未読なのですが、連続ドラマとお正月スペシャルは何度も繰り返し観ました。連ドラの方が30分で観やすいというのもあるのですが、ほろ苦いところもあるけれども何回観ても良い気持ちになるドラマなんですよね。

最初に西島さんと内野さんがゲイカップルの役をやると聞いたときは時代の変化を感じて驚いたものです。数年前まで同性愛者をメインにするっていうとスポンサーからNGがでたものですが。

 

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近年は性的少数者LGBTへの理解を深めようってことで、同性愛やトランスジェンダーを扱ったドラマが多数製作されている訳ですが、リアリティのあるものは意外と少ない。BL的ファンタジーというか、現実社会よりも同性で交際することに“やさしい世界”なんですよね。抵抗感も嫌悪感もない人たちばかり主人公の周りで固められていて、男女の恋愛と同じように歓迎され祝福される世界。

ブコメであまり重くなるのはダメだろうし、そういったファンタジックを踏まえて愉しむドラマも個人的には好きなのですが。おっさんずラブもお気に入りドラマで劇場版を映画館まで観に行きましたし(ドラマの一期はコメディとして、ラブストーリーとして完璧な出来だと思う。二期はまともに評価できないようなダメダメっぷりだったけど・・・)。

 

 

私が観てきたドラマはほんの一部でしかないのですが、現在の日本で同性愛者が置かれているリアルを確りと描いているドラマは、NHKで放送していた腐女子、うっかりゲイに告る』

 

と、『きのう何食べた?』かなと。

 

腐女子、うっかりゲイに告る』は、個人的に「ふざけた題名だと思って気軽に観ると痛い目に遭うドラマ」の、いまのところのナンバーワンでして、毎週辛くて泣きそうになりながら観ていました。このドラマは同性愛者として悩む少年の葛藤が情け容赦ないなく痛切に描かれているのですが、『きのう何食べた?』はその先というか、青春時代の悩み期が過ぎ去り、社会人として歳を重ねていくなかで同性愛者が直面する、細やかだけれども深刻な問題が穏やかにしみじみと描かれる。

仕事して食事して寝るというという毎日を送っているのはどんなマイノリティーの人間だとて同じ事。この作品では食にスポットを当ててゲイカップルの日常と抱えている問題をあぶり出している訳ですね。

 

 

 

 

 

以下、若干のネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それで肝心の映画ですが、一言でいうと“良い映画だった”なと。心があたたかくなったというか、じんわりとした感動がある映画でしたね。

 

描かれているのはお正月スペシャルのその後。ケンジのへの早めの誕生日プレゼントとして、シロさんの提案で京都旅行に行くところからスタート。いつになく優しいシロさんに不審を抱き、「別れ話か、それとも病気で余命僅かなのか」と妄想をたくましくしてケンジがシロさんに問い質したところ、正月にまた二人でシロさんの実家に行く予定だったが、両親に「もう家に恋人を連れてこないでくれ」と言われてしまったとのことで、ケンジへのお詫びを兼ねての旅行だったことが明かされる。

 

連ドラの最終話はシロさんが両親にケンジを恋人だと紹介するお正月のお話でした。ぎこちないながらも無事終わり、ケンジは「彼氏の両親に恋人として紹介してもらえるなんて凄く嬉しかった」と喜んでいた訳ですが、実は二人を送り出した後でお母さんが精神的なショックで倒れてしまっていたようで。「お、お母さん・・・」って感じですが・・・(^_^;)。

「息子がこういう人と一緒で良かった。安心した」と、頭では分っているものの、身体が追いつかなかったということらしい。ま、息子がゲイだと知って卒倒し、新興宗教に入って怪しげな壺買ったりしたお母さんですからねぇ・・・。息子の恋人も最初は女装姿の男性なんだろうと思っていたくらいだし(この、どうしても男女の型にはめて考えることから脱却出来ないっていうご両親の姿、リアルですよね・・・)、分っていても、いざ本当に息子から恋人だと中年男性を紹介されるとやはりショッキングなのでしょうね。

 

このご両親も否定せずに歩み寄ろうと努力しているんですけどね。やはり超えられない壁というかなんというか。

「自分が行かないだけでご両親が健やかに過ごせるならそれで良いじゃない」と笑って受け流すものの、やっぱり傷ついている様子のケンジを慮り、シロさんは「もうこれから正月は実家に帰らない。この部屋でお前と一緒に過す」と、宣言する。ケンジは嬉しいけれども複雑な心境で――

と、いった具合に、御馳走作ったり、おせち料理作ったり、ケンジの薄毛危機があったり、浮気か?病気か?死ぬのか?等々、色々あってお話は進行する。

 

終盤、お正月には帰らない宣言をしたものの、他の時は頻繁に実家に顔を出すようになっていたシロさんに、母親は「来てくれるのは嬉しいけど、貴方は貴方の家族のことを一番に考えてあげてね」と言い、そしてケンジも、「俺とお前、二人だけで良いじゃないかって言ってくれて凄く嬉しかった。でも、二人だけで生きている訳じゃないから、ご両親のことも大事にしてあげてね」とシロさんに言う。

 

この二人の言葉には感動しました。たとえ相手を理解することが出来なくとも、尊重し、思いやること。理解し合うことが出来ないからと敵意を向けるのではなく、共存しようと歩み寄ること。これこそ多様性に必要不可欠な気持ち。人々が皆この気持ちを持てば、世界はもっと“生きやすく”なるはずで、ひいては戦争もなくなり、世界平和に繋がるに違いない。(最近、戦争が関係する本ばっか読んでいたんでちょっと考えがそっち方面にいってしまう・・・^_^;)

 

そもそもマイノリティー云々を持ち出すまでもなく、他者と完全に理解し合うことなど不可能です。解り合っている、通じ合っていると思ったとしても、それは所詮そう“思い込んでいる、気がしている”だけ。完全で完璧な理解など幻想であり、求めても破綻するだけです。理解しようとする努力はもちろん大事ですが、「ああ、やっぱりダメだ」と壁にぶつかったとしても、そこで遮断して閉じこもるのではなく、尊重して思いやることが社会の中で生きるということなんだなぁと。この映画を観て改めて思い知らされましたね。

 

 

このような感動シーンの他にも、どこまでが脚本でどこからがアドリブか分らないコミカルなシーンも多くて楽しいです。二人の仲良しシーンも多くってホッコリする。最初に比べると、シロさんだいぶケンジに優しくなってるな~としみじみ思う。

小日向さん(山本耕史)とジルベール(磯村勇人)のお騒がせカップルと、料理友達である主婦の佳代子さん(田中美佐子)、美容室の面々と、映画らしくオールキャスト総出演です。美容室の方には新キャラクターで田淵剛(松村北斗)という美容師が出て来ます。二人にとってちょっとした起爆剤って感じの役割になっていますね。

 

もちろん美味しそうな料理も盛り沢山。メニューも劇場版だからってことなのか、いつもより豪華なものも出て来ます。予告で忠告されていたくせに空腹の状態で観に行った私は、お腹が鳴りそうなのと必死に格闘することになった・・・。BGMも少なめな映画だったんでより・・・(^^;)。公式の忠告通り、食べてからの鑑賞をオススメします。


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ドラマのシーズン2はやってくれるのでしょうかね?今回の映画の中でケンジは薄毛対策で髪型変えちゃうのですが(内野さんの頭皮はまったく“キテいる”ようには見えないが)、個人的に今までの髪型の方が好きだったので、続編やるにしても前の髪型には戻ってくれないんだなぁと思うとチト残念だったりする。

役者さんのスケジュール的に連ドラが難しいのであれば、また映画やスペシャルドラマでも良いので続編やって欲しいですね。また今後に期待。

 

ドラマシリーズからの続きもののストーリーとなっているので、ドラマを観たことないという人にはちょっと分らないところもあるかとは思いますが、多くの人に観て欲しい映画でしたので是非。

 

 

ではではまた~