こんばんは、紫栞です。
今回は、手塚治虫大先生の代表的漫画作品『ブラック・ジャック』を、買い揃えるならどの版の本を買えばいいのかをまとめたいと思います。
手塚治虫作品ランキング、医療漫画ランキングなどで度々人気1位になる『ブラック・ジャック』。私もやっぱり、手塚治虫作品ならどれが1番好きかといったら『ブラック・ジャック』なんですけども、実はファンとして心残りを抱えたまま今日まで至っているの点が。
『ブラック・ジャック』は今年で連載50周年。この長い年月の間、幾度も再注目されて話題になるという、音楽でいうリバイバルヒットみたいなことを繰り返している訳ですが、私の中で一番印象に残っているヒット時期は、秋田文庫版が発売された時。
この秋田文庫版、大人向けの装丁が受けたものか出版社の予想を上回る大ヒットをしまして。これをきっかけに、漫画コミックスを文庫化するブームが訪れました。今でこそ定番化していますけど、漫画を文庫で刊行って、それ以前はあまりないことだったのですよ(たぶん・・・)。
秋田文庫版は全17巻で231話収録。一部カラーページあり。扉絵はなしで、巻末には色々な著名人の解説が収録されています。
別巻の『Treasure book』には漫画解説の他に文庫版未収録である「二人のジャン」「壁」「落下物」の3話が収録されているそうな。
この別巻、私ただの解説本だと思って買っていませんでした・・・。事情があって収録されるのはレアなお話のようで。とりあえず、この本買いたいと思います(^_^;)。
幼少期の時の秋田文庫版ヒットが強く記憶に残っており、本屋でもよく出回っていたので、長じてから全巻買おうとなった際に特に深く考えずにこの版で揃えてしまったんですが・・・ま、ちょっと後悔していますね。
それというのも、この秋田文庫版、雑誌掲載順に収録されていないのですよ。どういった基準で選んでいるのか、てんでバラバラに収録されている。ストーリーはもちろん、『ブラック・ジャック』はおよそ10年連載されていたので絵柄の変化が結構あり、読んでいてかなり違和感があります。
連作短編なので各話の素晴らしさは変わらないのですが、困るのが特定の物語を再読しようとするときに探すのがとても面倒なところ。雑誌掲載順なら記憶しやすいし絵柄から大まかに当たりをつけることが出来るハズ!
いやそもそも、連載モノってのは掲載順に読むのが正しいし絶対に良いハズ!と、思っているんです。私は。
だから掲載順に読めていないことにファンとして負い目があるんですよ。
その負い目をほったらかしでここまで来たんですけど、連載50周年だし、地方で展示会に行けないのも悔しいし、別の版で揃えなおそうかなぁ・・・・・・と、思って調べたんですが、いろんな版があるんですよ、コレが。『シャーロック・ホームズ』の翻訳本なみにいっぱいある。
版をかえて出す度に売れるからでしょうが、『ブラック・ジャック』の場合(と、いうか、手塚治虫作品の場合)、改稿や未収録話が多数あるので、版によって内容が一々異なる。
なので、今手に入れやすいもので初心者(?)が揃えるならどの版がいいか調べた結果をまとめていきたいと思います。※マニア向けの豪華版などは除外します。
『ブラック・ジャック』が週刊少年チャンピオンに掲載した話数は全243話。これをふまえて順番に紹介していきます。
●秋田書店 チャンピオン・コミックス(旧版)
全25巻で、収録話数は234話。
連載当初に出版されていたコミックスで、基本となるもの。当たり前ですけど、コミックスの刊行時に手塚治虫がまだ存命だったので、収録内容には作者本人が関わっている。
じゃあコレ買っときゃ良いじゃん!と、なるところですけども・・・今の漫画コミックスでは一般的にないことですが、作者がお気に入りのお話などから優先的に選んで収録していたため、雑誌連載順にはなっていないとのこと。何だよ~も~ですね。
でも収録話数は一番多いし、大元ですので、掲載順が気にならない人には一番良いのではないかと思います。
●秋田書店 新装版 チャンピオン・コミックス
全17巻。231話収録。
こちら、上記した秋田書店文庫版を連載順に再編集したもの。文庫版だとカットされていた扉絵も収録されているのだとか。
文庫版でファンが感じる不満点を改善したよって感じの版ですね。じゃあ私はコレを買えば良いのだろうか。
新書サイズなので文庫より大きな画で読めるのも特徴。手塚治虫は漫画を文庫サイズで読ませるのに反対だったらしいので、作者の意向にも沿える版ですね。
●手塚治虫全集
全22巻。収録話数は219話。
出版社が手塚プロダクションになっているし、“全集”となっているし、電子書籍で検索すると多く引っかかるので一番気軽に買ってしまいがちなんだろうなぁと思いますが、これは罠です。
収録話数が他と比べて極端に少ないので。大体読めれば良いというアバウトでライトな心持ちの人以外はさほど旨みがない版。買うときは要注意。
●手塚治虫漫画文庫全集
全12巻。収録話数232話。
手塚治虫作品では毎度お馴染みの漫画文庫全集。今まで当ブログでは他にも手塚治虫作品を紹介してきており、その度に今読むならどの版が良いかと書いてきているのですが、結局いつも講談社から刊行している漫画文庫全集が一番良いのでは?って答えにいきつく。
『ブラック・ジャック』でもまた然りのようです。
ネットでも一番オススメされていたのは漫画文庫全集ですね。収録話数も多いし(と、言っても、新装版チャンピオン・コミックスとは1話しか違いはないのですが)、それでいて巻数が12巻と少なくって集めやすく、雑誌連載順で、扉絵も収録されている。
原作漫画至上主義
入手しやすく、初心者でも手が出しやすいのは大体こんなものですかね。
秋田文庫版で後悔している私は、新装版チャンピオン・コミックスで揃えなおし、プラスして秋田文庫から出ている『Treasure book』を買うのが順当でしょうか。
それとも巻数が少なくって集めやすい手塚治虫漫画全集版を買うか。
ま、もう少し悩んでから決めたいと思います。
未収録話についてはまたややこしいことになっているので、ひとまずどれかの版で集め、漏れているものは別版を買い足す、豪華版・マニア向けに本に手を出すと。なんか、いつまで経っても完全には極められそうにないですね・・・。なんて厄介な作品なのでしょう。
原作漫画を読むのも面倒くさいから、アニメ観てすまそうという人もいるかもしれないですが、
『ブラック・ジャック』に関しては「原作を知りたい」という理由でのアニメ鑑賞はオススメしません。
OVAはお話を混ぜて膨らませたものでほぼオリジナルですし(私はコレはコレで好きですが)、夕方に放送していたテレビアニメシリーズはおおむね原作に忠実なものの、ラストで死亡したキャラクターが軒並み生存する結末に改変されています。
子供がショックを受けないようにという配慮なのかもしれませんが、それだと本来の物語の意図が変わってしまうし、とにかく何でも治してくれるスーパードクターという安易で陳腐なイメージが作品についてしまうので(意外とそんな風なお気楽な話だと思っている人が多くて嘆かわしい)、個人的にテレビアニメシリーズは改悪だと思っています。原作でも死亡者が出ないお話はそのままで良いのですが・・・。
アニメしか観ていない人には絶対に原作漫画を読んで欲しいと声を大にして言いたいですね。
何はともあれ、まずは原作。できるだけ多くの方に原作漫画を読んで欲しいと常々思っておりますので、買う際に参考にしていただくと嬉しいです。
ではではまた~