夜ふかし閑談

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『変な地図』あらすじ 感想 青年栗原さんの青春ミステリ!

こんばんは、紫栞です。

今回は、雨穴さんの『変な地図』をご紹介。

 

変な地図

 

あらすじ

2015年7月。大学生の栗原文宣は父から飯田橋にある祖母の家を手放そうと思っていると告げられる。

十八年前に亡くなった母が相続した家で、今まで父が一人で管理していたらしい。文宣は売りに出す前に一度その家を見ていきたいと言い、父と一緒に祖母の家へと向かった。そこで、二十三年前に祖母がこの家の浴室で死亡したことを知る。

祖母は七体の妖怪が描かれた古い地図を握りしめて死んでおり、亡くなった母はその地図の謎を突き止めようと独自に調査をしていたようだ。

母の調査を完成させるため、文宣は地図に描かれた場所へと旅に出る。するとそこで、不可解な鉄道事故に遭遇して——。

 

 

 

 

 

 

 

 

栗原さん!!

『変な地図』は2025年10月に刊行された長編小説。2021年から続いている雨穴さんの【「変な」シリーズ】四作目です。

 

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毎年一冊は必ず本を出してくれるのは良いですねえ。いや、もっと出してくれたって良いのだけれど・・・・・・。

1作目が間取り図、2作目が絵、3作目が大量の間取り図ときて、四作目の今回は地図です。

特典で特大考察マップ付いてますと、帯に書いてあるのですが、私気が付くのにだいぶ時間がかかってしまいました。「なんだよ、どこについてんの?」みたいな・・・。本をめくってすぐのオレンジ色のですね。ピッタリくっついていて分らんかった。

 

雨穴さんによる『沖上喜見子の手記』の朗読もついています。これは巻末にあるQRコードからですね。

※2025年11月29日に動画が追加(?)特典で出ました!雨穴さんと栗原さんとの本の制作過程の動画で大変に面白いです!『沖上喜見子の手記』の朗読と同じ巻末QRコードから観られます。

 

 

四作目の今回は雨穴さんファンならみんな大好き栗原さんが主役。このシリーズは作者の雨穴さんがライターとして取材したことを本に書いているという設定で描かれているモキュメンタリー形式なのですが、今作は栗原さんの伝記を雨穴が書いているという”テイ”での長編ミステリ小説となっております。

 

毎度恒例の本のプロモーション的動画もYouTubeにアップされておりますよ。

 


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雨穴さんが栗原さんの伝記を書くことになった経緯と今作の序盤の内容が分かる動画ですね。

 

今作は2015年が舞台。栗原さんは22歳の大学生で就職活動中でして、理屈屋で正直者なせいで内定が取れないでいる只中。と、いうことは、2025年現在の栗原さんは32歳な訳ですが、今作の22歳の栗原さんは大学生らしいフレッシュさはほとんどありませんで。いつもの雨穴の動画で出てくる栗原さんそのままですね。敬語で、慇懃で、ほんのり失礼。

二作目の『変な絵』の時の大学生栗原さんには読んだときにフレッシュさを感じた気がしたんですが・・・・・・気のせいだったのかな(^_^;)。

 

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栗原さんは今まで人物の詳細が明かされない謎解き役をシリーズで担ってきていたのですが、今作は主役ですので今まで不明だった栗原さんの生い立ちやら内情やらを知ることが出来ます。ファンとしては興味深く、ミステリ部分以外でも愉しめるポイントですね。

栗原さんの御家族である父親と妹の沙耶も登場しています。確かに、『変な絵』の作中で妹がいるって言ってましたね。「妹いるんだ。へ~」とか思ったものです。

 

お父さんは気弱だけど愛想がよく、人付き合いが上手。妹の沙耶は社交的でコミュニケーション過多。栗原さんとは似ても似つかんですね。

驚きなのが、家族に対しても栗原さんが敬語で対応していること。ファンが知っている30代の栗原さんとまったく同じ調子なので、頭の中で勝手にあの栗原さんの音声が再生されてちょっと面白い。

 

『変な絵』で妹は逆子で産まれてきたと言っていたのですが、実は母親はその時の出産で亡くなっていたらしく。そのことがトラウマになっているご様子。不仲な訳じゃないけど、家族との接し方に距離があるのもそのせいだと。

じゃあ、『変な絵』で出産での死亡を語るのは結構くるものがあったんですかねぇ・・・。

 


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お母さんですが、好奇心旺盛な学者で語尾を「~」で伸ばすというなかなか癖強人物。優秀で謎への探求心が凄まじかったようで。たぶん栗原さんはお母さん似なんですね~。

 

400ページほどの長編ですが、いつも通り読みやすさに特化したつくりになっていて、図解や関係図などがふんだんにあって一気に読んでしまう一冊です。個人的に、雨穴さんの本はいつでも一気読み推奨ですね。

 

 

 

 

 

 

 

王道

この物語は2015年7月2日~12日までの出来事が描かれているものとなっています。

7月2日に沙耶を通じて父からの呼び出しがあり、祖母の家に行って自殺の事実を知り、自殺の原因を突き止めようと地図に描かれた河蒼湖集落の跡地へと向かう。道中で新人警察官で実家が旅館をしているという帆石水あかりと知り合い、そこの旅館に宿泊しながら遭遇した事件と祖母の自殺の真相を探る旅情ミステリですね。

 

最初、父親には就活中で時間ないのに今調査する必要ないだろうと止められるのですが、このままの心持じゃ第一志望の会社の面接を受けられないと主張し、面接の2日前である7月10日までという制限つきで実地調査をする。

なんか、いいお父さんですよね。息子の将来を心配しつつ、気持ちを汲んで条件を出す。妹の沙耶も良い子なんですよ。

 

調査先で事件関係者の同年代女性と知り合い、一緒に事件の謎を追うという流れは定番の2時間ドラマちっくですね。浅見光彦シリーズみたいな。

 

雨穴さんの本って突拍子もないところから色々繋がっていってとんでもない事件の真相が明らかになるといったつくりで今まで来ていて、構成や時系列、人物関係などが複雑化しているものが多いのですが、今回は割とシンプルな構成で描かれた王道ミステリになっているなと。

 

青年の栗原さんを主人公にしているので、事件を通しての成長も描かれている冒険譚であり青春物語にもなっています。そのため、読後感も今までになく穏やかな感じ。

とはいえ、日本の旧制的部分が事件に影響を及ぼしている点や、謎解きのプロセスなどは雨穴さんらしさ溢れるものとなっておりますのでファンの期待は裏切らない本になっているかと。

 

 

 

 

 

 

 

 

考察?

いつも考察の余地を残すような描き方をするのも雨穴さんの作品の特徴ですが、今回は作中に書かれている謎解きをそのまま受け止めていいのではないかと思います。

 

なんか、すでに出ている考察サイトなどでは実行犯は別にいるとかあるようですが、私はそんなことはなく、栗原さんの推理したままの実行犯で間違いないかと・・・ま、雨穴さんのことですから、後になって何を出してくるかわかりませんが。

個人的には、祖母の自殺の方が最後まで読んでもしっくりこなかったですかね。理由が云々というのではなく、祖母である知嘉子さんの人物像的に自殺というのがそぐわない

気がする。

 

そもそもこの本、栗原さんの語ったことを小説にしているって設定のものですからね。栗原さんに意図的に何か隠されてたとこられたらもうお手上げなんですよ。

あとがきにも

私自身、文章を書きながら「栗原さん、これはさすがに自分を良く見せすぎでは?」と思う場面も多々あったが、今まで協力してもらった手前、そこは飲み込んで執筆に専念した。

て、ありますしねぇ。

 

文庫化とかの時に何かあるかもですが・・・この本は栗原さんの冒険譚として完成しているので、そんなに後になってからこねくり回さないで欲しいですかね。

 

とにかく、ファンは必見な物語ですので!気になった方は是非。

 

 

ではではまた~

 

 

 

 

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