夜ふかし閑談

夜更けの無駄話。おもにミステリー中心に小説、漫画、ドラマ、映画などの紹介・感想をお届けします

『ソロモンの犬』 あらすじ・感想 ※ネタバレなし

こんばんは、紫栞です。
今回は道尾秀介さんの『ソロモンの犬』を紹介したいと思います。

ソロモンの犬 (文春文庫)

得体が知れない表紙絵でインパクトありますね(笑)

 

あらすじ
「一度、ちゃんと話し合うべきなのかもしれない」
「この中に、人殺しがいるのかいないのか」
2週間前。秋内、京也、ひろ子、智佳たち大学生4人は平凡な夏を過ごしていた。彼らが通う大学の助教授・椎崎鏡子の10歳になる一人息子で幼い友人・陽介が目の前でトラックにはねられ命を落すまでは。
飼い犬・オービーに引きずられての事故死。
しかし、現場での友人の不可解な行動に疑問を感じた秋内は、動物生態学に詳しい間宮助教授に相談に向かう。
オービーが突如暴走した原因はどこにあるのか?陽介の死は、本当に事故だったのか?議論を重ねる彼らには、予想だにしない結末が待ち構えていた――。

 

 

 

 

道尾さんの作品は十数冊ぐらい読んでいますが、この『ソロモンの犬』は今まで読んだ道尾秀介作品の中では一番ライトというか、ポップな印象を受けました。私がたまたま暗めの作品ばっかし読んでいただけかもしれないですが。

※暗い作品の筆頭はこちら↓

 

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「あ、こんなコミカルな雰囲気のお話も書くんだ~」と意外でしたね。途中、道尾作品じゃないみたいとか何度も思ってしまいました。

 

コミカル

“青春の謳歌をテーマに書かれているとのことで、ウブで淡い恋模様が描かれています。お話の語り手は秋内ですが、この秋内が智佳に恋心を抱いておりまして。親しくなるための「話しかける言葉メモ」を作成したり、智佳に投げかけられた言葉を胸中でしつこく反芻したり、変な妄想に耽ったりだので、忙しい大学生男子なのですが。まぁ、こういった様子が滑稽に、コミカルに描かれております。

対照的に、冷めていてどこか達観したところがある京也との会話も軽快で楽しいです。


他に、このお話をコミカルにしている要因は、なんと言っても動物生態学に詳しい間宮助教ですね。

この助教授が相当な変人でして。色々な動物が入ったゲージだらけの部屋に住み、客に計量ビーカーに注いだお茶を出すなどの奇行ぷりっで“イロモノ”なんですよね。こんな“イロモノ”キャラクターが道尾作品に登場するのにもまた驚いてしまったんですが、なんとこの間宮助教授、主人公に動物生態学の知識を教えるだけのポジションかと思いきや、最終的にお話の探偵役になっていますのでさらに驚き。

この一作のみで終わらせるには惜しいほど濃いキャラクターなので、この間宮助教授を探偵役に別作品書いたら良いのでは?とか思いますが、“動物生態学助教授”ってのはお話に制限が出来ちゃいますから難しいですかね(^^;)

 

やはり落ち着かない
この『ソロモンの犬』は冒頭部分で雨宿りの為に秋内ら4人が偶然喫茶店に集合し、秋内が「この中に、人殺しがいるのかいないのか」話し合おうと言い出すところから時間を遡り、これまでの出来事を振り返りつつ、合間合間に喫茶店のシーンが挿入されている作りになっています。


この喫茶店のシーンがなんだか不穏で謎めいた雰囲気(通常の道尾作品雰囲気)で描かれており、上記のようなコミカルな回想シーンとのミスマッチ感があって、何だかザワザワして読んでいて落ち着かなくさせます。こういった読書感はやっぱり道尾作品だなぁ~と思いますね。

 

 

 

トリック

道尾秀介さんの小説は大抵“叙述系”トリックが仕掛けられているのが常で、この『ソロモンの犬』にもそういったトリックが仕込まれているのですが・・・う~ん・・・この“読者騙しトリック”はちょっとどうなのだろう?と思ってしまいましたね。突飛すぎというか、お話への必然性を感じないというか・・・。確かに驚いたし、騙されたけれども。「必要なのかコレ」と疑問。何だか、ただ“読者を驚かしてやろう”ってことで入れたんじゃという印象を持ってしまうんですよね。
個人的に、今まで読んだ道尾作品の中では一番、お話とトリックの相互が“しっくり”しませんでした。


しかし、喫茶店の店名やコーヒーの値段などの伏線はやっぱり見事だなぁと思いますけどね。

 

最後

人物描写や事柄の背景ももっと深く掘り下げてもらいたかったな~と思います。京也や椎崎先生とか特に。あと、陽介君の死に対して主人公が結構淡泊な気が・・・。たまに会う幼い友人ぐらいだとこんなモノだろうか・・・う~む。最後のエピローグもサッサと纏めた感が漂っているってな気が。

飼い犬のオービーはひたすら健気で胸が熱くなります。だからこそ起きたしまった悲劇にやるせなさが込み上げますね。

 

色々思うところはありますが(^_^;)コミカルな道尾秀介作品を読んでみたい方は是非。

 

ソロモンの犬 (文春文庫)

ソロモンの犬 (文春文庫)

 

 


ではではまた~

 

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『最遊記RELOAD BLAST』3巻 感想

こんばんは、紫栞です。
先日、11月29日は“いい肉の日”。そして、B’zのニューアルバム『DINOSAUR』の発売日で、峰倉かずやさんの漫画作品『最遊記』の登場人物「三蔵」の誕生日であります。
そこで今回は先月出された最新刊『最遊記RELOAD BLAST』3巻の感想を少し。

最遊記RELOAD BLAST 3巻 特装版 (ZERO-SUMコミックス)

B’zのアルバム発売日と誕生日がかぶったのが何だか嬉しいので(笑)

 

DINOSAUR (初回限定盤)(Blu-ray付)

DINOSAUR (初回限定盤)(Blu-ray付)

 

 

ノリで感想を書こうという次第です。ちなみに、八戒の誕生日9月21日はB’zの誕生日(デビュー日)でもあります。

 

 

さて、この3巻ですが。最初に4月に出るとかって発表があって、のびにのびて10月に・・・。アニメも途中でお話越しちゃったしね・・・。2巻以降の内容は録画してずっと観ずじまいにしていました。「漫画を先に読みたいのっ!」つって(^^;)
二三ヶ月延びるのはいつものことなので(まぁね・・・)最初のうちは余裕をかましていたのですが、五ヶ月目とかはさすがに心が折れてきました。「今年中はもう無理なのかも知れない・・・」と少し絶望的な気分になっていたのですが、まぁ10月終わりに無事(?)出ました。

峰倉さんのお体が第一なので、ファンとしては心が折れたって待ちますが。まぁ、アレよね、発表が早すぎたのよね。もうちょっと、こう、確実な目処が立ってからで・・・お願いします。

 

通常版と小冊子付き(特装版ってなってる方)とある。

 

最遊記RELOAD BLAST 3巻 特装版 (ZERO-SUMコミックス)

最遊記RELOAD BLAST 3巻 特装版 (ZERO-SUMコミックス)

 

 

 

最遊記RELOAD BLAST 3巻 (ZERO-SUMコミックス)

最遊記RELOAD BLAST 3巻 (ZERO-SUMコミックス)

 

 

私は小冊子付きを買いました。小冊子は美麗イラストが並んでおります。「音速で死ね」が個人的にツボにはまった(笑)漫画本体にはショートショートとキャラクター設定集も収録されています。

 

 

 

 


以下ネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前巻までの、あらすじは
悟浄に妖怪の紋様が出る→三蔵が半分焦げる→ナタクが出て来る→独角兕(悟浄のお兄さん)が死んだ(?)

 

簡単すぎる説明ですが(ホントに)、こんな感じ。


さしあたって心配だったのは焦げた三蔵様ですが。(2巻の戦闘シーン凄かったですよね・・・)大丈夫なんですか!顔とか、顔とか、顔とか!!って、感じだったんですが(笑)


京極夏彦の『嗤う伊右衛門』で

 

嗤う伊右衛門 (中公文庫)

嗤う伊右衛門 (中公文庫)

 

 「元来お前様は人並み外れた器量良し。片目に星があるぐれえ却って御愛敬ですぜ。痘痕も笑窪の何とやらだ」
というセリフがありますが(すんごいセリフ・・・)せっかくの綺麗な面、治せるならそれに越したことはないのです。


で、まぁ普通に大丈夫だった(顔は)。長年読んでるけど、いまだに八戒の気功の限界がわからない。右腕が時間かかるって話しですが、今後関係してくるのでしょうか?アニメ最終回だと普通に右手使ってたけど(^^;)

 

 

さすがに最終章なので色々起こる。解雇されたわ。

 

 

 

ここら辺は割とコミカルに描かれていましたね。「クレジットカードなんですよ」「おめーさっきから金の話しかしてねぇだろ」の部分笑った。真顔可笑しい。八戒さんは混乱していらっしゃる(笑)
『先見』のタルチエはやっぱり幻灰の血縁者(双子?)なのね~。似てるし紋様も同じなんでそうなんじゃないかとは思っていたけど。この子カワイイ(ほんとはカワイイって年じゃないが)。
烏哭さんの話ちょろと出て来る。死なないと『三蔵』を継承出来ない、と。・・・ここら辺のこと考えると光明様ってぜってーろくな事してないんだろうなぁ~と思う。酷な事実が待っていそうですね(-_-)

 

さて、3巻の山場はケンカシーンですね。


三蔵はいつ紋様出てるの気付いたんでしょう?後部座席で寝っ転がってたときか?でももっと前からなんじゃって気もしますな。実は皆の事ちゃんと見てるってヤツ。
八戒の発言の雰囲気というか態度が、“面倒くさい怒り方する女子”みたいでちょっとウケる。「怒ってないですよ」って不満全開な態度で言う人みたいな。いやいや、怒ってますよね?っていう(笑)
言ってる内容もあまり論理的じゃないというか変なとこあるし、やっぱり混乱していらっしゃるのだなぁ感がヒシヒシと。


殴り合いになっちまう訳ですが・・・これ、まぁ三蔵の口から「ついてきてくれ」とは言えないよね。普通に、状況的に考えて(いや、キャラクター的にも言えないんだけど)。経文の事は完全に三蔵の個人的な事ですからね。今までは三仏神の命令って建前があったんでアレだったんだけども。本来なら三蔵の前でするような話じゃないよね。まぁ寝てると思って八戒も言い始めたんだろうけど・・・。
よくよく考えてみると、『二人ともそんなについて行きたいのか?』って気が若干しますが。そう思ってみると、もの凄く恥ずかしいケンカをしているのではって気も・・・。
まぁ、ここまで来て引き返せって言われるのも酷ですけどね。


ジープのおかげで事が収まる。悟空がとばっちりだなぁ。あぁ、あんたらが一番「大人」だよ・・・と、思う(笑)

 

 

ここで少し脱線するかもなんですが。
このケンカシーン、間違いなく名場面なんですが、私は読んでて結構ツライなぁとも思ってしまいました。
他作品を読んだり観たりして個人的に最近感じることなんですが、「殺してくれ」って、頼む側より頼まれる側の方が圧倒的にツライはずなんですよね。頼む側はそりゃ良いですよ、それっきりこの世とオサラバなんだから。でも頼まれた側はその後も生きていかなきゃいけないんでね。
いよいよ駄目な時が迫ってきたり、尊厳を失いそうな状況下がきたら、自分が選んだ人に最後の幕を引いてもらいたいというのは誰もが夢想することですが、相手のことを想えば 到底口には出来ないことで、親しければ親しいほど言えないことなんですよ。リロード1巻でも、

 

最遊記RELOAD: 1 (ZERO-SUMコミックス)

最遊記RELOAD: 1 (ZERO-SUMコミックス)

 

 

だから言いかけるけど言わない。その想いを汲み取って三蔵の方から言ってあげるからあそこのシーンは感動を呼ぶ訳です。
三蔵は他者の“後始末”を頼まれてばかりの人物です。頼みたくなる人物として描かれていて、物語の中でそういう『役割』を担っているのですが、全てに対して精悍し、冷徹で何も思わないような人物では決して無く、人並み以上の情を持ち合わせ、普通に傷つき、苦しんで痛みを感じている。けれど、そんな顔は見せずに気丈な態度をとり続け、己が己がと言いながら相手を尊重して不本意ながらも『役割』を引き受け続ける。(あああああ~愛しいぃぃ~!)
ですからね、こんな痩せ我慢してる人に対して「頼めばやってくれるだろう」とか当然のように決めつけたり、ましてや「あなたは出来るだろうけど、僕は出来ませんよ」みたいな、そんな、言い、か、たぁぁ~うああああ~!!

なんですよ。

もうね、仮定でもツライから仲間の口からこんなこと言わないであげて欲しい。お経読んでくれぐらいでとどめて欲しいのっ!

・・・・・・・って、感じに読んでて辛かったのでした。長々すみません(笑)

 

 

 


精神的な動揺が最も暴走の引き金になる――ってヤツですが・・・精神的、、どう、、よう、、、ぐあぁぁ~~お兄さんか!?これにお兄さんの死が絡んでくるのか!?
ガタブルですな。
そういや、気になっていた牛魔王サイドが今回の巻ありませんでしたね。でもまぁ独角兕はやっぱり死んでるよね・・・2巻の最後の演出的に。あれは涙腺に“くる”シーンだったな・・・。

 

悟浄と八戒「すげーカッコ悪いですね、僕」「俺がカッコイーだけだから気にすんな」やっているのが、『はぁぁ~サービス!外伝2巻!!』

 

最遊記外伝: 2 (ZERO-SUMコミックス)

最遊記外伝: 2 (ZERO-SUMコミックス)

 

 で、感無量でした。親友(戦友)コンビだな~。この二人だとわかりやすく(?)気持ち言ってくれるから良いね。他二人が規格外だからなぁ・・・。読者おいてきぼりに通じ合うのやめろとか思う・・・。
「覚えていてくれるなら・・・」もやって欲しいところですが、コレはやると死んじゃいそうなんでちょっとアレですね(^_^;)

 

 

後半ですが、三蔵が元気になりすぎだな!?どういうこと?膝枕で寝てたら一気に回復したのかしら?この膝枕ですけど、他の人の膝じゃゼッテー寝ないだろうなと思う。

なんか、ブラストに入ってから悟空が三蔵に対して過保護になってるような気が・・・前からこうだったっけ?
2巻のTwitter企画のときの、くしゃみしたの聞いて「風邪引くのかも!」って布団でぐるぐる巻きにしてオニギリみたいにする話がかわいくって好きです。黙ってされるがままになってるのも可笑しい。他のエピソードとか見てても思うけど、三蔵って100%善意からの言動だと強気に出られないんだな、きっと。
なんというか、甘やかしたい心境なんですかね。確かにここ最近の三蔵は『頑張ってる頑張ってる』って感じですが。

三蔵も態度が軟化してきましたね。素直に頼るようになってきたというか。やっぱり『烏哭編』で心境の変化があったのでしょうか。寄っかかったりとか、遠回しに「気を付けろ」的なこと言ったりとか、膝枕とか。無印のときなら考えられないですよね。今巻の最後に名前叫んでましたけど(焦り気味に!)、私、だいぶ前に友達と『三蔵って戦闘中に仲間の名前あんま叫んでくんないよね』と議論したことがありまして。なのでこのシーンは感慨深かったですね~。ああ、ここまで来たな・・・!!と。(なにが)

 

4人の仲間意識の強まりも感慨深い限りです。無印の頃はチームプレーまったくしていなかったのにね・・・!今巻は峰倉さんの4人への愛に溢れた巻でしたね。待った甲斐がありました。


紗烙達ですけど、いつまで登場してくれるんだろうと思う。アニメだとお別れしてたけど・・・個人的には寂しいのでもうちょっと出続けて欲しい。
ナタクも結局どうなるんだって感じですが。

私、悟空に関してはもう何も心配してないんですよね。ナタクとなんかあろうが、記憶が戻ろうが大丈夫って気がする。何かしら、この、安心感!(笑)
あと、観音様だけど・・・う~ん、大丈夫だと思う!観音様いないとシリーズ締める人がいなくなるし(^^;)

 

 

この記事の文章読むとお気付きになるかと思いますが、私は生粋の三蔵ファンです。もちろん4人とも好きですけどね。誕生日おめでとうございます!(本当は当日にアップしたかったんですけど間に合わなかった・・・)私も昔は三蔵より若かったんだけどなぁ・・・(笑)

これからもずっと好きです!もう御礼も言いたい。ありがと~!!

 

 

この記事書いている最中ずっとB’zのニューアルバム聴いてたんですが、良いアルバムだなぁ。オススメです。B’zのアルバムも出るの2年以上ぶりですね・・・↓

 

DINOSAUR (初回限定盤)(DVD付)

DINOSAUR (初回限定盤)(DVD付)

 

 


ではではまた~

 

最遊記RELOAD BLAST 3巻 特装版 (ZERO-SUMコミックス)

最遊記RELOAD BLAST 3巻 特装版 (ZERO-SUMコミックス)

 

 

『犯人たちの事件簿』1巻 金田一少年の事件簿外伝 感想・紹介

こんばんは、紫栞です。
今回は『金田一少年の事件簿R』14巻

 

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と同時発売されたスピンオフ作品金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』のご紹介。やっぱり同時発売されましたね。私の読みは正しかった・・・!

金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(1) (週刊少年マガジンコミックス)

この表紙と装丁だけで笑えますね。つーか、懐かしい。もの凄く。90年代に出されたシリーズ第1巻のパロディですね。↓

金田一少年の事件簿 (1) (講談社コミックス (1874巻))

表紙絵だけでもう本編『金田一少年の事件簿』犯人バレしていますが・・・。まぁ、20年以上前の事件なので時効(?)なんですかね。

 

こちらのスピンオフ、概要
“これは――・・偶然居合わせた名探偵の孫に謎(トリック)を暴かれてしまった犯人たちの綿密な計画と実行の記録である”

ですね。“犯人視点”のスピンオフ。お話が展開されている裏側で犯人達はこんな苦労や苦悩、恐怖を味わっていたよ~っていうギャグ漫画。
この1巻で扱われている本編の事件は

オペラ座館殺人事件』

 

 

『学園七不思議殺人事件』

 

 

『蠟人形城殺人事件』

 

金田一少年の事件簿File(12) (講談社漫画文庫)

金田一少年の事件簿File(12) (講談社漫画文庫)

 

 

の三つ。それぞれ4話ずつ描かれていて、最後に

『秘宝島殺人事件』

 

 が1話(秘宝島~は1話で終了)と作者ページの“外伝煩悩シアター”が収録されています。煩悩シアター懐かし~い!初期からのファンを絶妙に刺激するとこ突いてきますね(^^)


以下ネタバレ~

 

 

 

 

 

ファイル1『オペラ座館殺人事件』
犯人・有森祐二
初っぱなはやっぱりオペラ座ですね。本編の第1エピソードですし。怪しいカッコで皆が来る前に先にホテルにチェックインするってのは金田一少年の事件簿シリーズではよくあるネタですが・・・そうだよね、こんな怪しい客すんなりインさせてくれるかどうかが第一関門だよね(笑)
「トリックって金がかかる・・・・!!」「いるのかよ!!刑事いるのかよ!!」「SASUKE出れるわ・・ッ!!」などなどの心の叫びが笑えます。

 

ファイル2『学園七不思議殺人事件』
犯人・的場勇一郎
本編の順番通りにいくのかと思ったら、順不同で2番目は学園七不思議。まぁ本編通りなら『異人館村殺人事件』ですからね・・・色々と事情がおありなのかな↓

 

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そういや学園七不思議は最初から最後まで行き当たりばったりで、即興でトリックこしらえる事件でしたね・・・。大ボラ吹いたりとか。改めて考えてみると凄まじいアドリブ力!!
この事件はなんと言っても“ポスターはがそうとしたんで殺した”って部分が印象的。なんで、そこをいじりますよね、やっぱ。真壁が嫌われすぎ(笑)
最後の「私は何十歳も年下の生徒に“的場”と呼び捨てにされながら過去を暴かれ たっぷりと叱られ」

うん、そう。この事件は一ちゃんのお説教のシーンがど迫力だったよね・・・わかる。

 

ファイル3『蠟人形城殺人事件』
犯人・多岐川かほる
本編の数ある事件の中でも20年以上前から計画が始まっているという壮大な(?)犯罪計画。最初の蠟人形手作りする場面が凄く可笑しかった(笑)私は小道具の蠟人形はこう、専門の業者的なところに頼んだのかな?と思っていたのですが・・・(^^;)
手作りしたぶん蠟人形に愛着が湧いてしまう“かほる”さん。

「ごめんね・・・・ごめんね金田一・・・・!!」「ごめんね明智・・・・」とか言っているのが笑える。
何故か“かほる”さんの裸が多い。あと、本編のメイデンは確かにエグかったよね・・・わかる。

 

ファイルEX『秘宝島殺人事件』
犯人・佐伯航一郞
このお話は1話のみ。おまけ的な感じですね。実際おまけなんでしょうけど。秘宝島といえば女装。そして便座

「トイ・・え!?」だよねやっぱり。しかし、こうやって思い返してみると航一郎の女装演技って調子のりまくりだったな・・・。

 


犯人達皆演技派でしたね。皆自分で自分を褒めてる(笑)


私、初期のこの頃の事件は腐るほど読んでてコマのカットとかも覚えてるんで、懐かしいわ笑えるわで大変楽しく読ませて頂きました(^^)

この漫画を描かれているのは船津紳平さんですが、絵柄をだいぶ本編のさとうさんの絵柄(初期の頃)に似せていますね~。

この『外伝』、1巻で終わりの予定だったらしいのですが、好評につき続くようです。2巻は『悲恋湖伝説殺人事件』『タロット山荘殺人事件』『雪夜叉伝説殺人事件』を扱うらしいです。楽しみですね(^^)

シーズン2はスマホの漫画アプリ『マガジンポッケト』にて連載中です。

 

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この本は誰でも楽しめるってものではなく、100%本編の『金田一少年の事件簿』を読んでいないと楽しめない作りになっているので本編の漫画読んだことないって人はまず先に本編をお読み下さい!こっち先に読むと犯人バレしちゃうしね・・・『本編』と『外伝』合わせてどうぞ!


ではではまた~

 

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『金田一少年の事件簿R』新刊14巻 感想・あらすじ シリーズ完結!

こんばんは、紫栞です。
金田一少年の事件簿R』14巻読みました。なので感想を少し・・・・・・

金田一少年の事件簿R(14) (講談社コミックス)

と、その前に。
金田一少年の事件簿R』この14巻でシリーズ完結です。
!?


さらにオビには
緊急特報!!金田一一、大人になります!!
2018年1月23日(火)発売「イブニング」4号にて新連載スタート!!!
金田一一(高校2年生)が、ついに成長する時が来た!『金田一少年の事件簿』シリーズが新展開!!大人版金田一一が登場する!!
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
!?

 

新刊の表紙絵、金田一がバイバ~イみたいに手を振っている絵で不審に思ったら、オビにこの情報ですよ。職場の先輩と一緒に本屋にいるときに買ったので、その場で大袈裟な挙動はしなかったんですが、心中穏やかじゃなかった(笑)

私自身、意外に動揺している。結構衝撃を受けている。

永遠の高校2年生が・・・。私が小学校の頃から読み始めたときからずっと高校2年生だった一ちゃんが・・・。金田一“少年”じゃなくなるのね・・・・・・!

10月の時点でこの発表はされてたみたいなんですが、完璧なコミックス派の私はこの本のオビ見るまでまったく知らなかったので驚いちゃいました。

 

そんなわけで、ぶっちゃけ新刊の事件内容とかあんまり頭に入ってこない状態で読みましたが(^^;)最終巻だし、思いつく限りの感想はまとめとこうかと思います。

 

14巻は前巻・13巻終盤からの金田一二三誘拐殺人事件」で1冊しめられていますね。

 

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一応のあらすじ
新撰組まつり」の最中、いとこのフミが「沖田総司」を名乗る何者かに誘拐されてしまった。「沖田総司」は身代金三千万を警察に要求。身代金の引き渡し役として「新撰組隊士・同姓同名コンテスト」の参加者六人を指名し、電車に乗らして巧妙なメール指示によって尾行の刑事達を振り切っていく。最後まで追跡を続ける一だったが、渋谷駅でとうとう犯人に気付かれてしまう。さらに六人の「隊士達」のうちの一人が殺されてしまい――。

 

 

 

 

以下ネタバレ~(犯人の名前は出していません)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌なヤツ感全開で「コイツ殺されるわ~」臭がプンプンしていた山南さんですが、期待を裏切らず殺されましたね(^_^;)まぁそうなるわな・・・。今回の事件、被害者はこの山南さん一人でしたね。何となく、『金田一少年の事件簿』(長編)だと連続殺人を期待してしまうところではありますが。


尾行相手が六人いて、電車の乗り降りや身代金の入った鞄を入れ替えたりだので混乱しますね。ただでさえ頭があまり働いてない状態なので、もう考えるのは放棄して読んでました(笑)

しかし、都内在住の人にとっては馴染みのある駅構内や電車が出て来るのは楽しいかも知れないですね。私は田舎者なのでアレですが・・・。

 

“誘拐劇”を隠れ蓑にした“殺害計画”
はいはい。わかっていましたよ(笑)

しかし、フミちゃんの誘拐されている間の至れり尽くせり状態はうらやましいものがありましたね。気遣い犯人。メモ書きの雰囲気といい、女性の新見さんが怪しいと思わせるミスリードなのかな。新見さんは電車間違えたりもしていましたし。

 

謎の提示は
●犯人は「隊士達」の中にいるのだが、刑事や一達の尾行・監視をうけている中でどうやって被害者を殺害したのか


と、いうアリバイ崩しですね。

電車の乗り継ぎ、駅構内の構造を利用してのトリックってことで、ややっこしいトリックなのかなぁ~と思いましたが、意外とわかりやすいトリックで良かったですね。でもやっぱり相当綱渡りな犯行手順ですけど。何回も予行練習しないと駄目だな・・・。

裾まで隠れるレインコートにシューズカバーまでつけている人ってかなり目立ってしまうような気がするんですが・・・え?都内の電車では普通なのか?田舎者なのでわからん・・・(^^;)雨降ってないと駄目ってのも不確定要素すぎてどうかなと思います。

 

被害者の山南さんですが、解決編での金田一談↓
『あんたが執念深く命を狙うだけあって山南敬助って男 結構性格悪そうな奴だったよな あのタイプの男はフツーの状態なら絶対進んで「人助け」なんてしないだろう』
一ちゃん、辛辣(笑)

「小さな子供の命を助ける」という「武勇伝」と、新撰組の「義侠心」が相まって引き受けざるを得ない心境にした。「服装」が心理的変化をあたえたってことですが・・・
いや、ちょっとそれどうだろう?って思ってしまいましたね(^^;)そ~か~?無理があるのでは・・・。

新撰組”をモチーフに使っての事件でしたが、あまり事件内容にいかすことが出来てなかったかなぁと思います。犯行動機の面でも“新撰組”は特に関係なかったし、犯人が「沖田総司」を名乗ったのも何の意味もないみたいですし。なんかこう、新撰組の逸話との繋がりとかあんのかなぁ~と思っていたのでチトがっかり。


犯人の真相の告白部分で
『あの男を新撰組祭に誘い出すのは大変だったよ カンナのスマホから知った奴のメアドにもメルマガを装ってその案内を送ったり 参加すると特典がすごいとか色々煽ってさ・・・・』
いや、誘い出すだけでそんなに大変なら別の計画にしろよ!

と、思ってしまいますが。
実はこの殺害計画、高遠さんによるものだったんだそうな。あ~指示に従ってやっていたのならしょうが無いの、か、な~?
いやいやいや・・・(^^;)


高遠さんの登場のさせかたですけど、ちょっと唐突すぎですね。急遽追加した感がハンパない。そもそも13巻の刊行時点ではシリーズ完結なんて全然匂わせてなかったし、“完結”は唐突に決まったんですよね、たぶん。

 

しかし、20年以上続けてきた“高校2年生”がこの事件で終わりで良いのでしょうか?ホントに?こんなに終わり感もなくアッサリと?さよなら“少年”なの!?

 

 

・・・・・・まぁ大人になるというならばしょうがない(?)本が出たら心して読みますよ。

 

 

 


新シリーズの詳細はまだまったく明かされていませんが、とにかく皆何歳になっているのかがまず気になるところですね。題名も“少年”は使えないわけだから変更になるんだろうしなぁ。高遠さんの『自身のルーツ探し』の伏線はちゃんと新シリーズに持ち越されるのか不安なところ。なかったことにされませんように!と、切に願う(笑)
一ちゃんが高校生じゃなくなるなら実写ドラマはやりやすくなるかもしれないですね~。個人的には堂本剛にまたやってもらいたいところですけど(初期ドラマファンなんで)、それはちょっと年齢上がりすぎかな(^^;)

 

『イブニング』での連載ってことで『マガジン』からは離れるんですね~。『イブニング』って個人的には全然馴染みのない雑誌なんですが・・・『マガジン』より年齢が高めのターゲット層向けの雑誌なので作品雰囲気がガラッと変わるかも。

 

色々と思うところはありますが、とりあえず続報を待ちながら待機します。

 

※新シリーズ1巻出ました~。詳細はこちら↓

 

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次回はこの14巻と同時発売されたスピンオフ作品金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(1)

 

 について記事書きますね~(^_^)

 

 

ではではまた~

 

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乙一・中田永一・山白朝子・・・(全て同一人物)おすすめ小説9選!

こんばんは、紫栞です。
今回は小説家の乙一(おついち)さんのオススメ本まとめをしたいと思います。

メアリー・スーを殺して 幻夢コレクション

概要

乙一さんは様々なジャンルの小説を書かれている作家さんです。ライトノベル・ミステリー・ホラー・恋愛もの等々。初期の頃は短編が主で奇抜なアイディアや設定、叙述トリック的な描写を駆使したどんでん返しや驚きの結末などが作品の特徴でした。なので様々なジャンルを書いてはいますが、どのお話もミステリー色が強かったですね。最後に必ず“驚き”があるってのが乙一作品のオキマリみたいになっていました。グロい系(黒乙一)と切ない系(白乙一)で作品雰囲気が二分化されていたのも特徴ですね。
2005年頃から山白朝来・中田永一越前魔太郎などの別名義で活動を開始。当初は乙一だという事実は伏せられていました(一部ファンの間では「乙一なんじゃないか?」と噂や議論が繰り広げられていたみたいですが。タッチを違えて書いてもわかってしますものなのですねぇ・・・。読者侮るなかれ)この別名義活動のせいで調べたり集めたりするときに非情にめんどく・・・・・・


まぁ、近年はこの名義ごとに作品ジャンルが違うって感じですね。

 

 

 


では名義ごとにオススメ作品を紹介

乙一名義
『夏と花火と私の死体』

 

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

 

 第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞作。
乙一のデビュー作ですね。せっかくなのでやっぱりデビュー作から読んで欲しい訳です。デビュー作から凄いですよ。完成されていますね。
※詳しくはコチラ↓

 

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ジャンルとしてはホラーミステリーって感じですね。超自然現象が起きたりはしないですが、お話が“死体視点”なのと、主要登場人物の子供達がなんとも空恐ろしく、作品全体に不気味さが漂っています。文庫本には一緒に『優子』も収録されています。2作ともオススメ。

 


『GOTH 夜の章』

 

GOTH 夜の章 (角川文庫)

GOTH 夜の章 (角川文庫)

 

 

『GOTH 僕の章』

 

GOTH 僕の章 (角川文庫)

GOTH 僕の章 (角川文庫)

 

 第三回本格ミステリ大賞受賞作。
乙一作品を読むなら絶対に欠かせない作品。私は乙一作品の中では一番のお気に入りです。とにかくオススメ!
猟奇的な殺人事件に「僕」「森野夜」の二人が関わっていく短い物語群。「一つの町に殺人犯いすぎだろ」とか読むと思いますが、作者のあとがきを読むとそこの点も何故なのか納得します。主役二人は“悪趣味な若者”で、通り一遍に感情移入出来るような人物達ではないですが、残酷さが漂う中に恋愛要素があるのがこの作品のツボ。
単行本だと1冊なのですが、文庫版だと2冊にわかれています(ページ数もそんなにないのに何故・・・)“夜の章”が先です!ご注意を!

※番外編もあります↓

 

 


2008年に実写映画化されました。

 

GOTH[ゴス] デラックス版 [DVD]

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 他にアメリカ版映画が企画中らしいです。マジか・・・。

 

 


『ZOO 1』

 

ZOO〈1〉 (集英社文庫)

ZOO〈1〉 (集英社文庫)

 

 

『ZOO 2』 

 

ZOO 2 (集英社文庫)

ZOO 2 (集英社文庫)

 

 “黒乙一の代表的短編集。グロい作品が目立ちますが、切ないものやブラックユーモア的な作品も収録されています。私は「So-far そ・ふぁー」「血液を探せ!」がお気に入り。
『ZOO』は映画化されています。オムニバス映画ですね↓

 

ZOO [DVD]

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文庫の『ZOO 1』にはこの映画で映像化された作品の5編がまとめられています。文庫版特別収録で『ZOO 1』には古屋兎丸さんとの対談が、『ZOO 2』には単行本未収録のシュートショート「むかし夕日の公園で」がそれぞれ入っています。文庫で買うのがオススメですね。

 


『失われる物語』

 

失はれる物語 (角川文庫)

失はれる物語 (角川文庫)

 

 “白乙一の代表的短編集。切なく、悲しく、愛に溢れた傑作揃いの短編5編に文庫版だと「ボクの賢いパンツくん」「ウソカノ」のコミカルな2編も収録されています。
この短編集には実写映画化された「Calling you」「傷」が入っています。この2編はとにかく素晴らしいです。どっちも長編で使える内容だろうと思うのですが、それを50ページほどの短編でやってしまうのが乙一の凄まじいところ。「Calling you」は私の中の『なんてよく出来た短編なんだランキング・ベスト5』に入る話です(笑)「傷」も大好き。
「Calling you」はきみにしか聞こえないのタイトルで↓

 

きみにしか聞こえない [DVD]

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「傷」は「KIDS(キッズ)」のタイトルで↓

 

KIDS 通常版 [DVD]

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 映画化されています。どっちの映画も原作を損なわない作りで良作ですよ~。

漫画もある↓

 

きみにしか聞こえない (角川コミックス・エース 170-2)

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『暗いところで待ち合わせ』

 

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

 

 長編です。と、言ってもページ数はそんなにないのですぐ読めちゃいますが。表紙がホラーっぽく見えますが、全然ホラーじゃないですので安心して下さい(笑)
“警察に追われている男が目の見えない女性の家にだまって勝手に隠れ潜んでしまう”という内容のお話です。

設定だけ聞くと気味が悪いというか、気持ち悪い内容なのかと思ってしまいますが、コレがどっこい。思いやり・優しさ・愛が散りばめられたお話になっているのがさすが。読後あたたかい気持ちになれる小説ですね。
実写映画化もされています↓

 

 

この映画もオススメです。乙一原作の映画は良作が多いですね。

 

 


中田永一名義
『百瀬、こっちを向いて。』

 

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)

 

 恋愛小説の短編集。中田永一名義の作品は恋愛小説ジャンルが主ですね。中田永一ならまずはこの短編集から読むのがオススメ。みずみずしくってTHE・青春って感じのお話が4編収録されています。
表題作は実写映画化されていますね↓

 

百瀬、こっちを向いて。
 

 

『くちびるに歌を』

 

くちびるに歌を (小学館文庫)

くちびるに歌を (小学館文庫)

 

 第六十一回小学館児童出版文化賞受賞作。
中田永一と言えばコレ!って感じに有名な長編。これまでの作品は仕掛けが隠されていたりする作品がほぼでしたが、この作品はそういったものは無く、超直球の青春小説ですね。実写映画化もされています↓

 

 

映画化ばっかされていますね(^^;)

 


山白朝子名義
『エムブリヲ奇譚』

 

エムブリヲ奇譚 (幽ブックス)

エムブリヲ奇譚 (幽ブックス)

 

 

『私のサイクロプス

 

私のサイクロプス

私のサイクロプス

 

 

シリーズもの。“和泉鑞庵の旅に出ては必ず道に迷う奇妙な道中記”。怪談連作短編集です。山白朝子名義は怪談専門誌『幽』での執筆が中心なので怪談作品が主です。個人的に怪談短編って好きなので、このシリーズ大好きです。出て来る主要キャラクター達がどこかユーモラスなのと、何が起こるかわからない話の展開が面白いです。
あと、この本、単行本の装丁が凄く良いですよね・・・ジャケ買いしちゃいますよ。

 

 


各名義一気読み
メアリー・スーを殺して』

 

メアリー・スーを殺して 幻夢コレクション
 

 幻夢コレクション。乙一中田永一・山白朝子・越前魔太郎の短編がそれぞれ収録されており、作品解説は安達寛高
・・・・・・て、作品解説も含めて全て乙一なんですが。
こういう本出されると色々と混乱するよね~!
各名義の特徴を一気に手っ取り早くとらえることが出来るお得な1冊。私は乙一名義の山羊座の友人」が好きです。漫画化もされています↓

 

山羊座の友人 (ジャンプコミックス)

山羊座の友人 (ジャンプコミックス)

 

 

 

 

 

 

まずは読んで欲しいオススメはこの9冊ですかね。

こうやってまとめると映画化作品がとにかく多いですね~。小説の紹介してるんだか、映画の紹介してるんだかよくわからんことに・・・(^^;)


乙一といえば別名義での活動を始める前は“あとがき”が面白いので有名でした。あまりに面白くって、あとがきに過度な期待をよせる読者もいたくらい(笑)近年の本だとあとがきが書かれていること自体が少なくなっちゃったんで少し残念なところではありますが。あとがき必見です!あとがきも含めて余すところなく読んで下さいね!


ではではまた~

映画『氷菓』の評価

こんばんは、紫栞です。
ただいま公開中の映画『氷菓』観てきました~。

【チラシ付き、映画パンフレット】氷菓 HYOUKA 監督  安里麻里

なので少し感想をば。

氷菓の原作小説や古典部シリーズ〉については前にこちらの記事でまとめましたね↓

 

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米澤穂信さんの〈古典部シリーズ〉がとうとう実写映画にまで・・・と、いった感じで何だか感慨深い。数日前に斉木楠雄のΨ難を観てきたばっかなので↓

 

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ピンク頭じゃないのに逆に違和感覚えたり、最初の方の“語り”部分で斉木君を連想したりしてしまった(^_^;)
状況的に山崎賢人のファンみたいになっているけど別にファンな訳ではないです(嫌いな訳でもないですが)日本は俳優が不足しているのか?とか思ってしまうぐらいに俳優かぶりが多いですよね・・・。たまたまなのでしょうけど、少し拗ねたくなる(笑)

 

さて、映画『氷菓』はネットなどの前評判では結構さんざんな言われようでしたが(^^;)自分で実際に映画観てみての率直な感想としては「そんな言うほど悪くない。むしろ誠実に作られた映画だ」と感じました。原作にも割と忠実でしたしね。

 

 

駄目かしら?
では何故批判的な意見が多いのかってのを考えてみるに、第一に俳優さん達がどうしても16歳学生には見えないというのがあるかと。


主要人物4人のキャストは


折木奉太郎山崎賢人
千反田える広瀬アリス
福部里志山岡天音
伊原摩耶花小島藤子


で、皆さん23・4歳の方々がそろっていますね。


ドラマや映画の中で20代前半の俳優が学生役をするのは別段めずらしい事でもないですが、『氷菓』はコメディやファンタジーとは違い、直球の等身大青春ほろ苦物語なので、見た目から“まだ大人になれてない未熟さ”が感じられないとお話との違和感・ズレを感じてしまうんだと思います。
制服がブレザーじゃなくって学ランとセーラー服ってのがまたね・・・コスプレ感漂いますし。私服のシーンもありますが、ぶっちゃけ社会人に見える(-_-)

ところどころアニメの見た目に寄せているのも比べちゃってアレですね。アニメはかわいらしい絵柄でしたからねぇ~。アニメ最初観たときは〈古典部シリーズ〉をこんなかわいい絵でやっちゃうのか・・・とか思ったもんですが。慣れって恐ろしいものですね(^^;)

 

氷菓 限定版 第1巻 [Blu-ray]

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氷菓 通常版 第1巻 [DVD]

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あと、これは私個人の感覚なのですが、16歳と17歳との間には大きな隔たりを感じるんですよね。17歳設定は多少成人した見た目でも容認出来るが、16歳で高校入学したばっかり、つい最近まで中学生でしたって言われるとどうしても受け入れがたいというか・・・う~ん・・・一般的にはどんなもんでしょう?そう感じるの私だけかしら?


第二の要因は端的に言って“お話が地味”なところでしょうかね。やっぱり。
実写映画化されると聞いた時から個人的に懸念していたことですが、『氷菓』は学園ミステリーとはいっても、殺人事件などは起きない“日常の謎”ものなのでまぁ派手さは無いです。

ささやかな謎解きなのでアニメの30分でやるのにはちょうど良いですが、映画で2時間やるにはどうしても間延びしちゃいますね。90分映画とかで良いんじゃないかなぁ。または深夜のドラマ枠とか。
学園ミステリーだからとエンターテインメント作品的な面白さを求めて観ると肩すかしを食らうかもしれません。

 


原作との違い
はぼはぼ原作に忠実に作られていましたが、それでも何点かは違う箇所がありますね。

大きな違いでは古典部の文集のバックナンバーを探すお話に出て来る、壁新聞部部長・遠垣内先輩の登場とエピソードが映画では丸々カットされています。尺の都合ですかね。確かにこのエピソード入れると映画としてまとまりが悪くなるかなぁと思います。奉太郎のプチ脅迫シーンがあって見物なんですが。


あと、お話のキーパーソンである千反田の失踪した叔父・関谷純(本郷奏多)の真相部分の設定が異なります。

原作より悲劇性が増していますね。これは映画の設定の方がラストの真相に納得がいくので悪い変更では無いと思います。“優しい英雄”って言葉とか、最後に奉太郎が千反田に「関谷純は、ベナレスにいる」って言うのも、冒頭の奉太郎の姉・折木供恵(貫地谷しほり※声のみの特別出演です)から送られてきた『ベナレスからの手紙』に繋がってお話として綺麗にまとまっていていいなぁ~と。


個人的には関谷純が出て来るシーンは総じて良かった。古い学生帽が似合っていますね。出番は少ないですが存在感が凄いです。

 

この映画は『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実を探るお話で、学生運動の頃の事情が出てきます。
「ん?三十三年前で学生運動?」と引っかかると思いますが、実はこの映画は2000年が舞台。原作が発売された年に合わせているみたいですが、ここは別に原作に忠実にしなくっても2017年現在の設定で良かったと思うんですよね。2000年にこだわる理由ないし、観ていてちょっと混乱します。まぁ“叔父さん”設定が厳しくなっちゃうからこうなのかな。

 


最後に
上記の点を踏まえて、こういう“静かな雰囲気”を楽しむ映画だと思って楽しんで下さい。注意事項としては内容に派手さが無いぶん、眠気に襲われやすいかな~と思われますので十分な睡眠を取ってある状態での鑑賞がオススメ(^^)

 

※原作はこちら↓

 

氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

 

 漫画もあります↓

 

氷菓(1) (角川コミックス・エース)

氷菓(1) (角川コミックス・エース)

 

 解説本も出たようです。書き下ろし短編が収録されているのですよ・・・↓

 

米澤穂信と古典部

米澤穂信と古典部

 

 ではではまた~

松本清張『点と線』 あらすじ・ドラマ・トリック~・・・諸々まとめ

こんばんは、紫栞です。
今更ながら松本清張『点と線』を読んだので少しまとめようかと思います。

点と線 (新潮文庫)

あらすじ
割烹料亭「小雪」の女中二人と「小雪」の常連客で機械工具商会を経営している安田辰郎の三人は、東京駅の13番線ホームから向かいの15番線ホームに同じ「小雪」の女中“お時”が男性と夜行特急列車【あさかぜ】に乗り込む姿を目撃する。
数日後、“お時”とその男性・佐山は香椎の海岸で情死体となって発見された。
博多の刑事・鳥飼は、佐山が持っていた車内食堂の受取証が“御一人様”になっていたことから情死事件に疑問を持ち、一人捜査を開始する。
佐山は現在捜査中の産業建設省汚職事件の関係者だった。汚職事件を追っていた本庁の刑事・三原は佐山の情死事件を調べに福岡署に訪れ、鳥飼と対面。
三原は事件を追ううち、13番線ホームから15番線ホームを見通せるのは、一日のうちでたったの四分しかないという事実を知り、目撃者の安田に疑いを持つが、安田には完璧なアリバイがあった。

 

 

 


社会派推理小説
『点と線』は昭和33年の作品で、松本清張推理小説としては初の長編連載。『点と線』とほぼ並行して『目の壁』も連載中だったみたいですが。

 

 

 

本格推理小説汚職事件などのリアリティを持ち込んだのが当時は斬新だった(らしい)です。『旅』雑誌に連載で、実在する列車や舞台を作中に登場させているのも当時の読者には読んでいて楽しかったのではないかと。
松本清張横溝正史などを筆頭とする「お化け屋敷」的本格推理小説に批判的だったのだそうな。

 

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現実的じゃないと。私は「お化け屋敷」的小説も好きですけどね~。非現実感を楽しむのも一興なのですよね、アレは。まぁ“色々な形の推理小説があってしかるべきだ”って事なのだと思います。
探偵小説界に“社会派”という新たなブームをもたらした有名作ですね。

 

 

 

 

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映像化作品
『点と線』レベルの超有名作ともなると、読まないうちにトリックや真相を知ってしまっているってな状態が起こりますよね。私もそのうちの一人でして、読む前からお話のだいたいの筋とトリックはテレビなどを通して知っていたのです。

最初に観たのはNHKのドキュメンタリードラマ『点と線を追え!推理・松本清張の頭脳 4分間の空白・トリックの秘密とは?社会派推理小説はこうして生まれた』でした。観たのはかなり幼少の頃だったのでうろ覚えですが(^^;)面白かったと記憶しています。

 

次に2002年制作のアニメーション動画ドラマをBSでたまたま観て、

 

点と線/国鉄黄金期「点と線」のころ [DVD]

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ビートたけし主演のテレビドラマも観ました。

 

 アニメは一風変わった作りで主演二人の声を西田敏行緒形直人がやっていました。お二人とも声に味があって良かった(と、記憶している^^;)。


テレビドラマは一夜・二夜と2時間ずつわかれての放送で、わりかしとシンプルなお話の『点と線』をよくこんなに長い話に膨らまして作ったなとか思いましたね。推理ドラマというより人間ドラマの側面が強いです。

 

アニメもドラマも現在に直したりせずに、小説が書かれた当時の時代設定のままです。あの当時が舞台でないと成立しないお話ですからね・・・。

1958年の映画はさすがに観られてないです。

 

点と線 [DVD]

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以下がっつりとネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空白の四分間
『点と線』にはアリバイ崩しの様々なトリックが出てきますが、その中でも魅力的で印象に残るトリックはなんと言っても、この〈空白の四分間〉。
しかし、このトリック、疑問点が多くて発売当初からミステリマニアの間で物議をかましてきたんだそうな。新潮文庫版で解説を書かれている平野謙さんもこのトリックの不備について指摘されています。

私の手持ちの小説、有栖川有栖の「学生アリスシリーズ」の短編集『江神二郎の洞察』に収録されている「四分間では短すぎる」の作中で

 

 

 

〈空白の四分間〉について「学生アリスシリーズ」の主要人物、信長さん(織田)とモチさん(望月)が議論している部分があるので、この部分を参考に疑問点を簡単に挙げてみると・・・

 

犯人は実際には深い仲ではない“お時”と佐山をさも情死行に旅だったように見せ掛けるため、〈空白の四分間〉を利用して二人が連れ立って列車に乗り込むのを女中二人に目撃させるのがトリックなのですが――

 

●問題の四分間に女中たちをホームにさりげなく誘導させるのが容易ではない


●四分間に“お時”と佐山を15番線ホームに立たせるのも難しい。どうやって二人をコントロールしたのか、作者はまったく書いていない


●女中たちは四時には店に出なければならない、とかいう設定になっているが、午後三時半から「晩飯」は早すぎる!(笑)


●四分間に“お時”、佐山、自分、女中が所定の位置に立たない限り、トリックは成立しない。そんな困難に挑まずとも、14番線ホームから女中に見送ってもらったほうが良かったのではないか?


●そもそも、偽装工作自体に意味が無い。二人の死体が発見された時点で地元の刑事達は即座に情死という見方をしたのだから。無用の工作をしたがために、かえって疑われる結果を招いたのではないか


などなど。いちいちごもっともなんですけれども(^_^;)

 

この「四分間では短すぎる」の作中でも言っていますが、このトリックは駄目でもともと。上手くいかなくとも、それで殺人計画が破綻するわけではないので、「やってみて、上手くいったらいいなぁ~」という、病床で時刻表を見ながら空想に浸るのが趣味だった犯人の、言わば“空想の延長のお遊び”だったのではないかと思います。上手くいって刑事に疑われてしまったのは結果論だと。


※「四分間では短すぎる」の作中では議論の最後にまた違った案を提示しています。そういう見方もあるか~って感じで面白いですよ。信長さんとモチさんのやり取りもコミカルで笑えます。もちろん他に収録されている短編も面白いです。オススメ(^_^)

 

 

 

※『点と線』文春文庫版だと解説を有栖川さんがしているみたいです。読みたい・・・

 

 

 

 

 

最後に
社会派推理小説ブームの先駆けと言われる作品ですが、汚職事件などのリアリティを書いている一方で、このようなファンタジックな雰囲気漂うトリックを用いているのが作品の魅力になっているのかな~と思います。
アリバイ崩しに重点を置かれて書いてある作品ですが、最後の三原が鳥飼に宛てて書いた手紙の中で明かされる真相は犯人の微妙な心理や状況など、想像すると空恐ろしいようなやるせないような気分にさせ、人間ドラマとしても面白く読めました。

『点と線』で登場する刑事、鳥飼と三原が再びアリバイ崩しに挑む続編『時間の習俗』という小説があるみたいですね。

 

 

 

こちらの作品も是非読んでみたいと思います。

 

 

ではではまた~

 

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