こんばんは、紫栞です。
今回は、『岸辺露伴は動かない』のドラマについてまとめたいと思います。
荒木飛呂彦先生の超大作漫画シリーズ【ジョジョの奇妙な冒険】の4部に登場する漫画家・岸辺露伴が遭遇する様々な奇妙な出来事が描かれるスピンオフ作品『岸辺露伴は動かない』がNHKでドラマ化されて早三年。
すっかり毎年の恒例となり、話数も8話とたまりました。2023年5月に映画公開も発表されましたので、今回はドラマに集点を絞ってまとめようかと思います。
※原作漫画のまとめについてはこちら↓
順番と原作エピソード
第一期 2020年12月
第一話「富豪村」
『岸辺露伴は動かない』コミックス第1巻に収録されているエピソード。OVAで2話目にアニメ化(原作に沿って、サブタイトルでは#05となっています。ややこしい・・・)もされています。
何でも最初が肝心ですが、このドラマがどういったものかをドーンと示してくれている良作。決着のつけ方が原作以上に完成度が高くなっていて、感服する脚本。原作にはない「だが断る」を言わせているのも良いですね。やっぱり露伴先生なら“それ”を言っているのを聞いときたいのよ。
第二話「くしゃがら」
『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ小説集『岸辺露伴は叫ばない』に収録されているエピソードで、作者は北國ばらっどさん。今のところ小説作品から映像化しているのはこの「くしゃがら」のみ。
森山未來さん演じる漫画家・志士十五が強烈。最後のカットの「おことわり」が怖いけれども気が利いている。世にも奇妙な物語的ですね。
第三話「D・N・A」
『岸辺露伴は動かない』コミックス第2巻に収録されているエピソード。
原作ですと露伴先生は相談として話を聞かされるだけで直接関与しない(アドバイス?はするけど)お話なので、オリジナル要素が強め。美術が凝っていて、「ヘブンズ・ドアー」の表現が面白い。
第二期 2021年12月
第四話「ザ・ラン」
『岸辺露伴は動かない』コミックス第2巻に収録されているエピソード。OVAで3話目にアニメ化。(原作に沿って、サブタイトルでは#09になっている)
原作だと露伴先生が珍しく参った様子で「反省している」と読者に話し始めるところから始まっていますが、ドラマでは妖怪話の一つとして露伴先生が泉くんに話をする構成になっています。筋肉バカの髪型が原作通りに再現されているのが「フフッ」となる。
第五話「背中の正面」
こちらはスピンオフ作品ではなく、本編である『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイアモンドは砕けない』でのエピソードで、コミックスでは44巻収録。4部アニメだと31~34話。
原作だと「チープ・トリック」という名のスタンドに露伴先生が憑依される話で、吉良吉影が差し向けてきた(と、思われる)もの。
最初にこの話をドラマ化という一報を聞いたときは驚きましたね。本編の4部漫画では鈴美さんがいる“決して振り向いてはいけない小道”ありきでの解決策だったのでドラマではどうするのかと思っていましたが、「坂」というワードを使って見事に解決させていました。
第六話「六壁坂」
『岸辺露伴は動かない』コミックス1巻に収録されているエピソード。OVAで1話目にアニメ化。(サブタイトルは原作に沿って#02になっている)
血がドバドバ出て来る話なのですが、ドラマだとそこの部分はモノクロ映像になっていました。やはり色々と問題があるのですかねぇ。原作でもドラマでも同様ですが、絶対あの掃除間に合わんだろと思う。
第三期 2022年12月
第七話「ホットサマー・マーサ」
集英社ムック「JOJO magazine 2022 SPRING」に収録されている描き下ろし作品。詳しくはこちら↓
他の短編よりボリュームがある原作なので、ドラマは付け足し要素も変更も他エピソードより少なく、原作にかなり忠実なストーリー展開になっています。円三つのところどうするのかと思っていましたが、そのままやっていましたね。しかも「三が素晴らしい」って話で次に繋げていてなるほどと。狂信的なファンというのでも次に繋げていますね。
第八話「ジャンケン小僧」
本編漫画『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイアモンドは砕けない』の「ジャンケン小僧がやって来る!」というタイトルのエピソードで、コミックスだと40巻収録。4部アニメでは36話。
原作は本当にひたすらジャンケンするだけのお話なので、ドラマではどうするのかと思っていましたが、セリフなどはほぼそのままの忠実なものとなっている終始ジャンケンしているのも同じ。原作もドラマも、ジャンケンをこんな風に描けるの凄いなぁ~と。原作だと透明な赤ちゃんを使って勝っていたのでどうするのか気がかりでしたが、素晴らしい変更の仕方で感服。
原作との違い
原作は繋がりのない短編漫画、本編漫画からの切り取りなどですので、ドラマ化するにあたって変更点は多々あるのですが、特に大きな違いは「スタンド能力」という言葉を出さないところと、相棒がいるコンビものにして、サスペンス・ホラーミステリドラマとして描いているところですね。
この変更のおかげで、『ジョジョの奇妙な冒険』を知らない視聴者でも十分に愉しめて、受け入れられやすい作品となっている。
『ジョジョの奇妙な物語』4部でのストーリーである「背中の正面」と「ジャンケン小僧」はスタンド能力バトルが前提のものなのでその部分なしでどうやるのかと思いましたが、日本的な怪異を絡めることで上手くまとめられていましたね。
一期では泉くんの記憶喪失ふんわり彼氏、二期では「六壁坂の妖怪」、三期で「四つ辻の辻神」と、一話完結物でありながら繋がりを持たせているのもシリーズドラマとして観やすい。
相棒役に原作の「富豪村」に登場する編集者・泉京香をチョイスするのは順当だといった感じですが、良く計算された露伴先生の「相棒」に最適なキャラクターに設定されています。ウザくってずうずうしいながらも、奉仕精神が強くて善良。演じている飯豊まりえさんの絶妙な塩梅でのかわいらしい演技によるところも大きいかと思いますが。
岸辺露伴を演じる高橋一生さんに関しては言わずもがなですね。コンビとしての二人のバランスが良く、掛け合いも面白い。ドラマ版だからこそのお楽しみポイントですね。
このように原作からはかなりの変更があるのですが、ドラマ単品での面白さが確りしているのと、付け焼き刃的ではない、作品を良く理解した上での脚色が抜群に良い。通常は原作からの変更はファンにとっては嫌なものですが、このドラマでは「次はどんな脚色でくるかな~」と逆にワクワク感がある。
脚色しているものの、セリフや見せ場のシチュエーションなどはほぼ原作通りで、衣装や美術含め、別物なのに世界観や作品雰囲気はジョジョの“それ”。ホント、変えちゃダメなところが分っていらっしゃる。
忠実でありながら斬新。これがこのドラマがヒットした要因なのかなと思います。
個人的に、禁足地や妖怪といった日本的な怪異を絡めて纏め上げているところが京極夏彦ファンの私としては非常に好み。コンビものも好きなのでドンピシャですね。
映画館に行くッ!
三期の「ジャンケン小僧」で最後に「パリ、ルーヴル美術館」と泉くんが毎度の匂わせ発言をしていたので、これは『岸辺露伴ルーヴルに行く』をやってくれるのだなとは思いましたが、映画でやってくれるとは嬉しいかぎり。三期は二話だと聞いたときは何で三話じゃないんだと思ったものですが、映画を控えていたからだったんだなと。
確かに映画でやるならルーヴルのエピソードしかないので納得。前々から「ルーヴルやってくれないかな~でもルーヴル美術館での撮影ってなるとドラマでは厳しいよね~」と思っていたので。
この『岸辺露伴ルーヴルへ行く』は『岸辺露伴は動かない』とはまた別物となります。※『岸辺露伴ルーヴルへ行く』について、詳しくはこちら↓
題名の通りの物語ですが、これは露伴先生自身にまつわる物語で“動く”のですよ。海外パートはもちろんですが、日本での回想パートも気になりますね。
「ジャンケン小僧」で「くしゃがら」に登場した志士十五に少し触れていましたが、映画に登場する前フリなのでしょうか?確かに一話のみの登場では勿体ないキャラクターですよね。
とにかく楽しみ。絶対映画館に観に行きたいと思いますッ!
※行ってきました!映画について、詳しくはこちら↓
ではではまた~
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