こんばんは、紫栞です。
今回は、『金田一パパの事件簿』1巻について感想を少し。
金田一一、新たなライフステージへ
はい、2025年6月についに刊行されました『金田一パパの事件簿』。こちら、『金田一少年の事件簿』から引き続いての本格推理漫画シリーズでして。
17歳、高校二年生の金田一一が活躍する『金田一少年の事件簿』→37歳、PR会社でサラリーマンをしている金田一一が活躍する『金田一37歳の事件簿』と、きまして、この度44歳、探偵をしつつ子育てをする金田一一が活躍する『金田一パパの事件簿』が新たに始まりましたよ、と。
前シリーズの『金田一37歳の事件簿』がどの様に終わったのか、詳しくはこちらを御参照頂きたいのですが↓
永遠の高校二年生を長年やっていたと思ったら、突如37歳のサラリーマンに・・・と、思ったら今度は子育てパパ探偵に・・・。こんなにこの漫画シリーズで主人公のライフステージを追うことになるとは思ってもみませんでしたよ。
御丁寧に、今巻では本編が始まる前に金田一がサラリーマンからパパになるまでの変遷を一気におさらいできる記事が載せられています。
パパになっても殺人事件に巻き込まれるのは同じ。今巻に収録されているのは「私立探偵殺人事件」6話分。
●「私立探偵殺人事件」
あらすじ
脱サラし、「金田一一探偵事務所」を設立して5年。小学1年生の息子・九十九の育児をしながら細々と平凡な探偵仕事をこなしていた金田一の元に、謎の”クライアント”から「ある場所で探し物をして欲しい」と奇妙な依頼が舞い込む。
怪しいと思いつつも100万円という破格の前金に釣られて金田一は依頼を引き受け、九十九と共に指定された場所へと向かうが、そこは山奥の廃旅館だった。中に入ってみると、そこには私立探偵ばかり4人が集まっていて――・・・。
連載予告のキーヴィジュアルも今巻の表紙絵も赤ん坊を抱いている姿だったので、てっきり会社を辞めてすぐの様子が描かれるのかと思っていたのですが、今回のシリーズは『金田一37歳の事件簿』の終了時点から7年後、金田一は44歳になっていて、息子も小学1年生。
美雪は相変わらずバリバリCAやって世界中を飛び回っているので、育児は主に金田一が担っている。金田一は37歳で退職後、2年経ってから探偵事務所を開業したとのことで、探偵暦は5年。
退職後すぐに開業するのかと前シリーズを読み終わった時は思っていたのですが・・・(作中でもそういう風に盛り上がっていたし)。最初の2年は子育てに専念してたってことですかね。
上記したように、どんなにライフステージが変わろうとも、金田一一がやることはジッチャンの名にかけて巻き込まれた凄惨な殺人事件を解決させることであるのに変りはない。それはこの新シリーズが始まる前から分かりきっていたことです。
赤ん坊を抱えて殺人現場を調べ、一同を前に謎解きを披露するってのは流石に無理があるというか、シュールなことになってしまのではと危惧していたので、7年後だと知って納得。やっぱ、それぐらいには子供が成長してないと厳しいよね。
で、これまた予想していた通りですが、事務所は依頼が少なくて閑古鳥が鳴っている状態。いまだに美雪の稼ぎに頼っている金田一であります。
注目されていた息子の名前は九十九(つくも)。ああ、そうきましたかって感じですね。
で、この九十九くん、普通にカワイイ。見た目も中身も。好奇心旺盛で肝が据わっていて目ざとい・・・・・・なるほどなるほど、今回のシリーズは九十九くんが助手的役割を担うって訳ですね。まだ解決へ至るであろう次の巻読んでないのでちゃんとは分かりませんけど、そうに違いない。
高校の時からだらしない生活を送っていた印象のはじめちゃんも、ちゃんと子育てしていて好感が持てます。グッと成長を感じますねぇ。高校生時代からずっと追っているファンとしては感慨深いよ。
5人の探偵
今回は探偵ばっかり5人が集められてのクローズド・サークルもの。完全な匿名での”クライアント”からの依頼で、皆同様に廃旅館の各自自分が選んだ部屋でアボカドのバッジを探せと指示される。
何でこんな依頼をしてくるのかも、何でバッジが各部屋にやたらあるのかも、なんでアボカドのバッジなのかも不明で、クライアントの意図がまったくつかめないのですが、結果的にアボカドのバッジを見付けるのに成功した海東咲太郞が状況的密室の中で殺害される事態に。
その後、桜屋敷舞が襲われて放火された部屋に閉じ込められる事件が発生。なんとか桜屋敷は逃げだし、皆で消火に成功。外部犯が建物に火を付けて全員を焼き殺そうとした・・・なんてイカれた殺人鬼だ!って、なっているところで金田一が異を唱え、お馴染みの「ジッチャンの名にかけて!」をかましているところで今巻は終了しています。
金田一と九十九を抜かして、残る容疑者は3人。二択は考えづらいし、巻末の次巻予告からも察するに、今回の事件は殺されるの一人だけっぽい。
最初は”クライアント”ってなっていたのですが、途中で「暗イ暗人」って当て字が出て来たので、今回の怪人名は「暗イ暗人」(クライアント)ってことらしいですよ。この当て字、なんかちょっと笑えるな。
トリックもバッジを探させた理由も皆目見当つきませんが、ミステリの定石的にいくと桜屋敷さんが怪しいですかね。本格推理ものだと、狙われたのに助かった奴は犯人の事が多い。
部屋をノックされて声かけられて、金田一だと思ったからドア開けたら襲われたって言ってますけど、警戒心なさすぎて何のためにバリケードして閉じこもってたんだかって感じだし、声の主も勘違いだったかもしれないけど男性だったのは間違いないって・・・いや、他三人の声か知らない人の声かは分かるでしょ。
あと、今回の事件は「年齢」が関係してるのかな~と。いつもなら名前の横のカッコ内に年齢表記がされるのに、今回は無いんですよ。
作中で、元捜査一課の刑事だったという鷹取翼は44歳だと自ら言っていて、古我一馬は”15年以上のキャリア”と言っているから少なくとも35歳以上ではあるはず。ここでも桜屋敷舞だけがまだ年齢の推測を立てられない状態なんですよね。おばさんって言われて怒ってるけど・・・。
そもそも、絵柄からして殺された海東さん以外年齢が分かりづらい。はじめちゃんなんて44歳なのに高校二年生の時とまったく容姿が変わってないし・・・髪型も同じ(^_^;)。
事件とは別で気になったのが、『探偵学園Q』のD.D.Sバッジが作中で出て来たことですね。
前シリーズの終わりにケルベロスが登場していたし、やはりこのパパシリーズは『探偵学園Q』もガッツリ絡んでのシリーズになりそうな予感。
第2巻は2025年秋頃発売予定。
脱獄したものの7年間音沙汰無しだったらしき(少なくとも金田一の身には何もなかった)高遠さんの動向も次巻から分かってくるでしょうから、楽しみに待ちたいと思います。ホント、気長なんだなぁ高遠さん・・・。
ではではまた~