夜ふかし閑談

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綾辻行人『Another(アナザー)』小説 あらすじ・解説・感想 夏のオススメ本④~

こんばんは、紫栞です。

夏に読むのにオススメの本を紹介するシリーズ

 

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第四弾は綾辻行人さんの『Another(アナザー)』です。

Another

小説が発売された2009年当初凄くヒットしていましたよね。

その後漫画化され、

 

 

アニメ化され、

 

 

実写映画化され・・・。

 

アナザー Another

アナザー Another

 

 

 

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小説はなんといっても、この本の装丁がいいですよね。正面顔アップの惹きつけられる表紙絵とぶ厚くって重厚な作り。本屋で平積みされてるとスゲー目立ってました。このカバーイラストを描かれた遠田志帆さんは綾辻さんの別の本のカバーイラストも何作か手掛けていますね(主にホラー。主に文庫)遠田さんの絵が本のヒットにかなり貢献してると思います(個人的な分析ですが^_^;)

 

遠田志帆画集

遠田志帆画集

 

 

やたら目立つ装丁なのにぱっと見ではお話の内容の予想が全く出来ないってのもまた興味をそそりますよね。ちなみに、私は本屋で初めて見たときは小説かどうかもよくわかっていませんでした(あの頃は綾辻さんの本読んだことなかったのさ・・・)

 

 

あらすじ

一九九八年四月。「原発自然気胸」という病を抱える榊原恒一は夜見山北中学三年三組に転校してきた。恒一はクラスメイトの中に病院で偶然鉢合わせした眼帯姿の少女、見崎鳴を見つけ声をかけるが、何故かクラスメイト達は彼女を“いないもの”として扱っていた。

困惑し、クラスメイトの態度に不審を抱く恒一。そんな中、三組のクラス委員長の桜木ゆかりが凄惨な死をとげてしまう。鳴が言うには、これは夜見山北中学三年三組に代々伝わる「呪い」によるものらしいのだが――。

「気をつけたほうが、いいよ。もう始まってるかもしれない」

 

 

 

単行本はぶ厚いし、文庫版は上下巻にわかれているので読むのに気後れしてしまうかも知れませんが、綾辻さんの文体はわりと簡素でスッキリ(?)としているので全然苦も無く読めてしまいます。

この小説はジャンルはホラーに分類されていますが、本当のところはホラーとミステリーとサスペンスが融合したようなお話ですね。特殊な状況下“呪い”の中で展開される、謎解きホラーサスペンス。

 

なんだかこの本はストーリー上のことは何を書いてもネタバレに繋がりそうな気が(^_^;)

そんなわけで、以下若干のネタバレ~(本当の結末部分には触れません)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜見山北中学三年三組では一九七二年から数年に一度、ある現象が起きる。現象には一定の規則性があり、それによると・・・・・・

死んだ人間がクラスの一員として紛れ込み、四月から翌年三月の卒業までの間に三年三組の関係者の死亡が相次ぐ

死亡する対象は三年三組の生徒、教師、それらの二等親以内の血族で夜見山市内に在住するもの。死は様々な形で訪れるが、いずれも死因はハッキリとしたものである

クラスに紛れ込む“死者”は主に過去にこの現象で死んだ人物が蘇って現れるが、“死者”に自身が“死者である”自覚は無い

 

現象を止めるためには

“現象”が起きた年にはクラスメイトの一人を卒業までの一年間“いないもの”として扱う(ただし、これはほぼ“おまじない”的行為の位置づけ)

クラスに紛れ込んだ“死者”を見つけ出し、“死”に還せば現象はストップする(らしい)

 

 

と、まぁ大まかにこのような規則がありまして。

お話としては“死者”つまり“もう一人”は誰なのか――!的方向で集約されていくのですが・・・なんと、この一連の“現象”による記録・人々の記憶は書き換え、消失してしまうというとんでもなくご都合主義で強力すぎる“呪い”でして・・・私なんかは「えぇぇ~!“呪い”どんだけだ~!」って思ってしまったんですが(^_^;)

 

そんなんじゃ“死者”の特定なんか出来んじゃろって感じなんですけど、ここで大活躍するのが序盤では実在してるのかどうかも謎、思わせぶりで意味深な言動ばかり繰り返していたが後半ではしっかりとヒロインの見崎鳴。鳴ちゃんの眼帯の下の瞳は義眼〈人形の目〉で“死の色”が見えるんだそうな!(なにぃ~)

 

実はですね、わたくし、読み始めて四分の一位の所にさしかかるまで“死”が連鎖するのは超自然的力が働いているんじゃなくって、生きている人間が起こしているものかと思っておりました(^^;)犯人突き止めようって話なのかと変な風に信じていたんですよね・・・。

読み進めるうちに作中でのセリフのように

「相手はそういう『超自然的自然現象』なんだから、わたしたちはそんなものなんだって受け入れるしかない・・・・・・」

と、納得するわけですが。

だから鳴ちゃんが終盤近く〈人形の目〉の話で「信じてもらえないと思うけれど・・・・・・」言いますけど、読者的にはもう「さいですか。いやいや、ここまできたら信じますよ」と、思う(笑)

 

この『超自然的自然現象』の特殊設定の中で様々な伏線・ミスリードが仕掛けられており、もはや綾辻パワー全開であります。期待を裏切らず“驚きの真相”が用意されていますよ~。さすが綾辻さんだ~!

 

ミステリー部分の見事さはもちろんですが、この小説は独特の世界観がウリだと思います。球体関節人形などのゴシック的要素に学園青春ホラーが融合しているのがなんとも良い。

後半の恒一と鳴、二人の距離が縮まっていく過程も楽しいです(^_^)二人してクラスではぶられちゃうんですけどね。それを逆手にとって「二人だけの孤独と自由」を満喫するのだった・・・。

 

続編もあります↓

 

 

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『Another』の雰囲気が好みの人は奥田陸さんの『六番目の小夜子』もオススメ。

 

六番目の小夜子 (新潮文庫)

六番目の小夜子 (新潮文庫)

 

 

綾辻さん自身、文庫版あとがきでイメージの参考にしたといったことを書かれています。私も最初読んですぐに連想しました。学園に伝わる不思議とか、謎めいた美少女の登場とか、ワクワクするんですよね~(^_^)

 

 

夏の夜長にどうでしょう・・・?

 

 

 

ではではまた~

 

Another(上) (角川文庫)

Another(上) (角川文庫)

 

 

 

Another(下) (角川文庫)

Another(下) (角川文庫)