夜ふかし閑談

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森博嗣 シリーズ つながり・順番・概要まとめ

こんばんは、紫栞です。
今回は森博嗣さんの各小説シリーズの順番・繋がり・概要をまとめたいと思います。

すべてがFになる (講談社文庫)

 

森博嗣さんの小説シリーズは厄介なことに一部作品を除いて同じ世界観の時系列で繋がっています。シリーズで世界観を同じくし、人物や出来事を繋がるように書くというのは他の作家作品でもよくみられることですが、森さんのようにジャンルも飛び越え、ここまで壮大なことにまで世界観が拡大されているものはかなり珍しいことと思います。
シリーズの数もですが、とにかく作品数が膨大。それらが凡て繋がっているのが凄味なんですけども、数が数なのと、長い年月をかけてのものなので忘れたり混乱したりしてしまうなぁと新作読む度に思っているのは私だけではない(ハズ)。
そんな訳で、今回は森博嗣作品の世界観を同じくする物語りをシリーズごとで簡単に解説とまとめをしていきたいと思います。
※エッセイやシリーズ外作品、【スカイ・クロラシリーズ】などは除外しています。

 

 

 


森博嗣作品はシリーズ概要を説明するだけで仕掛けのネタバレになるものもありますので、以下ご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 


S&Mシリーズ
すべてがFになる
冷たい密室と博士たち
笑わない数学者
詩的私的ジャック
封印再度
幻惑の死と使途
夏のレプリカ
●今はもうない
数奇にして模型
有限と微小のパン

 

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国立大の助教授(この頃はまだ「助教授」が廃止されて「准教授」と定められる前です)・犀川創平と、この大学の学生・西之園萌絵が遭遇する様々な事件を解決していく推理小説のシリーズ。【S&Mシリーズ】という名称はこの二人のイニシャルからきています。
森博嗣さんのデビュー作がこのシリーズの第1作すべてがFになるで、この作品で登場する超ド級の天才・真賀田四季が後のシリーズでも重要な存在となっているので、とにかくこの第1作目「すべてがFになる」を読まないと、繋がりを楽しむという点では森博嗣作品はにっちもさっちもいかなくなる。
犀川先生と萌絵も他シリーズで度々関係しているので、読者的には“主のシリーズ”だと捉える意識が強いです。

 

 

Vシリーズ
黒猫の三角
人形式モナリザ
月は幽咽のデバイス
夢・出逢い・魔性
魔剣天翔
恋恋蓮歩の演習
六人の超音波科学者
捩れ屋敷の利鈍
朽ちる散る落ちる
●赤緑白黒

元旧家の令嬢で自称科学者・瀬在丸紅子が探偵役を務め、「阿漕荘」というアパートに住む人々が遭遇した事件を解決、解説していく推理小説のシリーズ。語り手は「阿漕荘」の住人で探偵兼便利屋兼美術品鑑定士である保呂草純平。保呂草純平が回想をしているシリーズだとも捉えることが出来ます。【Vシリーズ】のVは紅子のイニシャルから。
シリーズ全体に叙述トリックともいうべき仕掛けが施されているシリーズで、最後の「赤緑白黒」を読むと瀬在丸紅子【S&Mシリーズ】の主人公・犀川創平の母親で、彼女の小学生の息子として登場していた「へっくん」が幼い日の犀川先生なのだと分かる仕組み。つまり、(一部作品を除き)このシリーズは【S&Mシリーズ】より時系列は20年ほど前となります。
シリーズを読み進めると保呂草さんが実は世界中を飛び回っている泥棒だということが判明。他シリーズでも関わってきます。幼少期の真賀田四季が「赤緑白黒」の最後に登場していますね。

 

四季シリーズ
四季 春
四季 夏
四季 秋
四季 冬

真賀田四季の物語りで、各作品の名称は「四季」という名前からとられています。
四季の子供時代や【S&Mシリーズ】すべてがFになる」「有限と微小のパンと時のことや【Vシリーズ】の最終作「赤緑白黒」で紅子と遭遇した時の出来事などが四季視点で描かれる。各シリーズで強烈な存在感を放っている真賀田四季の内面を知ることが出来る物語りで、シリーズというよりは分冊での刊行だったので偶々シリーズのようになっているとのこと。この4作を1冊にまとめた『四季The four Seasons』も後に刊行されています。

四季【全4冊合本版】 (講談社文庫)

四季【全4冊合本版】 (講談社文庫)

 

 四季の物語りだという以外に、【S&Mシリーズ】と【Vシリーズ】の繋がりや人間関係を補足する作品でもあり、作中で30代の犀川先生と50代の保呂草さんが対面するシーンなどがあります。もちろん別シリーズに深く関係する事柄も作中に盛り込まれているので要注意。(ま、森博嗣作品はすべて要注意かも知れませんが・・・)

 


Gシリーズ
●φ(ファイ)は壊れたね
●θ(シータ)は遊んでくれたよ
●τ(タウ)になるまで待って
●ε(イプシロン)に誓って
●λ(ラムダ)に歯がない
●η(イータ)なのに夢のよう
●目薬α(アルファ)で殺菌します
●ジグβ(ベータ)は神ですか
●キウイγ(ガンマ)は時計仕掛け
●χ(カイ)の悲劇
●ψ(プサイ)の悲劇

※刊行予定
●ω(オメガ)の悲劇

シリーズ名の由来はタイトルにギリシャ文字(Greek)が入っていることから。基本的には大学生の加部谷恵美が語り手を務め、遭遇した事件を同級生の海月及介が解くというか、説明するという流れですが、途中から【S&Mシリーズ】犀川先生や萌絵、【Vシリーズ】瀬在丸紅子も登場して真相究明したりと、今までのシリーズキャラクター達が入り混じった群像劇のようになっています。時系列としては【S&Mシリーズ】から数年経っている設定ですね。もちろん真賀田四季の影もチラホラリ。


講談社ノベルスは基本段組スタイルですが、【Gシリーズ】は1段(※四季シリーズも)で、文量は【S&Mシリーズ】や【Vシリーズ】と比べるとだいぶ少ないです。確りとした1話完結形式もとっておらず、各作品あやふやな部分を多く残したまま終わっていたりするので、ミステリとは言い難い感じ。このシリーズは現在11作刊行されており、次に刊行予定の12作目「ωの悲劇」で完結するとされています。

 

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このシリーズは後半から時系列が大きく進み、主要登場人物も変わってまるで別物のSFのようになっているので、11作目まで読んだ状態でもシリーズの全容はよく掴めません。最終作に期待ですね。最終作を読んでも、果たして私の頭で全容を理解することが出来るかどうかには自身がないですが・・・(^_^;)

 

 

Xシリーズ
イナイ×イナイ
キラレ×キラレ
タカイ×タカイ
●ムカシ×ムカシ
●サイタ×サイタ
●ダマシ×ダマシ

椙田泰男(【Vシリーズ】の保呂草純平)が所長である、美術品鑑定と探偵業を生業とする事務所・SYアート&リサーチの従業員たちが仕事をしている中で関わった事件の謎を追うシリーズ。こちらは一連のシリーズの番外編という意味合いが強いものですね。【Xシリーズ】という名称はタイトルの真ん中に「×」があるから。こちらも講談社ノベルスですが1段で文量は少なめ。一応推理小説ではありますが、明確に探偵役が登場して解決させるとかいう展開はしないですね。


椙田さん(保呂草さん)は(泥棒で)世界中飛び回って忙しい身なので、殆ど事務所には居ません。なので、従業員たちがひたすら奔走している感じですね。
時系列は【Gシリーズ】ηなのに夢のようの後で、刊行も【Gシリーズ】と並行してされていました。このシリーズの方が一足先に完結しています。

 

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 番外編とあって、繋がりなどあんまり気にせずに愉しめるシリーズになっていますが、森博嗣作品ですので、一見気楽なこのシリーズにも重要な伏線が張られているんだろうと思います。謎の人物や思わせぶりな描写もありますしねぇ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

百年シリーズ
女王の百年密室
迷宮百年の睡魔
●赤目姫の潮解

エネルギー問題が解決し、都市国家のような形態の国が各所にある未来の世界が舞台で、エンジニアリング・ライタのサイバ・ミチルと、「ウォーカロンと呼ばれる人間とほとんど見分けが付かないヒューマノイドで相棒のロイディが取材先で不可解な事件に巻き込まれて・・・と、いう冒険譚なシリーズ。


100年ちょっと(多分)経過した未来で、技術はだいぶ進んでおり、今現在の常識はほぼ通用しない世界でのお話なので、推理小説的要素はあるものの完全にSFですね。世界観はガラッと変わっていますが、他シリーズと密接な関係があり、あくまで地続きでの物語りです。森博嗣サーガの中での転換期的シリーズですね。漫画も出ていてオススメです↓ 

 2作目までは上記のような内容なのですが、3作目の「赤目姫の潮解」は登場人物も一致しておらず、不可思議な夢のような描写が延々続けられるという奇書のような難解な作品になっています。3作目に限ってはハッキリいって、完読も難しいのではないかと思います。頑張って最後まで読んでも何を読まされたのかも分からないままに終わるので・・・この壮大なサーガがすべて終了すれば理解出来るのでしょうか?でも再読も個人的にはキツい・・・(^^;)。

 

 

Wシリーズ
●彼女は一人で歩くのか?
●魔法の色を知っているか?
●風は青海を渡るのか?
●デボラ、眠っているのか?
●私たちは生きているのか?
●青白く輝く月を見たか?
●ペガサスの解は虚栄か?
●血か、死か、無か?
●天空の矢はどこへ?
●人間のように泣いたのか?

【百年シリーズ】で登場した「ウォーカロン」が主題となっているシリーズ。講談社タイガでの刊行で文量も少なく非常に読みやすいです。
【百年シリーズ】の時よりさらに百年ほど経っている世界が舞台。この世界では「ウォーカロン」が人間社会により密着しており、人間との違いを見極めることが困難になっています。人間と「ウォーカロン」を見極める測定器を開発している研究者であるハギリ・ソーイと情報局員らが様々な事件に遭遇していくストーリー。


この世界では技術や医学が発展するところまで発展されてしまって、人間は驚くほど長寿になっています。主人公のハギリにしても80代なのですが、この世界ではまだ若者扱いされていたり。そのかわりに、子供が産まれないという大きな社会問題に悩まされています。少子化という事ではなく、身体的な問題によるもので原因は不明。本来の生物としての在り方からはだいぶかけ離れてしまっているので「人間とはなにか」というのもこのシリーズの大きなテーマになっています。

 

 

WWシリーズ
●それでもデミアンは一人なのか?
●神はいつ問われるのか?
●キャサリンはどのように子供を産んだのか?

 

【Wシリーズ】の続編シリーズ。登場人物もほぼ一致していて、関わってくる問題なども【Wシリーズ】から引き続きになっています。刊行も同じく講談社タイガから。少し年数が経っていて、主要人物たちの関係性が変化しています。
現在進行中のシリーズで、多分10作ぐらいで完結させるとのことです。

 

 


短編集
まどろみ消去
地球儀のスライス
今夜はパラシュート博物館へ
虚空の逆マトリクス
レタス・フライ

 

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 シリーズ外の短編もありますが、各シリーズに関係する短編がどの本にも収録されていて、しかも各キャラクターのシリーズその後などが書かれていたりするので必見。
短編集は他に『ぼくは秋子に借りがある』『どちらかが魔女』と刊行されていますが、この2冊はいずれも上記の短編集からの抜粋で再構成されたもので新作はないのでご注意。『どちらかが魔女』の方は【S&Mシリーズ】の短編が集められた本ですね。

 

 

 


ここまで紹介した各シリーズの世界というのは、真賀田四季が存在したことによって生じた世界”です。すべてがFになる」で「人類のうちで最も神に近い」と称されていた天才・真賀田四季ですが、200年以上経った【Wシリーズ】・【WWシリーズ】で真賀田四季はまだ生きており、もうほとんど「神」と言っていい存在となって世界を観察、必要なときには干渉しています。真賀田四季が居たからこそ【Wシリーズ】・【WWシリーズ】の技術革新が極まった世界に到達しているのですね。(どちらのシリーズにも真賀田四季はバリバリ登場しています)


理系ミステリの先駆けとして注目を集めた森博嗣作品ですが、推理小説の枠を超えてここまでの展開をしていくとは改めて考えると驚きです。

 

もうこの壮大なサーガは終盤に差し掛かっており、要となるのは【Gシリーズ】の最終作「ωの悲劇」になるのだと思います。「ωの悲劇」でいまだに残されている謎の大部分が明かされるのではないかと。しかし、森さんのことですからどんな最終作でまた謎が増えるような度肝を抜かす展開があるのかもしれないですが。その場合は【WWシリーズ】に引き継ぎですかね。

【Gシリーズ】最終作「ωの悲劇」は2020年刊行予定とのこと。楽しみに待ちたいと思います。


ではではまた~

 

 

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