夜ふかし閑談

夜更けの無駄話。おもにミステリー中心に小説、漫画、ドラマ、映画などの紹介・感想をお届けします

【御手洗潔シリーズ】スピンオフ三作品、まとめて紹介!

こんばんは、紫栞です。

今回は島田荘司さんの御手洗潔シリーズ】のスピンオフをまとめてご紹介。

 

御手洗潔シリーズ】御手洗潔を探偵役に、主に石岡和己がワトソン役として語り手を務めるシリーズ。

 

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スピンオフとはいうものの、【御手洗潔シリーズ】の場合は探偵役である御手洗がシリーズ途中で北欧に渡ってしまうため、物語りによっては御手洗の出番が電話のみだったりと極端に少ないものだらけだったりしますし、視点がほとんど事件関係者のもので構成されているものも多いので、御手洗が主役だとハッキリ言えるもの自体が実は少ないのですが、ここでは御手洗潔が事件解決に直接関与していない長編をスピンオフとして三つまとめたいと思います。

 

 

 ●「龍臥亭事件」

 

 あらすじ

作家の石岡和己は、突如訪ねてきた二宮佳世という女性の心霊じみた相談事にのって共に岡山まで悪霊払いに行くこととなる。二人は霊に導かれるように山中に深く分け入り、「龍臥亭」という旅館に辿り着くが、そこで次々と恐ろしい殺人事件が発生。村人は、これは「村の業」「因縁」「30人殺しの男の亡霊」の仕業だと言うのだが――。

 

こちらは平成7年(1995年)の出来事という設定で、御手洗が日本を去ってから1年半が経過した頃のお話。主役は御手洗の助手的存在で友人である石岡和己

この時の石岡君は御手洗との共同生活ですっかり劣等感の塊になっていたところに、とうの依存していた御手洗に去られたとあって、すっかり意気消沈して卑屈となり、鬱々とした毎日を過しておりました。つまり、石岡君の“一番ダメだった時期”ですね。

 

自分がそばにいると石岡君を駄目にしてしまうと悟って馬車道のアパートから去った御手洗。事件に遭遇し、「自分なんかの力ではどうしようもない」と御手洗に頼る石岡君に、御手洗は手紙で「君なら出来るはずだ。自身を持って頑張れ」と突き放しつつもエールを送る。戸惑いつつも石岡君は事件を止めるべく向き合い始め、事件の真相に迫る・・・と、いう訳で、「龍臥亭事件」は“石岡君のリハビリ話”と捉えられるものになっています。

 

文庫だと上下巻で、二冊合わせると1000ページ以上。お話は史実の「津山30人殺し」を大胆に取り入れたものになっていて、

 

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この史実を語るのにかなりのページ数を使い、詳細に描かれています。大量殺人の詳細とあって、読んでいると気分が悪くなるほどですね。

推理小説をというよりは、「津山30人殺し」を描きたいのだなという感じですね。作者としては犯人の都井睦雄に対し、世間で思われているようなただの好色殺人鬼ではないという風に示したいのでしょうが、島田さんの文章を読んでも結局都井の好色なところが目立ってしまって、個人的には同情するような気にはとてもなれない。大量殺人はどう考えてもやっぱり身勝手ですしね。

 

謎解き部分はいつもの島田節が炸裂していますので、御手洗が不在とはいえ島田作品ファンとしては満足できるお話だと思います。

 

御手洗が日本から去った後の石岡君にとっての心の清涼剤・犬坊里美はこの事件が初登場。

続編として、「龍臥亭事件」から8年後に起こった事件を描いた「龍臥亭幻想」があり、

 

 

こちらは島田さんの別シリーズ【吉敷竹史シリーズ】とのクロスオーバーになっていて、御手洗と吉敷さんで事件を解決させるというスペシャルな代物になっています。(御手洗は電話での登場ですけどね・・・)

私は【吉敷竹史シリーズ】は未読なのでよく分からなかったのですが、吉敷さんの奥さんについても重要なことが書かれていたようなのでファン必見な作品ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 ●「ハリウッド・サーティフィケイト」

 

 あらすじ

ハリウッドの有名女優であるパトリシア・クローガーが惨殺され、その様子が映されたフィルムがロス市警に送られてくるという事件が発生。発見された彼女の死体からは子宮と背骨が奪われていた。

次の犯人の標的はパトリシアの親友で女優の松崎レオナではないかと噂されるなか、レオナは亡き親友の無念を晴らすため独自に犯人捜索を開始するが、そんなレオナのもとに女優志望のジョアンが訪れる。ジョアンの身体には手術痕があり、子宮を何者かによって摘出されたらしいのだが、記憶喪失のため自分が一体何をされたのかまったく分からないという。

パトリシア・クローガー事件との奇妙な符合を覚えたレオナは、女優志望のジョアンの面倒をみることを決めるが――。

 

 

こちらの主役は暗闇坂の人喰いの木」「水晶のピラミッド」「アトポス」(※この三作品はレオナ三部作などとも呼ばれる)などの作品に登場する女優の松崎レオナ

レオナは頭脳明晰・容姿端麗で身体能力も高い、と、設定が盛りに盛られた人物。レオナを前にすれば誰もがひれ伏すのが当たり前。しかし、レオナが想いを寄せる御手洗にはてんで相手にされない・・・てな、ヒロイン。

 

この事件は平成8年(1996年)に起こったという設定で、レオナはこの時およそ33歳。渡米して成功を収め、ハリウッドで五本の指に入る有名女優になってから少しの年月が経ったころですね。

盛りに盛られた設定と能力が高いが故の傲慢さが目立つせいか、作者も認める“嫌われヒロイン”のレオナ。(私は個人的に【御手洗潔シリーズ】に登場する女性のなかではまだ好きな方なのですが・・・)

今作では主役となって大活躍する訳ですが、「アクション映画でもそんな無謀な行動しないだろ」という無茶苦茶な捜索方法ばかりをとります。その結果、男に襲われて殺されそうになることの繰り返し。「いい加減にしろよ」って感じで、私生活も色々とこじらせまくってアブノーマルなことになっているので、やっぱり共感出来ないヒロインではある。

 

事件内容はエログロで差別的・冒瀆的な事柄や描写が多く出てくるので人によっては気分が悪くなるかもしれず注意が必要。

文庫で800ページ越えのなかなかのボリュームではありますが読ませる面白さがあり、明かされる真相も「な、なんだって!?」という島田ミステリならではの驚きがあるものです。ちょっと疑問な点や半端なところがあるのではってな気がしないでもないですが。

 

御手洗は電話で登場。レオナに請われて専門知識を教えてくれています。御手洗はこのとき学者としてスウェーデンの大学にいる時ですね。歳を経て、御手洗のレオナへの対応もマイルドになっているように感じる。ま、日本にいた時とは違い、北欧に渡って石岡くんと離れてからの御手洗はだいぶ真人間ぽいんですけど。

 

本の最後に「これは二年後の大事件への序章だった」と、続編を匂わせる文章があるのですが、2020年今日に至るまで続編は刊行されてはいません。この本が刊行されたのは2001年なのですけども・・・。読み終わった時、続編あるのかと思って探してしまった(^_^;)。島田先生はお忘れでいらっしゃるのであろうか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●「犬坊里美の冒険」

 あらすじ

祭りのさなか、総社神道宮の境内に突如現われ消失した腐乱死体。警察は現場に残された毛髪から、存在したと思われる死体の身元を特定。現場に居合わせたホームレスが逮捕・起訴される。

司法修習生として弁護士事務所で研修を始めた犬坊里美は、志願してこの死体消失事件を担当することとなるが――。

 

 

今作の主役はタイトルの通り犬坊里美。平成15年(2003年)頃の事件で里美ちゃんはこの時27歳。

上記した「龍臥亭事件」で初登場後、上京してきてからは石岡くんと度々会ったり助手的役割などをしたりと、御手洗が日本を去って以降のシリーズ主要人物でヒロイン。石岡君に好意を寄せていますが、その好意が“どの種のものか”は判然としない。石岡君も然り。ま、歳がだいぶ離れていますからね。

石岡君は電話で登場。落ち込んでいる里美ちゃんを励ましてくれます。このお話には御手洗はまったく出てきませんね。

 

御手洗が日本を去った後の、石岡君の唯一といっていいほどの貴重な交流者なので、シリーズに登場する女性のなかでは割と好感を持っていたのですが(基本的に、私は島田さんの描く女性が好きじゃない)、この本を読んだら里美ちゃんが大っ嫌いになってしまった。  

 

とにかく話し方が受け付けない。語尾に小文字を付けて伸ばす口調が徹底されていて、まるで酔った女性が適当に受け答えしている調子。

志願して事件を担当したくせに、被疑者への質問や弁護方針は他の人に任せっきり。法律の基本・常識的なことも分からず周りに質問。無知を恥じて猛省して勉強し直すこともせず、怒鳴られれば泣くばかり・・・。

 

とにかくイライラして読み進めるのが非常に苦痛でした。

 

ダメダメな女の子の成長を描きたくって極端に表現しているのでしょうが、いくらなんでもダメに設定しすぎで、これでは司法試験をパス出来るとは到底思えない。

 

司法試験もそうですが、日本の司法の世界もバカにしすぎだと感じました。色々突っ込みたいやり取りばかりなのですが、そもそも死体を見つけられてない状態で事件化させるのか?と、前提から疑問です。通常は「見間違えだろう」って言って終わりだと思う。

何か大きな出来事を隠蔽するために冤罪を無理やり作り出そうとしているとかならまだ分かりますがそんな事もなく、態々ホームレスを逮捕・起訴という面倒なことをする理由が解らない。しかも、検察側、無理やりストーリーを作って起訴状を作成するものの、結局死体消失については「見間違い」で押し通そうとするし・・・。もう訳がわからない。

これも司法の問題点や「冤罪」が生み出されるメカニズムなどを描きたいってことなのでしょうけど、大前提の部分で違和感があるからモヤモヤするばかりです。

 

 

メインの死体消失のトリックについては、ヒントとなるエピソードの挿入が雑すぎて「ああ、“それ”を使ったトリックなのね」とすぐに見当が付いてしまう。謎の解明も里美ちゃんのあの口調でまどろっこしくされるものだから爽快感がない。極めつけは「ようやった」「ようやった」と皆に拍手されるあの終わり方・・・。

「なにこれ?」と読後にポカンとしてしまいました。

 

本には“犬坊里美が活躍する新シリーズ第一弾”と銘打たれていて、続編として「痴漢をゆるさない!犬坊里美の冒険 検察修習編」という中編が雑誌に掲載されたようです。正直、個人的には書籍化されても読む気にはなれないですね。

 

 

 

 

 

 

 

以上、三冊紹介した訳ですが、スピンオフでもやっぱり執筆時期が前のものの方が良い感じが否めないですね。ライトで読みやすいのは近年のものの方ではあるのですが。

「犬坊里美の冒険」については感想をグチグチ書いてしまいましたが、美里ちゃんのような女性をかわいく思う人もいるのだろうと思いますので、そういう人にとっては存分に楽しめるスピンオフになっていると思います。

 

 

「御手洗がいないから」と、読むのをためらったりすることもあるでしょうが、シリーズファンはやっぱり読んでおくべき物語りですので是非。

 

 

 

 

 

 

 

 

ではではまた~

 

 

 

 

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『ウォーターゲーム』感想 ”太陽は動かない”の【鷹野一彦シリーズ】完結!?

こんばんは、紫栞です。

今回は吉田修一さんの『ウォーターゲーム』をご紹介。

 

ウォーターゲーム (幻冬舎文庫)

 

あらすじ

福岡の相楽ダムが突如決壊。濁流が町を呑み込み、数百人の死者をだす大惨事となった。

このダム決壊は水道事業自由化の利権を勝ち取るために計画された爆破テロなのか?

産業スパイ組織「AN 通信」の鷹野一彦と田岡亮一は次のダム爆破を阻止するために奔走するが、事態は思わぬ事に・・・。

水道民営化の利権に群がる政治家や企業。金の匂いに敏感な人間たち。敵が味方に、味方が敵に。裏切りと騙しあいの果てに、この情報戦を制するのは誰か。

 

 

 

 

 

 

 

三部作完結

『ウォーターゲーム』は【鷹野一彦シリーズ】の三作目。

 

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2020年8月に文庫版と電子書籍が発売されました。

  

ウォーターゲーム (幻冬舎文庫)

ウォーターゲーム (幻冬舎文庫)

 

 

私は6月ぐらいに待ちきれなくって単行本を買ったのですが、

 

ウォーターゲーム

ウォーターゲーム

  • 作者:吉田 修一
  • 発売日: 2018/05/24
  • メディア: 単行本
 

 

二ヶ月後に文庫が発売されるとは。ま、よくあることですけども(^_^;)。

 

 

まったく知らないまま読んだのですが、スパイ大作戦なストーリーでエンタメ全開な【鷹野一彦シリーズ】、三部作だったようです

著者の吉田さんもインタビューで「一作目を書いている途中から三部作構想があった」と言っていますし、文庫版の説明書きにも「シリーズ三部作完結!」と、書いてある。

単行本の方では帯にも出版社の本紹介にもそんな文言はなかったんですけどねぇ・・・。読み終わってから知り、個人的には衝撃の事実でした。いやだ!終わらないで!

 

 

 

 

大集合 

シリーズ一作目『太陽は動かない』太陽光エネルギーの利権争いで鷹野31歳の死闘が、

 

太陽は動かない

太陽は動かない

 

 

二作目『森は知っている』では時間を遡り鷹野17歳のスパイ訓練と青春が描かれた訳ですが、

 

森は知っている (幻冬舎文庫)

森は知っている (幻冬舎文庫)

 

 

三作目の『ウォーターゲーム』では水事業自由化の利権争いで鷹野35歳の奮闘が描かれています。

35歳は鷹野が所属する組織「AN 通信」の定年の歳。定年間際でのこの事件、鷹野は一体どうなるのか!?な、お話。

三部作最後とあって、一作目に登場した田岡、デイビット・キム、アヤコ、風間、中尊寺とオールスター勢揃いで、鷹野の青春時代を描いた二作目とも密接な繋がりがあり、“あの人物”も登場していますので、前二作を読んでからこの『ウォーターゲーム』を読むことがオススメです。

 

あと、映画との連動企画で放送されたWOWOWオリジナルドラマ『太陽は動かない-THE ECLIPSEですが、『ウォーターゲーム』の一部ストーリーというか設定が使われていますね。小説とは違い、こちらのドラマは映画の前日譚として描かれているのでまったく別物ではありますが。

 

 

 

新聞連載との違い

そんなシリーズ完結作・『ウォーターゲーム』は北海道新聞東京新聞中日新聞西日本新聞で2015年12月~2016年11月まで連載されたもので、本にする際に加筆・修正されています。

それ自体は別に珍しいことでもないのですが、今作では修正で連載時に掲載された文章を大幅に削除しているようです。私の住んでいる地域の新聞では連載されていなかったので確り確認することは困難なのですが、どうやら『AN 通信』の諜報員が心臓に埋め込まれている爆弾のことやら登場人物の内面がじっくり書かれていた部分、それにまつわるエピソードなどが削除され大幅改稿されているのだとか。

この大幅改稿について、吉田さんは「(略)いつものスタイルのように、登場人物の内面をじっくりと書き込んでいった。けれど連載が終了したあと、すべてを読み返し、確信したのは、その書き方はこのシリーズにそぐわないものであるということでした」と、仰っています。

 

確かに、謎の組織の謎の諜報員というのはスパイもののエンターテイメント作品では“過去を持たない人物”として謎のベールに包まれていた方が楽しめるのかな?とは思いますし(このシリーズならアヤコとかデイビット・キムとか特にね)、改稿後のこの本は大変に面白く「これぞスパイもの!」といった感じですが、やっぱり残念というかもったいないというか、「改稿前のものも読みたいな~」と思ってしまいますね。吉田修一さんは人物の内面描写が抜群に上手い作家さんで有名ですし、鷹野の内面などがじっくり書かれているのならやっぱり知りたい・・・。

 

 

 

 

 

 

以下、若干のネタバレ~

 

 

 

 

 

 

完結しないで!

大幅改稿したせいかもしれませんが、今作は読後「あ~面白かった!」と、なるものの、思い返してみると「あれ?そういえばアレやコレやは結局どうなった?」と、いう部分が多々あることに気づく。

 

鷹野はちゃんと「AN 通信」を定年したのか、爆弾は取ってもらえたのか、定年時の“お願い”は何を望んだのか、そもそも“お願い”って本当にかなえてもらえるのか。具合が悪そうだった風間さんの容態は今後も安心していいものなのか。新聞によって明るみにされた「AN 通信」の組織形態はどうなったのか・・・などなど。

 

新聞記事の北条は途中からまったく出て来ないし、虐待されていた女の子と真司のやり取りも、女の子を施設に預けて突如終わる。「なんの為にこのエピソードはあったのか?」、前半と後半で結構な違いがあり、前半で期待したような流れがブツ切りになっているのも気になるところ。(ま、これは本当に大幅改稿のせいかな・・・)

デイビット・キムは半ば隠居生活していますしね。最後は期待通りのところで来てくれてニヤリとしましたけど。期待を裏切らない男。

 

 

シリーズとして続きがあるからあまり結論づけていないのかと思ったのですが、「完結編だ」と知って、これじゃあちょっと完結編としては消化不良だなぁと。

 

『ウォーターゲーム』は主役の「これ、鷹野よりもアヤコの方が活躍しているのでは?」な印象(作者が峰不二子なアヤコが気にいちゃったからか?)。個人的にアヤコ好きなので嬉しかったですが、完結作ならもうちょっと鷹野メインなお話が良いのでは・・・とも思ってしまう。

 

“あの人物”再登場は胸熱な展開でしたが、ダム爆破で何百人も亡くなる大惨事を起こしているんだよなぁと思うと素直に「良かった」とならないし・・・。

 

う~ん。

 

ま、言い出すとグチグチした感じになってしまうのですが、一番強い気持ちとしては「鷹野や田岡の活躍をもっと読みたい!」と、いうことです。

3冊とも面白いし、登場人物に強い愛着が湧いてきたこの段階で完結してしまうのはどうしても惜しい。

続きじゃなくっても、スピンオフや何らかの形でもいいからまた鷹野たちに会いたいです!お願いします!終わらないで!

 

 

またこのシリーズの新作を読める日が来ることを祈っております。

 

 

 

ウォーターゲーム (幻冬舎文庫)

ウォーターゲーム (幻冬舎文庫)

 

 

 

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ではではまた~

『沈黙のパレード』ネタバレ・感想 ガリレオシリーズ、再始動の長編!

こんばんは、紫栞です。

今回は東野圭吾さんの『沈黙のパレード』をご紹介。

 

沈黙のパレード

 

あらすじ

町の人々から愛された定食屋「なみきや」の看板娘・並木沙織。彼女は十九歳の時に突如行方不明となった。

三年後、彼女の遺体は縁もゆかりもないはずのゴミ屋敷から老女の遺体と共に発見される。

容疑者として浮上したのは、二十年前に草薙が担当した幼女殺害事件「橋本優奈殺害事件」で逮捕された男・蓮沼寛一。

二十年前、十分な状況証拠があったにもかかわらず蓮沼は黙秘を貫き裁判で無罪となった。今度こそはと意気込む草薙であったが、蓮沼はまたしても事情聴取で沈黙を押し通し、証拠不十分で釈放されてしまう。

容疑者が釈放されたことに納得がいかず憤怒に駆られていた遺族たちの前に蓮沼が現われる。蓮沼は営業中の「なみきや」に訪れ、あろうことか店主で沙織の父・祐太郎に賠償金を支払えと要求してきたのだ。

あまりに図々しく不貞不貞しい蓮沼の態度に遺族だけでなく「なみきや」の常連客・町の人々は増悪を募らせていく。そして、年に一度の秋祭りパレードで事件は起きた。

容疑者は遺族と彼女を愛した町の人々。

復讐劇はいかにして遂げられたのか?殺害方法、アリバイは?

草薙と内海、アメリカ帰りの湯川が事件の謎に挑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガリレオの帰還

『沈黙のパレード』は【ガリレオシリーズ】の9作目。

 

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前作『禁断の魔術』から約6年ぶりのシリーズ新作長編です。『禁断の魔術』で湯川は教え子が関わる事件に遭遇。最後は唐突に研究のためにアメリカに飛び立ってしまったところで終わっていたので、このまま自然消滅するのかと危ぶまれていたシリーズですが、見事に帰還してくださいました。感謝。

最初本屋で見かけたときは「ドラマ化の為の大人の事情か?」なんて捻くれたことを考えてしまいましたが・・・2020年現在ドラマ化の話は聞こえてこないので思い過ごしだったようです。失礼な読者ですね、私(^_^;)。と、言いつつ、いずれはドラマ化されるのではないかと思いますが・・・どうなのでしょう?

※2022年に映画化されることが決定しました。やっぱりね!

 

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作中では前作から4年経ったことになっていて、アメリカから帰ってきた湯川は准教授から教授に、草薙は係長に出世しています。二人ともシリーズ当初は30代半ばでしたが今作では四十代に。草薙は巡査部長から警部補、警部、係長ですから、順調に出世していっている感じ。仕事に精を出しすぎているせいかどうか、湯川も草薙もいまだに独り身でそこは変わらないですけどね。

 

アメリカに行ったきりで音信不通だった湯川。四年ぶりに日本に帰ってきたのに草薙には連絡せず内海に報告メール。「係長のところにも届いていると思っていたんですけど」と内海から聞かされ、「届いてない。何だ、あいつ。失礼な奴だ」と憤慨する草薙。

四年音信不通で、友人の自分は帰国報告を受けていないのに、部下のところにはメールがきているとか、確かに草薙にとっては面白くない現実ですよね。内海から伝わるだろうから必要ないと思ったとのことですが、合理主義もほどほどにしないとダメだろうと思う(^_^;)。

 

ま、憤慨しつつも湯川に連絡を取って再会する草薙。再会早々に湯川は草薙の因縁めいた事件に関わり、遭遇して事件関係者の一人となる。

 

 

複数の犯人 

菊野市というのは架空の市で東京の郊外という設定。この菊野市で行われる年に一度のチーム戦のコスプレパレード開催の日に、町中から恨まれていたグズ男・蓮沼が密室で遺体となって発見される事件が発生する訳ですが、この事件を画策していると思われる町の人々の様子を、事が起こる前から不穏に、視点が代わる代わるして描かれています。

 

良からぬ事をしでかそうとしているのは、沙織の父・並木祐太郎、祐太郎の親友で食品加工会社社長の戸島修作、沙織に歌の才能を見出してプロの歌手にするべくレッスンしていた新倉直紀、失踪当時沙織の交際相手だった高垣智也

 

蓮沼に外道極まる振る舞いをされ、憎悪を膨らませていた祐太朗を見かねて、戸島が高垣と新倉に声をかけパレードの日に計画を実行する。

 

 

この設定、テレビ朝日の連続ドラマシリーズ『相棒Ⅴ』第三話の「犯人はスズキ」に少し似ている・・・と、いうか、個人的に連想してしまいましたね。

 

相棒 season 5 DVD-BOX 2(6枚組)

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  • 発売日: 2008/03/07
  • メディア: DVD
 

 

読む前に書籍紹介を見たときに「『相棒』の、あんな感じのお話なのかな~」と先入観がある状態で最初読んだのですが、読み終わったときは良い意味で予想を裏切られたなぁと。『相棒Ⅴ』の「犯人はスズキ」も名作ですけどね。

 

あと、やっぱりオリエント急行殺人事件へのオマージュ作なのかという気も。

 

 

計画は戸島が仕切っている状態で、祐太朗・新倉・高垣の視点が所々で入ってくるストーリー展開。犯人たちは分かっているものの、計画の中心人物の戸島の視点が描かれず計画の全容が解らないので、彼らが実行した殺害方法やアリバイトリックを推理して読む“倒叙モノ”の形態の長編。

 

 

 

 

 

以下、ネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・だけじゃない。

「今回は倒叙モノか~」となるところですが、東野圭吾作品だし、【ガリレオシリーズ】だし、やっぱりそれだけでは終わらない。殺害方法やアリバイトリックとはまた別の、“らしさ”満載の二転三転する真相が待ち構えています。

 

 

 

 

 

増村

蓮沼は増村英治という男性の住居に居候していて、そこで殺害される。閉めきられた部屋で殺害方法不明の状態で死んでいるのが発見される訳で、その殺害方法の謎を解き明かすのが主軸に進んでいきますが、このトリックに関しては割とヒントも多くって読者としても早い段階でどんなトリックが使われたのかというのは見当が付く。

ミステリとしてはこの後に明かされていく人間関係の方がむしろこの物語りのメインとなっています。

 

祐太朗たちが蓮沼に危害を加えるべくやろうとした仕掛けというのは、蓮沼を先に部屋で眠らせる必要があるため、一緒に住んでいた増村の協力なくしては出来ないもの。

当初、警察では増村のことを事件とは無関係の、蓮沼と唯一親交がある人間としか捉えておらず、草薙も「蓮沼のような奴と仲良くできる人間もいるのか」などと思っていた訳ですが、実は増村は二十年前の「橋本優奈殺害事件」の後に自殺した優奈の母親・橋本由美子の兄。

 

姪を殺し、妹を死に追いやった蓮沼のことを恨み、いつか復讐してやろうと何年にもわたってずっと狙っていたのです。そんな中、新たに蓮沼が犯人だと思われる「並木沙織殺害事件」が発生。「自分がさっさと蓮沼に復讐していれば・・・」と悔やみ、蓮沼への怒りも益々抑えられなくなった増村は、並木沙織の親族も自分と同じ想いのハズだと祐太朗に「一緒に蓮沼に復讐しよう」と持ち掛ける。

元々は増村が祐太朗に話を持ち掛けたのが発端で、その後に「捕まっても構わない」と言う祐太朗を牽制し、捕まらないように細かな計画を立てたのが戸島。

 

不運な傷害致死で前科者となってしまったために、ずっと面倒を見続けてきた腹違いの妹・由美子に「兄」の存在を秘匿させ、影の存在となって由美子の家庭と姪御の成長を見守り生きる糧にしていた増村。増村にとっては自分の人生の希望そのものである由美子の幸せを理不尽に奪っておきながら罪を逃れた蓮沼は到底許せる存在ではありませんでした。

何年もかけて蓮沼を追い続ける増村の執念は読み応えがあり、この本の魅力の一つになっています。

 

しかし、こんなに憎い相手と四年も親交を持ち続け、一緒に住み、談笑しながら酒を飲んだりするというのは普通に考えて精神的に無理があるのではないかという気はしてしまいます。

絶対途中で耐えられなくなって殴りかかっちゃったりするよなぁ・・・と。ここまで執念深く蓮沼を狙い続けていたのに計画の立案や最終的なところは人任せというのもどうかなぁ。

私が増村なら、ここまで憎み続けてきた蓮沼が懺悔する姿は自分で絶対に見届けないと納得いかないと思う。蓮沼としても今まで仲良くしてきた人間が、かつて自分が殺害した女の子の親族だと知らされるのはかなりの衝撃だろうし、その事実を突き付けることも復讐のうちになるのになぁ・・・と。

こんな風に言うとアレですが、ちょっと“もったいない”のでは。

 

 

 

 

 本当の真相 

戸島たちが立てた計画というのは、まず増村が蓮沼の飲み物に睡眠薬を入れて部屋で眠り込ませて外側から施錠、パレードに乗じて液体窒素の缶を運び、蓮沼に声をかけて起こして、部屋の隙間から液体窒素を流しこむ。息が出来ずに苦しむだろうから、「やめて欲しかったら事件の真相を話せ」と迫って吐かせようというもの。聞き出した後に殺すかどうかは祐太郎が蓮沼の態度を見て決めると(※祐太郎がとどめをささないなら、祐太郎が帰った後に自分が殺すと増村は宣言していましたが)。

 

しかし、パレード当日になって祐太郎の店で客が腹痛を訴えるトラブルが発生。祐太郎が病院まで付き添わなくってはいけなくなったため、計画は中止しようと戸島が他協力者に連絡をするも、新倉は運ばれてきた液体窒素と蓮沼を前に憎しみをおさえることが出来ず、一人で計画を実行。蓮沼を殺害してしまう。 

 

祐太郎に完全なアリバイがあったのは新倉が単独で実行してしまったためだったのか~。で、一件落着しそうになりますが、実はさらに隠された真相があり、湯川はある人物に真相を問いただす。

 

その人物とは、新倉の妻・新倉留美

留美は蓮沼に脅されていました。何で脅されていたのかというと、並木佐織殺害の犯人として。

 

三年前のあの日、佐織は留美「妊娠したから彼氏と結婚する。歌手になる夢はもういい」と言い放った。佐織に才能を見いだし、一流の歌手にするべく新倉夫婦は心血を注ぎ、やっとデビュー出来るという状況下での佐織のこの発言に留美は逆上し、佐織と揉み合いになり、佐織は頭を打って倒れてしまう。 

動かなくなった佐織を見てパニックを起こした留美はその場から立ち去るが、その一部始終を蓮沼は目撃していた。これは脅しの材料に使えると考えた蓮沼は佐織の身体を持ち去り、病死した母の遺体のある実家に隠し、死体遺棄罪の公訴時効が成立する三年を待って遺体が見つかり態と自分が疑われるように実家を放火した。

誤認逮捕で刑事補償金をせしめ、その後は留美を脅迫してずっと金づるにするのが蓮沼の目算でした。 

 

蓮沼に脅迫され、数回要求に応じたものの、どうしようもなくなった留美は夫に真実を打ち明け相談する。そんな時、新倉は戸島からパレードの日の計画を持ちかけられ、この計画を利用して事実を伏せまま蓮沼の口を封じようと考えた。当日、祐太郎の店でトラブルが起きるように仕向け、妻を守るために蓮沼を殺害した――。  

 

 湯川の指摘により、三年前に留美と揉み合った際、佐織は気絶していただけでまだ生きており、その後に殺害したのは蓮沼だと発覚。新倉は捕まったものの、祐太郎・戸島・高垣はさほどの罪に問われずに皆日常を取り戻していくのでした。完。

 

 

 

 

 

イラッとくる

二十年前の成功体験があったからこその蓮沼の大胆不敵な計画だというのは分かりますが、もっとスムーズに脅す方法があるような気がするし、やっぱりあまりにもリスキーなのでは。本当のところ、殺してるの自分なんだし。

 

あと、佐織はあまりに勝手すぎますよね。新倉夫婦に無償でレッスンを受け、散々お世話になっておきながら夫婦の歌手育成への気持ちが「重い」と言ってのこの仕打ち。

彼氏の高垣も彼女が歌手デビューする瀬戸際なのに「結婚したい」って言ってみたり不用意に妊娠させたり、相手の置かれている状況をまったく考慮していなくって不誠実だと思う。これが若さか…って感じですが、それまで佐織は非の打ち所のない良い子という印象で描かれていたこともあって意外な事実に腹が立つ。高垣も同様に。

 

ラストで高垣が「なみきや」に訪れ、並木夫婦はあたたかく迎え入れていますが、私が並木夫婦の立場なら十代の娘を孕ませて殺害されるきっかけを作った高垣とまったくわだかまりなく接するなんて、頭では分かっていても無理だろうなぁと思う。

と、いうか、並木夫婦は新倉夫婦に謝罪すべきなのでは・・・。妊婦に手をあげるのは許せることではないけども・・・貴方方の娘さん、失礼で勝手ですよ。留美が怒るのは当たり前。結果的に新倉は沙織の仇討ちをしたようなもんだし。

 

計画のことに関しても、祐太郎は殺すかどうかはその時判断するつもりだったと言いますが、どのみち蓮沼に拷問めいたことをした後に生かしておけばまた訴えられるってことになって面倒なことになっていただろうし、自分が殺らなくても増村が殺るって言われていたし、結局蓮沼を生かしとくつもりなんてなかっただろうに…と、ただの逃げ口上に思えて仕方ない。 

 

最終的に佐織を殺害したのはやっぱり蓮沼だったというのもそうですが、もろもろ良い風にまとめようとするあまり登場人物にイライラする結果になっちゃっている気がしますね。 

 

 

 

湯川の変化

アメリカ帰りで丸くなったと草薙に称された湯川。

確かに「なみきや」の常連になったり、他の客と親しく談笑したり、女の子にパレードを案内してもらったりと“らしくなく”社交的な湯川が今作では拝めるのですが、「なみきや」の常連になったのは草薙の無念を晴らすために少しでも協力出来ないかと思っての行動だったと最終ページで発覚。

それまでのイライラを忘れられるほどホッコリとした気分にさせてくれて、これのおかげで読後感が改善されて良かった(^_^;)。

 

 

容疑者Xの献身

 

 

での石神の一件以来、湯川は真実を悪戯に追求することに躊躇するようになっていて、場合によっては真相に気づいても秘匿したりすることも。個人的に犯人が裁かれない結末は釈然としなくって、湯川の“やさしさ”がもどかしく感じることもあるのですが、今作は全てが詳らかに明かされる結末で安堵しました。

 

回を増すごとに湯川の真相究明への配慮は際立ってきていると思います。それに加え、今回は親友への思いやりも知ることが出来て、湯川の成長や変化を楽しめるファン必見の作品です。

登場人物の心境に多少無理がある気がするものの、「橋本優奈殺害事件」と佐織殺害事件の質の違いへの違和感(被害者の年齢の違いとか)や事件発覚のきっかけである放火などの繋がりかたは見事ですし、二転三転するストーリー展開は流石。シリーズファンならやっぱり読むっきゃない!てな本なので是非。

 

 

 

ではではまた~

 

 

 

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『犯人たちの事件簿』10巻 感想 今度こそ本当の完結!ありがとう犯人たち~

こんばんは、紫栞です。今回は金田一37歳の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』10巻の感想をば。 

金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(10) (週刊少年マガジンコミックス)

ついにホントの最終巻です!

こちらの表紙はKCコミック『金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件(上)』のパロディ。 

 

金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件(上) (講談社コミックス)

本家よりバックの人数が多いですが。本編を読み終わったらカバー裏を見ることもお忘れなく。

 

最終巻に収録されている事件は「黒魔術殺人事件」「不動高校学園祭殺人事件」「血溜之間殺人事件」「誰が女神を殺したか」「獄門塾殺人事件」の五つの事件性と途中に「1億部突破少年の事件簿」、巻末に作者・船津さん実録漫画。と、盛りだくさんな内容になっています。

 

 

 

 

「黒魔術殺人事件」

 犯人:井沢研太郞

「黒魔術殺人事件」は本家で作画崩壊がピークだった頃。特に高遠さんが「だれ!?」レベルの顔になっているし、実行犯の伊沢も酷いもんでした。二人ともやたら顎が長かった・・・他の人も長かったりしましたけど(^_^;)。このスピンオフ漫画ではこの作画崩壊っぷりまで忠実に再現していて流石だなと。当時本家を読んだときの唖然とした気分が甦った・・・。

 そんな訳で、高遠さんプロデュースの事件なのですが金田一一を呼んでください」「それでは美しくない」だの相変わらず実行犯にとっては迷惑でしかないことを言っていて、井沢に論理的に指摘されても全く話が通じない。そのくせ自分が金田一を態々呼ばせたことをすっかり忘れているのだからもうぶん殴りたい感じ。「犯罪は芸術じゃねーんだよ」と井沢が金田一と同じことを心の中で叫んでいるのが可笑しい。井沢には本当に同情する。

作中で検証されているように、これはもう完全に本家のミスでしょうね。絵も話も雑・・・このときは本家どうかしていたのよ。

 

 

 

 

「不動高校学園祭殺人事件」 

 犯人:津雲成人

こちらは短編でして、短編なだけあってスピーディーに解決されちゃう。被害者の男子生徒がなぜかメイド服姿で死んでいるという“絵面が酷い”奇抜な事件。トリックの都合上、素足なのをごまかすためとなっているのですけども、メイド服だろうとなんだろうと素足なのは違和感がある。

あまりにも科学実験ぽすぎるトリックなので科学教師が犯人なのは納得。短編だからか、次の「血溜之間殺人事件」の犯人とセットで紹介されているのが今までにない形式で面白いです。

 

 

「血溜之間殺人事件」

 犯人:海峰学

高校入試絡みのことが動機の事件で、本当はもっと偏差値の高い高校に入学出来たはずが不動高校なんかに入学するはめになってしまった~と、不動高校をこき下ろしまくっている犯人の海峰。別に不動高校はバカ校って訳でもないんだけど、殺人事件がおきまくりで治安が最悪なので・・・。あらためて羅列されると確かに酷い。教師も生徒も殺し殺されだからなぁ。まともに考えて入学したい人いないよね。「全校集会に次ぐ全校集会・・そして保護者説明会」だよなぁ。

津雲(元)先生が海峰に「私の勤め先を悪く言うな!!」と言っているのが妙に可笑しい。

 

 

 

「誰が女神を殺したか」

 犯人:汐見初音

こちらは読み切りで一話のみ。「誰が女神を殺したか」は1997年に掲載されたFILEシリーズの頃の短編なので、この本のなかでは絵柄が浮いている。本家のこの頃の絵は丁寧で髪の艶とか瞳とかキラキラしていたなぁ。このときの絵が恋しい・・・。

本家では被害者の先生が死ななかったことで良い感じに終わっているものの、教師の立場で生徒妊娠させてハッキリしたことも言わずに数日放置ってかなりのクズでしょう。当時読んだときも「指輪選んでた」じゃ、ねーよ。って感じだった。あと、視力が悪いのにいいフリするのも無理がありすぎる・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「1億部突破少年の事件簿」

金田一少年の事件簿】シリーズ1億部突破を記念しての読み切り。

今までの犯人たちが次々登場して“犯人の地位向上”のために主義主張をしていく。結論として1億部のうち5000部は自分たちの働きのおかげだということで落ち着いています。うん。ま、それはそうですよね。

 

 

 

 

「獄門塾殺人事件」

 犯人:濱秋子・氏家貴之

最後の事件は「獄門塾殺人事件」。最後はやっぱり高遠さんプロデュース事件ですが、高遠さんの存在は割と薄めで、このスピンオフ漫画最終ケースということで歴代の犯人たちが応援したり実況したり注意を促したりするという集大成な作品になっています。みんな、本当によく頑張ったよ・・・!と、言ってあげたくなる(^_^;)。

判りきっているように、最終回でも金田一少年には勝てない。「勝つまで続けるって手もあるんじゃないか?」と氏家さんが言いますが、有森が「知っているか?ミステリにおいて犯人ってネタバレなんだぜ?」という当たり前で今更なことを言い返される。

 【金田一37歳の事件簿】はイブニングで好評連載中。金田一がいる限り犯人は生まれ続ける”ってことで、希望(?)を残すように宣伝して・・・最後にちょっと読者を「お?」と思わせるような形で終了しています。

 

 

 

 

 

殺人エンタメとして

「1億部突破少年の事件簿」の読み切りですが、笑えるようでいて実は“推理もの作品”の核心を突く深いことを言っている(ような気がする)。

“推理もの作品”は所詮、殺人事件をエンターテイメントに昇華させたもの。遺体を山に埋めるなり海に投げこむなりして後は知らぬ存ぜぬを決め込んだほうが確実に捕まるリスクは回避出来るにもかかわらず、態々七面倒くさい仕掛けを考えて実行して小道具を作ったり妙な扮装をしたり・・・端から見ればバカバカしいことこの上ない。でも、そのバカバカしさを前提にしてああだこうだと考えて楽しむ遊戯なのですよ。

 

謎をつくりだす者がいて、それを解く者がいる。犯人なくして名探偵なし。トリックなくして推理なし。

『犯人たちの事件簿』はエンターテイメントのため、“バカバカしいこと”を頑張って実行する犯人たちに”ネタバレ”というタブーをおかしつつスポットを当てた、さらなるエンターテイメントだったという訳(なんじゃないかと思う)。

 

金田一少年の事件簿】ファンのみならず、ミステリファンも楽しませ、笑わせてくれた『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』に感謝いたします。ありがとうございました!

 

 

 

 

 

[rakuten:book:20055125:detail]

ではではまた~

 

 

 

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ガリレオシリーズ 9冊一挙に紹介! 順番、ドラマ・映画との違い諸々まとめ

こんばんは、紫栞です。

今回は東野圭吾さんの小説シリーズガリレオシリーズ】をまとめてご紹介。

探偵ガリレオ (文春文庫)

 

概要

ガリレオシリーズ】は帝都大理工学部物理学科助教授(准教授)の湯川学が探偵役を務める推理小説のシリーズ。

パターンとしては、警視庁捜査一課の草薙俊平が奇怪な事件に直面したときに湯川の元に相談しに訪ねて・・・と、いう、よくある刑事のブレーンもの。湯川と草薙は大学時代の同級生で友人。因みに、“ガリレオ”という名称は学生時代の湯川につけられた綽名から。警察への貢献が相次ぐと今度は警察内でも「ガリレオ先生」と呼ばれていたりします。

 

作者の東野圭吾さんは大阪府立大学電気工学科卒の元エンジニアさん。そんな前歴からか、科学・物理学を題材にしたミステリーを書きたいという思いからうまれたのがこのシリーズで、長編はともかく短編は科学的専門知識がないと謎が解けないものが殆どです。

なので、ま、読んでいてもまず解けないんですけども。通常推理小説というのはフェアに情報を提示して読者が謎解きを出来るように書かれるものですが、このシリーズは(特に短編は)推理小説の謎解きと物理学の面白知識、二つの要素の匙加減を楽しむミステリですね。

 

 

ドラマとの違い

東野圭吾さん自体が売れ売れの作家さんであるものの、この【ガリレオシリーズ】は2007年にフジテレビでドラマ化されたことで一気に世間での認知度が上がったシリーズだと思います。

ガリレオ Blu-ray BOX

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  • 発売日: 2013/04/24
  • メディア: Blu-ray
 

 ドラマでは湯川学を福山雅治さんが演じており、相方の刑事は草薙俊平から女刑事の内海薫に変更されて柴咲コウさんが演じていました。おそらく女性を相方にしてドラマを華やかにしようという目論みでの変更なのだと思います。原作は男性二人で交わされる友人間のやり取りが割と楽しいのですがね。オヤジ二人じゃダメですか・・・。ま、ドラマの湯川と内海のやり取りも面白かったですけど。

 

じゃあ草薙はドラマではどんな扱いになっているのかというと、湯川の協力の下解決した数々の功績が認められて本庁に栄転。内海に湯川を紹介するという役回りをし、その後は原作と比べると極端に出番は少ないものの、ドラマシリーズや映画で時偶登場しています。演じているのは北村一輝さん。

 

原作の湯川はドラマのような容姿端麗・スポーツ万能、女子大生にキャーキャー言われるような大人気の先生ではなく(有栖川さんの【火村シリーズ】がドラマ化された際、モテモテの准教授という原作の設定が変更されたのは『ガリレオ』で先にやられてしまったせいだと勝手に思っている・・・)、いきなり方程式を書き始めたり決めポーズしたり決めゼリフを言うこともないし、草薙もあんなエキゾチックな顔立ちの女性に受けが良い刑事ではない。ドラマ版では女性刑事を相方にするという変更以外にも色々な点が華やかになっています。

 

原作でもシリーズ途中から女刑事で草薙の部下として「内海薫」が登場して重要な役割を担っています。まるでドラマオリジナルキャラクターであるかのような「内海薫」ですが、ドラマ化されるより少し前に原作に先に登場しています。細かな設定はドラマとは異なるのですが、容姿などは何となく役者さんによせている。

 

このドラマシリーズはヒットして、スペシャルドラマや映画、連続ドラマの第二シリーズも制作されたのですが、第二シリーズからは大人の事情なのか相方がまた別の女刑事・岸谷美砂(吉高由里子)に変わっています(やっぱりオヤジ二人じゃダメなようだ)

今度は内海が異動になって湯川の後任を岸谷に~と、いう流れ。湯川担当をいちいち設けるのは警察機構としてどうなんだって感じですが。内海とは違い、岸谷美砂は今のところ原作には登場していません。

 

 

 

 

 

 

では原作小説を刊行順にご紹介。

 

 

 

 

 

探偵ガリレオ 

探偵ガリレオ (文春文庫)

探偵ガリレオ (文春文庫)

 

短編集。

  • 燃える(もえる)
  • 転写る(うつる)
  • 壊死る(くさる)
  • 爆ぜる(はぜる)
  • 離脱る(ぬける)

の、五編収録。

 

シリーズの名称そのままのタイトルの短編集。ガリレオシリーズの短編はこの第1弾の短編集以降も一貫して3文字の当て字タイトルがつけられています。私はこの当て字タイトルが「次はどうくるか」というのも読んでいる上での楽しみの一つになっていました。話の内容ともちゃんとマッチしていてセンスの良さが光っているなぁと感じる。

 

 

 

『予知夢』

予知夢 (文春文庫)

予知夢 (文春文庫)

 

 短編集。

  • 夢想る(ゆめみる)
  • 霊視る(みえる)
  • 騒霊ぐ(さわぐ)
  • 絞殺る(しめる)
  • 予知る(しる)

の、五編収録。

 

連続ドラマの第1シーズンで映像化されたのはこの短編集までになります。ドラマだと最終回で東京が大爆発だなんだと劇的な展開をしていましたが、原作ですとここまでの短編は草薙がオカルトチックな事件に直面して湯川に相談するというパターンがほぼほぼですね。

 

 

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

 

 長編。第134回直木賞受賞作。

 直木賞受賞作だからということもありますが、シリーズの中でというか全東野圭吾作品の中でも一番有名なのではないかというのがこの長編小説。

あまりにも有名で刊行当初は様々のミステリランキングで上位となり、評価されまくった作品で反響が大きいぶんその評価に物申す人も割といたりしますが(それだけ多くの人に読まれているってことなんですけどね)、なんやかんや言ってもやっぱり作者の代表作で傑作に数えられるべき作品だと思います。東野圭吾作品を読みあさっている人は「有名だから」とあまのじゃく気取って「あえて避けて通る~(^^)」とかせずに、とりあえず読んでおけよと思う。

読者の虚を突くトリックが素晴らしく、終盤で湯川がトリック解明のときにいった一言ですべてが解ったときは読んでいて興奮しました。それと同時に“献身”でこんな事までしてしまった容疑者に哀しさや残念な気持ちが押し寄せて切なくなってしまったんですけど・・・。

前2作の短編集とはだいぶ雰囲気が異なり、主役も湯川や草薙というよりは“容疑者たち”の方といった感じ。

2008年にドラマと同じキャスト・スタッフで映画化されることとなり、その情報を聞いた当初は「ドラマのあのコミカルさと『容疑者Xの献身』は絶対相容れないだろうけどどうするんだろう?」と思ったものですが、同じキャスト・スタッフであるものの、劇場版はドラマとは一味違う重厚感がある映像で確り原作の雰囲気に合わせていたので安心した記憶が。

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

  • 発売日: 2014/02/19
  • メディア: Prime Video
 

 映画も良作ですのでオススメ。

 

 

 

ガリレオの苦悩』

ガリレオの苦悩 (文春文庫)

ガリレオの苦悩 (文春文庫)

 

 短編集。

  • 落下る(おちる)
  • 操縦る(あやつる)
  • 密室る(とじる)
  • 指標す(しめす)
  • 攪乱す(みだす)

の、五編収録。

 

この短編集から新米の女刑事・内海薫が登場。原作の内海は基本的に捜査の際は草薙

とコンビを組んでいます。なので内海が居るからお役ごめんになる訳ではなく、ちゃんと草薙も今まで通り登場しています。ま、最初の短編集二冊の頃にくらべるとやっぱり登場シーンは減っていますし、湯川に相談しにいく役割が内海になってしまっていますが。草薙はこの本で巡査部長から警部補になっています。

  

ドラマではこの本の収録作から連続ドラマの第2シーズンになります。

ガリレオ II [DVD-BOX]

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  • 発売日: 2013/09/25
  • メディア: DVD
 

 原作ではこの短編集から内海が活躍するのに、ドラマでは真逆にここで去ってしまうので奇妙な感じ。ドラマスペシャルで内海が主役の「ガリレオXX」も放送されました。 

 

「落下る」「操縦る」の2編はドラマスペシャル「ガリレオΦ」で湯川と草薙の大学時代の話として変更されつつでしたね。

ガリレオφ [DVD]

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  • 発売日: 2009/02/27
  • メディア: DVD
 

 大学時代の湯川は三浦春馬さんが演じていました。

 

 

 

『聖女の救済』 

聖女の救済 (文春文庫)

聖女の救済 (文春文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2012/04/10
  • メディア: ペーパーバック
 

 長編。

女性が容疑者の事件なのですが、「草薙が容疑者に恋…しちゃって・・・る?」な感じになっちゃって、内海が湯川に相談するってなお話で割りと草薙が危ういことに。親友の危機!ってことで湯川が捜査協力することとなります。この長編らへんから湯川と内海が気安い関係になっている…と、いうか、内海がより気軽に湯川に相談持ち込む感じになっているかなと。仲が良くなっている。

トリックに関しては結構早い段階で解っちゃうかなぁと思います。女を甘く見ると痛い目にあうよ。

連続ドラマ第2シーズンの最終話はこのお話が使われています。ドラマですと草薙が不在なので、話の筋はかなり変更されていますけどね。容疑者の女性は天海祐希さんが演じていました。

 

 

 

真夏の方程式

真夏の方程式 (文春文庫)

真夏の方程式 (文春文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2013/05/10
  • メディア: ペーパーバック
 

 長編。

湯川と少年がペットボトルロケットを飛ばすために奮闘するシーンが書きたかったという本作。

そのため、殺人事件がどうのこうのよりも湯川と少年との一夏の交流が主になっている長編ですね。子供嫌いで子供と接すると蕁麻疹が出るほどだった湯川ですが、この少年相手には最初っから普通に接しています。一瞬「作者、設定忘れちゃったのかな?」と疑ってしまうところですけど、子供でも論理的なら大丈夫なのだということらしい。『容疑者Xの献身』に続きこちらも2013年に映画化されていますが、映画の方ではちゃんと湯川が蕁麻疹出ないのを不思議がるシーンがあります。

真夏の方程式

真夏の方程式

  • 発売日: 2014/02/19
  • メディア: Prime Video
 

 作者の意図の通り、やはり湯川と少年が交流している場面が読んでいて面白いです。少年が湯川のことを「博士」と呼んで慕っているのが微笑ましい。

事件の方は、個人的にこの形の決着のつけかたが好きではなくってモヤモヤしてしまいました。

 

 

 

 

『虚像の道化師』(単行本版)

虚像の道化師 ガリレオ 7

虚像の道化師 ガリレオ 7

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2012/08/10
  • メディア: ペーパーバック
 

 短編集。

  • 幻惑す(まどわす)
  • 心聴る(きこえる)
  • 偽装う(よそおう)
  • 演技る(えんじる)

の、四編収録。

 

(文庫版)

虚像の道化師 (文春文庫)

虚像の道化師 (文春文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2015/03/10
  • メディア: 文庫
 

 短編集。

  • 幻惑す(まどわす)
  • 透視す(みとおす)
  • 心聴る(きこえる)
  • 曲球る(まがる)
  • 念波る(おくる)
  • 偽装う(よそおう)
  • 演技る(えんじる)

の、七編収録。

 

 

『禁断の魔術』(単行本版)

禁断の魔術 ガリレオ8

禁断の魔術 ガリレオ8

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2012/10/15
  • メディア: ペーパーバック
 

 短編集。

  • 透視す(みとおす)
  • 曲球る(まがる)
  • 念波る(おくる)
  • 猛射つ(うつ)

の、四編収録。

 

(文庫版)

禁断の魔術 (文春文庫)

禁断の魔術 (文春文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2015/06/10
  • メディア: 文庫
 

 長編。(単行本収録の短編「猛射つ(うつ)」を加筆して長編にしたもの)

 

『虚像の道化師』と『禁断の魔術』は元々1冊にまとめるつもりが話数の多さで2冊にわけたという事情があり、単行本はほぼ同時期に刊行されました。

 

私はどちらも発売されてすぐに単行本で購入したので今まで知らなかったのですが、文庫オリジナルで単行本の最後に収録されていた短編「猛射つ(うつ)」を改稿して長編作品『禁断の魔術』として改めて刊行。単行本に収録されていた他の「透視す(みとおす)」「曲球る(まがる)」「念波る(おくる)」の短編三編は『虚像の道化師』の文庫版にまとめて収録されています。

確かに「猛射つ(うつ)」は読んだ当初「短編なのもったいないなぁ」とか思ったものでしたが、まさか長編に書き直して文庫オリジナルとして出すとは・・・「ああ、そういう事しちゃいますか・・・」って感じ。

ともかく、今買うなら『虚像の道化師』も『禁断の魔術』も文庫版の方が良いということですのでそのように(^_^;)。

単行本刊行よりも先に連続ドラマの第2シリーズで映像化された短編もあります。ここまではほとんど映像化されている状態ですね。

 

 

 

『沈黙のパレード』

沈黙のパレード

沈黙のパレード

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2018/10/11
  • メディア: 単行本
 

 長編。

久し振りに刊行された長編。それというのも、作者の東野圭吾さんが前作『虚像の道化師』と『禁断の魔術』が刊行された際のインタビューにてこれでシリーズ打ち止め的な発言をされていたので、完結したというような雰囲気が流れていたんですよね。『禁断の魔術』は湯川がニューヨークに行くところで終わっていますし。

 

私も一読者としてもう【ガリレオシリーズ】は書く気ないのかなぁ~と思っていたところに長編発売だったので驚きました。ネタ的な問題で短編は打ち止めであるものの、長編は続けていくってことなのですかね。

本作で湯川は准教授から教授となりニューヨークから日本に四年ぶりに帰還。草薙も警部・係長に出世していますが、内海とコンビを組んで捜査するところは相変わらずですね。シリーズ当初三十代半ばだった湯川と草薙も四十代となり、職場での立場も変化して登場人物たちの成長が感じられる1冊になっています。二人とも独身なのは相変わらずですけど。

※詳しくはこちら↓

 

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※『沈黙のパレード』は2022年に映画公開が決定しました。

 

 

 

以上、2020年現在で9冊刊行。

上記したように短編はオカルト的謎を科学知識で解明するもので、長編はいつもの東野圭吾作品の特徴である驚きの展開と人間味溢れるお話になっている印象。

 

 

※2021年9月にシリーズ10冊目の長編が出ました!詳しくはこちら↓

 

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後、単発作品ではありますが『むかし僕が死んだ家』という【ガリレオシリーズ】が刊行されるよりも前に書かれた長編も非常に密接な繋がりがあるので、シリーズを読む前でも後でもいいので読んで欲しいなぁと思います。

 

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“原作”として

シリーズ当初の解説でも書かれていたことですが、もともと作者が湯川のモデルだとしていたのは俳優の佐野史郎さんでした。映画『夢見るように眠りたい』

 

夢みるように眠りたい [VHS]

夢みるように眠りたい [VHS]

  • 発売日: 1994/03/02
  • メディア: VHS
 

 

佐野史郎さんが演じていた探偵役が印象に残っていたのでイメージして書いたということらしい。シリーズ第1弾の短編集『探偵ガリレオ』の文庫版では巻末に佐野史郎さんによる解説が収録されています。

 

なので、当初は湯川の容姿に関して眼鏡のぱっつん前髪だという記述があったりしたのですが、ドラマ化されたことで作者も引きずられてしまったのか、ドラマ視聴者に合わせようということなのか、いつのまにやら原作の湯川の容姿が端正な顔立ちの足長男にすりかわっていたり、内海とのやり取りや他の部分でもドラマ化されたことでの影響がみられます。

ドラマ視聴者としてはその方が違和感なく原作小説として入り込めるのだろうし、ドラマでの映像イメージを損なうことなく楽しめるのでしょうが、個人的にはドラマ化されようと原作は原作として元々の設定や世界観を崩すことなく続けて欲しいと思っちゃうのですよね。作者自身が別物と示して欲しいというか。

私はドラマの第1シーズン視聴途中にこの小説シリーズを読み初めたのですが、もしドラマより小説を先に読んでいる状態で愛読者になっていたらドラマに合わせて原作が変更されるのにはかなりの抵抗があっただろうと思います。 

 

とは言え、小説での設定や展開は損なわれずに確りと面白いのでそんなに気にすることでもないかも知れません。

ガリレオシリーズ】の短編はともかく長編は今後も続くと思いますので、読者としてやはり楽しみにしています。   

 

 

 

 

ではではまた~

 

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『金田一37歳の事件簿』7巻 ネタバレ 玲香ちゃん登場!で、色々考察

こんばんは、紫栞です。
今回は金田一37歳の事件簿』7巻の感想・気になる点などをまとめたいと思います。

金田一37歳の事件簿(7) (イブニングコミックス)

この表紙絵のシチュエーションはなんだ!?って感じですが、作中での一コマです。前巻同様、今巻も特装版などはない通常版のみでの販売。

 

7巻は前巻から続いての「函館異人館ホテル新たなる殺人」が5話と新章の「騒霊館殺人事件」を2話収録。みなさんお待ちかねの”あの女性”も登場で必見の巻となっておりますよ~。

 

 

 

 

 


以下ガッツリとネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


では先ず箱館異人館ホテル新たなる殺人」から。※詳しいあらすじなどはこちら↓

 

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前巻が解決編の途中までいっていたので、今巻では犯人の指摘と動機面。そして“あの女性”の現状と高遠さんサイドの不穏な動き・・・等々。色々と興味深い代物になっています。

 

事件の犯人なのですが、前にこのブログで予想したのが的中して岡倉さんでしたね。ま、拳銃のすり替えとか衣装の変更の件とか、状況はわかりやすく岡倉さんが犯人だと指し示していたのでこの犯人当てはそう難しいものでもない。
赤座殺害トリックですが、緞帳の裏側から本物の銃で狙い撃ちしたというかなりシンプルなものでしたね。もっと機械仕掛け的なものなのかなぁ~とか深読みしてしまっていた(^_^;)。だってあの距離で心臓を一発で撃ち抜くとか難しいかなって・・・。海外で何度も試射・訓練をしたんだろうってフォローがありましたけどね。計画犯罪への情熱が凄い。いつものことですけど。

今の科学捜査なら袖についた火薬を調べればモデルガンのものか本物の拳銃のものかわかるはずだと作中で言っていますが、科学捜査の云々を持ち出すなら、弾丸の入射角の違いでトリックだと早々にわかるのでは?と、いう気もする。

 

 

 

 


高遠さん案件
この「函館異人館ホテル新たなる殺人」、実は高遠さんが関わっていた事件だったらしく、今回の犯人・岡倉純は2巻でごちゃごちゃ言っていた

 

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「十二神」の中の一人でアポロンと名付けられていた人物だったことが判明。

 

「歌島リゾート殺人事件」の犯人・麻生早苗“アルテミス”と名付けられている結婚詐欺師で私利私欲のために犯行を繰り返す人物でしたが、岡倉純は婚約者の無念を晴らすための100%怨恨での犯行だったので「十二神」の中の一人だというのは何だか意外。一番の標的たちを殺害させた後に立派な芸術犯罪者にでも育てるつもりだったのかな?

ペラペラ喋ったあげくに毒殺された麻生早苗とは違い、岡倉純は高遠さんのことに関しては一切喋らずに死刑判決をおとなしく待つという選択をしています。長らく昏睡状態だった婚約者も死んでしまったし、救いのない終わり方をしていますね。

 

それに加え、この事件のラストでは事件関係者の一人・刈谷ユダが“ヘラ”と名乗る人物からボックスフラワーに入れられた多額の現金を贈られるシーンがあります。どうやら事件の詳細を教えた礼金らしく、刈谷さんは何のためにそんなことを要求されたのか分かっていない様子。“ヘラ”からは電話で「気になさらない方がよろしいと思います あなた自身のためにも」と忠告されていてヤバい匂いがプンプンする。今後刈谷さんになにもなきゃいいが。

 

“ヘラ”というのはオリンポス十二神の一人でゼウスの妻とされる女神。

高遠さんは自身が立ち上げた犯罪組織(?)「十二神」で“ゼウス”として振る舞っていたらしいので、“ヘラ”と名乗る人物は高遠さんの右腕で組織のナンバーツー的存在なことが予想される。檻の中にいる高遠さんの意を汲んで外で諸々の行動をしているってことでしょうかね。
今巻では電話のみだったのでまだ男性なのか女性なのかも判りませんが、まさか高遠さんの奥さんということもあり得るの、か・・・?なかなか想像出来ませんが、なんせ20年経過しているしそんなこともあるかも知れない。

 

それにしても、「十二神」の中の二人が「歌島」「異人館ホテル」と金田一にとって因縁深い場所で殺人事件を起したのは単なる偶然なのでしょうか?自身がプロデュースした犯罪計画に金田一を巻き込もうとするのはかつての高遠さんの癖でしたが、それが今でも健在だとしたら金田一が勤めている音羽ブラックPR社」がかなり怪しいことになるんですけどねぇ・・・。いずれも会社からの命令で出向いていった結果だったし。う~ん。どうなのでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

速水玲香37歳
事件や高遠さんも気になるところですが、今巻はなんといってもかつてのアイドル・速水玲香の現状が明らかになるというというところが読者の一番気になるところだと思います。玲香ちゃんは“空白の20年”、「金田一が謎を解きたくない理由」に大いに関係しているのではと読者間で噂されていた人物なので大注目なんですね。

 

前巻の巻末で37歳になった玲香ちゃんが登場することが予告されていた通り、今巻では金田一と玲香ちゃんが対面しているシーンがありまして、コミックスの表紙絵は作中で金田一と玲香ちゃんが久し振りの再会に乾杯しているシーンを切り取ったもの。

「函館異人館ホテル新たなる殺人」の最初の方、観劇中に金田一が何かに気が付く描写がありましたが、あれは実は客席にいた玲香ちゃんに気が付いて声をかけようとした様子だったらしいです。直後に事件が起きてそれどころじゃなくなったと。事件とは関係のない描写だったのね・・・。関係あるのかと思ってアレコレ考えてしまった(^_^;)。

 

37歳の玲香ちゃんですが、容姿は多少髪型が大人っぽくなっている・・・かな?玲香ちゃんはシリーズの中で登場するたびに容姿が変化しているというか、造形が定まっていないキャラクターだったので(峰不二子的)さほどピンとこないというのもある。とりあえずお綺麗なままです。

 

判明した事実としては、金田一と玲香ちゃんが会うのは10年以上ぶり。玲香ちゃんは現在芸能界の仕事はしておらず、フラワーショップを経営していて東京在住ではない。もうじき高校を卒業する息子がいる・・・など。

 

37歳で高校を卒業する息子がいるということは十代の時に産んだ子ということになる。この時点でなかなかの驚きですが、やはり玲香ちゃんは「金田一が謎を解きたくない理由」となった事件にガッツリと関わっていることが今巻で決定事項となったことですね。

 

「息子さんのお父さんは・・・まだ・・・?」「ええそうね・・・」「・・・・・・・・・・・・・・・・ごめん」「なんで金田一くんがごめんなの?そんなの変でしょ」

 

と、いったやり取りから、どうやら息子の父親に“何か”があった事件らしい。金田一が謎を解いたことでその人がどうにかなってしまったのかな?「まだ・・・?」というのは罪を犯して刑務所に入ってまだ出て来ないとか、昏睡状態でまだ目が覚めないとか、そんな感じでしょうか。
その事件が起こったのはやっぱり妊娠中とか出産直後とかなのか。だとしたら金田一が謎解きから離れて生きてくのを決めたのも十代の頃で【金田一少年の事件簿】の時点から2・3年後とかか?

う~ん。まだまだ詳細は明らかになっていないので想像するしかないですが・・・。ますます気になりますねぇ。

 

玲香ちゃんですが、金田一に再会する際にボックスフラワーをプレゼントとして渡しています。“ヘラ”が刈谷さんに送った現金もボックスフラワーに入れられたものだったんですが・・・この符合には何かあるのかどうなのか。不穏・・・。

 

いまだに『金田一37歳の事件簿』で姿を現さない七瀬美雪ですが、玲香ちゃんが金田一にあっけらかんとした様子で「七瀬さんは今何してるの?」と聞いていることから、美雪は金田一が謎を解きたくなくなった切っ掛けとなった玲香ちゃん絡みの事件には直接の関係はなさそうですね。

じゃあ何で登場させないんだよ・・・!と、読者としては恨み節を吐きたくなりますが。いつまでこの生殺し状態は続くのだ・・・。

 

 

 

 

「騒霊館殺人事件」
7巻では二話のみ収録されている「騒霊館殺人事件」。

まだ二話だけで事件も起きていないので何とも言えませんが、ポルターガイストがテーマの事件で、まだ橋は落ちてないけど恐らくクローズド・サークルものです。コミックスの帯には“シリーズ最高傑作始動!!”と、書かれているのですが・・・そんなことを謳っちゃって大丈夫なのか(^_^;)?

 

雰囲気が『蝋人形城殺人事件』に似ている。

 

 

蝋燭がひとりでについていって「ポ・・・ポルターガイスト・・・!?」ってなっているところで終わっています。蝋燭を順番にともしてくれるって、なんだかロマンチックなポルターガイストですね。


俳優の松重豊さんにそっくりな人物が事件関係者として登場しています。ヨーロッパ輸入業をしていて、名前は仲根沢児郎。明らかに孤独のグルメ井之頭五郎のパロディですね。

孤独のグルメ Season7 Blu-ray BOX

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この人が犯人だったら驚くし面白いんですけど。おそらくそれはない。

 

※8巻出ました!詳しくはこちら↓

 

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正直、“空白の20年”や玲香ちゃん登場に気を取られまくって今現在の事件への印象が薄くなってしまった7巻ですが、2巻以来の物語り全体が大きく動く展開でドキドキものでした。今後もますます【金田一37歳の事件簿】から目が離せませんね!

 

 

 

 

 

ではではまた~

『犯人たちの事件簿』9巻 感想 本当の完結まで、あと1冊!!

こんばんは、紫栞です。
今回は金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』9巻をご紹介。

金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(9) (週刊少年マガジンコミックス)

 

今巻はKCコミック『金田一少年の事件簿 吸血鬼伝説殺人事件』のパロディ表紙。

金田一少年の事件簿 吸血鬼伝説殺人事件 (講談社コミックス)

本家のこの頃のはじめちゃんは顔が幼い。これは『探偵学園Q』の連載を経ての絵柄の影響であると思われる。因みに、「吸血鬼伝説殺人事件」は当時『探偵学園Q』との連動企画連載だった。

 

 

前巻でFILEシリーズとCaseシリーズの事件をやりつくし(「異人館村殺人事件」だけは大人の事情でやっていませんが)

 

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グランドフィナーレするかと思わせてしなかったこのスピンオフ漫画。

 

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最終章に突入という訳で、不定期連載期の事件に突入。※事件の順番や連載の変動にについて、詳しくはこちら↓

 

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今巻は「吸血鬼伝説殺人事件」「オペラ座館・第三の殺人」「雪霊伝説殺人事件」の3つの事件と巻末に「お正月だよ犯人集合」と作者・船津紳平さんの実録四コマ漫画2本を収録。

 

 

 

 

 

●「吸血鬼伝説殺人事件」

金田一少年の事件簿 File(27) (講談社漫画文庫)

金田一少年の事件簿 File(27) (講談社漫画文庫)

 

 犯人湊青子
Caseシリーズ完結から期間が空いての久しぶりの作品だった「吸血鬼伝説殺人事件」。非常に珍しい血液型のはずのボンベイタイプが事件関係者のなかにいすぎなので有名な事件なのですが、このスピンオフではこの部分には触れていなくってちょっと意外。

そのぶんと言うかなんと言うか、血を抜いて体重を軽くするメイントリックについてだいぶ触れられていましたね。体重がグラム単位で要になるトリックなんて無理がありすぎるのよ。体重なんて食べたものとかで変化するじゃんね。あと、ロングヘアでも5センチ髪切られたら気づくって。初対面で血を大量に抜かれて髪切られてって、美雪ホント災難(^^;)。


剣持警部と美雪に気をとられていて前半では金田一無視状態でさほど恐怖を感じないまま終わっているのが新鮮。「ジッチャンジッチャン・・・・うるせーんだよ!!」と、言っていますが、青子さんの前でそんなにジッチャン発言はしていない。
バスタオル云々は私たちもそこツッコんじゃうんだと本家読んだとき思った。二時間ドラマ暗黙の了解ルールが通報しない世界なのね・・・。シビア。

 

 


●「オペラ座館・第三の殺人」

金田一少年の事件簿 File(28) (講談社漫画文庫)

金田一少年の事件簿 File(28) (講談社漫画文庫)

 

 犯人湖月レオナ
オペラ座ふたたび(※ノベルス版の事件があいだにあるのでホントはみたびですけど)

 

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 ということで、地縛霊みたいになった有森が友情(?)出演。数々の演技派犯人たちが登場してきたこの『犯人たちの事件簿』。レオナさんはモノホンの女優さんということで犯人の役作りが徹底されている。臨機応変さも役作りの賜物ですかね。しかし、演じることに夢中で金田一にさほど注意を払っていなかったら足をすくわれる結果に。やはりアドリブには限界がある…。
「仮面をつける必要があるのか」は確かに本家で解決編を読んでいたときに違和感があった記憶が。誰も見ていないのに何故かぶる。役作りでやっているということでカバーされていてなんだか感心した(笑)。


有森の亡霊とシンクロして「いるのかよ!!刑事いるのかよ!!」「やることが・・やることが多い・・・・」「やったあポンコツだぁ~っ!」などの懐かしのフレーズがまたみられてうれしかったです。本家を読んだときもチラッと思いましたが、この事件の犯人は本当にやることも多いし、計画も常に皆の行動をみて決めてと頭も使い続けなくっちゃいけなくって忙しそう・・・。

 

 

 

 

●「雪霊伝説殺人事件」

金田一少年の事件簿 File(30) (講談社漫画文庫)

金田一少年の事件簿 File(30) (講談社漫画文庫)

 

 犯人黒沼繁樹
スケキヨのような仮面をかぶっている人物が犯人の「雪夜叉伝説殺人事件」。

資産家の氷垣氏が「金はいくらでもだすから復讐したまえ」と言うのも驚きだが(どう考えても止めるべきところ)、激しい憎悪を隠すために薄笑いの仮面をつけて弁護士をしていた黒沼さんにはもっと驚き。「仮面を付けたまま平然とファミレスにも入れる・・これが心が死んでいるってことなのか・・?今の私なら・・殺れる!!」といったように、心が凍っていないと到底出来ないようなグロいメイントリックが印象深いこの事件。「はっきり言って放送事故・・!モザイクかけなきゃやっていられないレベル・・!」ということでモザイクかかっています。


他、特徴は「一人二役」と「二人一役」が絡み合っている複雑構造ですね。黒沼さんのターゲットである堂崎一志がドアの前で一生懸命二人に見せかけるためにお芝居しているのが可笑しい。絶対練習しなきゃ出来ない。黒沼さんも金のためにここまでやるかと関心していましたね。
殺人現場名物「〇〇の仕業だおじさん」は確かに『金田一少年の事件簿』でよく見るヤツ。横溝正史作品だと老婆が多いイメージですが、金田一少年だとおじさんがこの役割をやらされている率が高いな言われてみれば。

 

 

 

 

 

 

最後に収録されている「お正月だよ犯人集合」ですが、二ページ漫画で集合しているのは有森とかほるさんと的場先生。このスピンオフ漫画1巻で出て来た犯人たちですね。

 

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 最初の頃だからというのもありますが、何だかんだでこの三人が『犯人たちの事件簿』の代表(?)犯人っぽい。
一ページ余ったからという四コマ漫画ですが、マガジン編集長のお話が興味深かったです。周マガで「金田一少年の殺人」をやった時は人気のある事件だからかな~と思っていたのですが、編集長の希望だったんですねぇ。編集長は本家の「煩悩シアター」にも登場しているとのことで探してしまった・・・(^_^;)。

 

 

 

次!
さて、このスピンオフ漫画も次の10巻で本当の完結。2020年7月17日発売予定で、収録事件は「黒魔術殺人事件」「血溜之間殺人事件」「不動高校学園祭殺人事件」「獄門塾殺人事件」の四つ。「最終刊は内容盛り沢山の予定です!」と作者の船津さんも予告されているので、楽しみに待ちたいと思います!

 

※出ました!完結編10巻の感想・詳細はこちら↓

 

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ではではまた~